「卑弥呼の墓 神々のイデオロギーが古代史を解き明かす」

戸矢学著。AA出版。

卑弥呼の墓。それが存在する場所は、すなわち邪馬台国があった場所。
最近は畿内説が有力なのか、そちらの声が大きいように思うのですが、本書を読むと「やっぱり九州説かなあ」という気がしてきます。

宇佐神宮なんですよねえ。
邪馬台国と大和朝廷を結びつけるかどうかにもよりますが、繋がっていると考えるなら道鏡がらみで有名なこの大分の神社を無視することはできないので、畿内説をとるにしても宇佐神宮をどう捉えるかは大きな鍵の一つになると思うんですよね。
で、本書はその宇佐神宮について非常に綿密な分析をしてくれているんだけど、うん、おかげで初めて宇佐神宮について具体的なイメージを持つことができたかもしれません。

というのも、宇佐神宮って立派な割になんかよくわからん神社って感じだったんですよね。
八幡さんの総本宮なんだけど、そもそも八幡様がどういう神様なのかいまいちわからなかったし(武に優れてるのは知ってるけど)、仏教との結びつきが強かったのはそうとしても、皇位継承に口を出せる神様を祀ってるのに簡単に仏教とくっつくんだあって感じだったし(伊勢神宮はそんなことないよね?)、祭神が応神天皇と神功皇后って古い神社の割には神様新しくね?って感じだし、かと思えばもう一人の御祭神・比売大神(ヒメオオカミ)は漠然としすぎた名前で一体何の神様なのか、どんなことをしてくれる(くれた)神様なのか、さっぱりわからん。
断片的な知識しかないせいもあって、ホントにイメージしにくい神社だったのですよ。

で、本書を読んでその「イメージのしにくさ」の理由に納得。
いやあ、これは素人にはわけわからなくても仕方ないわ。ていうか、卑弥呼の墓かどうかはともかく、宇佐神宮についていろいろ学べただけでも大収穫ですよ。

なんかね、この本読んでると、卑弥呼の邪馬台国が機内にあったか九州にあったか、そんなのどっちでもよくなってきますね。
いや、どっちにあったかは重要だけど、それよりもどういう宗教哲学で古代社会を治めていたか、そっちの方が断然重要な気がしてきた。
だって今まで考えたことなかったですもん。卑弥呼が何の神を祀って、何の神に祈りを捧げていたのかなんて。
もう漠然と「太陽に祈りを捧げてたのかなあ」くらいなものでしたからね。
しかもそのイメージってかなり原始的で、きちんとした古墳を作る文明を持ってた人達に対して失礼なくらいに原始的だったりする。

本書を読んでそこんとこ改めました。想像していたよりはるかに古代はちゃんとしてます。
でも、その古代社会の基盤となった祭祀も、社会の変化と共に変化を余儀なくされ、残念ながら現代人には解けない謎だけ神社に残ってるということになっている。
宇佐神宮のわかりにくさはその最たるものなんでしょうね。

ということで、伊勢神宮も大事だけど宇佐神宮はもしかしたらもっと大事かも、といった結論になるのでした。
道鏡が天皇になってもいいかどうか、これだと確かに宇佐の神様に聞くのが筋です。
御神体が鏡の神社より御遺体の神社の方が神霊が強いのは理解できるし、いろいろと腑に落ちることの多い本でしたね。




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by teri-kan | 2013-04-04 15:27 | | Comments(2)
Commented by かのん at 2013-04-04 23:53 x
こんばんは。

そうですか、戸矢さんは宇佐神宮ですか!
邪馬台国については色々読みましたが、やっぱり九州説が一番しっくりくるように感じますよね・・・
木村鷹太郎のエジプト説や、はたまた半島にあった説など、本当のところはまだ納得出来てないですがー^^;
この問題を語りだすと収拾がつかなくなり、いつも激論になってましたわ^^;

漫画だと、星野之宣さんの「ヤマトの火」「ヤマタイカ」の世界観に惹かれ、火の国・阿蘇もありなんじゃないかと思えます~^^

宇佐神宮は神懸かりして宣託するシャーマンの総本家みたいなモノでしょうか、あと秦氏、新羅など思い浮かびますが・・・
卑弥呼もシャーマンなら、宇佐神宮説も考えられなくもないですよね!?
Commented by teri-kan at 2013-04-08 14:59
かのんさん、こんにちは。

>この問題を語りだすと収拾がつかなくなり

結局それなんですよね。キリがないんですよ。
私はこれといった意見も持ってないので、本を読むたび「やっぱり畿内か」「やっぱり九州か」ってフラフラフラフラ。
特定の説に浸かりたくないので、たくさん読めないのならいっそ読むまいって感じになってしまい、実は邪馬台国や卑弥呼については知らないことが多いです。
読むなら何か大発見があった時でいいかなーとか思ってたし(笑)。

この本だって最初は全然読むつもりなかったんですよね。
戸矢氏の古代観そのものが面白かったので読みましたが、神職の方ならではの切り口が個人的には好印象でした。

八幡と秦氏は関係があるんじゃないかって説もありますね。
「はた」つながりでなるほどとは思うんだけど、なら「はちまん」はどこからきた言葉なのかなあとは思います。

宇佐神宮はホントにわからないことが多いなあと思います。
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