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5月22日、とうとうフランスで出版されました。
早く日本語訳が出ないものですかねえ……。 とはいえ、どんな内容なのか、ちょっと不安。 この一つ前の作品「ルパン最後の事件」がいろいろと微妙な内容だったので、あまりムリヤリな話じゃなけりゃいいなあというのが正直な気持ちです。 でもルパンが貧しい子供達のために教師をしているというのはなかなか良い設定。 ルパンと子供の大群の組み合わせ、どんな雰囲気なのか興味ありますね。 なんだかんだでNHKがニュースにしてくれるわけだし、アルセーヌルパンはそれなりに話題になる本だということで、これを機会にルパンブームがささやかながらでも起こってくれないものかと、ファンとしてはそちらに期待してしまいます。 新訳の発表とかさ、ないものですかねえ……。 「813」だけでも21世紀風な翻訳で読んでみたいぞ。 もう前々から言ってるけど、今風な言葉遣いの「813」カモン! 孫の3世はいまだに大人気だし、少なくとも日本では(まあ海外でも)アルセーヌルパンへの間口は結構広いと思うんですよね。とっつきやすいとは思うんです。 だから何かのきっかけがあれば多少なりともまた盛り上がるんじゃないかと思うんだけどな マンガの「アバンチュリエ」はいいセンいってるし、これはこれで地道に続けていってもらうとして、やっぱり映画かな。映画界に頑張ってもらうしかないかも。 前の「ルパン」はもうあまり考えずに、楽しくてスピード感があってウキウキな新しいルパンの映画を作ってくれれば、きっとルパンの人気は上がるはず。 馬車がカポカポいってる雰囲気のシャーロック・ホームズでさえ、ガイ・リッチーにかかればあれだけスピーディーな笑える映画になるのです。 バイクと飛行機の時代の女たらしの映画が楽しいものにならないはずないってことで、もー頑張ってよ、映画の人、って感じです。 是非頑張って、そして日本に新しい訳のルパン出版を! なんとかお願いします……。
著者はジャレド・ダイアモンド。訳者は倉骨彰。
草思社文庫。 文庫本が発売されて早々に買ったはいいものの、なかなか読めずにここまできました。 下巻読了まで待ってたら上巻を忘れてしまいそうなので、とりあえず(上)のみの感想を。 本書のテーマは、なんで現在の世界はこのような世界になっているのか、です。 なぜヨーロッパが他の地域を支配することができたのか、その逆はありえなかったのか。南北アメリカ大陸の先住民が旧世界に征服されたのは、人種的にヨーロッパ人より何かが劣っていたからなのか。 ……いや、そうではない、それは地形的条件、気象的条件などの自然環境がもたらしたものなのだ、というのが著者の言いたいことで、様々な分野の研究からそれを解析していくといった内容になっています。 たくさんの人間を食わせる社会を作れる環境にあったかなかったか、の違いなんですね、戦争に勝って支配者になるか隷属する側になるか、を決める条件は。 だから何千年も前から畑を作れる環境にあった方が強くなる。農業に向いてる野生植物が多く自生していた地域の方が、家畜化できる野生動物が多くいた地域の方が、そうでない地域より技術が進む。 乾期がある場所でないと農業が生まれにくいというのには「へえー」でした。 一年草でないとダメだというのも、理由を知れば「へえー」。 植物の説明のところは知らないことだらけで面白かったです。いやもうなんか、こういうことって人間として最低限勉強してないといけないことじゃないかって感じです。 現代人って漫然とスーパーで食材買って適当に料理して食事してるけど、食物は人間を社会で生きる一員として成り立たせる根本だということ、もっと肝に銘じておかないといけないんじゃないかと感じさせられましたね。 病原菌の話はすさまじかったです。 ていうか、アメリカ大陸の先住民がヨーロッパ人にやられてしまったのって病気を持ち込まれたからだったんですね。今まで武力のことしか考えてなかったです。 でも病気の方がたくさん人を殺したというはかえって悲惨な気がします。 これじゃヨーロッパ人は完全に悪魔の使いじゃないか。 実は常々疑問には思っていたんですよね。いくら武力で制圧されたといっても、あまりにあっけなく支配されすぎじゃないかって。 でも持ち込まれた病気に対する抗体が全然なかったからと言われればなるほどなあって感じで、例えば村の人間が謎の病気でバタバタと死んで生き残りが自分を含めてほんのちょっとだったりしたら、そして周囲はいつのまにかヨーロッパ人だらけになっていたとしたら、想像するだけで恐ろしすぎなのですが、もう何もかも言いなりになってしまっても仕方ないような気がします。 わけわからないうちに根底から破壊されたって感じでしょうし、気の毒極まりないですね。 欧米の白人さんって、いまだにヨーロッパ以外の地域がヨーロッパのように進化しなかったのは、その地域の住人が白人よりも劣っていたからだ、とか思ってるわけ? もしくはそういう人がまだ多くいるとか。 実はそういう人がいることを前提とした言い回しをしてる箇所が結構あって、読んでてそれが目についたんですよね。もっと事実を淡々と記述してくれるだけでいいのにって感じでした。 まあ本書の意義がまさしく「人種の優劣ではなく自然環境の違いがその差を生み出したのだ」ですから、そこのところをしつこく言うのは正しいのでしょうが、しかししつこく言わなければいけない現状が歴然としてあるということも感じさせられて、なんだかなーって気分になりました。 でも全体的には大変楽しく読めた本でした。 普通の馬は投げ縄で捕まえられるけど、シマウマは絶対に輪が首にひっかからないとか、日常レベル(?)の小ネタが、実は世界の勢力図の行方まで関わっているという、そういう一つ一つの話は面白かったですね。 確かになんで馬は家畜化されてるのにシマウマはされてないのかとか、疑問に思ってもよさそうなもんですよね。シマウマがアフリカの人達に飼い慣らされて乗りこなせるようになってたら、白人のアフリカ侵略だってそうは簡単にいかなかっただろうに……。 まあ、アフリカ先住民がシマウマ乗ってる姿を想像するのも変な感じですが。 シマウマに乗ってね、サバンナの遠くまで駈けてって、狩りも馬上から行うんですよ、手作り弓矢とか吹き矢とかで。 ……んー、やっぱりピンとこないかな。 とまあ、そんな上巻でした。 下巻は文字の誕生から始まっていますが、これまた長くかかりそうです。
大河ドラマ「平清盛」、とうとう保元の乱の直前まで来ました。
上皇と帝の対立、摂関家内の対立、そういった朝廷の権力争いは先週でほぼ説明終了、今週はそれに振り回される武家のお家事情が描かれました。 まずは俄然ヤル気の源氏一族。 為義も義朝も、貴族の下どころか平家の下にも甘んじている今の地位をなんとかせんと、はりきって鎧装束を身にまといます。 個人の能力の違い、棟梁と息子という立場の違い、それぞれの違いが道を分けてしまった為義親子ですが、父も子も掲げる理想や目標は同じところにあるわけで、敵味方に分かれた悲劇がそこはかとなく両者の表情から漂ってきます。 源氏の人達って、一族の目標に向かってそれぞれがそれぞれの思うままに振る舞い、己の力のみで結果を出していくって感じの人達ですね。一族内の競争で勝ち切った者が棟梁となり、より強い遺伝子が次に残ればそれでよいといった感じで、なんつーか、原始的というか動物的というか、京のお公家さん達はこういうの嫌いだろうなあと思わずにはいられない野蛮さです。 でもこういうのが最後に頂点取るんだな……。 最終的にふさわしい一族の終焉を迎えるにしても。 鎌田親子がよいですね。特に父は父の愛が深いです。 由良御前もさすが本妻。愛とやすらぎがあればOKの常磐とは心構えが違います。 義朝の周辺、決して悪くないんだよね。父親や兄弟とは残念だったけど。 平家は源氏ほど単純じゃないのが難しくもあり面白くもある。 清盛のあほぼん時代をあっち行ったりこっち行ったり描いてきたのも意味があったかなあと思えるくらい、平家内部はそれぞれの本音と建前と思惑が微妙すぎる。 よくまあこの微妙感をドラマでそれらしく表現できているものだと思います。 それぞれに個人の思いがあり、皆それを平家一門の表情の下におさめているけれど、そのおさめ方もやはりそれぞれで、一門勢揃いのあの場に漂う微妙なモヤモヤ感は見ていてなんとも言えん。 なんていうかなあ……源氏の方が一族内で殺し合い奪い合いしてるのに、あっちの方がなぜか団結しているように見えるんだよね。 それは一人一人のやり方はどうであれ、一族の目標が遺伝子レベルで共有できているからなんだろうけど、翻って平氏はね、なんか、どうにも、微妙なんですよ。 まあ清盛の血筋が違うからといえばそうなんだけど、そうであるからかどうなのか、他の平家の人達と清盛の見ているところって、もう全然違うんだよね。元々の人間の造りが違うとしかいいようがないほど、同じものを見ていても目に映ってるものが違うんだ。 今回とうとう頼盛がそんな違いに「我慢ならん!」とばかりにキレてしまったのだけど、このドラマの上手くて且つ問題なところは、「その頼盛の気持ち、わかるわー」と見ている人間が思ってしまうところで、大河ドラマの主人公の立場がこれでいいんだろーかという、いつもの視聴率問題に行き着いてしまうところなんですよね。 個人的にはこの微妙な平家のモヤモヤ感はいいと思うんですけどねえ。 源氏との対比のさせ方も上手いと思うんだけど。 平家がそんな雰囲気なのは、清盛を筆頭に平家の人達が一面的な人間に造形されてないからですが、そういった人間の描き方という点では叔父・忠正が大変興味深いですね。 清盛を嫌いだけど嫌いじゃない、許せないけど許せる、合わないけど必要だと感じる、認めるけど許しがたいところもある……等等、人間って裏表の感情と理性と打算と良心と諦めと志と、様々なものが組み合わさって出来てる生き物で、それは重ねた年齢によって深みや重さも違ってくるし、忠正の思慮と頼盛の浅慮の対比は、今後のことを考えてもなかなか良かったと思います。 この忠正像は、下手すりゃ清盛中心のドラマを作るための都合のいい人物像になりかねなかったところですが、なんとか上手くここまできたように思います。 清盛と対立する人が一面的な人でなくて良かった。 池禅尼のキャラクターと合わせて、平家に漂う微妙なモヤモヤ感を上手く作ってくれたと思います。
