「マスケティアーズ」へ主張する!

やはり第13回のカットは大問題だと、考えれば考えるほど思うので、それについてちょっと書いておきます。
ホントに「マスケティアーズ」ばかり書いてるけど、こういうのは書けるうちに書いておかないと落ち着かないので、吐き出してスッキリしておきます。








というのもですね、アラミスが王太子の病気を知ってるとはっきり描写しておかないと、13話的にもシリーズ全体的にもおかしなことになるのですよ。

第13話はタリクの火薬エピソードと王太子の危篤エピソードの2つが並行して進むのですが、この二つの事件を繋げられるのはアラミスだけなのです。
だから彼の心の動きを描かないと二つの事件がまとまらない。
実際見ててもこの回は散漫。
個別のエピソードはそれぞれ面白いんだけど、なんかバラバラでしっくりこないなあということになってる。

王宮内で偶然コンスタンスと顔を合わせて、彼女とダルタニアンの会話からアラミスが王太子の病状を知るというシーンが実はあるとのことですが、ここは本当に重要で、やはりこれがないと市場での狙撃失敗の意味がストーリーから浮いてしまうんですね。
赤ちゃんの泣き声を聞いて危篤状態の息子を思い出してしまうのは父親として無理からぬことで、あれはアラミスの親心を強く感じさせられる印象的なミス。
しかし取り返しのつかない決定的なミスで、彼の父親としての愛が結果的にサマラから父親を奪うことになったというのは、絶対に押さえておかないといけません。

アラミスが王太子の無事を神に感謝する場面もカットされているとのことで、そこでのアラミスにセリフがあるのか、あったとして何を語っているのかはわからないですが、どうも感謝だけを神に伝えただけではないような気がして、この場面を確認したくてしょうがないです。
もちろん王太子の回復に感謝はしたでしょうけど、自分のミスでサマラから父親を奪ったこと、無関係の市民を犠牲にしたこと等々、自分の罪深さに懺悔する気持ちもとても深かったはずだと思うのです。

父親と名乗れない子供を作るというのは、結局そういうことなんですね。
息子が危篤でもそばにいてやれない、どういう状態か詳しく知ることもできない。
息子の状況をきちんと把握することさえ出来ていたら、少なくとも仕事の際には仕事に打ち込むことが出来ていたかもしれない。
わからないゆえに襲ってくる「今この時にも死んでいるかも」という不安と恐怖がアラミスに決定的なミスを犯させ、結果的にタリクが死に、市民が死に、国益をみすみす逃し、銃士隊全体が王の不興を買うという、最悪の結末を迎えることになってしまった。



王妃との間に子供を作ってしまったことを、結局アラミスはどう考えているのか、王に対して申し訳ないと少しは思っているのか、恐ろしいことになってしまったと少しくらいは考えたのか、そういう素振りはこれまで全くなかったので、「これも神のお導き」という意識で受け止めたんだろうなあくらいに思ってたけど、今回のことでかなり心に影を落とした可能性は高いと思います。

当時の恋愛事情はドラマ内でしっかり描かれてて、人妻のパトロンも平気で登場してたくらいだから、夫のある女性と寝ること自体が罪の意識を生むことはないというのははっきりしています。
で、アラミスも相手は王妃とはいえ結局その考え方の延長で王妃と王太子のことを考えているような節があって、王に対する罪の意識は欠片も持ってないようでした。
でも王に対してはなくても、神に対して持ってしまう可能性は、今回の件を見ているとあるような気がしてくる。

もちろん、だからといって今すぐに「じゃあ王太子に会おうとするのやめます」とはならず、心の赴くままに会おうとし続けるんだろうけど、でもいつか本当にヤバいことになるんじゃないかと思えてきて、ちょっと心配ですね。
ヤバいというのはアラミスの心や精神的にということです。
いつまで王太子の父親であることに平気でいられるかということですね。
「欲しいものは絶対に手に入らないのかな」と不平を言ってるうちは、まだ本当の意味でそのことを受けとめていないんじゃないかな。
王太子のために命を捨てる覚悟は既にある。
その上で王太子の父親であることの覚悟をどう持つのか、アラミスのこれからの課題だと思います。



実はこの第13回の裏テーマは「父」で、ポルトスが父親についてサマラと会話を交わしたのもその関連で考えるべきなんだろうと思います。
ついでに王が王太子の危篤時に得体の知れない女とイチャイチャしていたことも。
アラミスは息子に気を取られて仕事に失敗、王は息子を失う恐怖から女に逃げ、サマラは父親に命を助けられたが父を失い、ポルトスは自分は父に捨てられたと語る。
父親としてのタリクの振る舞いも重要です。
子供に何を伝え、何を残していくのか、どう子供を守るのか。
アイデンティティの問題も外せません。

