「グインサーガ」その2

作者死去の後に発売された何冊かの新刊を、先日まとめて読みました。

まあ、なんといいますか、せめてタイス編をさっさとすませていたら少しは話が進んだだろうにと、やっぱり思ってしまいましたね。
はっきりいってこれからが本番じゃないですか。なんかもうつくづく残念です。

あとがきに別の誰かが続きを書くとか書かないとか書いてありましたけど、事情が許すなら是非書くべきだと思います。熱心なファンの中には「別の人が書いたグインサーガなんてグインサーガじゃない」って人もいるようですが、この作品をこれからの人にも読んでもらいたいと思うなら絶対に続きは必要でしょう。

外伝も合わせたら150巻にもなるという「全然終わってない話」を、新たに読みたいと思う人間がどれだけいるのか、結局はそういう話なんですよ。
少なくとも私なら読みたいとは思わない。きちんと完結してる話、又は完結に向かっている話の方を優先して読むし、実際そういう人がほとんどじゃないかと思います。

個人的には「グインサーガ」がここで終わっても構わないといえば構いません。作者がいないのはもうしょうがないことだし、まあ今まで楽しませてもらったし、読み返して理解を深めるという楽しみ方だって既に読んでいる読者にはある。
でもそれじゃ「同時期に生きた人間のための本」でしかないですよね。

そういうのって作家の心情的にはどうなんでしょう。作家の内面を想像するのは難しいですが、普通は自分が死んだ後も世代を越えて読み継がれていくことを願うものなんじゃないかなあ。
で、私は「グインサーガ」がそうなるためには、やっぱり続きが必要だと思うのです。違う作家だろうと物語が完結すれば、栗本薫自身が書いた部分も生きる。

ま、いろいろ難しそうではあるけれど。
特にグインの記憶喪失については問題がありすぎるし。



にしても、今回読んだヤガが舞台のあれこれはなかなか面白かった。
スカールはいいですね。さしもの作者もスカールの心情はサクサク書くしかないらしい。同じ思考の中をぐるぐる回る人物が多い中、スカールの明快さはとても快適です。

作中で出てきたサイロンの怪異って具体的にどんなだったっけと、外伝1を箱からひっぱり出して今読んでるところなんですが、昔の印刷は文字が小さいですねー。今と全然違う。
ていうか作者が晩年にこれを書いたなら、きっと1冊では終わってないですね。もしかしたら4冊ぐらいになってたかも。
「七人の魔道師」や「ノスフェラス編」の圧倒的な分量とスピード感と力強さは、若さゆえのエネルギーのたまものだったんだなあと、今回改めて思って、ちょっとしんみりしてしまいました。
病床にありながら強靭な人だと感心していましたが、もともと持ってるパワーが大きな人だったんですよね。
いろいろな意味でもったいなかったなあと残念に思います。




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by teri-kan | 2010-05-19 12:05 | | Comments(6)
Commented by ゆうたろう at 2015-04-03 16:14 x
若い時に読んでいましたが、社会人になり本を読むこともなくなりましたが、栗本薫逝去のニュースの衝撃はとても大きかった、、、魔界水滸伝、グインサーガ、とても大好きで寝るのも忘れて読みふけりました。
グインサーガって最初は100巻完結だったのに、とうとう未完のままに。
アルスラーンも創竜伝も出るのが遅すぎで、グインサーガの二の舞にならないかとても心配です。
若さゆえの執筆欲は分かるのですが、あまりに大風呂敷広げてしまうと回収していくのも大変なのはわかるのですが、別のシリーズを出すくらいなら、さっさとこのシリーズを完結してくれ、という心の叫びがあります。
作家さんは飽き性の人が多いのかな?