三上鳥羽がお隠れになってしまわれました。
いよいよ保元の乱が始まります。 大河ドラマ「平清盛」、これまで保元の乱に向けてコツコツと話を積み重ねてきました。 わかりにくいとか見えづらいとかいろいろ批判は聞かれましたが、うちの高齢の親でも「誰と誰が敵対しているかはわかる」と言っていたので、最低限押さえるべきポイントは外さずにここまできていると思います。 敵対する人達の中で一番わかりやすいのは源氏ですね。 玉木義朝と父為義の対立と葛藤は、シンプルかつ的確に表現されていて、一番視聴者に受け入れられているのではと思います。 玉木はいい義朝になりましたね。理想と現実のギャップに歯噛みしつつも前に突き進む姿が良いです。とても女にモテそうです。 バカではないけど一直線にしか頭が回らなさそうなところもまた良い。 出てくる時間は毎週わずかですが存在感は抜群です。 源氏は荒々しい一族だけあってエピソードに事欠かないし、いっそのこと源氏一族でドラマ一本作ればいいのにって感じです。義家の活躍から一族の暴れぶり・ゴタゴタを経て幕府設立、鎌倉将軍家断絶までドラマ化したらきっと面白いのではないでしょうか。 摂関家内の対立については、歴史を知らない人にはイマイチわかりにくかったのではと思います。 が、ここには山本耕史がいますからね。あれだけキャラの立った頼長なのだから、彼一人でもどういう人生だったかを理解できれば保元の乱にはついていけるでしょう。 これから頼長は悲惨すぎる末路を迎えますが、ここは一つ藤原道長のドラマを作って、頼長の復古主義の元となっている摂関政治がどのようなものだったかを視聴者に伝えるのもアリかと思います。 どんだけイヤな政治か、宮廷文化は花開いたけど摂関家の男どもはとても陰険だとか、そういうのやってもらいたいですね。そうすれば院政に移行するのも皆納得できると思います。 今のままではなぜ院政はこんなにメチャクチャなんだ?理を重んじる頼長の方がマシでは?という疑問が出かねないし、平安時代は平安なんだから良い時代だろ、なんて幻想木っ端微塵にするような平安ドラマを作ってもらいたいものです。 保元の乱の顔である崇徳院と後白河帝の対立は、崇徳院にとってはお気の毒としかいいようがなく、乱の原因を鳥羽院に求めたとしても、それだけで終われないのはドラマを観ていれば明らか。考えれば考えるほど白河院の所業にその遠因は行き着いてしまうし、もうホント、白河院恐るべしです。 しかし白河院がなぜああなったのか、彼の生涯を辿ればまた違ったものも見えてくるわけです。彼の父帝からの摂関家との対立とか、これまたドラマを作ればいいんじゃないかと思うくらい、白河院もいろいろとあるのです。 それを知れば保元の乱がその時の権力構造や人間関係だけで起こった乱ではなく、歴史の流れの必然だったことがわかる。 仮に保元の乱という形で起こらなくても、絶対に何らかの事件で激動の時代を迎えたはずだし、一般的にあまり知られていないというこの時代の歴史を、もっとクローズアップしてもらいたいものですね。 「平清盛」の鳥羽院は私が想像していたよりももっと弱くて、もっと人間的で、最後まで悩める人でした。 なんていうかな……優しい人でしたね。情に左右されやすいというか、情に支配されやすい自分を自覚しているがゆえに周囲に振り回される人、といった御方。 そういう鳥羽院の造形が崇徳院の悲劇に合わせて作られたものなのかはわかりませんが、鳥羽院がそうであるなら、少しは崇徳院の可哀想さ加減も薄まるかなあという気はします。 政治状況は個人では如何ともしがたいですが、鳥羽院と崇徳院の間に情が全くなかったわけではないというのは、崇徳院にとってはわずかでも慰めになるのではないかと。 まあ、キレイに描こうとしすぎといえばそうだけど、でもこういう作り方も悪くないと思いました。 璋子との関係もそうだったけど、鳥羽院は要所要所で意識しないままに大事な人とすれ違うんですよね。そしてその時はただのすれ違いだったものが、結局糸が絡まるように後の不幸の原因になっていくのです。 もちろん糸の元をたどれば白河院に行き着くのですが、そうであったとしても糸がより複雑に絡まってしまったのは情に左右される鳥羽院のせいだったのは確か。そして、鳥羽院のせいだけでなかったのも確か。 人間の情と何百年と続いてきた社会体制の糸のもつれを、なんとかクリアにしようとハサミを入れたところに位置していたのが崇徳院だったということで、その時代にそこにいた崇徳院にとってはお気の毒な成り行きでした。 社会の破綻が訪れる時、その破綻を一身に受けなければいけない人というのはどうしても出てくるものですが、崇徳院はその最大の被害者の一人ですよねえ……。 鳥羽院と崇徳院のテレビドラマって他にあまりないと思うし、これを機会にいろいろなパターンの話が作られればいいなあと思います。 冷酷な鳥羽院だって面白いと思うし。 というわけで、三上鳥羽、ご苦労様でした。 大いに楽しませてもらった鳥羽院でした。 来週からちょっと寂しくなるかな。 でも保元の乱自体はすごく楽しみです。 どんな風になるのか超期待。
ネスタがミランを退団します。
ミラン在籍10年ですか。 数字にすると長く感じますね。 サッキ、カペッロと並んでアンチェロッティ監督もミラン史に残る栄光を築きましたが、アンチェロッティミランの躍進は、まさにネスタの加入と共に始まったのでした。 CL優勝にセリエA優勝、いろいろ残念なこともありましたが二度目のCL優勝、そしてクラブワールドカップ優勝と、2000年代のミランの栄光はネスタがいなければありえなかったといっても過言ではありません。 シェフチェンコはいた、ルイ・コスタも獲った、アンチェロッティも無理矢理呼んだ、そして最後のピース、スペシャルなセンターバックとしてやってきたのがネスタ。 当時熱烈ミラニスタをやってた私は嬉しくて嬉しくて、ネスタ移籍が決まった日はPCの前で「ヤッター」とガッツポーズでした。 あの日は確か休日で、ずっとネットで状況を追えたんですよね。 ミラン側の情報とラツィオ側の情報を両方追っかけて、ネスタ自身はラツィオのキャプテンやってた自分がミラニスタに受け入れられるのかどうか不安だったらしいけど、ネスタくらいスペシャルだったらそんなの全然関係ないし、あの日はどこもかしこもネスタ大歓迎一色でした。 生粋のラツィアーレだった彼がこの移籍を望んでいたわけはなく、専らクラブ事情による移籍だったのは当時から有名でした。 財政難に喘いでいたラツィオがネスタを身売りするしかなくなったというのが実情だったわけですが、にしても移籍先がなぜミランで、しかもなぜそこそこのお手頃価格だったのか、というのはいろいろと憶測を呼びました。 一応私が理解しているのは、クラブ破産危機にあったラツィオを救ったのがミラン会長のベルルスコーニだったから、というもので、確か数年前に法か何かを改正して借金返済の猶予を延ばしてあげたんですよ。ベルルスコーニの権力でラツィオは生き続けられたんですね。 その時の恩をネスタで返した、というのがあの移籍劇の裏側というわけですが、雑誌で読んだその真偽はともかく、確かにこれでつじつまは合うのです。インテルなんてもっと高い金額でオファーしてたはずだし、当時のネスタの雰囲気としてはミランよりもインテルの方が似合っていた印象がありましたからね。 移籍の裏側はどうであれ、その後ネスタはミランで期待通りの活躍を見せてくれました。 怪我しやすい体質には苦労しましたが、スペシャルなディフェンダーであることをずっと証明し続けました。 読みと技術が抜群でしたよね。スピードも高さもあった。ホントに欠点なんて何もなかった。 容姿もずば抜けてました。顔だけでなく姿が美しく、ジャンピングヘディングクリアした時の空中姿勢は美そのものでした。 ネスタの動きは言うなれば「蝶のように舞い、蜂のように刺す」って感じ。鋭くて、とにかく優美なんです。 美しいディフェンダーといえばマラドーナお墨付きのマルディーニでしたが、マルディーニが「美が力強く動いている」というものなら、ネスタは「動きそのものが美」。 あの2人が並んで守る絵は眼福でしたねえ。 あれをミランで見れたのは幸福でした。 ラツィオに戻るという手もあると思うのですが、アメリカを視野に入れているようで、案外ネスタにはそれも似合ってると思います。イタリアサッカー界の政治やしがらみに無縁なところでやるのもかえっていいような気が。 どちらにしろネスタがいなくなるというのは、ミランにとっても一つの時代の終わりになります。 昨年のピルロに続き、今年はネスタの他にもガットゥーゾ、インザーギもミランを去るということで、2000年代のミランはますます遠くなりつつあります。 個人的にはアンブロジーニがミランを去れば完全に自分の中で終わるって感じなんですが、ミランというクラブの色はこれからどうなりますかねえ。 このクラブの歴史はなかなかドラマチックなので、これからも期待したいですが。 ところで、昨夜のマンチェスターシティとクイーンズパークの試合、超面白かったですね。 特に後半の展開には笑いが止まりませんでした。 どっちも凄かったなあ。 お金をかければ優勝できるというのは好みじゃないけど、政治力を使ったりブランド力にものを言わせたりする相手に対抗するには金しかないし、ここは44年ぶりの優勝を祝いたいと思います。 いやー、面白いもの見せてもらいました。 シティ、というより最終節を盛り上げてくれたクイーンズパークに拍手!
