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「SWAN」モスクワ編 その15

えーっ!
真澄、ルシィと付き合ってた時からレオンのことが好きだったのかーっ!

……って、別に驚きでもなんでもないんですけどね。

当時自覚がどのくらいあったかが問題であって、そういえば昔はルシィと一緒にいる真澄の感情を心配して、「アンタそれでホントにいいのか?」と思いながら読んでいたような記憶が。
まあ当時は私も小学生だったので、本当に真澄をアンタ呼ばわりしていたわけではありませんが。


でもそうか、やっぱり好きだったか……。
いつからとなると、一目会ったその日から、ってことになるんだろうねえ、やっぱり。
マンガ表現的には完全にそうだったもんねえ。

レオン、確か高校の体育館で体操やってたよね。
今となってはほんの一瞬だけ在学した謎の留学生だよな……。

というわけで、「SWAN MAGAZINE 26号」の感想です。







真澄が過去を思い出したと同時に私も思い出しました。痛む脚を引きずりながら歩いていくルシィの後ろを真澄がコッソリついてった時、「バカ真澄。ついて行くな真澄。引き返せ真澄」と心の中で叫んだことを。

真澄はものの見事にルシィに流されてしまったけど、同情がそうさせたわけではなかったでしょう。同情がなかったとは言わないけど、ルシィにあそこまで愛情ぶつけられてほだされないままでいるのは難しい。
でももしルシィが病気でなかったら一体二人はどうなっていたかなあとは考える。真澄はルシィに流されなかったかもしれないし、そもそもルシィは真澄を好きにならなかったかもしれない。ルシィが真澄に惹かれたのは真澄の持つエネルギーの大きさのせいも多分にあったはずで、それは病に冒されている人にはとてつもなく眩しく見えるものみたいだから、出会ってしまった時点でルシィと真澄はどうしようもなかったのでしょう。

だから真澄の後悔はとても可哀想だと思う。今号でレオンに謝ってるけど、レオンにもルシィにも謝って、こんなド後悔のドロ沼にはまり込んでて恋愛なんてそりゃできるはずがない。
いや、真澄のことはもういいんだ。真澄は真澄なりに頑張った。知らないニューヨークの地で、知らない人だらけの中で、脇道にそれながらも前に進もうと「ルシィの手を離す」という苦渋の決断だってした。真澄は出来る限りのことは頑張ってやったんだ。
やってないのはレオン、あんただよ。

いやもうね、冬号を読みながら、「いや、真澄。あんたがレオンに謝ることはない。むしろレオン謝れ」と思えて思えてしょうがなかったですね。
そもそもニューヨークで真澄をほったらかしたのレオンでしょ。バレエのパートナーと恋愛は分けた方がいいとかなんとか考えちゃって、真澄に助けが必要な時だって助けてあげなかったでしょ。
だからもうとっくに好きなのに真澄はレオンへの気持ちを浮上させないようにして、ルシィの病気知ってからは完全に鍵をかけて、全くもう、ロビンスの言葉通りだよ。バレエのパートナーとしてしか真澄を求めてなかったのかい?だよ。
そうじゃないんだから心もあの時求めちゃえばよかったんだ。「奏であうダンサーの体を持つあんたが好き」だったっけ?のセリフは確かにカッコよくてカンドーしたが、なんで恋愛感情もあの時ぶつけてしまわなかったんだ。

真澄だけにルシィを捨てさせて卑怯じゃないか。(すみません。八つ当たり入ってます)
レオンが真澄を奪ってしまえばルシィを死なせた罪悪感だって二人で分かちあえたのに。(注:八つ当たりです)
真澄はルシィに悪いからっていうかもしれないけど、そんなのレオンならなんとでも理屈つけてどうにだって出来るだろう。少なくとも真澄が一人で後悔も罪悪感も全て飲み込まなきゃいけなくなるような、そんなことにはならなかったよ、レオンのバカ。(本当にすみません)

