「戦旗不倒」アルスラーン戦記15

一応読むには読んだんですが、感想を書く気力が湧いてこない……。
でも読んだという事実を残しておくため、とりあえず書けることを書きます。
当然ながらネタバレありです。








16巻で終わるという噂は前々から聞いていたけど、14巻まではとてもそんな風に思えなかったので、これまでそういうことは極力気にせずに読んでいました。
が、どうやら15巻を読む限りエンディングは近づいているらしい。
急にこの巻からいろいろなことが変わりました。

まず最初に驚き、そしてガッカリしたのは、ラヴァンの正体がアレだったということ。
そこからは「え?」「え?」「は?」の連続。
前巻で感心したミスルとシンドゥラの有能な人物はあっという間に破滅。
フィトナが急に権力欲だけの乗せられまくる安い女になった。
ヒルメスが急に精神的にも銀仮面卿に復活した。
尊師の正体は実はとんでもないものらしい。
蛇王はパルス王家の血をひく体にのみ乗り移れるらしい。

途中の記述は状況説明、事績を振り返る説明に終始し、いかにも「さあこれから起こりますよ」というベタベタの筆運び。
フラグを立てるのはいいんだけど、立てたその巻でお約束通りにどうにかなるというのはあまりにお約束すぎて興奮も感慨も何も生み出さない。
いっそのことフラグを立てても無事だったという逆パターンの驚きを与えてくれないだろうか。
悲しむとか嬉しむとか感動するとか、そういった感情の揺さぶりはどうやら期待できないようだから、それならもうただ単に驚かせてくれ。
この作品で沈んだ気持ちをこの作品で浮上させるにはそれくらいしかないかもしれない。

といった気持ちです、今は。



死に方についてはさんざん前回で書いたのでもう書きません。
あれ以上のことを書いたら罵詈雑言になる。
私も最低限の品位は保ちたい。

ヒルメスは魅力キャラから無意味キャラに変身を遂げたので、どうなろうともういい。
蛇王の依代の資格があるというならそれでもいい。
実はフィトナにもあるということで、この辺はパルス王家の業の深さがうかがえて、これだけは最終巻に向けて興味がちょっとある。

歴史の改竄が行われた可能性ありそう。
蛇王がカイ・ホスローの子孫に乗り移れるというのは尋常な話じゃないので、その辺が明かされるのが最終巻のハイライトになるのかな。
蛇王の魂とパルス王族の肉体に親和性があるというなら、もともと同族の可能性すらある。
今となってはそれだけが気になる。

何気にアンドラゴラスの再評価が行われるのかも。
パルス王家の業を断ち切るための数々の所業だったと考えることも、もしかしたらできるかもしれない。
王家を残した上で血の業から王家を解放するには、確かに子供の入れ替えは名案。
そのためには実の子を野に落とすこともできたという、歴史に残る剛毅の王という流れになるのかもしれない。
なんちゃってな推測だけど。
その上で、残念ながら本人はやはりパルス王家の直系で、王家の業からは逃れられない人で、宿願を成し遂げられるのは解放王しかいないってことになるのかな。

なーんて、ちょっと考えてみました。
十六翼将のこれまでの戦いを思ったら、「だからなんなんだ」って話ですが。



なんだかねえ。
結構真面目に脱力中です。
続きを楽しみにする気力が湧いてこない。

戦旗不倒って題だけど、この巻で私の心の中の旗は倒れちゃったですよ。
フラグだけは毎回立ちまくってて、確かにフラグは折れても倒れてもいないんだよねえ。
フラグ不倒だとしたら、最終巻はいろいろな意味で悲惨この上ない内容必至だし、旗は倒れなくても心は折れまくりそうだ……。



いきなりだけど、シンドゥラっていいよね。
物語世界の人間ならば、住むならシンドゥラがいいな。
蛇王一派の毒から唯一免れてる貴重な国。
変な話だけど、ラジェンドラが性格的に健やかなのがその理由なのかもしれないと、今になってラジェンドラ株が上昇してます。

……まあ、ラジェンドラの株が上がったってしょうがないんだけどね……。
そういえば、ジャスワントはどうなるのかなあ。
パルスの状況次第ではシンドゥラに戻ったっていいんじゃないかなあ。
状況次第というのは陛下次第ってことですが。

シンドゥラ、いいよー。
蛇王と関係なく生きていけるよー。
まともな人間の意志以外のものに命をもてあそばれることなんてないよー。




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by teri-kan | 2016-05-25 00:02 | | Comments(6)
Commented by とび太郎 at 2016-05-30 01:20 x
通りすがりで失礼します。
私も読後脱力して、世の捉え方を知りたいと思ってこちらを見て…なんだか書きこみたくなりました。
筆者自身が「皆殺しの田中」に拘りすぎたように感じました。最終章に向けて「殺すために書いている」感が伝わってきて読んでいて心が痛いです。
唯一最終巻に向けて淡い期待として、「お利口さんだったエラムが泥臭い軍師に脱皮」だけは見てみたいです。
銀河英雄伝説では最後までどうしてもユリアンに感情移入できませんでした。何でもできるというのがどうもピンときませんでした。今巻ではエラムがじたばたしていたのでサナギに見えました。お師匠様のようなチート軍師ではなく、ユリアンのような万能キャラでなく、生き生きとした軍師として見事羽ばたいてくれたら。
「途中で終わっちゃうかな?」と何度も思いながらやっとここまで来たこの作品がどんな完結をするのか…願わくばタイタニアのように「登場するキャラが皆薄っぺらになっておっしまい」にならないことを祈ります。
Commented by teri-kan at 2016-05-30 11:42
とび太郎様
こんにちは。書き込んで下さってありがとうございます。