サッカーJ1は10節まで終了。
ACL組は1試合少ないですが、今シーズンの大体の趨勢は見えてきたのではないかと思うので、この辺でゆるく雑感を。 まずは昨シーズンの優勝チーム、柏。 J2から昇格したばかりの去年ならこの辺(残留ライン)をウロウロしてても納得なんだけど、去年の戦いぶりが記憶に新しいためとにかく不思議。 まあ不思議といえば去年あれだけやることなすこと良い方向に転がったのが不思議なんだけど、今年はダメですね。少なくとも今年は柏の年でないのは確定的なようです。 去年のレアンドロ・ドミンゲスはチャンスに滅法強いイメージだったけど、今シーズンは決まらないなあ。 守備もどうしちゃったんでしょうね。 強いはずなのに締まりがない試合をしてるといった印象です。 去年2位の名古屋は夏場になってみないとわからないけど、ケネディのコンディション次第かな。 走らなくても勝てるチームのはずですが、なんか以前に比べて失点が増えてるような気が。 まあ勝ちきれない試合をしてる印象が強いけど名古屋はそのうち上がってくると思います。 なんだかんだでここは選手が揃ってますもんね。 ガンバはあまりに悲惨なのでそっとしておいた方がいいでしょう。ネタにして笑う時期はとうに過ぎました。 失点数だけ見れば降格まっしぐらですが、W杯予選まではなんとか勝ち点1ずつでも積み上げて、中断期間中に修正できればいいですね。 まあ中断期間といっても遠藤と今野はチームにいませんが、なんとか頑張ってもらいたいものです。 現在上位にいるチームは守備の強さと運動量の豊富さが他より上回ってるからこその上位だと思います。 清水、鳥栖は特にそうで、体にガンガン当たりに来る守備は相手チームにとってはかなりしんどい。 仙台もそうかな。今年は見てないけど去年はそうでしたよね。 広島は現在3位につけていますが、上記のようなサッカーを大の苦手としているので、直接対決で勝てるかどうかが今後の行方を左右するような気がします。 広島は既に清水と鳥栖にアウェイとはいえ負けているので、未だ勝ったことのない仙台との試合は重要ですね。 攻撃サッカーを標榜している浦和、川崎、FC東京は、それぞれ今後が気になるチーム。 川崎は今は勝ちを拾えているけど失点が減らなければいずれ厳しくなるのは必至な予感。 観てる分には面白いんですけどね。対策立てられた時にどう乗り越えていくのか、すごく興味あります。 マリノス、大宮、神戸はよくわかりません。 とらえどころがないというか、その日その日って感じがします。 でも神戸は西野監督がきたら強くなりそうで恐いな。 イルハンとか変なところにお金かけてたのと比べたら西野監督に大金をかけるなんてあまりにまともすぎて変な感じです。 普通に強い神戸ってなんかピンとこないんですよねえ。 東西のバランスを考えても、西の神戸が頑張ること自体は大歓迎なのですが。 磐田は決定力がものすごく高いけど、パッと見る限り攻撃的って感じでもないし失点も多いし、今後どうなるのかちょっとわかりません。 前田が非常にノッてないのが気になりますね。代表では頑張ってほしいのに。 セレッソは清武がいなくなったらどうなるんだろう……。 新潟は試合内容自体はそう悪くはないと思うんだけどなあ。点が入らないだけで。 札幌は厳しいですね。開幕前予想で皆が外してないのってもしかしたらここだけかもしれません。 予想通りにいかないのが面白いとはいえ、今年のJ1はちょっとすごすぎ。 リーグ戦がハラハラドキドキなのはいいけど、代表のことを考えたらここまで落ち着きのないリーグはちょっと問題のような気もします。 今野とか大丈夫なんだろうか……。 悪いタイミングでガンバに移籍しちゃって、なんかお気の毒です。
ノッてきました。
非常にいい感じです。 これはルパンファン以外にもいけるのではないか。 加速しつつある良い勢いがビシビシと紙面から感じられます。 収録されているのは「ハートの7」の解決部分と「おそかりしハーロック・ショームズ」「赤い絹のショール」の計3編。 どれもそれぞれに面白いのだけど、まずは「ハートの7」。 犯人の顔が秀逸です。 個性的なおっさんの絵がホントに上手いですね。 ギャグ入った悪人顔のおかげで深刻さが軽減されてるのはルパンものに合ってるし、ルパンのシャレのきいた悪辣さと良い対をなしてると思います。 ルパンは夫婦の危機も救ってあげたし、ズルしてでも女性の名誉を大事にしてくれるイイ男ですね。 「おそかりし~」の方は、小説が絵になるとわかりやすくていいなあとしみじみ思ったお話。 おフランス史がふんだんに盛り込まれたストーリーで、「ハートの7」のシャルルマーニュのモザイクもそうだけど、フランスの豊かな歴史と文化がマンガだとよく理解できます。 ショームズにネガを撮られる場面は、ホントーにカシャッカシャッと撮られた絵でおかしかったです(笑)。私が原作を読んで想像していたイメージは、ショームズの脳裏に白黒反転した文字通りのネガが、服やかつらを取っ払った状態で写し撮られてるってものでした。こういう違いは読んでて面白いですね。 名場面であるネリーとのバッタリ再会シーンも、想像していたよりもルパンがカッコ悪くて良かったです。 ていうか、あそこまでカッコ悪かったっけ? あれじゃ唐草模様じゃないだけで日本のドロボウと大差ないんだけど。 なんなんだろう、あの斜め結びスタイル。ダサすぎるにもほどがある。 宝石を盗んだからというよりも、あの格好だけでダメだ(笑)。ネリー気の毒すぎ。 原作を読んだ時は、いたたまれない恥ずかしさは当然としても、もうちょっとスマートな姿だと思ったんですよねえ。 スマートであるべきだという願望が生み出したイメージだったのは認めますが、にしても絵になったら全然容赦なくて、ここは見事に幻想を打ち壊してくれた場面でした。 「赤い絹のショール」も原作が大変面白いのですが、マンガでは謎解き部分もさることながら、ルパンとガニマールの因縁がすごかったです。 因縁というか、ルパンの性格の悪さというか、ルパンがあまりにヒドすぎて、読んでてガニマールが気の毒で気の毒でしょうがなかったです。 ルパンはさ、あの愛嬌と女性へのやさしさで目が眩んでしまいがちになるけど、性格すごく悪いんだよね。本当にかなり悪いんだ。 それなのに魅力的だから困るんだけど、悪いヤツほど頭がいいってのを見事に地でいってる人ですよね。 何でも出来ちゃうし、先のこともやすやす読めてしまうし、だから平気で他人をバカにするし、これの成れの果てが「813」の、人をただの駒としか見ないあのブラックルパンで……。 あー、恐い恐い。 本当に、3巻のルパンはそれまでと比べて随分悪人ぶりに磨きがかかりました。 絵も洗練されて、顔はよりシャープに、男っぷりも上がってます。 だけどとんでもないヒトデナシ。 「おそかりし~」のお人よしお坊ちゃんがしみじみなごめるくらい、3巻のルパンはヒトデナシでした。 フランス人が学校図書館にルパンシリーズを置かないことも納得です。 今までも納得してたけど、更に納得できました。 ホント、悪人だよなあ………………好きだけど。
著者、網野善彦。ちくま学芸文庫。
現在本屋さんの文庫コーナーに新刊っぽく並べられていますが、最初に刊行されたのが1991年と1996年、2つを合わせて文庫化されたのも2004年と、実は結構昔の本です。 なのに「全ての日本人が読むに値する数少ない本です!」「いま読んでる本を止めてでも」と帯に新刊っぽく書かれていたので、つい手にとってしまいました。 内容は、南北朝の動乱期に日本の社会は大きく変化しており、その時に生まれたものが現在までつながる日本のもととなっている、というもの。 そんな中世に起こった変化を、庶民の識字率や経済活動、宗教、社会的弱者のあり方、といった様々な面から膨大な資料にあたって読み解いていく、といった内容です。 私は日本の歴史に興味はあれど読むのは古代モノばかりだったので、こういった中世の話はとても新鮮でした。下手な先入観なく読めたと思うし、庶民の生活ぶりには成る程と思えるところが多かったです。 非人と言われる人々がどのように差別される階層となっていったかも興味深く読みました。 非人や女性といった虐げられていた人達の救済に鎌倉仏教が尽力していたということも。 一方で、この本を読むのがちょっと遅かったかなあという気も起こりました。 例えば、江戸時代の女性の地位については、NHKの「お江戸でござる」なんかで女性の立場が結構強かったことは聞いていたし、明治以前の日本が海洋国家だったことも、詳しいことは知らないにしても、そうだったということくらいは今はもう結構認知されてると思います。 江戸時代までの日本は80~90%農民の国だと言われていたがそれは誤りだ、というのも、普通に国内旅行したり紀行番組見たりしていれば薄々わかることで、江戸時代に商工業で栄えた町が全国にざらにあることを考えれば、「教科書は建前しか教えてなかったんだな」と、なんとなく察することはできるんですよね。だから「日本は昔から経済が発達していたのです」と言われても、今は驚くというより「まあそうだよね」と納得するって感じじゃないかな。 そもそもそうでなければ明治にいきなり近代国家に、なんて無理だったでしょうしね。 明治の急速な発展や戦後の急速な経済成長が「江戸時代が終わるまでほとんどの人間が農業しかしたことありませんでした」って国民に出来るかといえば、それはちょっとねえ、やっぱり難しいんじゃないかと思いますもんね。 ……と、経済ド素人の人間が感覚だけで語っていますが、そういうわけで、だからこの先生が書いてることは成る程と思える事が多かったです。 多くの人が事実と思い込んでる建前と、実際に起こっていたことと、その間にある差を明らかにして日本の歴史を別視点から捉えなおすというのは、確かに面白いものでした。 で、そういうのはまあいいんだけど、本書にはどうもいろいろと微妙なところもあって、それについては読みたい方だけどうぞって感じで続きに置いておきます。 自分で書いててなんですが、日本人にとってデリケートな話題ということもあって、全然楽しい話じゃないのでご注意を。 続き
今週の「平清盛」は「さらば父上」。
しめっぽい展開になるのかと思いきやあまりそんなことはなく、粛々と世代交代に向けて話は進んでいきました。 忠盛の死というドラマ的大事件が起こる割には案外つなぎの回で、全体的に出来事の羅列といった印象かな。 そういったところがなんとなく普通の大河ドラマっぽかったです。 なんていうか、つっこみどころがあまりないって感じ。 それも含めて「平清盛」的にはいろいろともったいなかった回だと思います。 このドラマは当時の政治状況や経済状況は極力簡潔にして、人の感情の方をより表に出して描こうとしていると思っていたのだけど、今回はそれが随分適当な印象。 特に家成邸を襲った頼長への報復に駆り出されそうになった時の平家一門は、もうちょっとそれぞれの思いを掘り下げてくれたら面白かったのになあと思います。 忠正は可愛がっていた家盛を引き立てた頼長に対する思い入れがあったでしょうし、家盛と頼長の間に起こったことを頼長本人から聞かされた忠盛は、息子の敵討ちに近いことが院のお墨付きを得て出来るということで、引き受ける受けないは別にして、心はかなり揺れたはず。 平家一門として院の言葉は聞くしかないが頼長への思いもある忠正と、頼長邸を襲って摂関家を敵に回す愚は避けたいものの、家盛を愚弄された恨みをわずかでも晴らせるかもしれないという忠盛と、ここは個人の感情と政治との兼ね合いが忠盛と忠正の兄弟でもかなり違うということを示せる機会だったのに、清盛のセリフでうやむやになっちゃって、結構もったいなかったな。 忠正が頼長を支持する理由はどうせいずれ出るのだから(理由は家盛がらみと個人的には予想)、ここで忠盛のわだかまりに絡ませても面白かったと思うんですけどね。 せっかく家盛と頼長の大名演があったのに、あれをとことんまで活用しないなんて惜しすぎますよねえ。 頼長が家盛をネタに忠盛をいびって忠盛がキレて終わり、だけじゃせっかくの決死の男色シーンがもったいなさすぎる。 兄を敬愛していた忠正でさえ兄との間に埋められないものがあった、いわんや清盛兄弟をやって展開までもってこれれば、忠盛が清盛達に「兄弟力を合わせて」と言った重さもまた増すだろうに。 ま、それでも平家は源氏の兄弟のように血生臭くはないですけどねー。 安芸の国の海の幸山の幸が豪勢で笑いました。 厳島神社はまだまだしょぼくて、これまたいい味が出てました。 本格的に海に乗り出す前に都のゴタゴタをなんとかしないといけませんが、まずは次回、そろそろ保元の乱に向かって一直線のようで、今回がアッサリ風味だった分、濃いドラマを期待したいと思います。 というわけで、さらば忠盛。 偉大な父がこの世から去って、清盛も少しは大人になれるかな。
大河ドラマ「平清盛」のオープニング曲は吉松隆作曲。