ルシィの死後東京で再会した時、「わー久しぶりー何しに来たのー?」と真澄に言われてレオンは軽くショックを受けたらしいが、はっきり言って自分のせいだよね。真澄をそんな風にさせたのは自分だってこと、少しはわかってんのかね。
ニューヨークに行く時も、ニューヨークで真澄が苦しんでた時も、ルシィに真澄を持ってかれた時も、パートナーとしての気持ちを真澄に伝えにいった時も、ずっとずっと自分の恋心を真澄に伝えようとしなかったレオン自身のせいなのに。

あーもう。なんであんなにいい男なのにあんなにヘタレなんだ。
少しは自分から動け。自分から奪ってみろ。
ロビンスも言ったじゃないか、「自分をむきだしにして求めろ」って。
なのになんで真澄の方から「あの時から好きだった」って言わせるんだ。
ていうかこの男、ここに至ってまだ「好きだ」も「愛してる」も言ってないよね。
言葉が全てとは言わんが、しかしそれを言うだけで真澄の心はどれだけ救われることかー。

はっ。
まさかまだ「真澄は自立のために自分から行動しなければいけない」とか思ってないよね。
恋愛にもそれを適用してる可能性が……もしかして大なのかーっ?



怒ってばかりいるけれど、気持ちが通じ合ったことに関しては喜んでます。

はあ。ここまで長かった。



(続く)
Commented by かりん at 2020-08-20 15:30 x
teri-kanさん初めまして、古い投稿にコメントさせて頂きます、失礼します。私はスワンとの出会いは90年代頃で単行本が母国語に翻訳されました。綺麗な絵と感動的なストーリで子供ながらも印象的な作品でして、今年大人としてこの漫画を再発見したんです。愛蔵版、モスクワ編、ドイツ編を大人買いして、一気に読みました。それって物語が解決した後に発見するから出来る贅沢さと思いますが、今自分の中にスワンの考えや意見、感想などで胸がいっぱい何ですが、感想を話せる相手が居なくてちょっとツラいです😂

全部読み終わった後このブログ記事を拝見して嬉しいです、ホッとしました。私と同意見の方が居るんだって。特にレオンへの意見で、teri-kanさんが言って下さった「真澄は真澄なりに頑張った。(…) やってないのはレオン、あんただよ。」はもう御尤もです!特にドイツ編は客観的に読みますとその自分をさらけ出さなきゃいけなって言うのがレオンの表現者としての試練かもしれませんが、その…真澄の試練と違ってレオンの試練は何か周りにも負担が大だと思います😂

その自分の弱さは見せたく無い、防御力から出た行動はモスクワ編にもリリアナパパから将来について質問されたら真澄とのパートナーシップを指摘したような発言もしましたし、(彼は頭良いので言葉の選び方とか、自分の発言がどう捉えるかが分かるはず何ですけど…ドイツ編だと結婚についての発言もちょっとって思いました)クリスの件も浮気する気満々だったんでエドが良いタイミングで帰宅しただけで😅
(多分自分の中では感情が無いから大丈夫、浮気じゃないとかそう言う理由は有るかもしれませんが、でも本当は自分のやり方は良くないってもう分かっててだから真澄にばれたく無かったんじゃないですかね…)

彼の弱点について沢山書きましたが、本当はレオンが好きですし、真澄と幸せになって嬉しいんですけど…でもとにかくモヤモヤします!
こんな長文で失礼しました!いっぱいスワンのお話読みたいのでブログを楽しく拝見させて頂きます!
Commented by teri-kan at 2020-08-21 10:33
かりん様、はじめまして。
コメントどうもありがとうございます。

日本以外でも「SWAN」を楽しんでる方がいるのは嬉しいです。
感想を言い合える人は私も身近にはほとんどいなくて、ブログを見に来て下さる方々のおかげで「SWANファンって結構いるんだ」とわかったくらいでした。
ダラダラした感想なのに、読んで下さった方々には感謝してます。

>特にレオンへの意見

改めて自分が書いたものを読んだのですが、言いたい放題すぎるというか、我ながら遠慮がなさすぎですね(苦笑)。
でも同意して下さってありがとうございます。
やっぱりレオン、ひどいですよね?

