「平安京遷都」 シリーズ日本古代史5

川尻秋生著、岩波新書。

最近岩波が出した日本古代史シリーズ6巻のうちの第5巻目。
大河ドラマ「平清盛」のおかげで久々に平安時代モードに突入しているため、順序はバラバラだけどとりあえず「平安京遷都」を読んでみました。

内容は多岐にわたっており、桓武の父・光仁天皇の即位に至る事情から、桓武の治世、当時の政変、皇位継承の変化、藤原氏以外の氏族排斥の過程等政治的な流れを中心に外交、交易、文化、仏教、庶民の暮らし、当時の東北地方の状況など、内容は盛りだくさん。
平安時代自体は400年の長きにわたるため、当然これ1冊におさまるはずがなく、代名詞と言える摂関政治については第6巻でまるまる費やしているほどですが、平安時代の概要は本書でかなりつかめるんじゃないかと思います。
興味を持ったところは、別途それ専門に書かれた本を読めばいいかな。
個人的には「穢れ」の考え方についてもう少し深く知りたいと思ったので、それが発生した頃の宮中事情とか、そういうのをわかりやすく書いてある本があればいいなと思います。

個人的に面白かったところは武士が生まれたくだりですかね。国司の土着の仕方とか、平将門や藤原純友の乱といったところは、大河ドラマ「平清盛」につながるタイムリーな話題だと思うし、興味のある方にはオススメだと思います。
家職の説明、特に武芸の家としての家職には、ドラマを観てる人には「へー、なるほどー」ではないかなあ。



あとがきに書いてあるのですが、平安時代って実は資料が少ないのだそうです。
日記や物語、和歌集などが豊富にあるから一般人にはピンとこないけど、いわゆる公式文書と言えばいいのでしょうか、そういったものがあまり書かれてないそうで。
考古学的にも後世までずっと都として存在していたために掘り返して調査ということも出来なくて、まだまだ不明なところが多いのだそうです。
だからかなあと思うのですが、本屋さんの歴史コーナーでも平安時代関連のスペースって小さいんですよね。飛鳥や奈良時代の方がよほど大きい。鎌倉以降は武士の時代で、これまた事情は変わってくるし、言われてみればホントに平安時代って文学方面はいいとして、歴史方面ではパッとしてないのです、本屋でも。

でも本書を読んだらやはり面白いと思うわけです。平安時代に生まれて今につながっている風習や制度もあるわけで、特にお公家さん達は明治維新まで平安時代の様式そのままに生きてきたわけで、明治的価値観で不遇を見たとはいえ、今はもっと平安時代にスポットを当ててもいいんじゃないかなあとは、私も読んでて感じた次第です。



ところで、平安時代にウジ(氏)の意味が弱まり、イエ(家)の単位が意味を持つようになってきたというけれど、確かに藤原氏はそうなるし、平氏も平家とか平家物語とか言われるけど、なぜに源氏は源氏のままなんだろう。源家とは普通言わないよね。
実はこれ、結構前からの疑問なんだけど、なんでなのかなあ。
一族殺し合いの歴史と関わってるのかなとも思うけれど、謎です。




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by teri-kan | 2012-03-16 11:11 | | Comments(0)
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