大変良い曲で、去年はオープニングを早送りしてビデオを観ていたけど、今年はきちんと毎週聴いています。 不安定なリズムが平安末期を強く感じさせてくれます。 繊細でありながら力強く、前向きでありながら一寸先は闇といった調子です。 雅と野卑がまざり合ってて、でも格調は高い。 映像も美しく、黒、白、赤、青、金、緑、という色彩の変化は特筆ものです。 この色の移り変わりは、めまぐるしく移ろう当時の社会や権力の行方を表わしているかのようです。 投げられた賽をバックに浮かび上がる鳥羽院の名前もGOODです。 今後は後白河の名がその役を務めそうですが、嵐を招く人物、あるいは嵐を呼ぶ人物といったところでしょうか。 闇に落ちていくあのサイコロの行方は、深く考えるとかなり厳しいものがありますが。 初見で感じた人の多さは、見る回数を重ねていくほど良い背景になっています。 どんな景色よりもCGよりも、動く人間は飽きずに綺麗と感じることができるということかもしれません。 武士の鎧装束も当たり前ですが人が身につけてこそ美しく、時代を変える原動力となる武者行列はスロー映像でも迫力があります。 揺らめく松明の向こうに鎮座する公卿連中は座して衰退するのみ。 念ばかりが強そうな禍々しさは平安時代の闇そのものです。 はい。確かに子供の笑顔くらい映さないと、救いがなさすぎるかもしれませんね。 これほどまでに音と映像がピッタリあった、素晴らしいオープニング曲もないのに、なぜドラマ本編の音楽の使い方はあそこまでダサイのか、不思議でなりません。 以前から気になってはいたのですが、前回の「嵐の中の一門」はマジで問いただしたい気分になりました。 どういう意図があってああいった表現になったのか。 センスを疑う音楽の使い方でした。 ドラマ内で使用されるメロディはわかりやすいものが多いので、多用しすぎると押し付けがましいものになります。ダサイを通り越してうっとうしいと思われかねないので、もっと工夫してもらいたいものです。 「タルカス」の使い方は良いと思いますが……。 あ、公家パートの音楽もいいと思います。 やはり平家パートですかね。極力そぎ落とすくらいでちょうどいいんじゃないでしょうか。 もうちょっと空白の美というか、無の美というか、ないことによって掻き立てられる感情というものを大事にしてもらえればなと思います。
いよいよ宝塚が「銀英伝」をやるそうです。
以前「銀英伝」の舞台について書いた時、宝塚にも触れましたが、とうとうと言うかやはりと言うか、宝塚に向いてると思ってる方は多かったってことなんでしょうね。待ってましたという方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、いざ宝塚で「銀英伝」!と具体的に想像してみると、なかなかいろいろと問題もありそうです。 恋愛部分を増やさないといけないのは確かだろうけど、宝塚で向いてそうで思いつくのってアンネローゼとキルヒアイスくらいしかないような。 ラインハルトの恋愛はドラマチックとは程遠い代物だし、彼は恋愛とかけ離れたところで全精力を政治と軍事に傾けるのが良いところだったし、国取り途中の彼が女の子に恋するのはあまり想像できないんですよねえ。 でも主役がそれじゃ宝塚的にはイマイチでしょう。他の人で華々しくやるにしても。 ま、ロイエンタールの女関係は大いにやってもらいたいところですけどね! とまあ、恋愛面どうなるんだろ、と思いつつも帝国側の想像は簡単にもくもくと膨らむんだけど、同盟側は難しすぎる。こっちはあからさまに宝塚に向いてないような気がする。 大体軍服が華麗じゃないしなあ……。 フレデリカもひらひらドレスじゃないし。 同盟側、特に大好きなイゼルローンの人達のノリは、なんていうか、体育会系というか部活のノリというか、年代に関わらず「男の子!」って感じがして、そこが面白くて好きなんだけど、宝塚でそういうのってどうなんだろう。出来るんだろうか。 宝塚風の同盟軍でもいいけれど、それで上手くいくのかどうか不安なところがありますね。 ……なんてことを舞台もまだなのにアレコレ考えた宝塚の「銀英伝」でした。 いつかテレビでやってくれないかな。 WOWOWとかでタダで見れたらうれしいんだけどな。
先週、まんまと頼長に踊らされた家盛。
苦しんで、幼き日を懐かしんで、失意のうちに命を落とした家盛。 そんな家盛を惜しむシーンから始まった今週の「平清盛」は、やたら登場人物の多い回で、それぞれに言いたいことはいろいろあるのだけど、とりあえず見終わって最も印象に残っているのがこのお方。 よーりーなーがーーーーー。 サイテー、あんたサイテー。 忠盛をいびって暗い喜びをたたえる目、酷い言葉を吐くことを至上の喜びとしているかのような口は、もう爬虫類だよ爬虫類。 ヘビ? トカゲ? なんでもいいけど、白いヌメヌメ感がたまらんわ、頼長。 山本耕史、よくこの役を引き受けてくれた。 キャスティングした人も、ありがとう! 頼長は悔しいんだろうなあ。 家盛が死んでも生きててもどっちでも構わなかったろうけど、死んだことで平家がしおしおとしてくれれば万々歳だったのに、忠盛も清盛も仕事に邁進して、気がつけばなぜか公卿寸前。 なんでこう上手くいかないんだキイィィィィーー!と思ってるのは明白なんだよね。 彼が他人をいびればいびるほど、オレの言うこと聞けよ、摂関家なんだぞ、左大臣なんだぞ、エライのはオレなんだぞコラ、という本心が透けてきて、彼の器の限界まで見えてくるところが面白いです。 結構小者なんだよね。今後を想像するに、彼はこれからますます他者への嫌味と侮蔑を垂れ流して生きていくのではないかな。 そんな左大臣様(今回出世しました)に死んだ息子を侮辱された忠盛ですが、よくあそこで立ち上がっただけで済みました。打たれ慣れているとはいえ、あれは父親にはキツかったでしょう。 しかし、「ボクと家盛はデキてたんだぜ」発言を聞いて驚いた忠盛はどう解釈すべきか。 現実の院政期を考えるなら、頼長に重用されるということは体の関係アリでしかありえないので、忠盛が驚くにはあたらないし、それを言うなら忠盛だって……って話になる。 でもこのドラマではそういった権力闘争と男色のセットは一般的ではないらしく、平家に楔を打ち込むために家盛をタラしこむというやり方は、それはそれは卑怯で滅多に見られない手段といった風に描かれているのです。 言ってみれば、頼長があの時代の唯一のホモのような描写になっているのですよ。 卑怯な唯一のホモ、といった描写に。 ドラマ的には面白いからいいんだけど、現実の頼長さんにしてみれば、「ちょっ、それっ、違っ」って感じじゃなかろーか。「他の皆もやってたじゃないかー」じゃなかろーか。 もしかしたら今頃「あんな日記書くんじゃなかった」とか思ってませんかねえ。 いや、むしろ21世紀まで自分の日記が散逸せずに残っていることに驚いてるかも。ていうか、やはり日記が残ってることを誇りに思ってそうだ。 ……と考えるなら、うん、まあいいか、日記から想像を膨らませて頼長のキャラを今風に描くのも。唯一のホモでも、嫌味垂れ流しの小者でも。彼の無念に今の人間が思いをはせるなら、有名になった理由がアレでも頑張って生きた甲斐があったというものだし。 ……と思ってあの世から見ててくれないかな。 ま、摂関家自体は何をどうしたってダメダメだけどねー。 宗子を救ったのが丹精尽くした曼荼羅だったというのは良かったと思います。 大きな仏様、美しい仏様、美しい景色、美しい花、普段見られないそういったものを目にした時、人の心は一瞬でも無になったり透明になったりすると思うのですが、その一瞬が悲しみに支配されている人の身には救いだったりします。 曼荼羅の仏様に家盛を見ることができて宗子には良かったです。 宗子は本当に本当に苦しかったと思うのでね。 そして、とうとう毛のない西行登場。 彼が清盛に与えたアドバイスは、平家一門内の清盛のはみ出し具合を理解できているからこそで、それは西行が都システムから出てみないとわからなかったことかもしれません。 都人でありながらシステムに属さない出家人だからこそ、平家の人間でありながら血のつながらない清盛の出来ること出来ないこともわかるのでしょう。 朝廷や都社会を傍観者として見ることができている西行というのも、彼のアドバイスからは感じられました。 西行の存在は今後ドラマでかなり重要になりそうですね。 にしても、鳥羽院だの信西だの明雲だの、ここんとこ肉や魚の匂いがしてきそうな濃い坊主ばかりを見てたので、西行の爽やかぶりはなんとも心地良いです。 西行は髪を剃って普通に軽くなってますもんねえ。剃ってますます野心の釜をかき混ぜてる人達とは全然違います。 今回登場した絵師のお坊さんと歌人の西行。 芸術に身を置く出家者は、この政治劇の中では手を合わせたくなるようなありがたさですね。 政治や社会とかけ離れた場所で二人ぼっちでいる崇徳院と後白河もいい感じでした。 出家したわけじゃないのに世の中に見捨てられたお二人です。 和歌の好きな兄院と、今様狂いの弟宮。 悪いコンビじゃないのに……これから先を思うと世の中って恐ろしい。 兄弟って難しいな。 この時代、ホントに混沌としてるんですよね。 歴史って結果でしかないんだと思うと、混沌の中で生きてる人達には誰にでもガンバレのエールを送りたくなります。 来週も皆さんには頑張ってもらいたいものです。
サンフレッチェ広島のミキッチのコメントが反響を呼んでいます。
安易な海外移籍決断に異を唱える、広島・ミキッチのJリーグ主義。 彼の主張をかいつまんで言えば、 「強いクラブから声がかかって移籍するのはわかるけど、なんで弱小クラブにわざわざ行くわけ? そんなクラブよりJリーグの方がレベル高いし運営もきちんとしているし、なのにヨーロッパならどこでもいいって意味わかんねー」 というものです。 ミキッチの意見はもっともだし、最近の伊野波や槙野といった日本代表クラスのJ出戻りの事情があまりにアレだったもんだから、「そうだそうだ」の声が高くなるのは、まあわかる。 海外移籍礼賛が根強い日本の状況下であまり口に出せなかった分、「外人選手から見てもやっぱりおかしかったんだ」とおおっぴらに議論もできる。 ただ、それでも「どこでもいいからヨーロッパへ」という思いが沸き起こってくる選手を止めることはこれからもできないだろうと思う。 クロアチアリーグだってドイツの2部だって本場ヨーロッパサッカーのはしくれ。 極東に生まれた者の悲しさを抜きにしては語れない事情というものが日本にはあって、「本場の匂いをかいでみたい」という日本人の本能は理屈でどうにかなるものではないのです。 でもシビアなことを言ってしまえば、能力がそこそこの選手はヨーロッパに行ったからってそう簡単には成功できないんだ。 行けば成長できるってもんじゃない。 そこの見極めだけはしっかりやってもらいたいなあ。 伊野波なんて、「なんでクロアチアのハイデュク・スプリト?」って感じだったし、案の定給料未払いの末の帰国。 ヨーロッパって昔からしょっちゅう給料未払い問題が起きていて、わかっていてなんであんなクラブに移籍するのかわけわからんかったけど、結局そんなクラブからしか呼ばれないのが現実なんですよね。そこのところはやっぱりきちんと考えてもらいたいです。 まあそれでも試合に出てた伊野波はマシで、槙野の場合は肝心の監督に受け入れてさえもらえませんでした。 私はゼロ円移籍は日本国内でさえ改善した方がいいと思ってる人間なんですが、槙野は「ゼロ円なら欲しい」とさえ言われなかったばかりか、現地のテストさえ不合格で、フィンケのおかげでケルンに入団できたものの、まともな扱いされないのは当然といえば当然だったんですよね。 あの時も思ったし今も思うけど、なんであそこまで自分を安売りしたかなあ。 でもそれでも彼はその道を選んで、それほどドイツでやりたいのなら死ぬ気で頑張れって送り出して、でもやっぱりダメでしたからね。 本当に、ただ行きゃあいいってもんじゃないんですよ。 ミキッチはクロアチア人として伊野波の移籍したリーグとクラブの現状をよく知っているし、槙野のチームメイトとして彼の移籍の経過もよく知っているし、だからこそ今回の苦言となったわけで、言ってみればこのことを訴えるのに最適の人物だったと思います。 傾聴に値すると思いますよ。 ファンとしては海外で成長してもらいたいと思うと同時に、無駄にキャリアを潰してほしくないとも思っているわけで、海外移籍はよくよく考えて選んで行ってほしいですね。 とかなんとか書いていたら、川崎の相馬監督解任のニュースが。 うーん、仕方ないとはいえこのタイミングかあ。 こりゃ未だ未勝利の5クラブには結構プレッシャーかもしれないな。 元ガンバ監督の西野さんとか元清水監督の健太とか、優良監督が今フリーだから争奪戦になりそうな予感。 にしても、4月の時点で監督解任候補が何人もいるなんてありえんのだけど……。 こんなんでW杯最終予選を落ち着いて迎えられるのだろうか。 結構心配。
「家盛決起」はホモ回にあらず、微妙なすれ違いが生んだ悲しい家族の物語である!
