「SWAN」
2009年 08月 26日
今でこそ日本人バレエダンサーの世界での活躍はそれなりに耳にしますが、このマンガが連載されていた70年代当時は、森下洋子の存在があったとはいえ、もっぱら「日本のバレエは遅れている」というのが一般的でした。
そんな遅れている日本の、さらに北海道の田舎の、世界から見れば底辺と言われても仕方ないようなバレエ学校に通う女子高生が、幸運をつかんで一歩一歩真のバレリーナに近づいていく、というのが本作のストーリー。
生涯の恩師となる世界的舞踊家と出会い、中途半端な技術を死に物狂いで改善し、各国へ留学して性格的欠点も克服し、いくつかの別れや賞賛、大批判も経験し、かけがえのないパートナーとめぐり合って、そしてバレエ人生を彼と共に歩んでいくことを決意する。
本作に描かれているのは、バレエをとことん愛しているという点においては一般人とちょっと違っているものの、極めてフツーの女の子の人間的成長物語で、バレエマンガだけど青春マンガ、愛と根性の物語です。
というわけで、とにかくストーリーが素晴らしいのですが、それ以上に感心するのが絵の美しさで、女の子がバレエに持っているイメージ、華やかさとか美しさとか麗しさとか繊細さとか、そういったものがあふれんばかりに描かれていて、本作は絵を見ただけで「ウットリ~」となれるのですね。
背景がいいんですよ。どんだけバレエを綺麗に見せるかということになったら、多分「SWAN」の右に出るものはないんじゃないかというくらい凝っていて繊細。
踊ってる当人は汗まみれだけど、観客はただ美しさに酔いしれればいい。
そんな気分にさせてくれる世界がこの作品の中にはあります。
じっくり読んで、浸って、全巻読み終わったら、次は絶賛連載中の「Maia まいあ —SWAN
actⅡ」へGO。
「SWAN」のその後が描かれているし、年代は完全に現代なので、また違った楽しみ方が出来ると思います。
今、全巻そろえた「モスクワ編」を体にしみこませ中です。
それで「SWAN」も愛蔵版を❍マゾンで大人買いして(←本当の大人は決してやらない。)給料好きに使える大人ってサイコーと喜びを噛みしめているところです。
もしもこの作品に小さい頃に出会えていたならもっと早くバレエに関心を持てたやろうな・・・と残念至極(/_;)
しかししかし
ガラカメにはまっても女優にならず
「光の伝説」とかを読んでも新体操選手にならず
「マスターキートン」にはまっても考古学者にならず
ただの漫画バカ(真正)になっただけでした。。。。
ところで「SWAN」が山岸凉子様の「アラベスク」と大きく
違うところは主人公が日本人で昭和のバレエ界が舞台であると
いうところでしょうか。
どちらも才能があっても最初は自信を持てない、
溢れる情熱と才能と資質がある少女が主人公で
人間としてまた、バレリーナとしての
成長が描かれていますがアンディオールに苦しむ所とか
真澄は恵まれているとしてもノンナよりもバレエ界の環境が
良くないところとかより身近でリアルに感じます。
真澄もアンディオールをマスターするんですがね
すご~い( ノД`)シクシク…
山岸凉子様は実際に小さい頃バレエをなさっていたそうですが
有吉京子様はお絵かき教室を習ってて一緒になった
バレエ教室のバレエに感動したそうですが
ご自身もレッスンを受けたりなさっているんでしょうか??
teri-kan様はご存知ですか?
今は作者にも興味がわいてきています!(この方を知らなかっただなんて漫画バカの自信が揺らぎます~(-_-;))
つい、先日この傑作の存在を知ってさらに直近で
モスクワ編とドイツ編(←ドイツ編は手にも入れられてない。)の存在を知ったので読みこなしたと思ったら
またコメントしに来ます♪
「まいあ」は只今図書館で予約待ちです。読むの楽しみ♪
>本当の大人は決してやらない。
大人買いは大人しか出来ないのに本当の大人はやらないとはこれいかに!?
でも大人買いっていいですよねえ。
誰が言い出したのか知らないけど上手い言葉です。
愛蔵版の一式ご購入、おめでとうございます。
「アラベスク」は「SWAN」とはまた違った魅力のある作品で、ノンナのすさまじさが印象に残りまくりのバレエ漫画ですね。
山岸涼子はバレエ経験者ですが、有吉さんは全くやってなかったというのは聞いたことがあります。
ただ、大人になっても体験ゼロだったことはないのではないかと、なんとなく思っていました。
実は私は有吉さんに限らず作者のことはあまり詳しくないのです。
「SWAN MAGAZINE」には近況が載ってるのでふんふんと読んでいますが、記憶力がないのですぐに忘れてしまうし、基本データには疎いです。ご期待にそえなくて申し訳ない。
でも興味を持つに足る漫画家さんだと思います。
古いマーガレット読者かバレエ好きな人以外に広まることのなかった方ですが(真正のマンガ馬鹿さん(スミマセン!)でも知らなくて仕方なかったと思います)、読んでみれば絶対にすごいですしね。
「まいあ」とドイツ編はこれからだということで、是非是非楽しんで下さい。
モスクワ編もきっと読むほどにじわじわと味が染み出てくると思います。
ご返答ありがとうございます☆
私もそうなんじゃないかなぁ~って有吉コース初心者ながら
思います。
>基本データには疎いです。ご期待にそえなくて申し訳ない。
いえいえ、とんでもない。こんなに漫画愛を感じる漫画感想を
UPしてくださるなんて素晴らしく嬉しいです。
私は雑誌の方は「りぼん」「なかよし」「花とゆめ」の遍歴で
マーガレットは当時「大人っぽい」と感じて手を出せなかった
ので有吉様にも出会わなかったんですね~(/_;)
今は枕元に「SWAN」を平積みして(漫画で)溢れる本棚を
横目に「置き場所なんて知ったことか~!」と
ほくほく読み込んでいます。愛蔵版はおまけ漫画があるから
嬉しいですよね~( *´艸`)
ルシィとレオンの出会いの話がめっちゃツボでした。
では、また~。
>「りぼん」「なかよし」「花とゆめ」の遍歴
私も「なかよし」と「りぼん」でした。
「花とゆめ」はマニアックな方々が読む雑誌というイメージで、友人からオススメを単行本で借りるパターンでしたね。
あと読んでたのは「ベツコミ」かなあ。
どれもこれも、もう何年も昔のことだけど。
私が「SWAN」を知ったのは歯医者さんの待合室で、そこに週刊マーガレットが置いてあったんですよ。
それこそもう随分昔のことです。
多分ストーリーは全然わかってなかったと思います。
子供だったし、ただひたすらバレエの美しさに心奪われたのではなかったかと。
ほんの一時期通ってたその歯医者に週刊マーガレットがなかったら、おそらく私も「SWAN」を知ることはなかったと思います。
友達で知ってる人ってあまりいなかったし、知ってても真面目に読んで大好きってほどの人もいなかったし、誰かに薦められて読むきっかけになるということだけはなかったと断言できます。
だから人気があるのかないのか、当時はよくわかりませんでした。
単行本で21巻も出たんだから人気がなかったはずはないんですけどね。
なんだか微妙というか絶妙というか、不思議な位置にいるマンガというイメージだったです。
>漫画愛を感じる漫画感想
ありがとうございます。とてもうれしいです。
それが目的というと語弊があるのですが、そういうのが伝わるのが一番だと思ってるので、そう言っていただけるとありがたいです。