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「SWAN」ドイツ編 その6

「SWAN MAGAZINE Vol.42 2015冬号」は、「オテロ」尽くしの回で楽しかったです。
バレエの話がたくさんで、ホントのホントに面白かったんだけど……。








エドはもしかしてこのままフェードアウトするんじゃないかというイヤな予感が。
エドと真澄が踊るシーンを“1コマも”見られずに終わってしまう可能性、かなり大な気がしてしょうがない。
別に二人が踊らなきゃいけないわけじゃないけど、レオンとばっかり踊ってるのもねえ、見ていてつまらないじゃないですか。
ちょっとくらい刺激が欲しいというか、なんならクリスと踊ったっていいぞと思うくらい、いろいろ楽しみたかったりするんですよね。
刺激は見てるこっちだけじゃなく真澄にもあるはずだし、できれば無事にエドにお話に戻ってきてもらいたいです。
だってエドが踊るんじゃなきゃ絶対レオンじゃないか。

前回の感想で、ノイマイヤー側に「真澄と踊るところを見てほしい」とレオンが売りこんだらイヤだなあと書いたけど、別に売り込まなくてもこの手があったかと、今回の成り行きには感心しました。
真澄はいいとして、レオンの「オレがオレが」じゃない踊りを目にして、一体彼らがどういう風に思ったのか気になる。
「案外いいじゃないか」とか「レオンは殻を破ったな」くらいの感想ならいいんだけど、「オテロはエドじゃなくてレオンにしよう」とか、「真澄はレオンと踊る方が豊かになるから真澄のパートナーはレオンにしてWキャストにしよう」とか、なんかどっかで見たような展開になったら、ちょっと待ってー!ってなっちゃいそうです。

うーん、落としどころがどこになるのか、読めませんねえ。
綺麗な強力ライバル、正統派デズデモーナも現れたし。

正統派の登場で真澄の立ち位置がかなりはっきりしたんだけど、実は今回に限らず以前からそうなんだけど、真澄って絶対的に正統派じゃないんですよね。
欧州文化の極致であるバレエに参入してる日本人というとこからして既にそうなんだけど、でも日本人だからというだけじゃなくて、多分日本の中でも正統派に対する異端……とまではいかないにしろ、革新とか、そういう位置に置かれてるダンサーのような気がする。
ていうか、それでここまでダンサー人生やってこれたと言っていいくらい。
人生初のコンクール参加の顛末からして真澄は超イレギュラーなんだけど、きっと彼女は日本においても海外においても、とっても毛色の変わったダンサーなんじゃなかろうか。
今更もいいところですが。

ずっと真澄中心に読んできたから、そういうことあまり考えたことなかったけど、真澄はバレエ界ではかなりの変わり種のような気がしてきました。
マンガだからと言われればそれまでだけど、まあそれはそれとして、変わり種だからこそマクシモフ氏の創造性も掻き立てられたし、いろんな人を惹きつけちゃうのかなあと。
正統派に身を置く人達からしたら魅力的な異文化な存在というか、風穴を開けてくれそうな存在なのかもしれませんね。
なぜ真澄がデズデモーナの候補になったのかという問いは、ダンサー真澄を解き明かすところまでいくのかどうか。
その辺はちょっと期待したいところです。



レオンが昔のレオンを彷彿とさせるようなレオンになっていて、懐かしい気分になりました。
ニューヨークにいた頃のような、真澄の一歩も二歩も先を行ってるレオン。物知りレオン。
個人的にはこれがレオンの基本形なので、なんだか「帰ってきた」感があります。
クリスの言動にも惑わされない!
意味不明クリスを「イアーゴだから」で終わらせて、ここは良かったなー。
ひねくれてた皮肉屋が、バッサリ淡白に言い切る大人になったような感じです。

子供時代の自分と向き合って解放されたというのはよくわかります。
自分自身をわざわざ証明しなくてもよくなったというのも。
証明したかったのは自分こそが自分を知りたかったから、というのもあるはずだから、自分自身を掴むことが出来たなら、証明も必要じゃなくなります。
過度の自分アピールが抑えられていくのも自然なことでしょう。
もともと個性は強いし、人に訴える力を十分に持っている人です。
上手い具合に自然体になって、きっとますますいいダンサーになっていくのでしょう。

でも、オテロを務めるのはどうなんだろう。
まだ決まったわけじゃないけど、オテロとデズデモーナの愛の形をあそこまで描かれてしまうと、もうレオンと真澄が踊るしかないじゃないかー、という気分になる。
しかも今はエドいないし(涙)。
来号は一体どうなるんでしょうねえ。

あ、そうそう。クリスがいいこと言ってましたね。
自分のデズデモーナのイメージは真澄だ、って。
真澄に暴露したことに後ろめたさを感じてるのかどうなのか、妙にいい子になって、真澄じゃないけどわからん人ですね。
でもNOZUの舞台を観に来るとか、勉強熱心なのは良いことだ。

うん、真澄はもっと世間に目を向けて勉強するべきかも。
NOZUの舞台だってレオンとクリスは知ってたのに、真澄はレオンに言われなきゃ知らなかったんだから、まだまだいろいろ甘すぎる。
展開上の都合とはいえ、いつまでもレオンに導かれるんじゃね。
レオンが一気にぴょーんと大人に戻っちゃったから、尚更真澄にはその辺の成長もしてもらいたい。
実際はしてるはずなので、きちんと描いてもらいたいです。



……ちょっと要求が大きくなってしまいました。
作品の出来が良いと、更にそれ以上を求めてしまうのでいけませんね。
バレエ漫画として今回は楽しかったというのもあるかなあ。
期待度の高さの表れと思っていただけたらと思います。
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by teri-kan | 2015-12-21 10:56 | 漫画(SWAN) | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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