「日本故事物語」

池田弥三郎著 橋本治解説 岡田嘉夫絵(河出書房新社)。

昔から日本人が口にしてきた諺、故事、名文句……。
それらの来歴を著者の圧倒的な知識で様々に解説してくれる楽しい本。勉強になるというよりも、とにかく読んでて楽しい。

例えば今も私達が普通に使う「あこぎな人」の「あこぎ」。
落語の「西行」から元ネタの三重県阿漕が浦へ、そして和歌や御伽草子へと、著者の知識と教養に導かれ、言葉の意味の変遷を存分に堪能できる。あっちこっちへと時空を越え、日本人と言葉との関係性の深さがとことん味わえるのです。

もちろんこちらは著者のように和歌にも謡曲にも歌舞伎の台詞にも詳しくなく、ついていくだけで精一杯なのですが、結構わかりやすく説明してくれているし、同じ言葉を使っていた昔の人々に対する親近感みたいなものも湧いてきて、とても楽しい気分になれるのです。



この「日本故事物語」は過去の著作を今年になって復刊させたもので、そのため冒頭に橋本治の解説がついているのですが、この解説がまた面白くて、特に「棚から牡丹餅」(いわゆる「棚ボタ」)の詳細な分析には読んでて顔がニヤけてくるのを止めることができませんでした。

なぜこんな教訓でもない諺がずっと人々に使われ現代まで生き残っているのか。
なぜ「ぼたもち」であって「おはぎ」でないのか。「あんころもち」ではダメなのか。

そういったことが橋本治らしく懇切丁寧に説明されているのですが、この本の趣旨はその辺りに書かれている通りだと思うので、彼の解説ともども楽しめると思います。



上・下巻あって結構な量なのだけど、興味を持った諺から先に読んでも構わないし、見た目の割には取っ付きやすい本ではないかと。
実は私もまだ読みきってないのですが、しばらく手近なところに置いて、気長に少しずつ読んでいきたいなと思ってます。




[PR]
by teri-kan | 2009-08-05 13:48 | | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< カトリーヌ・モンテシュー 「マトリックス・レボリューショ... >>