「マスケティアーズ」だから王の話もしないと

みんな大好きルイ13世。
愛すべきバカ王について。

「マスケティアーズ」の王は素晴らしいキャラクターで、はっきり言って彼がいるからこのドラマは豊かになっていると言えるほどです。
特に第11話以降。
笑えるのは10話までなんだけど、王本人を深く知ろうと思うならそれ以降。11話からの王はとても興味深い。

なので敬意も込めて王様について思うところを。
敬意はもちろん、ドラマのルイ13世と、何より演じているライアン・ゲイジに対して。







このルイ13世、いろいろ問題のある王様なんですが、問題の在り方が「なるほど」という感じで、かなり納得できるキャラクターになってます。
腹立つところまで結構筋の通ったしっかりとしたキャラなのです。

枢機卿という後ろ盾であり壁でもあった人物の退場で、王がどういう人間か明らかになって、特に奴隷商人に捕まっちゃった回の王様、あれでかなり人物像が掴めました。
その時その時でコロコロ変わる判断が超面白かったですね。

場面ごとの判断を見ると、実はどれも正解と思えるものなんです。
最後鍛冶屋を殺したことも、犯した罪に対する罰としては、当時としては普通と言えるものでしょう。恩赦の件がなければ問題はありません。
では恩赦が間違っていたのかとなると、実は恩赦を与える場面は戦う手があればあるほどよかったのだから、あの判断も別に間違ってはいない。
王はその場その場では状況を見てベストな判断を下せる、普通に頭を働かせることが出来る人なのです。

でもその間を繋いでる約束が頭に残らない。
残らないというより、重要なものとして認識できない。
ホントにその場限りの判断しかしないんですね。
時間軸を持って判断しないし、今現在下した判断が後の自分を縛ることもわかっていない。
体系的に考えられない人って感じかな。

おそらくですが、そういった訓練を子供の頃から全く受けてないんでしょうね。
勉学はきちんとやってるけど、実施の訓練という意味では、本当にその場その場の振る舞いしか求められてこなかったんだと思います。
多分摂政だった母后のマリー・ド・メディシスが政治を自分の思うがままにしていた弊害なのでしょう。
摂政として王を重要場面に連れてはいるけど、表面的な物の言い方や決め方しか王にはさせなかった、というのが、今の王を形作ってるような気がします。

マリーによる息子の評価は大人になった今でもボロクソでしたが、もともとそういう子供だったのか、自分が好きなように政治をするため子供をそういう風に積極的にしたのか、図らずもそうなってしまったのか、細かいところはわからないけど、育て方がよくなさそうなのは簡単に見て取れるので、そこに原因があったと判断するのは間違ってないのではと思います。

ルイ13世自身もそれなりに自覚があるようで、幼くして父王を失った自分の不運を嘆いていたけど、この人の今一歩なところは、そこから「じゃあ自分で努力して成長しよう」というところが全くないことなんですね。
それは万事がそうで、そういうのがないというのは、やっぱり摂政と宰相のせい、特に摂政のせいなんでしょうねえ。
宰相(枢機卿)は王の性質を見切って、はなから期待せずに自分でやって、王の拙い性質を更に助長させたって感じかな。

そしてそういった人だと理解すれば、王のその他の行動も理解できます。
頭が悪いようには見えないのに、「なんかおかしいな」と思えるようなところも納得できる。
ただ、基本的に善良というのはあって、憎みきれない人なのは確か。
そのおかげで、「しょーがないなーヤレヤレ」って感じで、周囲の人達も我が儘を飲み込むことが出来てる。
この王の美点は無駄に残虐でないところで、それだけは評価できるし、個人的にもそれなら王としていてくれてもいいかなあという気になれます。

残虐な君主は大変ですからね。
無能なくせに全部自分でやりたがる君主も困りもの。
良い宰相がいれば上手く回るんだから、ルイ13世はむしろ悪くない君主。
ただ、非常時には全く使えない君主。
マルミオンに捕まった王のヘタレ具合には、さすがにこれじゃマズイよなあって感じでした。

あのヘタレ王を見てるのはダルタニアンとコンスタンスだけなんですよね。
体育座りをしてしおしおと丸まってる王とか、マルミオンに足蹴にされてもされるがままの崩れ落ちた王とか、状況が悪化するにつれ目の生気を失わせていく王とか、王がこれでええんか!?と、さすがに思わざるをえないヘタれた王を。
この胆力のなさ、精神の弱さ、心の脆弱さは、王としては実は犯罪級だと思うんだけど、ダルタニアンはどう思ったかなあ。

ダルタニアンって何気に王と本質的な部分で関わることが多いんですよね。
奴隷商人の時といいマルミオンの時といい、王が絶体絶命の時にどう振る舞うか間近で見てるから、ダルタニアンの王への感情の変化は気になるところです。



とまあ、こんな感じで、この王は結構複雑。
人間的には単純なんだけど、王の立場ならではの複雑さを持っていて、しかも王ならではの品を保ちつつ、頭は悪くないのに無能感を破綻なく発揮するという、かなり難しいお人。
しかも視聴者にとっては腹立つのに愛されキャラ。

魅力的に演じるにはかなりの技量が必要な人物だと思うのですが、ルイ13世役のライアン・ゲイジ氏はとてもいい感じに演じてて、この人が王様で良かったですね。
なかなか個性的な外見をしてて、実は外見だけでかなりの割合成功してると思うのですが、魅力的な王様像を作り上げてると思います。

ライアン・ゲイジ、映画「ホビット」のアルフリドなんですよねえ。
アルフリドって出番がそこまで多くない割に強烈な登場人物なんですが、役者さんが上手いおかげでとても印象的でした。
イヤな人なんだけどね(笑)。
でも忘れられないキャラです。



ライアン・ゲイジの今後の活躍を期待しつつ、シーズン2で反省する王をまずは期待!ですね。
ロシュフォールの真実を知った王がますます人間不信にならなきゃいいなと思いつつ、早く知ってくれと思う今日この頃。
いい加減強くなろうよ王様!ってことで、そろそろドラマ中断期間のダラダラ考察を締めたいと思います。

28日まであともう少し!
といってもまだ四日あるけど。
でもようやくここまで来ました。
長かった。




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by teri-kan | 2016-08-24 13:14 | 海外ドラマ | Comments(0)
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