「縄文人に学ぶ」

上田篤著。新潮新書。

内容紹介文が全てを語ってくれてますが、一応以下のようなものです。

縄文を知らずして日本人を名乗るなかれ。私たちが旬の味覚を楽しむのも、南向きの部屋を好むのも、鍋料理が恋しくなるのも、主婦が家計を預かるのも、玄関で靴を脱ぐのも、家々に神棚や仏壇を祀るのも、みなルーツは縄文にあった! 驚くほど「豊か」で平和なこの時代には、持続可能な社会のモデルがある。建築学者でありながら、縄文研究を三十年来のライフワークとしてきた著者が熱く語る「縄文からみた日本論」

「日本論」「日本人論」「日本文化論」ってところでしょうか。
ところどころ「決め付けてるなー」って記述もありますが、なかなか面白いです。「なるほどー」と感心する部分も多い。

日本人は日本論が好きだと言われますが、その理由の一つに「他国と比べて自分達は変わってると自覚してるから」というのがあると思います。
その「他と違うところ」がどこからきているのか、私達はそれを知りたいんだーっ!ということだと思うんですが、うん、その答えは結構この本でカバーできるのではないでしょうか。
なんといっても他国と違う原因を縄文時代一万年に求めてますから、これ以上の元はないわけで、しかも一万年間たいして変化も進化もせずに続いた生活様式、文化ですからね。DNAにゴリゴリに刻み付けられているって言われたら、「そりゃそうだろう」ってなものです。

弥生人が日本文化の元だと言われたら、確かに疑問が出るところはあったんですよね。
弥生人は中国文化をひっさげて大陸から大挙してやってきた人達ですが、彼らが日本文化の元ならば、もっと日本人と中国人は似た部分を持ってていいという話になるのです。
でも根本から違いますからねえ。
その違いすぎる理由を弥生時代以降の歴史じゃなく縄文時代一万年に求めるのは、まあ普通にアリな感じはしますね。

そんな縄文時代の生活を、人々の宗教観を、とてもわかりやすく書いているのがこの本で、いやー、母系制だと思ってはいたけど、その生活ぶりを具体的に書かれると、いちいち面白くてワクワクします。
ホント面白いですよ、男も女も。縄文時代のこういった男の生活ぶりが基本にあるのだと考えれば、確かに出雲神話の男神の行動も理解できる。というかわかりやすい。
単身赴任の原型かもしれませんね。古代から家を守るのは「主婦」と呼ばれる女達、男連中は「亭主元気で留守がいい」。
外国人からしたらなかなか理解されにくい習慣ですが、縄文以来のスタイルなのだから筋金入りなんだと思います。

今度は宗教にポイントを当てた本を読みたいですね。縄文時代の宗教。
「火」を大切にしていたという生活のもっと具体的な解説と、それが弥生人の宗教とどう合わさっていったのかとか。
「火」は「ヒ」であり「日」であり、縄文の主婦(女家長でも女族長でもいいかも)は屋内で火を守り、屋外で日を崇める。
感覚としては今でも使われる「お天道様」に通じるのかな?
「お天道様が見てる」とか「お天道様のおかげ」とか、この感覚は縄文時代から受け継がれてるものかもしれないですね。
だから天の岩戸神話が大陸産とはいえ日本人(縄文人)に親しまれただろうことは想像できるし、人々に浸透している物語を権力者が自身の祖先に結びつけてわかりやすく権威にするというのも十分ありかなと思う。
そういうところもっと詳しく解説してくれてる本が読みたいかな。

とにかく、日本の起源は古い。
日本文化の起源も古い。
本書はいろいろなことを教えてくれるけど、知ればもっともっと知りたくなるし、研究者にはどんどん頑張ってもらいたいものです。




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by teri-kan | 2013-08-29 11:23 | | Comments(0)
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