実はシーズン2自体のテーマが「父」で、第11回から毎回父親についてのエピソードが出てくるんですよね。
隊長とフォア将軍の会話、王とダルタニアンの会話、そして今回のポルトスとサマラの会話。
父親がどういう人物なのかをどんな事情があれ子供は知るべきなのか、父親は息子にとってどうあるべきなのか、父を知らないということはどういうことなのか、幼くして父に先立たれるとはどういうことなのか、毎回毎回語られてきて、おそらくそれらは父親としてのアラミスに全て収束される。
父とは名乗れない父親としてアラミスはどう生きていくのか、というところに。
まだシーズン2は3回分しか放送されてないけど、多分裏テーマはそうなるのでしょう。

なので、やっぱり第13回のカットの場所はおかしいんです。
最低限アラミスが王太子の事を知る場面は残しておかないといけない。
でないと第13話的にもシリーズ全体的にもおかしなことになる。
ほんとにもう、誰がこの場面を切り取ろうなんて言い出したのか。
ロシュフォールで変態祭をやってる場合じゃないんだよ。

あ……いや、あの王妃プレイは必要だ。
あれがあるからこそロシュフォールが本気で王妃のことを好きだとわかったんだし。
変態の性癖を晒さなきゃ本気で愛してることを視聴者に信じてもらえないキャラというのもどうかと思うが、あのプレイがロシュフォールの人気を押し上げたのは確か。
彼も因果な人だなあ。

ちなみにロシュフォールに先手を打った形になったアラミスですが、これはもう今は確信してるんですが、アラミスには王妃とどうこうなろうという気は元々これっぽっちもなかったと思います。
王妃のことを「いいな」と思っていたはずではありますが、寝たいと思ったことは針の先ほどもなかったかと。
それはやはりさすがに相手が相手だから。
タラシとは言えそれくらいの分別は普通にアラミスは持っていました。

それがああなってしまったのは、あの時そばにいたのが王妃だったという、ただそれだけの理由ですね。
言うなれば運命ってことです。
王妃がアラミスを好きだったからというのもあるけど、じゃあなんでアラミスを好きになったのかとなると、多分タラシがうっかり口にしたセリフのせいだろうなあと思うので、ここもホントに偶然。
真剣に王妃プレイをしてるロシュフォールには申し訳ないんだが、偶然という名の運命に負けちゃってるんだよねえ。
子供まで出来てるし、神の御業とはこういうことなのかって感じの流れなんですよね。
ロシュフォール、王太子の正体を知ったら狂いそうだなあ……。



まあそういったわけで、第13回には不満がアリアリという話でした。
カットの責任はNHKにはどうやらないようで、訴えるならやはりBBC?
この件に対してはいろいろ物申したいぞ、BBC。
「マスケティアーズ」に関してはお父さんエピソードを外すのはやめよう絶対。




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by teri-kan | 2016-06-29 15:09 | 海外ドラマ | Comments(6)
Commented by gosmania77 at 2016-06-29 15:33
こんにちは

相変わらず説明が上手いですね!

ドラマは視てませんが、視てなくても話の内容が理解出来ます。

映画でもそうですが、テレビ放映するならノーカットで放映して欲しいと強く思うので、お気持ちよーく!解ります。

何故、そこをカットする!って事を平気でするんですよね…消化不良を起こします。
Commented by fansy2 at 2016-06-29 20:11
はじめまして。
地上波で放送しているS2の描写に関して微妙にもやっとしてたので、こちらの記事を読んでなんだかスッキリしました♪
…ってか、少しカットされているんですね~。。
私は勝手にアラミスは王太子の病を知っているという解釈で見てはいたのですが、それでもそこでミスるとは!!という思いも加わり彼への評価が少し下がっています(笑)
元婚約者はこういう精神面における彼を知りすぎていたから、あーいう決断を下したのでしょうか?…ちょっとわかる気がします(笑)
そんな元婚約者との件もあって、より一層子供に対する思いは深くなっているのでしょうか??そして、実は銃士の中では本当は一番家族を持ちたい心が子に対する思いへと傾いてしまっているのでしょうかね??

>真剣に王妃プレイをしてるロシュフォール
まさか、こんなイタい子だったとは(爆)
まだ枢機卿は国を想う方でしたのでどこか安心してみている部分もあったのですが、こちらの方の登場には「なんだかやっかいな人が出てきたなー」とやや不安な思いをしておりました。でも、この方は今後は”ただの可哀想な子”として見ていきそうです(笑)
Commented by teri-kan at 2016-06-30 10:38
gosmania77様、こんにちは。
コメントありがとうございます。

え!? ドラマを見てないのに読んで下さってるんですか?
なんというありがたさ(感涙)。

そうなんですよ。カットは問題ですよね。
後からノーカット版を見て、前に見た時と全然印象が違う!ってなった作品、結構あります。
なるべくオリジナルそのままを流してほしいと切に思いますね。
Commented by teri-kan at 2016-06-30 10:44
fansy2様
はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございます。

>そんな元婚約者との件もあって、より一層子供に対する思いは深くなっているのでしょうか??

