「山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰」

吉野裕子著、講談社学術文庫。

山の神としての神格には二つあるのだそうです。
まずは蛇。
三輪山の神が蛇だったという伝説は有名ですね。
そして猪。
映画「もののけ姫」にもたくさん出てきますが、猪も山の神の象徴です。

ヤマトタケルの物語では、古事記と日本書紀で山の神が違ってて、古事記では蛇、日本書紀では白猪となっています。
この二つにはどういう違いがあるのか、何を根拠としてそれらが山の神とされているのか、それをこの本は詳しく解説してくれるのですが、正直言って猪の方は難しかったなー。
陰陽五行説が基盤になってるとのことで、その論理を一般人が理解するのは並大抵のことでは無理です。
学問上の理をベースとして、理屈で猪を山の神の象徴としてるわけなんですが、これは読んでても「覚えられんーっ!」て感じでした。
私の頭ではついていけなかったです。

一方、蛇の解説はわかりやすい。
ホントーにわかりやすい。
それでもっていちいち「なるほどー」「そうだったのかー」と感心させられる。

例えばヤマタノオロチ。
確かに記紀の描写では背中に木が生えていて、それってどういう蛇よって感じだったんだけど、この本の通り、そのままその通りの山をイメージすれば描写は全く正しく、むしろそれしかないということになります。
山の稜線のうねうね……確かに蛇っちゃあ蛇だよね。

その辺の「古代人のイメージの源泉は全て蛇」というのは、やたらめったら面白かったですね。
人間が蛇の脱皮に大いなる力を感じ、そのイメージの再現に腐心したであろうことも想像できます。
蛇を意味するヤマカガシと田んぼを守るカカシ(案山子)はカカで通じているとか(カカは蛇の呼び方)、どちらも足がないとか、楽しかったですよ。
ヤマタノオロチに娘を奪われてきたアシナヅチとテナヅチ夫婦も、それぞれ足がない、手がないの意味で、二人とも蛇からきているとか、へええええって感じ。
彼らの娘のクシナダヒメは稲田の神様ですが、蛇だったとも言われてますし、蛇の親子なら辻褄はバッチリ合う。
とにかくいろいろと面白かったですね。

この説が正しいのかどうかはわからないけど、蛇が古代の人々に敬意も恐れも抱かれていたのは確かなので、こういう考え方は十分アリなんだろうなあと思えます。
とても楽しく読むことができました。
今なお蛇の痕跡の残る日本の文化ということで、蛇からのアプローチはいいですね。
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by teri-kan | 2015-10-16 11:40 | | Comments(0)
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