「NATURAL」
2014年 07月 30日
主人公はペルー出身の少年で、日本人家族の養子となった彼が義姉や友人達とのふれあいを通して人間的に成長していく物語です。
舞台は完全に日本。
それまで外国モノがほとんどだった作者が今作品から一転して原点回帰のように日本文化を取り上げてます。
が、テーマはこれまでの作品同様、異邦人のアイデンティティ。
まあ「異邦人=外国人」とハッキリ言い切ると語弊があって、もっとパーソナルな、身近な人々との関係性から生まれる「ここが自分の居場所でいいのかね?」といった感覚を描いているといった感じです。
成田作品は自分の居場所探しとか誰の隣にいるべきかとか、そういった作品が多くて、「エイリアン通り」はそのものズバリのタイトルだったし、「CIPHER」にいたっては「双子が入れ替わったって誰も気付きやしないだろー」なんていう、挑発的な問題提起をしていたわけですが、今作の「NATURAL」はそれらと比べたらとてもソフィスティケイトされた作品。
多分舞台が日本だってことも大きいんだろうけど、非常に繊細ですね。
日本文化が底に流れているのも大きいかも。
弓道や神社といった超日本的なものがたくさん出てくるし、それらの描き方が細かければ細かいほど、こっちの受け取り方も自分の生活と合わせて細かくなるんですよね。
成田美名子、アメリカ文化だって手を抜かなかったけど、日本文化も容赦なく細々と描きますね。
主人公一行が青森に行った頃までは、個人的には「エイリアン通り」以来の大ヒットで、もしかしたらこれが作者の代表作になるんじゃないかと思ってました。
が、後半はちょっと想像してたのと違う方向へ進んじゃったな。
ミゲール(主人公)、絶対ペルーに行くと思ったんだけどなあ。
アラビアをマンガに描いちゃった作者ならペルーも描くだろうと完全に思い込んでいたので、ペルーでやるべきアレコレを日本でやったことについては、まあその方が無理がないとはいえ残念でした。
途中までは繊細でありながらスケールの大きな話になるんだろうなあと、ものすごいワクワクしてたんだけどな。
こんな風に書くとなんだかとても残念な作品っぽいけど、こっちが高望みしすぎただけで、作品的には全然そんなことないです。
やっぱりこの人描写が丁寧なんですよね。絵もそうだし、心理描写も細かい。
読み応えはありますよ。
合う合わないはあるだろうけど読む価値はあるのではないかと。
いろんなタイプの男の子がたくさん出てくるので、それを目当てに読んでもいいんじゃないかなーと思います。
全部が受け売りだから。サイファなんて読んで居て恥ずかしくなる。NYにおのぼりで行った人がマンが書いたらああなりましたって感じ。NYのティーンがあんなおこちゃまわけないじゃない。
コメントどうもありがとうございます。
成田美名子は合う合わないが他の人よりもはっきり出る漫画家ではないかと思います。
作品によっても違ってて、私も「サイファ」は好きではないです。
理由は上手く言えないのですが、仰るようなこともその一つなのかもしれませんね。
久々に読んでみたら・・・成田先生の作品、なんい良いんでしょ。エイリアンストリート、明るくていいな。
サイファで3度泣いてしまいました。いまナチュラルを読んでいる途中です。
コメントどうもありがとうございます。
「サイファ」、泣けましたか。
久々に読んでみたら、また違った見方ができますかねえ。
「エイリアンストリート」は私も大好きでした。
あんなキラキラした作品、ちょっとお目にかかれないと思います。