「新・映像の世紀」第5集の若者とチェコとドイツ

見逃してる回もあるんだけど、見られる時は見ているNHKスペシャル、「新・映像の世紀」。
昨日はベトナム戦争に反対する若者の反戦運動、共産主義の独裁に対する反体制運動、それらを取り扱った「若者たちの反乱・NOの嵐が吹き荒れる」でした。








ビロード革命後にチェコの大統領となったヴァーツラフ・ハベルの若かりし頃の映像が出ました。
「プラハの春」の際にラジオで語った音声が重く響きます。
あれを言わなければならなかった気持ちと、聞いていた人達の気持ちを思うと、辛いなどという言葉では言い表せない程なのですが、それにしてもあの声には深みと重みがあり、心を揺さぶられました。

ハベル大統領は当時32歳ですが、口調は穏やかなのに説得力がすごかったです。
何十年も前に起こった過去の、遠い国の事件ですが、今の自分にテレビを通してさえ伝わる重さです。
映像はもちろんですが、音声の持つ力もすごいです。
長く後世に残すべきだし、時々こうして振り返る機会は必要だと感じました。

実は私は本とか伝記の類は何も読んでないのですが、ハベル大統領のファンなのです。
大統領が来日した時、ニュースステーションに出演したのを見て、その佇まいに感動したのです。
ものすごく素敵な方でしたねえ。
雰囲気というかオーラというか、穏やかなのに圧倒的で、なんとも良い存在感でした。
小宮悦子さんが「ホゥ」となってたけど、気持ちはすごくわかりましたね。
テレビで見ててもそうなのだから、その場にいたらすごかったんだろうと思います。
大変な人生を辛抱強く戦ってこられたからこその存在感なのでしょうが、ハベル大統領は個人的に「素敵だな」と思った数少ない国家元首でした。



この番組のハイライトはベルリンの壁崩壊で、その2年前に行ったデヴィッド・ボウイの壁付近での野外ライブが取り上げられました。
この時代になるとさすがに私もリアルタイムで見ています。
が、ボウイのこのライブ映像は今回初めて目にしました。
壁でライブを行ったというのはうっすら知っていたけど、当時情報としてはそこまで日本では大きくなかったような記憶しかないです。
なので東ベルリンの若者に与えたインパクトの大きさにビックリ。
ロックコンサートもバカにできません。
思えばあの頃は社会問題に絡んだ音楽活動を、どのミュージシャンもよくやってましたね。
昔のような音楽のパワーが今はあまり感じられないというのは、今は若者の時代ではないということの証明なのかもしれません。
というより、ロックを崇めた欧米、西側の若者達の時代ではないというか。
そういうものはベトナム戦争終結、ベルリンの壁崩壊で終わってしまったのかもしれません。
若者の反乱をテーマにしたこの番組もそこで終わったし。

今は中国、アラブ、アフリカ等が若者の時代のはずなのに、彼らには反抗の手段としてのロック、あるいはその代わりとなるような何かを何も持ってないように見えます。
文化的に貧しいからかどうなのかわかりませんが、少なくとも若者文化を育むところまで成熟はしていないような気がします。
多分、自前の若者文化が必要なんだろうと思うのですが、中国でさえ「それって何?」って感じですよねえ。
不満を言って暴れるだけでなく、若者が精神的に一つになれるような、社会の波を作っていけるような、肉体派でない人でも心を燃やせるようなシンボル的な何かがあればいいんですけどね。
ロックのように若者の反体制のシンボルとなれるもの、ないんですかねえ?



この「新・映像の世紀」は第1集の第一次世界大戦からドイツがかなりのメイン扱いで、アメリカ・ソ連の超大国は当然としても、この番組の一連の主人公はドイツではないか?という気にさせられるくらいです。
冷戦、若者の反乱という観点でみると、どう考えても第二次世界大戦の始末のつけ方がマズイからグチャグチャの世界になったとしか思えないし、大戦の始末のつけ方といえば、そう、第一次世界大戦後のドイツに課した莫大な賠償金。
ナチス誕生の原因となった過酷な賠償金ですよ。

現在のドイツを見てると、第一次世界大戦後と同じように、第二次世界大戦後に課せられた重荷があの国の混乱を今また生み出してるのではないかという気がしてなりません。
東西分裂による共産主義国家(旧東ドイツ)出身者のメルケルが首相をやってるってことですが、まあヒトラーとメルケルを同じ土俵に並べたら石投げられそうですが、でもこのままドイツの混乱が酷くなって欧州全体が収拾つかないことにでもなったら、ジェノサイドをやってないだけで、ヒトラーと同じく欧州に災いをもたらした者扱いされかねないと思います。

まあメルケルだけじゃないんですが、ドイツ人全体に覆っていた「とにかく難民受け入れ!何が何でも難民受け入れ!多少苦しくなっても難民受け入れ!自分達イイことしてるぅ!」といった熱狂ぶりは、ちょっと度し難いというか、ナチスへの熱狂とこれって根っこは同じなんじゃないか?と思える恐ろしさがあります。
良いことしてるか悪いことしてるかの違いだけで、その時自分達に必要だと思い込んだものに過度に熱狂する国民性というのは、本当にドイツにはあるのかもしれません。
そうなってしまったら反対意見なんか聞かない、周りも見えない。
というか、第一次世界大戦の戦いぶりにもそれが言えるかもしれません。
それを嫌われて莫大な賠償金にもなったのだろうけど、うーん、繰り返すのか?ドイツ。
こちらとしてもそれは真っ平御免なので、どうにかして収拾つけてくれないだろうか。

ドイツの主演役者っぷりがすごいんですよねえ。
それだけ優秀ってことなんだろうけど、脇になれば世界の皆さんに迷惑をかけることはないのだとドイツ自身が気づかなければ、またマズイことになりそうな予感。
「新・映像の世紀」って、アメリカやソ連以上に、ドイツについてすごく複雑な気分にさせられますね。




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by teri-kan | 2016-02-22 16:53 | その他 | Comments(0)
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