……と宣言しても、インパクトの強さは如何ともしがたく、頼長と家盛シーンに話題をかっさらわれるのは仕方ないんだろうなあ。 まあ確かにすごいんだけどねえ。 ホント、よくこんなの電波に流したなあ、NHK。 去年の大河ドラマも、家康の伊賀越えに江が同行していたのには「チャレンジャーだなあ」と思いましたが、今回のチャレンジはあれとは比較になりません。 ありえないことを創作するのは、失敗してもバカにされるだけで済みますが、タブーと思われていること(男色シーン)や触れない方がいいんじゃないかと思われている事実(院政は男色がフツー)を放映するのは、批判もシャレにならないものになる可能性が大なわけです。 「平清盛」スタッフはそこに堂々と挑んだわけで、いやー、さすがにこういうのは避けるだろうと思っていたものだから、こっちもビックリしました。変に曖昧にせずきちんと描写していたし、うん、これなら今後戦国モノでも出来るんじゃないかなあ。案外ドラマ表現の幅も広がるのではないか。 まあそれはいいとして、山本頼長、恐かったですねー。 陰険貴族の底意地の悪さ全開で、さすがロクでもない手段で他氏排斥を何百年にも渡って延々やってきた一族の血を引くご子息でありました。 ネット上では真意を明かすのが早過ぎると言われてましたが、あれはあれでいいんでしょう。 真実を知って苦しむ家盛をいたぶるのは彼の趣味だろうから。 嫌がりながらも自分の言うことを聞くしかない相手から財産を搾り取るのがいいのだから。 それこそが摂関家の威光を相手に知らしめるということなのだから。 基本摂関家の人間は皇族と摂関家以外はどうでもいいし、武士なんてそれこそ人間として見てないし、自分の仕掛けた罠でもがき苦しむ姿に「ケケケケケ」って袖の向こうで笑えればOKで、言うなればそれだけ彼らは絶対的な力を持ってるってことなんです。 目をつけられたらその時点で終わり。「家盛が一門を売った」と頼長が言えば、その通りにしかならない社会的現実があの時代には確固としてあるのです。 頼長からお声がかかればそれだけで平家一門大喜びの、飼い主と犬とでも言うべき、決して埋められない力の差が。 可哀想になあ、家盛。 頼長からお声がかかってもただ一人尻尾を振らない清盛の器の大きさ(決して妬みだけで喜ばなかったわけではない)を、家盛はかなり正確に知っていたんじゃないかな。 幼い頃から兄上大好きだった家盛は、清盛の美点を最もよく知る人間の一人で、兄のようには振る舞えない自分というものもわかっていただろうし、だからこそ己の出来ることをしようと一門の益となることをすすんでやってたと思う。 でもそれが完全に裏目に出てしまったよね。 しかも兄を愛した家盛の存在こそが平家の要になっていたということを、肝心の父と母がわかっていなかったのが彼にとっては不幸だった。 可哀想に。 父・忠盛には三つの側面があって、舞子を愛した男の部分と、社会の壁を破って国政に参加するという大望と、平家の棟梁・家族の長としての責任と、この三つが彼の理性の下で並立してるんだけど、宗子は妻として夫の過去の女がどうしても気になるし、清盛は父の大望と自分を重ねることしかしないし、家盛は平家一門の中での立ち位置ばかりを考えて、忠盛を中心にこの三者がまとまらなければならないのに、肝心要のそこがバラバラなんですよ。 忠盛はそもそも無茶なことをその身に抱えていて、でも大望に近付くことが平家栄達と重なっていた時期は上手くやってたんです。いずれ清盛が棟梁になれば公卿にもなれそうだし、そうなれば平家繁栄も約束される。そういう夢が見られるうちは忠盛も理性で生きていけた。 でも今や清盛は社会的にも平家内部的にも排除されつつあって、望みが潰えそうになってしまえばさすがに忠盛の心も揺れる。家盛が跡継ぎになりたいと言うなら「それもいいかな」なんてブレてしまう。 簡単に言えば、老いちゃったんだろうな。 姿には見えねど老いが入ってきたというか。 鳥羽院の覚えめでたい清盛だったけど、それがダメになるなら頼長の寵を受ける家盛という手もあるなと、うっかり思っちゃったところが父は昔の父ならず、ってところなんでしょうね。 忠盛がその大望を抱いたきっかけは清盛の存在にあったはずなのに。 宗子は宗子で舞子より愛されない自分の悲しさを「家盛が哀れ」という言葉でごまかしちゃって、これはちょっとね、本当に家盛が哀れすぎだ。 母親は息子を哀れがり、息子は笑わない母を哀れがる。 ババを引いたのは「なんとかせねば」と先に動いた息子の方。 母親としてはたまらないだろうな……。 とまあ、ホントのテーマはここにあるんだけどね、「家盛決起」。 でも頼長とのアレがやっぱり話題になるよね。 まああれは個人的にもいいシーンだったと思います。 頼長の優雅な猛禽類と獲物家盛、という図は、単純に美しかったです。 平家も源氏も摂関家も、微妙に親子間、兄弟間の軋みが生まれつつあって、ドラマとして非常に良いところにきていると思います。 次は平家内部は大嵐っぽいし、崇徳院も出るっぽい。 来週もとっても楽しみです!
アメリカチームが被災地訪問してくれたことに感謝しつつ迎えた女子のキリンチャレンジカップ。
なでしこ対アメリカは正直ちょっと飽きたというか(笑)、試合内容も「お互い手の内は知っている」といったものになりましたが、対戦を重ねたおかげでアメリカに対する恐れは随分と薄まってきている感じがします。 決して甘く見てはいけない相手だけど、アメリカに対して日本はいい状態まで持ってこれたのではないですかね。 ブラジル戦は4-1の圧勝。 ただ、ブラジルの日程を考えれば、今回の彼女達のあれが本当の力とは考えられない。 前半は相手の技術になでしこの方が翻弄されましたが、おそらくブラジルがコンディション万全ならば、あれが後半もずっと続くのではないかと想像します。今回の点差だけ見て「いける」とは、あまり考えない方がいいでしょうね。 でもそれはブラジル側の事情で、なでしこの現状だけを考えれば、正直にホクホクしてもいいじゃないかと思います。 それくらいなでしこは、我らがなでしこジャパンは……層の厚い良いチームに成長し続けています。 なんかねえ、なんだろう、このあまりにも上手くいきすぎてる感覚は。 澤はピンチだし、マイナス材料だってあるはずなのに、様々な懸念を吹き飛ばすかのようななでしこ対ブラジルでした。4点目が入った時は「相変わらずマンガだなー」と、感心するしかなかったです。 新たに出てくる選手がどんどん活躍してくれるのはいいんですが、サブのメンバーはあまり詳しくないのでこっちも名前をしっかり覚えるところから始めないといけません。 うれしいことだけど、でもポジション争いは熾烈そう。 ワールドカップで活躍したからといって全然ロンドンへ行ける保証なんてないですもんね。 みんな大変だ。 でもオリンピックはますます楽しみだー。 ところで、松木さんって今までなでしこの解説したことあったっけ? あまり覚えてないんだけど、今回ブラジル戦の松木解説を聞いて結構感心したんですよ。 「あ、ちゃんと解説やってる」って。 男子の時はあの人完全にサポーターですからね。 「PK!PK!」「これからですよ!諦めちゃだめですよ!」ってテレビ視聴者の代弁者、あるいは励まし隊。 あの味はあれでいいんだけど、今回は大竹さんに遠慮してた感じでした。 うるさくない松木解説ってのもあるんだなーと、感心したブラジル戦でもありましたね。
まだ4節しか消化してない段階で言うのもなんだけど、こんな展開になるなんて誰が予想しただろう。
鹿島が1点も取れないとか、ガンバがもう監督解任したとか、マリノスはナビスコ合わせてもまだ未勝利とか、仙台や磐田が連勝街道驀進中とか、開幕前は誰一人として予想してなかったですよね。 まあ、順位予想は最終順位の予想なんで、今不振のビッグクラブが何のテコ入れもせずシーズン終えるはずないことを考えれば最後は予想通りになるのかもしれないけど、でもさ、今こんなになってる予兆くらい1ヶ月前に見越すことできないのかな、目の肥えたサッカージャーナリストや評論家ならば。 え? まさかキャンプも練習試合も見てないままに予想したとか? んなわけないよね。 監督交代したからチーム力が未知数、主力が出て行ったから戦力ダウン、有力選手が入ってきたから戦力アップ、まさかそんな紙の上だけの情報で順位を予想してないよね? とかなんとか、皮肉を言ってみたりして。 確かにJリーグの予想って難しいんですよね。 今も清武にドイツ移籍の噂がありますが、シーズン途中で主力が抜けることも普通に起こりえるのでホントに予測が立てにくい。 怪我人が出たらまた変わってきますしね。 でもそれらを含めて優勝が名古屋と予想する人が多いのは、まあ納得。 私も毎年名古屋を優勝候補にしてるし。 優勝争いは資金力のあるクラブ、降格争いは資金力のないクラブ、と予想しておけば大きく外すことはないと思いますが、だからこそ現在予想以上に頑張ってる仙台や鳥栖には出来る限りこの調子を維持してもらいたいものです。 で、金があるくせに勝てないチームは「そのまま負けてしまえ」。 今年も上位も下位も混戦のJ1になりそうです。 ビッグクラブの多くが序盤つまづいた分、そうなる確率が更に上がりました。 それってJリーグ全体の実力低下のせいだと思うんだけど、リーグ戦自体は白熱するからそれはそれでよしではあるんですよね。 ACLの成績低迷は辛いところですが。 20年目にしてリーグ自体が転換期にきているのかもしれません。 読売、古河、三菱、日産、過去の栄光をひきずってOBもフロントもややこしそうなクラブはどこも大変です。 ヴェルディはもう完全に別クラブですが、あとの3クラブのフロントは……どうだろうね。 とりあえず今一番大変なマリノスは、この状況にどう収拾つけるのか、お手並み拝見って感じです。
去年NHK-BSでやってたイギリスのドラマ「大聖堂」と大河ドラマ「平清盛」は舞台となっている年代がほぼ同じ。
