「日本辺境論」

著者は内田樹。新潮新書。

初めてこのタイトルを見た時「わ、売れそうな本」と思って、著者名を見て「これ絶対売れるだろ」と思って、で、実際売れてるらしいのですね。
買おうかどうか迷ったけど、自虐にも礼賛にも偏ってなさそうな感じがしたので一応購読したのですが、とりあえずその勘は当たっていました。



辺境人は辺境人でいいじゃないか、欠点も多いけどこうでしか生きられないんだから、という趣旨の内容は、多分多くの日本人の肩から力を落とさせてくれると思うのだけど、一方でちょっと暗い気持ちにもなりました。

辺境に対する真ん中とはもちろん中国のことなのですが、以前中国を特集したTV番組を見ていて、中国人の大国意識をまざまざと見せ付けられたことがあるんですよね。
で、その時思ったのです。中国人が日本人の戦争をいつまでも許さないのは、日本が酷いことをしたせいもあるけど、そもそも小さな辺境国が自分達を攻めたという、そのこと自体が気に入らないのだなと。だからどれだけ謝っても許されることは決してないんだろうなあと。

「日本辺境論」を読んでいて暗澹とした気分になったのは、中国に対して思ったそれが韓国にも当てはまるとわかったことで、かつての日本がアホだったとはいえ、辺境国とはかくも立場の弱い国なのかと、実はかなりガッカリきたのでした。
本作は日本人が辺境人特有の思考から逃れられないことを繰り返し説明するのですが、日本がそうであるなら中国や韓国の「自分達は日本より優位の国である」という意識も未来永劫変わることはないということで、真に対等になれるなんて、この先絶対にないってことなんですよねえ。



まあそれはともかく、そんな日本の過去の戦争についても、なぜ当時の軍部は暴走したのかという説明を本作はしてくれるのですが、その内容を正しく理解できるのはおそらく日本人だけでしょう。

空気。その曖昧にして確固たるもの。

いやあ、読んでてこれまたガックリくるくらい日本人ってホントに日本人だなあとしみじみしてしまうのですが、「お国のために」と戦争に駆り出された方々、空襲に合われた方々に一体どう顔向けすればいいのか、「空気のせいで死んだんだよ」なんてとても言えません。

そんな「辺境人」であるがための負の部分はもちろん、逆に良いところも本作には書かれているのですが、特に日本人の「知りたがり屋」「勉強したがり屋」な面についての説明は興味深かったですね。日本人にとってどれだけ「学ぶ」ことが大事か、ちょっと難解な説明ではありますが丁寧に書かれてあって、「日本語」の特殊性のくだりと合わせてとても面白く読ませてもらいました。



辺境人の作り上げた、辺境人を辺境人足らしめる最大のもの「日本語」を大事にして、これからも辺境人らしく向上心を持って頑張ろう!
……というような結論でいいのかな。

辺境という「世界の果てのどん詰まり国家」のアレコレは、当の本人達にとっても摩訶不思議だったりするのですが、それがわかりやすく解説されてて面白かったです。


内田氏の著作、他にも読んでみようかな。
実は「橋本治と内田樹」しか読んだことないんですが、ちょっとそんな気になった「日本辺境論」でありました。




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by teri-kan | 2009-12-15 10:48 | | Comments(0)
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