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赤い羽根運動はじまる

後白河院の御前で舞うならともかく、京の場末を真っ赤な羽付き衣装でウロウロしてたら目立つ事この上ないと思うんですが。

……といった感想を抱かずにはいられない今週の大河ドラマ「平清盛」でした。
まあ、その違和感が平家が力を持ちすぎている世の危うさを表わしているんだろうけどね。



そういえば日本の鳥でカラフルなのはいないんだよなあと、赤い羽根にワクワクする後白河院を見て思ったのでした。
そういうものを初めて目にした時の驚きと楽しさは現代人にも通じるものだし、だから「院が宋人と直に会うなんて前代未聞」とブルブル震える人達より院の気持ちの方が理解できる。
だけど、古い慣例に縛られてる人達を安易に笑えないというのもあって、物品でも習慣でも、古いものは古いものでいいものもあるのだということ、明治維新や敗戦で過去を簡単に捨ててきた日本人としては苦々しく思うこともあったりします。

伝統を守りつつ革新を続けるって難しいですねえ。



殿下乗合事件については、ドラマでは報復の黒幕は清盛ということになっていました。
あそこまで苛烈な報復(髻を切ったり)になったのは多分時忠のせいで、今回は妙に時忠の存在感が大きかったですね。
で、なにげに良い事というか恐い事を今回も口にしてるんだよね。
「正しすぎることがもはや間違い」とか。
いやー、時忠って政治家に向いてるんだなー。

といいつつ、重盛の信念もわからないではないです。
ていうか、今回の重盛見ていて思ったんだけど、急激に成り上がった棟梁の後を継ぐ人間としては、彼はまさに最適な人物なんじゃないかな。
重盛のこの政治スタンスで何年もやっていたなら、おそらく平家は貴族社会の一員として京で末永く存続することが出来たんじゃないかと思います。
そりゃ時には摂政の嫌味を聞いたり政治的な嫌がらせをされたり、いろいろ我慢をしなきゃならないこともあるでしょうが、社会で生き続けていくというのはそういうことだし、ましてや政治の中枢にあるなら筋を通すことは大事だしバランスを読む力は必須。

重盛がこの路線で摂関家とぶつかり合いながらもお付き合いしていけば、何代後かにはお互い相手があって当然の関係になったと思うし、京の貴族社会にしっかりとした根を張ることができたんじゃないかなあ。
平家ってさ、武士なのに貴族になろうとしたからダメだったんじゃなく、貴族社会の一員になれなかったからダメだったんだよ。で、貴族社会の一員として認められるには、重盛のやり方が多分最も正しかったんだよ。
相当イライラするし、とてつもない我慢が必要だけどね。
でもそうしなきゃ様々な怨念の染み付いた朝廷で、魑魅魍魎うごめく京の都で、一族が生き残ることは難しかったでしょうね。

……といった感じの今週の大河ドラマ「平清盛」でした。
いよいよ平家一門がおかしくなってきましたね。
他者への気遣い、どんどんなくなってるなあ…………重盛以外。
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by teri-kan | 2012-09-28 12:39 | 大河ドラマ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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