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「風の城砦(カスパ)」

河惣益巳の少女マンガ。
この人の作品の中では地味な存在かもしれませんが、内容は華やかで勢いがあって、作者の本領発揮といえる作品です。

舞台は19世紀末のフランス領アルジェリアとパリ。
古くから続くフランスの伯爵家、アルジェリアの部族長の一族、中世のオカルトと近代の科学技術……興味深いネタ満載の作品です。
主人公が例に漏れず強烈で、主人公の家族も皆揃って強烈。バイタリティがあるというか、作品そのものもイキイキしていて、厚めの文庫本2冊の長さですが、一気に読み進められる内容になっています。

本作のテーマは、伯爵家に続く「呪い」と、それに打ち勝とうとする「人の意志」の闘いにあるのですが、何百年にもわたる呪いがテーマな分、とてもオカルト色の強いお話になっています。
個人的にはちょっと強すぎて、特に後半部分の近代とオカルトの比重は、もう少しオカルトを少なめにした方がいいような気もしました。
あまりネタバレになってもいけないので詳しくは書かないけど、人の寿命にはやっぱり限りがないか?

とはいえ話自体は大変面白い。冒頭から一気に読者を引き込む力の強さはさすが河惣益巳。
ラストはちょっと駆け足だけど外伝がちゃんと補ってるし、ページ数に見合った、いや、それ以上に充実の内容だと思います。

費用対効果というか、ページ数対充実という意味では結構いいところいっていて、実は河惣作品では「ツーリング・エキスプレス」とかよりこちらの方が人には薦めやすい。
ただオカルトのバランスがちょっと悪いのと、恋愛モノではないところが評価が分かれるかなあ。
多分その辺がいまいちこの作品が地味な理由なんでしょう。

上手くまとまってるし、とても面白いんですけどね。
Commented by なりなり at 2012-06-10 12:59 x
オイラは大好きだす、この漫画。バランス悪いのとは思わなかったなぁ~
Commented by teri-kan at 2012-06-11 01:40
なりなりさん、こんにちは。

私も好きですよー、この漫画。
ただ、想像していた以上に超常現象のお話だったなあって感じですね。
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by teri-kan | 2009-11-27 10:30 | 漫画(河惣益巳) | Comments(2)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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