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「ホビット 決戦のゆくえ」(2014)

「ホビット」三部作の3作目にして中つ国を舞台にした映画全6作の締めくくりとなる作品。
監督はピーター・ジャクソン。
スタッフ他出演者もお馴染みの方々。

では、つらつらと感想を。




まずは竜。
のっけからスマウグ大暴れです。
造形がいいですねえ。表情とか体の動きとか最高です。
技術の進歩に大感謝。
スマウグはシリーズの中でも超お気に入りのキャラになりました。

が、そんなスマウグも冒頭でさっさと退場。
唯一のちっちゃい弱点をゴツい矢で射抜かれ、悶えながら燃え盛る町に墜落、イロイロなものを下敷きにして死んでしまいました。
町、見事なまでに壊滅です。
燃え上がる炎を見つめるビルボとドワーフの心境が胸に痛いです。

竜を退治した弓の達人は前回ドワーフを助けたバルド。出自確かなイケメンです。
妻を亡くして一人で三人の子育てに奮闘するパパさんですが、大変お若い風貌で、「学生結婚だったのかなあ」と今風の感想を持ってしまうほど、そこそこ大きなお子さんもいらっしゃいます。
実はこのバルド、大人の男として文句なしなんですよね。
勇気はある、責任感はある、リーダーシップはある、家族愛はある、大局的に物を見ることができるくせに生活力もある。
もう完璧じゃないか。

そんなバルドがスマウグを退治した途端、大軍引き連れて出張ってくるスランドゥイル王。
ものすごい鹿に乗っていらっしゃいました。
鹿というか、トナカイ?
角がものすっごい邪魔くさそうだけど、しかしその角が敵を根こそぎさらうのだから戦闘には十分役立ってる。
あれは由緒正しき鹿さんなんでしょうねえ。
名前はなんて言うのだろうか。

スランドゥイルは結構セコい森のエルフの王様ですが、セコイどころか金銀財宝に心を囚われ、全く王らしくなくなってしまったのがトーリン。
竜の宝はそれだけで既に禍々しいものなのだそうです。
トーリン、残念ながらかなりヤバイ人になってしまいました。
彼のおじいさん・スロール王の苦悩に気づくことが出来たためトーリンは復活できた、という演出になっていましたが、ここはちょっと問題で、スロールの堕落に指輪が関連していたということを前面に出していたら、もっとスロールとトーリンの違いがわかりやすくなったのではと思います。
なぜトーリンは立ち直れたのか、理解しやすくなったのではないかな。
あれでは立ち直りが唐突に感じられるかもしれないなと、そこだけちょっとひっかかりました。

でもその後のトーリンはとても良かったのでよし。
結末はわかっていてもトーリンの最後のあれはショックだったし、オークってエラ呼吸なのか?とか、泳げるのか?とか、いろいろな思いが浮かんでは消えていったトーリン最後の戦いは、大いに名誉を守れたということで、彼にとっては悪くはなかったのかなと思います。

このシリーズは「ロード・オブ・ザ・リング」の1作目からそうなんだけど、オークの造形にものすごい情熱を傾けてて、彼らがやたらイキイキしているのが印象的なんですね。
それは今作にも表れていて、アゾグもボルグも「どっちがどっちだったっけ?」とは思うものの、どちらもいい感じの風貌でした。
でも超悪者で、親しみは全然感じません。
今回出てくるオークはどれもそうだけど、全くヌケたところがなく、あまり笑えませんでした。
状況が状況なのでしょうがないのですが、ドワーフも全然笑うところがなかったですからねえ。
全体的に見てもクスッとできたのは、トロルが頭突きで城壁壊してそのままひっくり返ったのと、トロルが階段からひっくり返ってオークを背中でつぶしたのと、……それくらい?
なんかトロルしか笑えなかったような気が。
あ、別の意味でアルフリドには笑ったけど。ていうか呆れたけど。
あいつ、あの後どうなったんですかね?
そこんとこ結構気になります。

一応「ホビット」の原作は読んでるんだけど、旅の道中はそこそこ覚えてるのに五軍の合戦はホントうろ覚えで、正直「こんな戦いだったっけ?」と思うところが観ていて結構ありました。
レゴラスやタウリエルが出てる時点で既に原作とは違うんだけど、どこまで忠実なのかなと、ちょっと悩みましたね。
あ、ガンダルフとかガラドリエルとか、あの辺は映画ならではのサービスだったろうと思っています。
戦うエルロンド卿、変節前、又は変節途中の戦うサルマン、この辺りが観れたのはうれしかったな。

レゴラスとスランドゥイルの会話で、何気なくアラゴルンの話が出たのもいいですね。
次のストーリーにつながる良い会話です。
「旅の仲間」でアラゴルンへの侮辱を許さなかったレゴラス、「王の帰還」でも最後までアラゴルンへの忠誠というか信頼を崩さなかったレゴラス、彼のその辺の原点が今作では垣間見えて、「旅の仲間」に加わったレゴラスには加わるだけの彼自身の理由があったのだと、それがわかったのはとてもよかったと思います。



にしても、映画の五軍の戦いは想像していたよりハードで壮絶で、エルフとドワーフはともかく、人間にとっては災厄としか言いようがありませんでした。
ビルボ、よくお家に帰れましたねえ。

ホビット庄の景色はなごむ。
ホント、「帰ってきた~」って気分になる。
映画的に残念だったのは成長したドングリの木を見せてくれなかったことかな。
年とったビルボで年月を表すのもいいけど、できればドングリが見たかったかも。

旅って帰るところがあってこその旅なんですよね。
ホビットにとっては何より家に帰ることが大切で、フロド達4人もちゃんと帰れたから、とりあえず良かった良かったってことになる。
その後ビルボとフロドは永の旅路に出てしまうけど、家庭を持ったサムはやっぱり家に帰ります。
全てがその帰宅シーンで締められるというのが、このシリーズの良いところなんですよね。

旅ということでいえば、エルフが西へ去るのも、大きな意味での彼らの旅の終わりを意味しています。
ガンダルフもまさしくそう。
彼も最後は帰るべき場所に帰りましたからね。

帰る場所のある人は幸せです。
行くべき場所のある人も幸せだけど。
旅ができる人は幸福な人なのかもしれないなと、このシリーズを振り返ってみると思います。
みんないろいろ大変だったけど、あるべき場所に帰れた人は幸せでした。



といった感じの、シリーズ最後の「ホビット 決戦のゆくえ」。
監督、スタッフ、キャスト、映画作りの長の旅路を終えた皆さん、本当にお疲れ様でした。
存分に楽しませてもらってありがたかったです。
「シルマリル」を映画で観たいとは、言いたいけど言いません。
とにかくお疲れ様でした。
本当に楽しかったです。
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by teri-kan | 2014-12-17 13:46 | その他の映画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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