アラミスの子供に対する思いについて、昔の知り合いが言ってたことを思い出したんですが、その人はアラミスと同じように刺激が好き、未知のものが好き、挑戦することが好き、といったタイプの男性だったのだけど、彼はそんな自分の冒険心を押しとどめるものがあるとすれば血を分けた子供だけだろうから、そういう意味で子供を持ちたいと思うことはある、みたいなことを言ってたんですね。

アラミスが子供を求めてるとすれば、多分そういったことのような気がします。
スリルと冒険をどうしても求めてしまうタイプの人間の究極の願いって、自分を一つ所にとどめてくれるものを得たいということかなと。
単純に家族が欲しいというより、本人の性(さが)の問題ですね。
「欲しいものは得られない」というのは、だから彼がそれと真逆なものを求めるように生まれついているから。
アラミスは結構危ういバランスで生きてる人だと思います。

悪人をあの世へ送る仕事に興奮と生き甲斐を感じていながら、信仰心に篤く情に深いという、ややこしい人なんですよね。
アトスとポルトスがどこかアラミスのことを心配してるような雰囲気があるのは、多分そんなややこしさや危うさをわかっているからでしょう。
イザベルもわかっていたと思いますが、イザベルの場合はそんなアラミスのそばにいることに耐えられなくて逃げたって感じですね。
アラミスの一部分だけを見て付き合うのならどの女にも出来ると思いますが、アラミスの全てを受け入れるとなると、並の女ではちょっと難しそうです。

>枢機卿は国を想う方でしたのでどこか安心して

今から思えばシーズン1は大きな意味での青春編だったのだなあと。
青春って保護者があってこそ出来るものといいますか、なんだかんだで枢機卿の用意してくれた場所でいろいろやってたんだなと思います。
今はカオスな試練編ですからね。
気苦労の方が多くてしんどいですね。
Commented by mint at 2016-06-30 23:14 x
こんにちは。初めて(^^)
ブログ、楽しく読ませいただきました。
すっかりマスケティアーズとアラミスにはまりました(^^)

アラミスと王妃の結ばれ方、私もすごく同意です。二人が結ばれるとは知ってたので(ネタばれで笑)二人の恋心が歯止めがきかなくて結ばれるのかと思ったのですが…。
でも違いましたね。これをなんて表現したらいいんだろうとずっと思っていたのですが。
「そこにいたのが王妃だから…」に納得です。もちろんアラミスもだれでもいいわけじゃなくて、王妃だったからかなぁとも思ったり。
王妃もベッドで横になって迷いながら、でもやっぱりこの人を救いたいと思いアラミスのそばに行ったのかなと。いろいろ考えを巡らせました(^^)
偶然が重なっての運命…ですね。

シーズン2になっての裏テーマ「父親」ですか。なるほど。いろんな形の親子像がでてきてますね。
アラミスはどんな父親になるんでしょうかね。普通の父親になれないのがかわいそうですが…。情の深い人だけに…。
Commented by teri-kan at 2016-07-01 11:49
mint様。
はじめまして、こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。

>二人の恋心が歯止めがきかなくて結ばれるのかと思ったのですが

そのパターンはダルタニアンとコンスタンスの担当でしたね。
アラミスの場合はさすがにそういうわけにはいかなかったようです。

ここの解釈は私も随分悩んだんです。考えれば考える程、「この時のアラミスは女なら誰でもよかったよね?」としか思えなくて。
なんで王妃と結ばれる重要場面で、アラミスを「女なら誰でもいい」といった状況に置いたのか、脚本の意図に悩みに悩んで、結局たどり着いたのが、「そういう状態に追い込まれなければアラミスは絶対王妃に手を出さなかった」という答えでした。
好きでも手は出さないという、ストイックアラミスの証明のためだったのだろうなと。
おかげで随分わかりにくいことになってしまいましたが、アラミスはそれまで下半身のゆるい男と描かれてきたので、その延長で王妃と寝たと視聴者に判断されるのは避けたかったんでしょうね。

王妃の場合も同じだと思います。
好きな男が目の前で落ち込んでて慰めない女なんていないだろう、というのがそもそもありますが、直前に修道院内で死人が出たというのが大きかったかなと。
さすがに王妃も自分の死をリアルに感じたはずなので、もしも死ぬならその前に好きな人と、という気持ちになったとしても不思議ではなかったと思います。

とにかくここの場面は脚本の準備が周到で、二重にも三重にも「そうならなければならないように」設定されてるんですね。あまりに設定がパーフェクトすぎて、「アラミスって王妃のことホントに好きなのか?」と肝心の感情面の心配をするほどでした。
でもそこまでしなければ王妃と銃士が結ばれるなんてことあり得ないんでしょう。
王妃がふしだらな女でない限りないんだろうなと。

長々語ってしまいましたが(すいません、語ると長くなるんです)、あのシーンについてはそういうわけで、「そこに王妃がいたから」という結論になりました。

>普通の父親になれないのがかわいそう

いいお父さんになりそうなんですけどね。やさしくてカッコいいお茶目なパパ。
でもいい家庭人になれるかどうかとなると、やっぱりちょっと厳しそうですよね。
いろいろと可哀想な人なんですよねえ。
業の深い人だなあと、いつも見ながら思っています。
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