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朝ドラの職人と夢と理念

NHKの朝の連ドラ「まれ」、なんとか最終回を迎えることができました。
いろいろと微妙なドラマで、視聴率って正直でしたね。

結局、ケーキ職人であることの必然性の問題かなあ。
「まれ」が始まる前から、能登とケーキの組み合わせってどうなんだ?と思ってて、「瞳」のように月島と里親とダンスを無理矢理突っ込んでわけわからん話になったらどうするのだろうと心配してたけど、やっぱりちょっと「うーん?」って感じだったと思います。

能登と職人の組み合わせは抜群で、でも塩や漆はそれだけ取り上げてもドラマとして難しい。
だからそこに今風のケーキ職人が合わされば、女性も興味持ちやすいし職人自体の素晴らしさも伝わりやすくなる……なんて狙いがあったのかなと想像するけど、肝心のケーキ職人の描き方が観念的すぎて残念でした。
塩作りの元治さんの肉体のリアリティや、塗師屋の在り方を見せれば自然と伝わる漆職人の仕事ぶりと比べると、ケーキ職人は実態が薄すぎました。
ドラマでケーキ職人をやるのは難しいのかなあ。
ていうか、ケーキ職人じゃなくてパティシエって言うんだけどね。

そういえば「どんど晴れ」もパティシエが出てきたなあ。
主人公の実家はケーキ屋で、んでもってやっぱり場所は横浜なんだよね。
でも主人公はパティシエ修行してたけど結婚して旅館の女将になるという、パティシエ自体はなんだか微妙な扱いで、ストーリーに組み込むのに都合がよかっただけという気がしないでもない。
朝ドラのパティシエって結構不遇ですね。

とまあ、好き勝手書きましたが、実はもともとこんなこと思っててもここに書くつもりはなくて、なのになんで書こうと思ったのかというと、最終回がとんでもなかったからなんですね。
希(まれ)がこれまでドラマに出てきた「いいセリフ」をいちいち挙げ始めて、最後の最後で見る気が一気に失せていったからです。
なんだか「純と愛」の長々とした決意表明を思い出しましたよ。
あれは自分に言い聞かせていた決意表明で、「まれ」の「いいセリフ」は希の周囲の人達への感謝の表れだったけど、ドラマとしては完全に視聴者への訴えでしかなくて、なんでまたこんな押しつけがましいことをやるんだろうとウンザリしたのです。

しかし、実はこれだけでもまだここに書く気はなくて(笑)、でもなんでやっぱり書こうとなったのかというと、「総括。惨状の日本から生まれたドラマ「まれ」最終回」を読んだから。
いろいろ「まれ」のいいとこ書いてあるんだけど、でも視聴者が朝ドラに望んでるのはそんなことじゃないと思うんですよねえ。
どんなに良い理念でドラマを作っても、面白くなきゃ意味がないでしょ。
毎朝楽しめて、続きを早く見たいと思えて、そうなってこそ初めて生きる良い理念であって、最後の最後に「このドラマはこれだけ名台詞を言ってました。さあ聞け」とばかりに「そういや言ってたな」程度のセリフを繰り返されても苦痛でしかない。
「惨状の日本から生まれたドラマ」と言われても、ストーリーが生きててセリフも生きてなきゃこっちには何も残らないですよ。
それならまだ「あまちゃん」の「ウニはゼニ」の方が心に残ってるよ。
あの一言で働くことの尊さと自然の恵みへの感謝が伝わってきたから。
なんと言っても短かったし。

なんかね、もう、あれこれ言うより先に面白いドラマ見せてくれよ、なんですよねえ。
毎朝見るんだから面白くなきゃダメなんだってばー。

とまあ、そんな感じの「まれ」でした。
ところどころ見るの飛んでるし、ここまで語るほど思い入れもなかったんだけど、「ふーん」で終わってたものが最終回で「はあ?」となったので、ちょっと書いてみました。
話の全体的な流れは結構好ましく見てたんだけどな。
いつ世界一になるのかと娘に突っ込まれてたところとか良かったし、深刻な問題を深刻っぽくしないところも良かったんだけど、最終回の「いいセリフ」の羅列と合唱で倒れた(笑)。

押しつけがましいのは好きじゃないです。
朝ドラの現代モノは作り手側の理念や思想の入れ方の塩梅を加減した方がいいのかもしれないと思います。
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by teri-kan | 2015-09-28 12:56 | 朝ドラ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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