どちらも権力を持った坊主が出てきて政治が宗教に振り回されるんだけど、「大聖堂」のように両者がガッシリ結びついているのと比較すると、対立している分まだ「平清盛」(というか日本)はマシかなあと思います。 仏教勢力の強かった奈良の都を捨てた桓武天皇がえらかったってことなんでしょうが、でも桓武天皇は怨霊に随分苦しめられましたからねえ。 どうしても心を救う何かは必要だし、となると宗教を完全に捨てるなんてこと人間には出来ない。でもその信心につけ込んで脅すようなやり方は最低で、「はむかったら神罰が下るんだぜいっ」とエラソーに神輿担いでる僧兵達には、「ええかげんにせーよ」って感じでした。 そんな神輿に矢を放った清盛、というのが今回のドラマのキーポイントなのですが、とても面白い回だったんだけど、惜しむらくはそこに至るまでの清盛の心理描写が薄いってことで、どういうつもりで射ったのか、どれほどの覚悟があったのか、イマイチ伝わってこないんですよね。 おそらく「あまり深くは考えていない」というのが正しいのでしょうが(深く考えたら射ることはできないだろう)、それならそれでカンで生きる清盛をもう少し上手に描いてくれないかなあと思います。 結果的にそれが上手く回って出世して行くのならば、彼の描写の仕方にもうちょっと工夫があってもいいんじゃないかな。 まあ矢を射った清盛の中身は正体不明でも、それによって引き起こされる周囲の人間の心理についてはかなり上手く描けていて、今週はそこを楽しむべきですね。 鳥羽院、父・忠盛、平家内部、源氏一党、摂関家親子、院近臣、一気に人間関係がクリアになって、ワクワク度がかなり上がってきました。 特に鳥羽院と忠盛の過去の挫折と現在の感情についてはなかなか上手く出来ているなあと。 なぜ忠盛が清盛にこだわっていたのかも明らかにされたし、鳥羽院の長年の苦悩もなるほどなあって感じでした。 既存勢力と言うには強大すぎるんですよね、白河院の敷いた院政も比叡山も。 社会の基盤、当時の日本を成り立たせている根本と言っても過言ではなくて、それに風穴を開けるというのは並の人間にはできないんだ。でも清盛はなんか違うぞ?というのが今回のお話のテーマで、なんていうかなあ、舞子にその萌芽を見出した忠盛は武家の人間だから良いとして、鳥羽院がそれをありがたがるというのは、あらゆる面から見てヤバすぎるというか、体制維持を考えてもやっちゃいけんことだろーとは思います。 清盛を流罪に追い込めなかった頼長の涙は重いですよ。もしかしたら崩壊の足音が彼には聞こえていたかもしれないな。 鳥羽院は保元の乱の原因というよりも王家の腐敗の象徴というよりも、腐ってる時代そのものなんですね。平安末期のあらゆる矛盾をその身に抱えた人なんだ。 とんでもない難役ですが、三上博史がこれまたとんでもなく上手くて、よくまああんなトンデモ場面にも意味を持たせてくれたものだと大感心です。 で、鳥羽院の存在がどれだけすごいかを説明するためにも、ちょっとそれまでの日本の歴史を冒頭で説明してくれんかなと思います。 平安京遷都から約350年、大化の改新から数えたとしたら500年、それだけの期間続いた政治体制がここに来て生み出したのが鳥羽院ですよ。「朕を射てみよ」って言っちゃう人ですよ。 これって相当すごいことなんだけど、多分あまり世間的にはすごいと思われてないよね? いや、両手広げた鳥羽院にエア弓矢を放つ清盛、という図には違う意味で「すごい(プッ」って思われてそうだけど、確かにそれもすごいがその中身も実はすごいんだけどなあ(涙)。 何を伝えたいのかはものすごくわかるんだけど、その表現の仕方がね、なんだかね。 絶対的に万人向けじゃないところが悲しすぎてもどかしいです。 気概は買うんだけどなあ。
フィギュアスケートの世界選手権、男子シングルは金がチャン、銀が高橋、銅メダルはSP7位から大幅ジャンプアップした羽生ということで、嬉しい17歳の初表彰台乗りとなりました。
羽生のフリーはいいですねえ。つくづく華のある子ですねえ。 気合入れた顔にはこっちも「よしっ」と言いたくなるし、演技後半でヘロヘロになってる時はこっちも酸欠起こしそう(笑)。 観てる人間を引き込む力のある選手だと思います。 高橋は完璧な演技とは言えなかったけど、とりあえずノーミスでまとめられたのはすごかった。羽生もだけど、今一番求められていることをそれぞれきちんとあの場でこなせたというのは素晴らしいと思います 結果、表彰台に二人の日本人。 大快挙ですね。 金メダルのチャンは、もうしょうがないというか、あれはとりあえず別の次元に置いておくしかないような気が。普通じゃちょっと歯が立ちません。 4回転も超クリアで抜群の安定感。2つ決めた時点でフリーの続きに興味が失せるくらい完璧でした。 ホントにすごいよねえ。 でもやっぱり面白いとは言えないよね。 正直足首から上はかなりつまらないというか、彼はアランフェスの曲で一体何を表現したかったのだろう。 あれじゃ別に他の曲でも全然変わらないような……。 アスリートとしては最高だと思うけど、表現者としてはちょっと苦しいかな。演技で魅せることができないなら、せめてジュベールのように衣装で笑いをとるとか、外見的にチャンならではの表現を入れてもらいたいところです。 まあ、でもきっとそこがフィギュアスケートの面白いところなんだろうな。 技術は完璧なのに観客を魅了しない、技術はイマイチでも観客をひきつける。 その矛盾が存在するからこそフィギュアスケートの人気が保たれているような、そんな気もしますね。音楽を使うスポーツという特殊性のなせる技かもしれません。 にしても、4回転を飛ぶことは当たり前、どれだけ質良く飛ぶか、何回飛ぶか、何種類飛ぶか、既に選手はより高いレベルの技術を求められています。 本当に、バンクーバーオリンピックの「4回転を飛ぶべきか否か」の論争はなんだったんだろうって感じです。 今から思えば変な時期でしたねえ。
ガイ・リッチーの「シャーロック・ホームズ」の第2弾。
今回は連続爆破事件の黒幕との戦いです。 完璧な娯楽映画。娯楽用としか言いようのない娯楽映画。 映像は面白いし、笑える場面もハラハラする場面もたくさんある。 しかしどういう層をターゲットにしているのかなあという疑問は観ている途中でもちょっと感じる。 特にホームズだから観にきたとしか思えないような年配のおじさん方にはどうだったんだろう。 往年のシャーロキアン、アクション好きの人、ミステリー好きの人、ホームズとワトソンの友情に燃える人、萌える人……様々なファンに受け入れられそうな映画だけど、それよりももっと基本的な好みで合う合わないを選んでしまう映画という気がします。 まあそれにしても不思議な作品です。 19世紀が舞台なのは確かだけど、前作以上にパラレルワールドに来た気分です。 ロンドン内に留まらず、パリ、ドイツまで出かけていってスケールは更に大きくなったし、ドイツは……ドイツっていつもこんな役回りですよね。なんでいつも悪人の巣窟みたいに描かれるんだろ。で、なんでいつも一度入ったら簡単には出られない国なんだろ。 勝手にそんなイメージがこびりついてるだけかもしれないけど、なんかいつも悪役を割り当てられてますよね。ドイツ人は平気なんだろうか。 パラレルを感じるのは風景や兵器の描写のみならず、スピード感の表現によるところも大きいかな。 ホームズの存在した19世紀って、馬の蹄のパカパカという音の速さが人間の営みのスピードのはずなんですが、この映画はパカパカを遥かに超えた高速感があって、その速さと目に映るレトロな19世紀の風景とのギャップが面白かったです。 でも一番速いのはホームズの脳内なんですよねー(笑)。 凡人に天才の頭の中は想像することもできませんが、あそこまで映像化してくれたら、ちょっとは具体的にイメージできるかな。 モリアーティ教授とそういえば最後はああなるんだったよなーと、あの場面を観るまですっかり忘れていて、それまではどうやって完全勝利を掴むのかばかり考えていたので、既にこのホームズは自分にとってホームズであってホームズでないものになっていたようです。ホントに新しいホームズものって感じ。 でもこんな風に明るいタッチにしてくれるならいいかな。 どうせ改変するなら明るいのがいいですよ。皆で楽しめる娯楽作品になるもん。 といった「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」でした。 第3弾はどうかな。さすがにもうないか。 このホームズとワトソンを観たいという人はいるかもしれませんが。 そうそう、この映画はホームズのワトソン愛がすごくて、そこは微笑ましかったです。 第1弾以上にワトソンのことが好きなようで、それが妙にピュアに見えるところが絶妙でした。
大河ドラマ「平清盛」。
先週の鳥羽院に続き信西も出家。 明雲他僧兵もわらわらと出てきて、坊主率がここ数週間で一気にアップ。 ホントにツルツルした人が増えたなあ……。 にしても何だろうね、髪を剃り落とすと容貌がかえって生臭くなるというのは。 髪の毛というフタがなくなったら頭頂から欲望があふれてダラーッと顔を覆ってしまうのかと言いたくなるくらいギラギラ度がアップするんですよ。 信西はうさんくさそうな雰囲気が上がったし、明雲なんて肉いっぱい食べてそうな雰囲気だし、なんていうか、目力のある坊主ってコワイ。威圧感のある坊主コワイ。桜求めてフラフラしてる美しい坊主が見たい。(西行は一体いつ登場するんだろう。) 今回は「夫婦もそれぞれ」といった回でした。 清盛も義朝も忠盛も家盛も鳥羽院も。 義朝、鳥羽院ご所望の水仙ひっさげて京の都にカムバック。 初登場時に比べて若干老けた?っぽい由良御前に向かって、東夷(あずまえびす)丸出しの求婚をしておりました。 内親王に仕えていると聞いてキランッと顔が変わるのがよかったですね。あからさますぎておいおいって感じだけど、朝廷や平家と僧のズブズブ関係を思えば、むしろ爽やかに思えるほどの野心です。 ドラマ的にはこの義朝の単純さに救われてるところ、結構あるよなあ。 清盛と時子は……まあ明るい夫婦になりそうでいいわね、と。 問題は時子の弟・時忠か。 頭は悪くないけど浅はかそうな感じがなんともね……。 璋子がとうとう亡くなりました。 死の床でどれだけわかっていたのか、水仙を胸に抱いて逝けて、とりあえずはよかったと言うべきなのでしょう。 ドラマ的にもここは大きな区切りで、王家の愛憎パートはこれでほぼ収束かな。これからは皇位継承のゴタゴタや駆け引きといった政治面に大きく舵を切ることになると思います。 耳にタコが出来るくらい「人を愛しく思う気持ち」のセリフが繰り返された鳥羽院と璋子とその周辺、三ヶ月かけて視聴者にさんざん植えつけたのだから今後も無視できないテーマになるのは必至です。 理性や意志ではどうにもならない人間の理不尽な感情、愛すればこその欲、好きか嫌いか、快いか不快か、そういった情念がこれからは王家内に留まらず摂関家も武家でも発揮されて、それらがもろに政治の行く末を決めるようになるのでしょう。で、その中で清盛はどう立ち回るのか。 清盛は相変わらず暴れん坊だし自分中心男だけど、社会を成り立たせているものとか政治の仕組みとか、ゆがんだ平安システムをおぼろげながらですがその経験から徐々に把握してきています。 しかもそれは結構的確っぽいです。 まだ完全に言語化することはできてないし、多分この先もできないだろうけど(既に病巣を特定できる時期は過ぎ、平安システムは末期の断末魔状態。これを渦中の人間が完全に把握するのは無理でしょう)、でも、その中でのし上がっていく清盛は見所十分だと思います。 できれば期待に大いに応えてもらいたいものですが……。 頑張っておくれ製作陣。 まあそれはいいとして、今週登場の出家者の中で最も目立っていた鳥羽院ですが、先週も思ったんだけど、なんかすごいきらびやかですね。すごく鮮やかなお衣装です。 ですが衣装に反して中身は凄まじくて、璋子に頬ずりする顔とか扉にすがる表情とか、なんか、いやあ、俳優ってすごいね(笑)。もう尊敬しちゃう。 表情イッちゃってるし、振る舞いも無様だし、璋子への執着がイヤになるほどわかるのはいいんだけど、なんていうかなあ、8時台のお茶の間に綺麗な自分を届けたいという気持ちはこの人にはないのかなあ。綺麗な男なのになあ。 あ、この人というのは三上博史のことで、鳥羽院はどれほどみっともなかろうが「璋子璋子」と叫び続けたと思います。思うけど、いやあ、三上博史、熱演を通り越して快演だよね。こんな鳥羽院演じちゃったら、次にドラマなり映画なりでやる人は大変だ。 と言いつつ、鳥羽院には最後までこのまま生々しく突っ走ってもらいたい。 三上鳥羽、やっぱり好きだなあ。