多田かおるのいたずらなKISSも作者死亡の為、未完のままです。漫画であれほど面白いものはなかなかないのに、、、残念です。
そういえば、風と共に去りぬは作者が結婚を機に書くことをやめてしまった為、続きは全く別の人が権利を落札して書いています。そちらはスカーレットというタイトルです。
書き味も、ストーリー展開もなんとなく違うような感じもしますが、全部読んでこれはこれでありかな?と納得しました。
ただ、純粋なファンには違和感が強く、受け入れられないかもしれません。
難しい問題です。

プロット公開くらいがいいのかも、、、
Commented by teri-kan at 2015-04-04 02:25
ゆうたろう様、こんにちは。
コメントありがとうございます。

書き始めたからにはきちんと完結してほしいと願うのがファンですが、現実はそう簡単にはいかないですね。
シリーズをどんどん作るのは創作意欲があるからこそなんでしょうけど、続きをほったらかして別のものを発売されると昔は確かに萎えてました。

栗本薫は特殊だったと思います。
「グインサーガ」については、他の作品を書きたいから書けないということではなく、ただ単に終わらせる気持ちが全くなかったって感じでしたから。
今でもあの作品は作者だけのものでしかなかったような気がしますし。
とはいえ、今からでもプロットを公開してくれたなら嬉しく思います。
誰がどうなってこうなったくらいはやっぱり知りたいですよ。

「スカーレット」は昔友人が読んで、その感想を聞いた時点で読む気が失せた記憶があります。
「スカーレットがバカすぎて面白くなかった」と言ってました(笑)。
出版された時は随分話題になりましたね。
作者本人のものと違ってしまうとはいえ、続きが出るだけでありがたいと思う人は多くいただろうし、となると、とにかく出せるのなら出した方がいいということになるのかなと思います。
あくまでも書く人がいればの話ですけど。
Commented by 221B at 2016-09-07 17:08 x
ご案内いただいてありがとうございます、2記事、拝読いたしました。

わたしも「栗本著」部分は全巻読んでました、リアルタイムで。
本当に1から10まで「おっしゃる通り」で、作者は終わらせる気ありませんでしたよね、あれ。90巻越えしたとき、わたしも思いました、「これ、このまま持ってくな、あの人」。
「グインサーガはもっとも可愛い子」だからなあ、と思いつつ、「創作者としてここまでのひとだったか?」
無理矢理にでも、いっぺん100巻でちゃんと終わらせればよかったのに。

>でもそれじゃ「同時期に生きた人間のための本」でしかない

ホント、それこそ「私物化しちゃった」んですよね。「グイン」は「時」がテーマでもあったはずなんですけどねえ。「時を越えてとうとうと流れ続けるもの、失われずに残るもの」。ミュージカルでもそういう歌を書いてた――見に行ったなあ、そういえば。

私物化は結構前のころからで、暗黒パロが出張って来たあたりから「…大分作者ノイズが増えてきたな」てちょっと思っていました。もちろん作者が書くものだけど、ストーリーの流れはやっぱり「天啓」であって、作家は「それを追うのが仕事」というか、「その方が断然面白いものがたりになる」んですよね。

私物化しちゃってたから「終わらせる」ことがこわかったのかなあ。
よく「完結したらあとは読者のもの」とかいいますけど、別に最後まで書いても「じぶんの可愛い子」ですよね。「どう読むか?」はいつだって読者のものだけど、「作家の可愛い子」なのは読者の評価と関係なく永遠にそうじゃん、て思うんですけどね。だからどんな完結をしても「作者の中では未完」というのはあっていいし、萩尾望都氏はこないだ「ポーの一族」の続編描きましたよ。それでいいと思うんです、書き手も読み手も「うわあ、久しぶりだ、楽しい!」ておめでたいことじゃん、と。
Commented by 221B at 2016-09-07 17:11 x
「ナリスさまが亡くなった」とこを書いてしまって「作者の中で終わっちゃった」のかなあ。わたしも「身内を亡くした」気もなって喪に服しましたけどね。…思えば「ナリス様が拷問されて片足切断」あたりからなんだか雲行きが怪しくなったんですよね、「え、こういう展開?」て。急に少女漫画てか大映ドラマみたいになって来た。
あの頃からなんか登場人物が「おばかさん」になって来た。ナリスさまは確かにどっかで死ぬキャラですよ、だけどもっとレムスと政治的に揉めるとか周囲の誰かが殺されるとか、双方ぎりぎり心理的に追い詰められて「全面戦争→内乱→相打ち(死)。だがパロは残った。女王はリンダだ、グインを待て!」を期待してましたねえ。あれじゃレムスも浮かばれない。

