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鹿ケ谷事件とブラック清盛

どこから来たのかわからん男。

これを言われると清盛はツライなあ。
「オレは誰なんだーっ!」で少年時代さんざん苦しみましたからねえ。
ここをえぐられると清盛のネジはピョーンと外れてもしょうがないし、多分西光はこの辺の事情を信西からそれなりに聞いていたな。そうとしか思えない傷のえぐり方だ。

西光の言ってることはいちいち尤もなんですよね。
清盛のやってることは日本中を振り回していて、何を隠そう一番振り回されているのは平家一門で、おそらく真の意味で清盛についていけてるのは少年時代の彼を知る盛国(鱸丸)だけで、まさしく「どこから来たのかわからん男が人とは違うところで人と違うものを見ている」状態。

人と違うところで人と違うものを見てるというところだけ言えば、まさしくかつての白河院。というか、他に並び立つもののない権力者そのものです。
で、西光の言う「復讐」にしても、自分を捨てた実の父以上の権力者になることが復讐と言えばそうだし、武士が頂に立つことが社会への復讐と言えばそうでもある。
しかしそれを他人が言っちゃあね。
西光、それはちょっと清盛を馬鹿にしすぎてないか?って感じです。

あそこまで西光を足蹴にしたのは西光がこれ以上ないほど清盛を馬鹿にしたからで、「あー、西光は心の底でずっと清盛を蔑んでいたんだなー」と思わずにはいられなかったです。
西光は保元の乱から武士をいい使い走りとしか捉えてなくて、武士をいいように扱っていたのは彼の師・信西がまさしくそうだったんだけど、時が流れて時代は変わっても結局西光はあの時から全然変わってなかったってことなんでしょうね。
んー、やっぱりちょっと頑なな人だったかな。



西光が清盛に文句を言い続けている時って西光の顔はほとんどTVに映らなくて、それがかえって清盛にとって図星っぽくてよかったと思います。
西光の顔が見えていたら、多分彼の私怨が表に出すぎて焦点がぼやけたでしょうね。

あの場面と頼朝が武士の誇りを取り戻す場面が重なるのもわかりやすかったです。
武家が政権を担うことを全く歓迎されてない事実を明らかにされ、武士であることを今なお馬鹿にされ、しかし自らのアイデンティティを武士であることに求めざるをえないジレンマを抱える清盛と、シンプルに武士として生きることを取り戻した頼朝。
公家と折り合いながら政治を行っていくことの限界が露呈されつつある今、大雨の後の伊豆が眩しかったです。

もしかして頼朝は初めて笑った?
「おおー笑顔だー」と、妙に驚いた今週の大河ドラマ「平清盛」でした。
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by teri-kan | 2012-11-02 14:56 | 大河ドラマ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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