イギリスで製作されているシリーズもののドラマ「名探偵ポワロ」の1作。
新作の一つで、先月初めてNHKで放映されました。 デヴィッド・スーシェのポワロはとても好きで、このシリーズはほとんど欠かさず観ているのですが、「オリエント急行の殺人」は有名な映画があることから、自然と映画との比較になりました。 他にも映画化された作品のドラマ化作品はありますが、「地中海殺人事件」や「ナイル殺人事件」はそこまで映画の影を感じずに観ることができたんですよね。 でも「オリエント急行」は事情が違って、映画の方のポワロが強烈なキャラクターだったためもあってか、それとの比較でどういう解決の仕方をするのか、映画のようにとりあえずめでたしで終わるのか、観る前からそこが気になっていました。 映画版はここの感想でも書いたけど、音楽がとても優雅で、もう呆れるくらいなんです。 事件自体も「豪華列車と常ならぬ大雪が見せた幻」っぽい感じで、実際に起こったことじゃないみたいな、優雅な雰囲気なのです。 ま、実際に起こったことじゃないってポワロが結論づけたからそういう印象を持つのは間違ってないんだけどさ。 とまあいろいろあって、このドラマを観るとどうしても映画との比較になってしまうのでした。 では、ここから下はネタバレ有りで。 More
大河ドラマ「平清盛」の「もののけの涙」について、更に少々思うことを。
ドラマ内で清盛が崇徳帝に対して「白河院の子であることなど気にせず生きればいい。自分もそうしてる(要約)」と意見する場面が出てくるのですが、ネット上で確認する限り、どうもこれに納得がいかない視聴者が多いらしい。 自分もそのシーンは「ありえん」と思ったし、今でも「もっとどうにかならんかったのか」と思ってるけど、しかし45分全体を観るとあの場面が意味するところが理解できるのも確か。 かなりわかりにくいし、かなり問題があるけれど、「もののけの涙」は、まさしく「もののけ」をキーワードにしている回だということなんでしょう。 というわけで、続きはこちらから
今週の「平清盛」は「もののけの涙」でした。
「もののけ」と一言で言っても意味はいろいろ。 そのためイメージは漠然としていて、でもそれが何を指しているかはわかる。 かつての璋子は鳥羽院にとってもののけで、かつての白河院は信西(阿部サダヲ)にとってもののけで、自分と違う思考回路を持つ理解しがたい不気味な人だったり、自分の感情のままに振る舞って災いを振りまく人のことだったりしました。 このドラマではもののけの根は白河院にあって、その血を清盛もひいているというのが物語の根底にずっと流れてるのですが、愛に対してあそこまでエキセントリックになる清盛は、うん、確かに王家の血筋かも。 天皇のお仕事は、乱暴な言い方してしまえば結局「愛」で、誰を寵愛し、誰に子を生ませ、誰を立太子させるか、それらが極めて重要で、その仕事はどうしても「愛」に左右されるものだから、院や帝が過剰に愛に支配されても無理からぬことではあるのです。 そして清盛は確実にその血をひいている。 家の繁栄のために結婚した忠盛や家盛には、ここまでの破壊衝動は理解できないかもしれないですね。 忠盛の目が怖かった……。 それまで舞子の子であったはずの清盛が、あの瞬間に白河院の子になってしまったか。 叔父・忠正の危惧は大当たりだったかもしれないという展開ですね。 璋子の方は愛を知ってもののけじゃなくなったんだけどな。 白河院の呪縛から抜け出せてやっと人間になれたのに。 時既に遅しだったけれど。 今回も出てくる子供が皆よかったですね。 近衛帝、超カワイかったー。 なごめたのはお子様が出てきたシーンくらいかな。あとはもういくつもの小さな川が合流地点に向かって速度を増してる感じで、王家も平家も源氏も摂関家も、荒れる急流の川下り開始間近です。 義朝……立派なヤクザになって……(感涙)。 でもそれでいい。家来の邸は自分のもの。家来の娘は自分のもの。源氏は兄弟仲の悪い子だくさんのイメージがあるけど、それもさもありなんという種のばらまきぶりだ(笑)。 純愛一直線、妻一筋の清盛とは大違いで、ワイルド玉木の「愛?和歌?ナンだそれ。食えねーし」的な即物的行動はよかったですね。 崇徳院は……もうお気の毒としか言いようのない境遇で、ほんの少しかいまみせたアグレッシブ崇徳院がかえって哀れを誘うくらいの騙されっぷり。 コケちゃうんだよ、御簾の内とはいえ臣下の前で(涙)。無様にすっ転んで、口惜しさに身を震わせて、「なーーりーーこーーおおおお」(涙)。 しかもこんなのまだ序の口で、これからもっとお辛い目に合われるという……。 ああ、もう、お可哀想にねえ。 どうすりゃいいんだか、本当に。 ナンマイダブナンマイダブ。 というわけで、今週で明子退場。 残された子供達と清盛が可哀想な回でした。 清盛と明子、いい夫婦だったし、好きだったな。 明子といる時の清盛の好き好き幸せオーラがほとばしってる様が好きでした。 来週はいよいよ璋子かあ。 白河院が死して尚存在感を際立たせていたのは、ひとえに彼女の存在があったせいですが、これでまた情勢が変わりますかね。 政治的に変化はなくても、鳥羽院はどうなってしまうのか。 なんかますます権力の権化になりそうで怖いなあ。
川尻秋生著、岩波新書。
最近岩波が出した日本古代史シリーズ6巻のうちの第5巻目。 大河ドラマ「平清盛」のおかげで久々に平安時代モードに突入しているため、順序はバラバラだけどとりあえず「平安京遷都」を読んでみました。 内容は多岐にわたっており、桓武の父・光仁天皇の即位に至る事情から、桓武の治世、当時の政変、皇位継承の変化、藤原氏以外の氏族排斥の過程等政治的な流れを中心に外交、交易、文化、仏教、庶民の暮らし、当時の東北地方の状況など、内容は盛りだくさん。 平安時代自体は400年の長きにわたるため、当然これ1冊におさまるはずがなく、代名詞と言える摂関政治については第6巻でまるまる費やしているほどですが、平安時代の概要は本書でかなりつかめるんじゃないかと思います。 興味を持ったところは、別途それ専門に書かれた本を読めばいいかな。 個人的には「穢れ」の考え方についてもう少し深く知りたいと思ったので、それが発生した頃の宮中事情とか、そういうのをわかりやすく書いてある本があればいいなと思います。 個人的に面白かったところは武士が生まれたくだりですかね。国司の土着の仕方とか、平将門や藤原純友の乱といったところは、大河ドラマ「平清盛」につながるタイムリーな話題だと思うし、興味のある方にはオススメだと思います。 家職の説明、特に武芸の家としての家職には、ドラマを観てる人には「へー、なるほどー」ではないかなあ。 あとがきに書いてあるのですが、平安時代って実は資料が少ないのだそうです。 日記や物語、和歌集などが豊富にあるから一般人にはピンとこないけど、いわゆる公式文書と言えばいいのでしょうか、そういったものがあまり書かれてないそうで。 考古学的にも後世までずっと都として存在していたために掘り返して調査ということも出来なくて、まだまだ不明なところが多いのだそうです。 だからかなあと思うのですが、本屋さんの歴史コーナーでも平安時代関連のスペースって小さいんですよね。飛鳥や奈良時代の方がよほど大きい。鎌倉以降は武士の時代で、これまた事情は変わってくるし、言われてみればホントに平安時代って文学方面はいいとして、歴史方面ではパッとしてないのです、本屋でも。 でも本書を読んだらやはり面白いと思うわけです。平安時代に生まれて今につながっている風習や制度もあるわけで、特にお公家さん達は明治維新まで平安時代の様式そのままに生きてきたわけで、明治的価値観で不遇を見たとはいえ、今はもっと平安時代にスポットを当ててもいいんじゃないかなあとは、私も読んでて感じた次第です。 ところで、平安時代にウジ(氏)の意味が弱まり、イエ(家)の単位が意味を持つようになってきたというけれど、確かに藤原氏はそうなるし、平氏も平家とか平家物語とか言われるけど、なぜに源氏は源氏のままなんだろう。源家とは普通言わないよね。 実はこれ、結構前からの疑問なんだけど、なんでなのかなあ。 一族殺し合いの歴史と関わってるのかなとも思うけれど、謎です。
フ~ッ、ヤレヤレ。
