音楽と「戦争と平和」
2016年 10月 17日
やっぱり好きだわ、この曲。超カッコいい。
デニス・マツーエフの力強いピアノも良かった。
ロシアサイコー!!
クラシック音楽と「戦争と平和」ときて思い出すのは、チャイコフスキーの序曲「1812年」。
1880年に作られた曲なので、1865年~69年発表の「戦争と平和」から11年後の作品ですね。
この曲のラ・マルセイエーズ部分を聴きながら極寒の中壊滅したフランス軍を思い浮かべると、イケイケの曲なのにさすがに心が重くなってきます。
でも大盛り上がりするとても良い曲。
そしてクラシック音楽とナポレオンとくれば、もうベートーヴェン。
ナポレオンにちなんでる?と言われてる「英雄」の交響曲第三番は、劇場での初演が1805年4月なので、「戦争と平和」のスタート時とほぼ同じ頃なのかな?
ピエール、あの頃はナポレオンを褒めてました。
その1805年の12月に起こったアウステルリッツの戦いにアンドレイが参加。
オーストリア・ロシア連合軍はナポレオンに敗北し、ロシアはナポレオンの大陸封鎖令をイヤイヤ受け入れ、オーストリアは領土割譲・多額の賠償金を余儀なくされ、1809年にはナポレオンにウィーン入城を許してしまいます。
その混乱するウィーンでナポレオン軍の砲撃を聞きながらベートーヴェンが作曲したのが、ピアノ協奏曲第五番「皇帝」。
その頃ナターシャへの初恋?に浮かれて生気を取り戻していたのがアンドレイ。
ここまでが昨日の内容で、ここから先は1810年にロシアが大陸封鎖令を破ってイギリスと貿易開始、怒りのナポレオンがロシア遠征決定!となるのだけど、まあそれは先の話として、ここはやはり音楽の話。
昨日のドラマのナターシャのおじさんの家のシーンが良かったので、それについて。
昔ながらの生活を送ってると言ってた通り、ああいうのがロシア民族の本来の生活風景なんでしょうね。
寒い夜はああやって家族や身内で暖かい部屋に集まり、ちょっとギュウギュウでもそれぞれが楽器を弾きならして、踊ったりして、和気あいあいと過ごす。
あの場で演奏された曲が何なのかはわからないけど、古くから伝わってる曲ってことなんだろうし、若者がたとえ初めて聞いたとしても、リズムはロシア人なら簡単にとれる。
ナターシャが踊れたのはホントにロシアの血ゆえなんですね。
あの家の両親が息子ニコライに甘々なんだけど、もしかしたらああいうのもロシア的なのかもしれません。
厳しい土地だから子供の死亡率は高かったろうし、大事に育てるのがロシア流なのかも。
子供を大事にして、夜は皆で歌って踊って楽しむ。
あの一家は一歩間違えればぼんくら一家になりそうなくらい呑気な一家だけど、あれくらいのほほんとしてるのが、もしかしたら本来のロシア人なのかもしれない。
ロシア人の陰険さはモンゴル支配によるものが大きいようだし、ナターシャ一家のような在り方を本来のロシアとして見るのは、案外正しいかもしれません。
で、ピエールはそういうのをあまり知らない人なんですよね、多分。
お母さんがどういう人だったのかわからないけど、庶子なので家庭的な部分で恵まれないことは多かったでしょう。
わざわざ教わらなくてもロシアの踊りが踊れるように、ナターシャはロシアの精神が体に沁みこんでるけど、そういうのはピエールにはあまりないような気がします。
フリーメーソンに入会するのは、うん、ちょっとわかるかな。
確かな価値観を求めたがってるのは理解できる。
でもピエールが象徴的なだけで、当時そういう人は多かったんじゃないかと思います。
ロシア人としてどう生きるかというのを、多くの人が模索していた時期だろうし。
フランス革命、ナポレオン戦争と、ヨーロッパの価値観は劇的に変わりましたからね。
なんといってもベートーヴェンが出てきた時代ですもんねえ。
音楽が大衆のものになるほど市民階級が台頭した時代。
ナポレオン戦争に参加したロシア兵が、進んだ西欧を知って革命思想に染まっていくということがこれから起こるけど、ロシア的なものを自然に体現しているナターシャ一家のような価値観もまだまだしっかり根付いている時代。
ロシアと西欧は微妙にズレてて、微妙に重なってるんですね。
ナターシャが歌ったり踊ったりピアノ弾いてたりするのは小説からそうなんだろうけど、ロシアの女の子という意味で良いキャラの造形になってると思います。
このドラマ、いろんな価値観がキャラクターの存在で一目瞭然なのが良い。
昨日はそれぞれの親のセリフが興味深かった。
驚くほど超絶スピード展開だけど、おそらくセリフは外してないのだと思います。
わかりやすいドラマになってますね。