「ルパン」(2004)
2009年 02月 04日
でもちょっと、というかかなり残念な作品でした。
時代背景とか雰囲気とか、そういうのは原作通りだったのですが、肝心のルパンが……ルパンの顔が……。
まさか孫の顔に合わせたのか?
もちろん顔以外の問題もあります。というかそちらの方が大問題なのですが、この映画、ルパンの人生を追ってしまっているのですよ。少年期から老齢の手前まで、家族の確執やら愛の喪失やらで翻弄されるルパンの人生がテーマになってて、原作とはかなり趣が違うのです。
原作でもルパンは(父親のアレはともかく)確かに映画通りの人生を生きていて、幸せとは程遠いのですが、でも普段はそんなものおくびに出さずに元気に泥棒やったり冒険やったりしています。恋愛もたくさんして、まさにオシャレな怪盗紳士です。
で、そんな爽快な活躍をする彼がふとした時に不幸の影を見せるのが良いのであって、終始深刻なルパンなんて、ちょっとイメージ違うんですよね。
映画からはルパンの活躍も散漫な印象しか受けません。「カリオストロ伯爵夫人」やら「奇岩城」やら、いろんな原作のエッセンスを抽出してごった混ぜにしてますが、「何かを成した感」がどうもいまいちなのですよ。財宝探しに加えて父親現るとか息子誘拐とか、もういろいろいっぺんに起こりすぎ。
ルパンってさ、もっと壮大な謎とか歴史的な秘密を暴くための
“冒険物語”
じゃなかったかなー。
そういう痛快さを期待して見に行った原作ファンにはお気の毒な作品でした。
あの時代のフランスの雰囲気は見ていて楽しかったのですけどね。