…思い出して腹が立ってきました。←笑

…だいたい「中原の華」「魔道の都」と呼ばれた大国の王と名宰相がですよ。カル・モルごとき低級魔道士とあんな馬鹿で下品な売僧なんかにあんな痛手を負わされてですね!あれでバランスが崩れたんだ、ナリスさまが元気でばりばり「いけすかない宰相」を張ってレムスをぐいぐい虐めてればそれで充分面白かったし、グインもイシュトもマリウスももっとずっと元気で面白かった筈なんだ。スカールがノスフェラスから命からがら脱出してパロに来てた「パロのワルツ」あたりまでは面白かったんだよー、その後の「クリスタル公ご乱心:堕ちたり、アルド・ナリス!リンダ姫とらぶらぶ恋の成就に浮かれる!(一面トップニュース)」も許す。小さいころからド不幸で孤独で可哀相なひとだったから、リンダくらいはあげよう。それでイシュトと揉めるのも面白そうだし。そこがレムスとの橋にもなるだろし。

…と期待してたのに、ナリスさまとともに「病んじゃった」んですよね、ものがたりの幹のとこが。残念。とほほ。
Commented by 221B at 2016-09-07 17:18 x
作者が耽美好きでJ〇NEで病み好きだからなあ…まあ「これも必然」といえばいえるんだけど。
本当に「パロへの帰還」までは「夢にうつつにおもしろい、最高の冒険小説」だった。「異世界物語の元型」といっていいくらいでした。ああ、もったいない。あの「太い」まま続いて欲しかった。
「グインが出てくると大丈夫!」なのは「わかってるけど、読むとすっきり。」的な「黄門様の印籠」効果なので、「いろいろあったけど、みんな死んだけど、最後はグインとリンダで新しい世界を創っていくことになってヨカタだよ、栗本どん、頑張ったでね」てン10年つきあったファン同士、「完結記念パーティ(於東京ドーム)」で云い合いたかった。

グインの記憶が再び「ぴー」になったとき、「ここからもう1ラウンドやる気かーーっ???」て思ったんですけど、ああいうのは大抵「聖女と巡り会ってすべてを悟る」ので(←笑)、悪いけどタイスのだらだらとか要らないっすよね。フロリーが産んだイシュトの子もどうでもいいの。だって「このままでは中原だけじゃなく世界がヤンダルに奪われてしまう」んだから。…イシュトの野郎、ちょろちょろ余計なことばっかしやがって。アリをやってからもうぜんぜんダメなんだ、奴は。ちいせえ男になっちまってよ…けっ。(←ヴァラキアの幼馴染風に)

ちなみに続編は一冊買ったけど、わたしは読めませんでした…いよいよJU〇Eっぽくて(笑。
「語り継ぐ」といっても…うむむー。「もういいからグインとリンダを逢わせてアウラと邂逅させてくれ」って。対ヤンダルの決め手はアウラしかいないんだから。
もー、スカールさまとかカメロンさんとかまともなひとがみんな表舞台からいなくなっちゃってー。「病 んでるひと率90%」のファンタジーなんかこれからの子供たちは読んでくれないよー。「誰も幸せにならない」物語なんて、読んで愛も勇気も希望もわかないもーん。


…いまさらながらにこんなに「いいたい」のね…くすん。(←笑)
すみません、お邪魔しました。機会をくだすってどうもありがとうございます。ぺこり。
Commented by teri-kan at 2016-09-08 10:16
221B様、こんにちは。
こちらも読んでいただきありがとうございます。

私なんかよりよほど気合いの入ったファンとお見受けしました。
いろいろ言いたいことがそりゃあっただろうと想像します。

>「誰も幸せにならない」物語なんて、読んで愛も勇気も希望もわかない

ほんとその通りですよね!

続きが出ているのを本屋で見た時にはたまげました。
既に数巻発売されてた頃で、ホントに続けてるんだーと感心したものです。
が、読みたいとは全く思えなくて、この記事であれだけ続きを書くべきだと言っておきながら、熱がすっかり消えていたのを実感しました。
所詮本人が書いたものじゃないし、という意識は大きかったですね。

そういえばカル・モルっていましたねえ。
コメント読ませてもらいながら、「そういえばそういう話だった」と思い出しました。
おかしくなっていった時期は書いて下さってる通りかなと思います。
なんかこう、振り返ってみても、結局なんだったのかなあという気にさせられて、今でも釈然としないですね。
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