「真夜中から七時まで」

モーリス・ルブラン作、偕成社。
ルパンは登場しませんが、別巻という形でアルセーヌ・ルパン全集に連なっている作品です。
ルパンを思い起こさせるような冒険好きの色男と、若くて美しい娘さんが主人公。
誰でも気軽に読める冒険恋愛小説です。

うん、これは推理小説ではありませんね。
事件はあるし泥棒もあるけど、ヒーローは犯罪者でなければ探偵でもない。
全然悪いことしてないわけじゃないけど、いたってフツー。
仕事仲間が悪人なだけで、彼は健全です。

ただ少し、いや、かなりヒドい女たらし。
そこの部分ではヤなヤツです。
自分本位なんですよねー、最後には真実の愛に目覚めるけど。
そこら辺がちょっとルパンとは違うかな。
ルパンの方が悪人だけど、ルパンはもっと誠意があって、愛嬌は倍ほどもある。
でも所詮は悪人だからね。
本作のヒーローは真っ当な人なので、未来の幸福も描けます。

とにかく読んでて思ったのは、ヒロインがやたらと律儀なこと。
いやもう立派なもんです。
ここまで筋を通すお嬢さんも珍しいのではないかと。
ヒーローはそこに絆されたりするので、やっぱり人間何事にも誠実にあたらないといけないなあと思いますねえ。

印象的だったのは亡命ロシア人の描写。
第一次世界大戦後のパリというか、ロシア革命後のパリが主な舞台で、ストーリーにロシアが深く関わることもあって、亡命した人々の登場がとても多いです。
ルパンもロシア貴族に変装したりしてますが、パリにロシア人が貴人庶民関わらずたくさんいたということ、とてもよくわかります。

結構面白い作品だと思いますね。
いろいろと不思議なところもある話だけど、当時のパリとかフランス人を楽しめることは間違いないです。
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by teri-kan | 2015-07-08 15:02 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)
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