スアレスのハンドを考える

スアレスを批判する意見の中に、彼の試合後の自画自賛コメントやウルグアイ国民の彼への賞賛が許せないっていうのがあって、ちょっと考えてみました。
なんで私はそういったものも含めて全然スアレスに腹が立たないのかなと。

理由の一つには私が彼の人となりを全く知らなかったからというのがある。オランダリーグ得点王というデータしかなかったから、彼がイマイチ好かれるタイプの選手ではないということを知らなかった。即ち先入観がなかった。
もう一つにはガーナにもウルグアイにも肩入れしていなかったというのがある。というか、むしろ完全アウェイの中で戦うウルグアイの方に興味が向かっていたかもしれない。勢いはガーナにあり、ガーナを応援する人の方が会場でもTVの前でも多かったと思うけど、だからこそウルグアイの戦い、というか精神力に興味があった。

そして起こった120分のあの事件。
スアレスは勝った後だからこそ自画自賛しましたが、レッドもらった時は絶望しきっていたと思いますね。あの時点ではほとんどの人が「気持ちはわかるけどバカだなあ」と思ったはずだし、PK成功と同時に試合終了の笛を想像したことでしょう。

でもサッカーって本当に何が起こるかわからない。
「サッカーは人生」って使い古された言葉だけど、その通りなんだと思います。







前にも書いたけど、こういうことは滅多にないけど時々起こる。そして大抵PKは決まる。だけど今回はなぜか決まらなかった。
ガーナはPKを決め続けて勝ち上がってきたチームと言っても過言ではないくらい今大会PKに縁があり、そしてギャンはそのどれをも決めている。決してPKが苦手な人ではないし、PK戦一番手として出てきたのだから気持ちの弱い選手でもない。
その彼がよりによってバーに当ててしまった。それはなぜか。

人間の頭では説明のつかないそれらを理解するため、時に人はそれをサッカーの神様のせいにするのだけど、今回のはまさしくそうでしょう。惨めな退場者として大会から去ろうとしていたスアレスに、なんと気まぐれな神はにっこり微笑んでしまったのですよ。

トボトボとロッカールームに引き上げようとしていたスアレスにとってこの神の微笑みは大きい。喜びを爆発させたあの姿に腹を立てる人もいるだろうけど、私は素直に「スアレスすげー」と思っちゃいました。
試合後のコメントも大きくなって当然です。なんてったって彼は神に微笑まれたのですよ?
自画自賛も自己正当化も当然しちゃうしウルグアイ国民が彼を称えるのも当たり前です。
だって神に微笑まれたんだもん。そりゃウルグアイ総出で賞賛するに決まってるって。

そんなんアリかよ!とか、結果オーライなら何でもいいのかよ!とか罵声が飛んできそうだけど、でもそういうもんだと思うんですよねえ。今回のスアレスの件は彼のハンドだけを取り上げてああだこうだ言ってもしょうがない。事の顛末と合わせて見ないと駄目なんですよ。
だって普通はあれはバカな行為なんです。どう考えたってバカな行為。「これからああいう時は手を出す選手が増えるんじゃないか」なんて心配する声があるけれど、それは多分杞憂。スアレスの行為はフツーにバカだし、そのバカに微笑む神なんて普通いない。本当に今回のはレアなケースなんです。
だから私はかえって考えるのです。なぜサッカーの神様はガーナではなくウルグアイに微笑んだのかなあと。

ハンドが起こるまでのあの時間帯、ガーナは完全に押していて、ホントに決勝点が入りそうな雰囲気だった。そもそもあのプレーの起点となったフリーキックさえ、神様はガーナを勝たせてあげたいのかなと思うような笛が原因だった。
そんな空気を「負けたくない!」の強烈な一念で弾き飛ばしたスアレス。
さぞかし神様は目を丸くされたことでしょう。目を丸くして、もしかしたらこれは面白いと思ったかもしれない。だからウルグアイにチャンスを与えた。そこまで執念があるならPK戦がんばってみたら?って。

あの一連の流れを神様目線で見るならそんな感じかな。神様はスアレスの執念と根性を気に入っちゃったんですよきっと。もうそう考えないとこの出来事は納得できません。

そして今回はスアレスは微笑んでもらったけど、もちろん次はわからない。サッカーの神は気まぐれで、こんなことそうしょっちゅうは起こさないから。
でも時々神がサッカーの試合に関与しているのは明らかで、それがいつ起こるのかはまさしく神のみぞ知る。
でもそういうのも含めてサッカーで、人の意志だけではどうにもならない部分を大きく含んでいるからこそドラマが起こるし、だからこそ選手は強く意思を持ってプレーしなければいけないのですね。

面白いスポーツだと思いますよ。ルール的には確かに欠陥が多いし、スポーツとしてこれほど割り切れなさが残るものも他にないと思う。
でもだからこそ最も多くの人を引き付けるスポーツなのだというのは言えると思う。
スポーツをするにはお金がかかるし、資金力のあるチームとないチームでは実力に差が出てしまいます。でも神の微笑みにお金の有る無し・実力の高低は関係ない。神の微笑みは突然誰にでも訪れるもので、それは多分最も公平なものなんです。

人間の規則や意志以外のものに左右されることを好まない人は、だからきっとサッカー嫌いだろうなあと思う。サッカーってスポーツだけど、スポーツの範囲内で収まらない部分も大きいし。
でもその懐の深さはやっぱりすごいですよ。スアレスのハンドを見て「自分だったとしても手を出すだろうな」と思う人と「絶対許さない」という人両方がいるということ自体がそうだしね。しかもそれに答えは出ないというのが出来すぎています。



まあそんなサッカーのW杯もあと2試合。
なんでもタコ予想では優勝はスペインで3位はドイツなんだとか。
下馬評通りで案外つまらないんだけど、まあ3位決定戦はプレーを楽しんで、決勝戦は初優勝国が誕生するのを楽しみましょう
今回は贔屓チームがとっくの昔に敗退してるので決勝も気楽に見れていいわー。
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by teri-kan | 2010-07-10 02:30 | 2010ワールドカップ | Comments(2)
Commented by どり at 2013-04-23 02:11 x
スアレスよ。そんな勝利は本当の勝利ではないのだよ。フットボール及びサッカーという競技では。
Commented by teri-kan at 2013-04-23 11:01
どり様。
コメントどうもありがとうございます。

スアレス、この間は相手選手を噛んでましたね。
噛むなんて事例は初めて聞きました。
ホントにわけわからん選手ですね。

危ういところにいる人なんだなあと思います。
非紳士的行為の話題にまみれてる選手ですが、プレーがすごいのは確かだし。
うん、興味をそそられる人ではありますね。
ただの悪童ともどうやら違うし。

ワールドカップのハンドについては私はなんとも思わないんですけど、噛むのはダメだろと思います。
実生活でもダメなことですからね。
ピッチの外でも中でもあれは犯罪になりえるから猛省必須だと思います。
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