最終予選で日本はバーレーンに2対0で勝利し、ロンドンへの切符を無事手にすることができました。 いやー、よかったよかった。とりあえず一安心です。 途中シリアに負けて「なにやってんだか」な時もありましたが、マレーシア戦で奮起し、かなりな運も味方につけて、余裕を持って最終戦にのぞむことができたのが最大の勝因だったと思います。 大量得点が必要なマレーシア戦でその通りに出来たことが大きかったのは確かですが、今こうして笑っていられるのもひとえにバーレーンがシリアに勝ってくれたおかげ。 バーレーン様様。 せめて彼らには日本で居心地よく過ごして国に帰ってもらいたいものです。 にしても、なぜにシリアはバーレーンに負けちゃったんだろう。 日本との試合ではシリアはやたら強かったのに、バーレーン戦の最後の失点なんてホントお粗末なもので、中東同士は中東同士で、それぞれ外部からは計り知れない相性とか因縁とかあるんですかねえ。 シリアがコケたことで一気に情勢が変わりましたもんね。 ホント、やってみるまでわからないものです。 山口、扇原、清武のセレッソトリオは素晴らしい活躍でした。 この3人が本大会も中心でいいじゃんと思いますが、んー、どうなりますかねえ。 大学生だった選手達がこの春Jのクラブに入団しましたが、どれだけ試合に出られるのか怪しいもので、試合勘やコンディションを考えたら本選に向けての選手選考では厳しいことになるかもしれません。 これから3ヶ月、クラブでの活躍次第ってところ大きいですよね。 とにかくチャンスをものにして、活躍して、まあそれより先に何より怪我をしないことなんだけど、五輪行きの切符を手にした時点である意味やっとスタート地点なんで、ここから気持ちを新たに日々精進してもらいたいと思います。 まあ今はロンドンへ行けることをただ喜べばいいか。 なでしこに遅れをとらなくて本当によかった。 若い選手達のはしゃぐ姿は微笑ましいもんだし、今回もこれが見れてホッとしました。 うん、よかったよかった。 皆よく頑張りました。 なんか最後はばあさんみたいな感想になってしまいました……。
そして、こんにちは西行。
大河ドラマ「平清盛」、とうとう藤木直人の佐藤義清が俗世を捨ててしまいました。 私にとって西行の基本イメージは、出会いが百人一首だからしょうがないんだけど、坊主めくりの坊主、蝉丸と並ぶ坊主の中の坊主なんだよね。 大学時代にかなり修正されたとはいえ子供の頃のすり込みは根強くて、今もキレイなノリキヨと坊主めくりの坊主が結びつかなくて困ってるんですが、このたびめでたく(?)義清は西行に生まれ変わりました。 とはいえまだ麗しの23歳で、もうねえ、一体いつ枯れた坊主になるのやら。 あ、枯れないのか、この人。 ドラマ的には彼の出家の原因は次のようなものかな。 璋子に本当の愛を教えねばとばかりに関係を持ち、下世話な話になるがああいう女性なのでその時は璋子もノリノリで、すっかり義清は「愛を教えてあげられた」と満足してたんだけど、実は璋子が愛に目覚めたのは鳥羽院に対してであって、それに気づいた義清は「はあああ?ふざけんじゃねーよテメー!」と大逆上。 邪魔されなければ璋子を殺しかねなかった自分に、「今のなんだ?なんだオレ。オレが逆上?んなバカな」状態で、「もしかしてこれが嫉妬?これがホントの恋ってやつなのかー!」と、教えてあげたつもりになってた愛を実は知らなかったばかりか、教えてあげたはずの相手によって教えられていたという、二重の情けなさに愕然。 いつのまにか恋敵になっていた鳥羽院はなぜか自分を不問にして、首がつながって助かったやら恋敵の方が器が大きくてますます身の置き所がないやら、自分の所業が皆にバレて、名に傷もついて、折りしも季節は桜舞い散る春で、ああ、この小さな花びら一枚の美しさよ、なんという美しさよ……それに比べてオレは……オレは……醜い! もうイヤだ!出家する! ……って感じでいいのかね、表面的には。 ていうか、この人の衝動は璋子首絞めにしろ娘蹴り飛ばしにしろ、ギョッとするものばかりだなあ……。 内面的には「矢は的の真ん中に当らなきゃね、それがキレイなんだし」とか「歌の言葉はピッタリはまらないとね、それがキレイなんだし」といった「こうでなきゃダメ、だってキレイじゃないし」という幅の狭さが、あの政治闘争からはじき出されてしまった原因か。あの魑魅魍魎の世界で生き残れるタイプじゃないですね。 やっぱり芸術家で、自分のこだわりに負けちゃった感じがする。 まあそのこだわりがなんていうか、まだ23歳だし仕方ないんだけど、薄っぺらいっていや薄っぺらくて、そのペラい男ノリキヨを、藤木直人はその見かけのままにそこそこ上手く演じていたのではないかと思います。 世を捨つる 人はまことに捨つるかは 捨てぬ人をぞ 捨つるとはいふ これを詠む義清は良かったです。上手くなかったけど、キレイに詠おう、カッコつけて詠おうという気取りがなくて、この歌は本心からのものなんだと伝わった。 義清の本気が見れた貴重な場面でした。 藤木、上手い下手はともかく、頑張ってたね。 西行はこれからの人生の方が長いんですよねえ。 20代の俳優ではなく40歳近い藤木を使ってるんだから西行はその晩年まで登場するんだろうし、自分の在り様に延々悶える西行をこれからも見せてもらいたいな。 今回は他の人も見所ありました。 摂関家の面々も動いてるし、源氏も平家もそれぞれ頑張ってるし、後白河は今様ノリノリだし、当代の秀才二人の暗記力比べもあったし、都は荒んでるし、猫はミケもクロも可愛いし、三上鳥羽は顔が男前すぎだし(義清を見る時の顔は良い)、いやあ、先週の濃さとは違ってても今週も濃い。 そして登場してないのになぜか感じる崇徳帝の存在感。 赤ちゃん九の宮を抱いてたっぽいけど、一体あの時帝はどんな顔をしていたのか。 唯一の理解者義清が出家してしまって、一体帝はどうなってしまうのか。 しかも出家の理由、あれだよ? 「母の振る舞いのせいで自分は鳥羽院に疎まれて……」ってあれだけ義清に愚痴ったのに、その母とふしだらな振る舞いをしてしまうなんて、帝にしてみれば裏切り以外何物でもない。 義清も最初は帝のためにとか言ってたくせに、もう、なんだかね、この本末転倒ぶりは。 ナルシスト君の本気の恋ってオソロシー。 ナルシスト、水仙の花言葉。 水仙については前にも書いたけど、鳥羽院と璋子をつないでいたこの花に愛の意味を持たせたのがナルシスト義清だったというのは、なんていうか、巡り合わせだったのかもしれませんねえ。 はあ。なんか溜息が出てきそうです。 みんな苦しいだろうなあ。
黙祷と共に今年のJリーグが始まりました。
J2は1週間前に開幕しましたが、J1は週末に第1節が行われました。 新監督を迎えたクラブがゴロゴロいる中、新監督同士の対戦となったのが広島対浦和。 結果はチームの熟成度に一日の長……というには違いすぎる熟成期間の長さ(6年の長)を持つ広島に軍配が上がり、ペトロヴィッチサッカーに負けたペトロヴィッチ監督、といった形になりました。 家を建てるために土台から作らなければならないペトロヴィッチ監督と、既に出来ている家の間取りはそのままに補強や壁の塗り替え等を行った森保監督、といった感じかな。 どちらもまだチームとしてはこれからですが、出発点の違いがあからさまに内容に表れましたね。 開幕戦らしくロースコアの試合が多かったですが、柏対横浜は見ごたえある打ち合いで楽しめました。 柏にとっては気分の悪いドローだったでしょうが。 去年はあまりにも上手くいった年だったけど、今年の柏は一体どうなりますかね。 優勝候補の名古屋は相変わらずの試合展開で、なんだかんだで最後には勝ってる印象。 仙台も相変わらず勝負強い。 大阪の2チームはどうかなあ。今年はどちらも厳しそう。 ガンバは西野体制があまりに長かったんで、反動も大きいでしょうね。 選手は揃っているので今はアレでもなんとかなるんでしょうが。 昇格組は鳥栖と札幌がスコアレスドローに持ち込んでて驚いた。 というか、なんか磐田って開幕戦でいつも昇格チームとやってるようなイメージが。 FC東京は権田のセーブが面白かったー。 ここも新監督ですが、イケイケドンドンなサッカーやってた東京ならポポヴィッチ監督と相性よさそうなんで、今年は楽しいサッカーを見せてくれそうな予感。 うん、今季は例年に比べて新監督が多くて楽しいですね。 監督交代からまだ2年目というクラブも多いし、若い監督もずいぶん増えたし、いろんな成長が見える1年になったらいいなと思います。 当たり前にサッカーを楽しめる日々に感謝。 去年の今日は日本中が大混乱の只中にありました。 今も苦しんでいる人はたくさんいらっしゃいますが、だからこそせめてありがたいという気持ちは忘れずにいたいと、1年後のJリーグを観ていて思った次第です。 また1年、前に進んでいきましょう。
なでしこジャパンは惜しくも準優勝。
決勝ドイツ戦の後半40分以降は漫画みたいな展開で、負けたとはいえ面白い試合でした。 なでしこジャパンの劇的さは折り紙付きというか、なんだろう、この毎度毎度のドラマチック展開。ただ単に「粘り」で説明できるものでもないと思うんだけど、これが上り坂を登っているチームの勢いというものなのか。 澤がいなくてもアメリカに勝てるとか、選手起用やポジションがテストだというのにドイツと競り合えるとか、なんかなでしこ凄くない? 決勝の4失点はいただけないけど、ドイツに3得点できたと考えればすごいことだし、若い選手が成長してるし、全体的にW杯よりかなり上手くなってるし、うーむ、もしかしてもしかして、オリンピックも結構いける? 実はドイツ戦の間思っていたことは、「W杯の時のなでしこエライ!」だったんですよねえ。 よくぞこのドイツの鼻先でオリンピックへの扉を閉じた!と、今更ながらなでしこの偉業をかみしめたんです。 アメリカにPK戦で勝ったことばかり言われるけど、ドイツの地でよくドイツに勝てたよね。女子サッカーでにドイツが出ないことは表彰台が一段空くということだから、本当にすごいことなんだ。 このドイツがオリンピックに出なくてホント助かりました。 純粋なサッカーファンとしては強豪国が見れなくて残念だけど、まあしょうがない。なでしこは金メダルをマジで狙ってるんで、ドイツ代表にはTV観戦してもらいましょう。 永里がいい活躍を見せてくれてホッとしました。 高瀬が得点してこれまたホッとしました。 高瀬はなんていうか、本田圭佑的に言うなら「持ってない」選手っぽかったので、アメリカ戦の立役者になれたことでこれからいい感じになればいいな。 残念だったのは海堀。 他の選手が軒並み成長している中、かなり停滞。 特に決勝戦の最後の失点は本人的にも思うところが大きいでしょう。 反省は当然として変に落ち込まなきゃいいんだけどね。 そんな心配してしまうほど4失点目はいろいろと最悪でした。 五輪本番じゃないから笑っていられるけど、本番じゃないからといってもあれはひどすぎだし、海堀には奮起を期待したいところです。 課題がたくさん見えた上に、収穫がはるかに大きかったアルガルベカップ。 いい大会ですね。 これくらい強化に有益な大会だったとは、おみそれしました。
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