「クレーヴの奥方」

ラファイエット夫人作、岩波文庫。
出版は1678年で、「恋愛心理小説の祖」と言われる有名なフランス文学です。



フランス、フランス!
とにかくフランスの宮廷モノ!
マスケロスここに極まれり!
……ということで読んだ本です。







何故「三銃士」に手を出さずにこれなのかと言うと、手近にあったから。
なんでもいい、とにかく王朝時代のフランスの空気が欲しくて、これに手を出しました。

作者のラファイエット夫人は、だいたいルイ14世と同年代の女性。
1634年生まれだから、「マスケティアーズ」のシーズン2の終わり辺りにご誕生。
Wikiによると少女時代にアンヌ・ドートリッシュ(ドラマの王妃)に仕えたということだから、ドラマの空気に近づくにはうってつけの人と言えます。

でも「クレーヴの奥方」の舞台はそれより1世紀前のアンリ2世時代。
現在BSでやってるドラマ「クイーン・メアリー」の時代ですね。
完全にあれと同時期のお話で、ドラマの登場人物そのままの人達が出てきます。
しかも女性達の派閥がきっちり描かれてる。
王太子妃(メアリー)派、王妃(カトリーヌ・ド・メディシス)派、ディアーヌ・ド・ポワティエ派、内親王の一派などなど、マスケファンよりむしろ「クイーン・メアリー」ファンにこそ向いてる小説と言えます。

でも宮廷特有の恋愛模様は、「マスケティアーズ」の方がその空気を再現してるように思います。
「クイーン・メアリー」は2回で見るのをやめたけど、あれをお好きな方には申し訳ないけど、フランス宮廷の恋愛モノとはやっぱりちょっと違うような気がする。
「クレーヴの奥方」を読んでると、なんていうか、こう、あからさまじゃないですよね。
貴族社会のしがらみがありすぎて、「好きです!」だけでは通用しない空気がとことん熟成されている。

この小説も出てくるご婦人方はほとんど既婚者ですしね。
うかうかと気持ちや関係を周囲に表明するなんて出来ません。
なのでマスケは正しいフランス宮廷恋愛事情に沿っていると思います。
特に王妃とアラミス。
女伯爵ニノンの回で、アラミスが王妃にビミョーに嫉妬されて、「……あ、オレもしかして王妃に想われてる?」みたいになる場面がありますが、かといってそれで簡単にどうこうなるとかはなくて、しばらくああいうのの積み重ねなんですよね。
お互いがそれを繰り返し、しがらみの中で繰り返し、距離を測っては測り直し、会話どころか遠くに見える相手の一挙手一投足から心を読む。
アラミスと王妃がその前もその後もずーっとほぼアイコンタクトだけっていうのは、だから正しいんだろうなあ。
観ているこっちは、「もっと近づけないのか!もっとどうにかならないのか!」って悶々とするけど。



とまあ、「クレーヴの奥方」はそういった恋愛の心理を丁寧に繊細に描いた小説なのでありました。
とても面白かったです。
言動の一つ一つが「ああ、なるほど」「そりゃそうだ」って感じで、恋愛って些細な出来事をミルフィーユのように一つ一つ重ねていった上でなんらかの形になるものだよなと、納得できるお話になっています。

あまり書くとネタバレになるし、詳しく書けばネタバレを通り越して長文になりすぎると思われる小説で、さすが文学史に残る作品であるのですが、まあ一つ言えるのはこれかなあ。奥方は自分の恋心を持て余していたということ。
その気持ちの処理の仕方に賛否両論はあれど、持て余してる苦しさは大いに理解できるということ。
ホントに苦しくてしんどかったと思います。
喜びもある分なおさら。

だから最後は結構納得。
この奥方ならああなるでしょうね。
賢い女性ではあると思うし、ラファイエット夫人もそういう風に書いてると思います。



恋愛小説として面白いし、当時の宮廷生活もわかって面白い。
アンリ2世時代に起こった最大の事件もしっかり描かれてて、歴史モノとしても面白い。
大変良い小説でした。




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by teri-kan | 2016-11-02 11:36 | | Comments(0)
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