「謎解きはディナーのあとで」

毎日重い気分は深くなるばかりですが、日常に戻れる人間から着々と日常に戻っていかなければ日本全体が前へ進みません。
「何もしてあげられない」と落ち込んで普段通りのことさえしないのは最も悪いことだと思うので、そろそろ春物のお買い物をして消費活動に貢献するとか、遊びに出かけて経済活性化に貢献するとか、なんとか気持ちを入れ替えて、心は東北に寄せつつ体は元気に!という感じで頑張りたいと思います。

というわけで今回からここも平常運転。
まずはミステリーのベストセラー本、「謎解きはディナーのあとで」。
作者は東川篤哉で、印象的な装丁は中村祐介。小学館。

実はいつこれをここに書こうかとずるずる引き延ばしていた矢先に震災が起こり、ほとんどお蔵入り状態になりかけてました。軽快なミステリーとか、全然そんな気分じゃなかったし、こういった旬のモノは売れてる時に取り上げなきゃカッコ悪いし、すっかり自分の中で今更感が漂っていたのです。

でも今もまだベストセラーのランキングに名前があるんですよねえ。
売れてるんですねえ。

いろいろ宣伝されてたようだし、かくいう私も新聞広告を見て「読んでみようかな」と思ったクチなんですが、広告に惹かれて買ったという方、きっと多いのではないかと思います。
実際読んでみたら、まあ面白かったけど、そこまで言うほどのものかなあ?という感じの内容ではありました。かなり期待を煽られたからかもしれません。どれだけのものを求めるか、読者の好みや趣向でも評価が分かれるかもしれません。

ていうか、これはまだプロローグでしょう。本番ははっきりいってこれから。
続編がどうやらあるらしいけど(どんな内容の続編なのかは知らないけど)、シリーズ化していくならもうちょっと登場人物の関係性の深化がほしいかな。その上で今の軽くて明るい雰囲気を損なわなければもっと楽しくなりそうな感じがします。

主人公のお嬢刑事はちゃんと頑張ってるので好感持てるし、執事は……執事って人気あるんですねえ。この本が売れてる最大の理由はやっぱり「執事」だよね。
個人的には風祭警部のアホぼんぶりがお気に入り。イラッとくるけど嫌いじゃない。
キャラに合ったいい名前ですよね、風祭さん。なんかクルクルと楽しそう。この警部が「風祭」の名じゃなかったらここまで好意的には見られなかったかもしれないと思うくらいです。
宝生(お嬢様)に影山(執事)に風祭(先輩警部)。
それぞれいいネーミングですね。

ミステリーだからネタバレ御法度だけど、気になった点を一つ。
この作品の第一話の被害者の若い女性は、ワンルームマンションの部屋の奥でブーツを履いたまま殺されてるんです。で、「室内でなぜブーツを履いていたのか」が問題になるのだけど、その理由がですね、「あー、私もそれやったことあるわー」というもので、同じ庶民女子としての親近感をものすごく被害者に対して感じたのでした。
やっぱりいますよね、そういう状況になった時にそういう行動に出る人って。
客観的に見たらすごく変な格好だけど、背に腹は変えられないんですよ。

そういった日常感覚が織り込まれてる感じはいいなと思います。
この本って「殺人って全てに大袈裟な理由があるわけではないんだなあ」って感じで、恥ずかしいとか面倒くさいとか、そんな些細な人間の心理や行動のバッドタイミングの妙を楽しむものなんだと思います。




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by teri-kan | 2011-03-29 12:16 | | Comments(0)
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