>彼は頭良いので言葉の選び方とか、自分の発言がどう捉えるかが分かるはず何ですけど…

良すぎるのが仇になってるんですかねえ。
相手にどう思われるかを気にしてないように見えて、誤解されたら腹立てる人なのがちょっとめんどくさいですよね。
クリスの件も全然ダメでしたよねー。

> 彼の弱点について沢山書きましたが、本当はレオンが好きですし、真澄と幸せになって嬉しいんですけど…でもとにかくモヤモヤします!

まるっと同意です。
私も文句たらたら書いてますけど、レオンのこと好きです。
でも好きだから色々思ってしまうんですよね。

たくさんコメント書いて下さってありがとうございました!
Commented by かりん at 2020-08-23 14:40 x
ご返信ありがとうございます!
スワンは池田理代子先生とか美内すずえ先生の作品と比べるとあんまりメジャーではなくてちょっと悔しいです。私の母国語版が完全に翻訳された唯一のバージョンだそうで、英語版は出版社が途中で閉鎖しましたため、15巻までしか居なくて。多分全巻に英訳されたらもうちょっとメジャーになってもおかしくなかったと思います。

>誤解されたら腹立てる人なのがちょっとめんどくさいですよね。
ここですよね、自分は冷静で感情に揺さぶられない的な自信家な人、本当はって感じですね。
特にモスクワ編の最初のアルマの部分が私は本当に理解し難いです。ニューヨークでバレエのパートナーは無関心な関係から舞台上だけで信頼し合って関係になるのは不可能、「生身の人間だから」「そんな器用じゃないよ!」ってルシィから学んだ事ってどこいった??って思ってしまいました。

愛蔵版の9と10巻のヴァリエーションが初めてシュツットガルトに行った真澄とレオンのニューイェアを描かれたんですけど、覚えてます?新年のキスをしてその後レオンのアパートでいいムードになってまたキスもしたんですが(真澄も抵抗は無さそうで)その時にアルマがアパートに来てピアス忘れたってベッドの上にあったとかそのシチュエーション見たら真澄は自分はレオンの本命とか思うわけないじゃないですか、その時点ではまだレオン自信がシャットアウトされるっていう意識は無かったはず何ですけどね、だからキスとかアプローチもしました。でもアルマとは元サヤに戻った。真澄はそこで身を引くようになるのって気づかなかったんですかね。その関係を2年も続くってもうメンタル強いのレベルじゃないですよね(;^ω^) 二人とも可笑しいと思います(;^ω^)
また長文になってしまってすみません、teri-kanさんももうお気づきだろうし私日本語は流暢ではないので間違ってる部分多分いっぱいいますので事前にお詫び申し上げますOTZ
Commented by teri-kan at 2020-08-24 09:41
かりん様、こんにちは。

>英語版は出版社が途中で閉鎖しましたため、15巻までしか居なくて

なんと! それは知りませんでした。
それじゃメジャーになるのは難しいですねえ。

>特にモスクワ編の最初のアルマの部分が私は本当に理解し難いです

本編を読んですぐにモスクワ編を読んだ人ほど違和感は大きかったのではないかと思います。
ブランクは大きすぎました。

>初めてシュツットガルトに行った真澄とレオンのニューイェア

そういえばありましたね。
確かに仰る通りだと思います。
二人とも可笑しい……本当にそう。


長文は全然構いませんし、日本語もきちんと伝わっていますので大丈夫です。
コメントありがとうございます。
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by teri-kan | 2012-01-18 14:43 | 漫画(SWAN) | Comments(4)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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