>筆者自身が「皆殺しの田中」に拘りすぎたように感じました。

完全に同意です。
「皆殺しの田中」の称号をご本人は大層気に入っていたのだなと思われるほどです。

戦争やってる人達の話なのでメインキャラが多く死んで当然ではあるのですが、別に読者としてはキャラを差別なく殺すことを称賛していたのではなく、その死に小説ならではの必然と美学を与えていたからこそ、敬意を持って「皆殺しの田中」と呼んでいたわけです。
殺してるからえらいってわけじゃない。
そこに至るまでの理由と背景が肝心。
だって小説なんだから。
なのでその肝心な部分が書けないのなら、無理して殺すことはないと思うし、そういったことでここ数巻の流れはモヤモヤ感でいっぱいになるんですよね。

エラムの羽ばたきは是非ともお願いしたいところですね。
師匠を失ってどうなるのか、そこは確かに気になります。
私はユリアンは好きでも嫌いでもなかったのですが、確かに言われてみれば軍師の弟子がどちらも万能人物ですね。
実はエラムも好きでも嫌いでもどっちでもないのですが、彼は今のところ唯一死なないことが確定してる人だと思うので、好きになれるような人物になってくれたらいいなと思います。
正直期待はあまりできないし、して裏切られたらまた脱力しなきゃいけないので、極力期待しないようにはしますが。

あ、「タイタニア」は最近出た分は読んでないのですが、やはりキャラが薄くなってるのですか。
昔のを買って読み直さなきゃいけないからなあ、と思ってそのままになっていたのですが、これは読まなくてやはり正解ということか。
なんだか残念ですが、筆力の低下はどの作品にも表れているんですね。
ホントに残念ですねえ。
Commented by とび太郎 at 2016-05-31 00:42 x
あぁ、ここで話して良かった、最悪の読後感が吐き出すことによりすっきりしました。

そこに至るまでの理由と背景が肝心。
だって小説なんだから。
なのでその肝心な部分が書けないのなら、無理して殺すことはないと思う
>全く同意見です。作者の非常に恣意的な選択により、都合よく数合わせをしているようにしか見えません。

実はエラムも好きでも嫌いでもどっちでもないのですが、彼は今のところ唯一死なないことが確定してる人だと思う
>なるほど、言われてみれば確かに生き残るのは、アルスラーン以外にはエラムとラジェンドラ殿下くらいでしょうか、一皮むけてもらいたいところです。
殺すというと、エステルは殺しちゃいけなかった気がします。ワクワクドクドキハラハラ感が無いんですよね。「洗脳されてたけど、ギリギリで自分を取り戻した」パターンで良かったような…。もしくは殺すにしても子どもを作ってから「我が子を守ってアーッ!」パターンとか。アルスラーンの相方としてしっくりくる相手は他にいないので、ここでもがっかりが一つお約束されてるかもしれません。

読まなくてやはり正解
>とにかくタイタニアは酷いです。3巻までの底知れぬ迫力のあるアジュマーンが「え?こんなせこい考えで全部やってたの?いや、まさかそんなことないよw絶対そう見せておいて止む無き理由があるんだよ!」→そのままFin
3巻まで読んでいく中で、すでに銀英伝を超えられないことは理解して過度な期待は抱いておりませんでしたが、そんな程度の覚悟では乗り切れないレベルでした。

田中氏はもう中国のことだけ書いていれば良い気がします。
Commented by teri-kan at 2016-05-31 11:41
とび太郎様
こんにちは。

すっきりされたとのことでよかったです(笑)。
私もやりとりさせてもらったおかげで気持ちが整理されてきました。

>エステルは殺しちゃいけなかった気がします。

思えばあそこから変になっていったような気もしますね。
エステルを殺したのは作者の逃げだったのではないかと、実は密かに思っています。
エステルはかわいそうでした。

>田中氏はもう中国のことだけ

中国ものは読んだことがないのですが、十分しっかり書けているというのなら、こちらにはやる気と情熱があるってことなんでしょうね。
やはり「アルスラーン」に勢いがあるうちに書き上げておいてもらいたかったなあと、残念に思います。
Commented at 2017-08-07 20:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by teri-kan at 2017-08-08 11:24
20:55にコメント下さった方
コメントどうもありがとうございます。

>メインキャラの一人なんだから、もっと劇的な最期にしてほしかった。

それぞれの最期については私も納得のいかないことが多いです。
ナルサスとアルフリードについては、もう私の中では無いことになりました。
あれはナシ。
深く考えないようにしています。

>ダリューンには死んで欲しくない。エラム、ファランギース、ギーブ、クバードは死なないだろうけど。キシュワードはどうかな?

個人的予想では、ダリューンとエラムは生き残るような気が。
エラムはほぼ確定で、ダリューンは生き残ってもパルスを去る、みたいな。
キシュワードは仰る通りかなと。覚悟してます。
あとの三人はどちらにも転びそうですね。
是非ともみんな生き残ってもらいたいです。
今の作者に殺されるのは敵わんと、粘ってもらいたいと思います。
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