サウジアラビアのお金と労働

20年以上も前のことになりますが、イスラム過激派の活動がまだ活発化してなかった頃、飛行機で日本在住のサウジアラビア男性と隣同士になり、2時間ほど会話を交わしたことがあります。
後にも先にもサウジアラビア人と話したのはそれきりなのですが、日本語の達者な方だったのが幸いし、楽しい時間を過ごすことができました。








会話の内容は多岐にわたったのですが、今でもよく覚えていることの一つにサウジアラビアの刑罰の話がありました。
窃盗罪は片手を切り落とす、次にまた盗みを働いたらもう片方の手を切り落とす、その次は足を……っての。
これには驚いて、「いくらなんでも手を切り落とさなくたって」と言い返したのですが、その方は「盗みは絶対やってはいけないのだから、やった手は落として当然」といった返答。
それを穏やかな優しい口調で言うんですよねえ。
それでも「食べていけなくて仕方なく盗むこともあるかもしれない」と、貧しさのあまりそうせざるをえなかった戦後の話を知ってる日本人らしく言い返したんだけど、「サウジアラビアに貧しい人はいないから、そういう理由は存在しない」と言われてしまいました……。

次に驚いたのが世界各国の暮らしやすい国についての話で、その方は欧米の三つの大学に留学して、ビジネスでもあちこちに住んだ経験がある人だったんだけど、その話の流れで「日本も住みやすい方でしょう?」と尋ねてみたら、なんと返ってきたのが「働いている人にとってはね」という回答。
これには返す言葉がなかったですね。
自分、働かない人がいるという前提が当時全くなかったですから。

典型的な小市民の日本人、しかもあの時は若かったから、子供は勉強が仕事、大人は仕事が仕事、成人したら皆普通に働くものといいますか、働かざる者食うべからず、働かない人にとって住みやすい場所って何のこと?って感じだったのです。
働かなくても生きていける人はお金持ちだけと思っていたのに、驚いたことにサウジアラビア人はそうでなくても普通に生きていけるというのです。

サウジはお金持ち国家で有名ですが、ホントに全く働かなくてもすむ国らしく、そういった人達に支給される金額も教えてもらったのですが、手当と言うにはふさわしくないくらい立派な額で、それにも驚かされました。
彼の国では働くということは、国から生活費をもらってる人が「まあちょっと働いてみようか」といった程度の、かなり軽いものっぽいんですよ。
もちろん意識の高い人はきちんと働いているのですが、そうでなくても十分すぎる程度に暮らしていけるという、働いていない人にとって天国のような所なんですね。
もう自分的にはありえない話で、ここまで労働に対する価値観が違う国もあるのかと、感心するしかありませんでした。

が、そんなお金持ち国家のサウジアラビアが、ここんとこの原油安と戦費増大で懐事情が寒いことになっているらしい……。



今年に入ってにわかにサウジが注目されて、ふと20年前の古い記憶を思い出しました。
古い話だけど、まあ現在もサウジはそう変わってないのではと思います。
去年もインド人家政婦が手首を切断される事件がニュースになったし、サウジ女性の抑圧も続いているし、未だ厳しいイスラムの慣習の中にいます。
でも国家経営が苦しくなると国民の暮らしも今まで通りには到底いかないはずで、そうなったらいよいよ盗みも横行する社会になるのかもしれません。
それに伴い件の罰則もバンバン施行されるか。
何か事が起こったら反動がひどそうです。

今から考えたら、「金があるから盗みは必要ない、だから盗みの罰として手首切断」というのは変ですよね。
油が金になる時代に油が湯水のように出てくる状況でなければ成り立たない論理だし、そもそもオイルマネーってイスラム教が出来た時代にはないもので、裕福なのはここ最近の話。
そうでなくても21世紀になって続けるには残酷すぎる刑だし、姦通罪に対する死刑についても、特に被害者である女性にこそ死刑が適用されるというのは女性蔑視としか言いようがなく、なんでここまで野蛮なんだろうと不思議でしょうがない。
というより、はっきりと不快。

どれだけ寛容の宗教だと言われようと、女性に対する扱いがあれでは心から信用できないですよ。
一人一人の男性がどれだけ誠実だろうと、組織となった時には集団で被害女性を吊し上げるとくれば、どうあっても支持できない。
20年前の私はサウジ女性の実態を知らなかったけれど、今ならあの男性に聞いてみたかったなあと思います。
とても知的で紳士な方でしたが、サウジ社会の抑圧についてどう思っているのか、聞いてみたかったですね。

で、労働に対する考え方は、あれから20年たっても、やはり基本的には「働かざる者食うべからず」です。
どういう形でもいいですが、成人したら社会に貢献するのが人として当たり前ではないかなと。
というか、社会とそういう関わりを持てないのは辛いですよ。
病気で働けない人は、だから本当に気の毒だと思うし、そういう人にはきちんとした手当をしてしかるべきだと思います。

元気なのに働かないサウジアラビア人の話は、まあ所詮よその国の事情だけど、日本が働いてない人にとって住みにくい国というのは、確かにその通りではあるので、働きたくても働けない人へのフォローはもっと改善してもらいたいものです。
もちろんズルしてる人にはきちんと罰を。
日本はオイルマネーじゃなく勤労のたまものである税金からそういうお金を出してるんだから、不正受給とか泥棒みたいなことしてる人は許せないです。
まあだからといって手首を切り落とせとまでは言いませんが。
切り落としたらその人ホントに働けなくなっちゃうし、それこそ保護が必要になってしまう。

うーん。
やっぱり窃盗罪で手首を落とすって、社会運営から考えても非効率ですよねえ。
罰というより、報復感情の方が大きいやり方のような気がします。
「更生」という考え方、もしかして全くないのかな?
本当によくわからない……。



イスラムについては、また後日書けたらと思います。
根本的な疑問、いろいろあるので。
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by teri-kan | 2016-01-18 16:47 | 事件・出来事 | Comments(0)
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