「謎の古代豪族 葛城氏」

平林章仁著。祥伝社新書。

葛城氏とは4~5世紀に栄えた大和の大豪族。
后を多く輩出し、天皇家と並ぶほどの勢力を誇った氏族と考えられていますが、5世紀末に滅亡。
政争に敗れた古代氏族の宿命で、残された資料が少なく、未だ解明されていないことが多いため、なんとなく研究としては日陰の存在といった印象があります。関連本も少ないし。
古代日本を考える上で重要な豪族であるはずなのですが。

そんな葛城氏の全容を、現在わかる範囲での文字資料、考古学資料をフル動員して解明していったのが本書で、葛城氏の支配地、所縁のある土地、各地方の豪族との連携を通して、どのように彼らが古代日本で重きを置かれる地位を築いていったか、それがどのように瓦解して滅亡への道を辿ることになったのか、細かく考察してあります。

面白い内容でしたが、少々文章が読みにくく、もう少し平易でシンプルに書いてくれていたらなあと、正直思ってしまいました。
ただでさえ古代の長々しい漢字の名前や馴染みのない固有名詞がたくさん出てくるのだから、文章はもう少し簡潔にしてもらいたかったと、こういうのを読み慣れてない一般読者としては思ってしまいましたね。
一方で、「こういう本を読むのも久しぶりだなあ」と、古代史関連の本を読み始めた頃を思い出しました。
当時は古事記や日本書紀の記述をとことん解析する手法の書籍を読んでいました。
というか、大学の図書館の本とかですからね、突拍子もない解釈の本ではなく、とても真面目なものばかりでした。

本書はそんな昔を彷彿とさせる非常にきちんとした本。
なんていうか、「こんな解釈もあるんだーおもしろーい」と感心するのではなく、とても「お勉強をしたような」気分になれる本。

まだまだ研究には課題があるようですが、本書の結論は面白いです。
天皇家の葛城氏追い落とし工作は成功したが、国内権力は完全掌握したとしても外交活動はかえって脆弱になり、結果として皇位継承の混乱を招いた。

うん、まだ中央集権化できてない時代の、まだどのようにも揺らぐ古代って感じがします。
ここら辺が詳しくわかってくれば、もっと面白いんでしょうねえ。




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by teri-kan | 2013-09-05 11:06 | | Comments(0)
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