「タンド伯爵夫人」

ラファイエット夫人作、岩波文庫。
文庫本「クレーヴの奥方」に収められている三作のうちの第三作目です。
超短編。

物語のスタート時期はカトリーヌ・ド・メディシスの摂政最初の年ということだから、前作「モンパンシエ公爵夫人」と同じシャルル9世時代とはいえ、あれより何年か前のこと。
ユグノー戦争勃発前年ですね。
そこから数か月から数年?のお話なんですが、状況説明は最初の2ページで完了(笑)。
感心するしかない簡潔さです。
簡潔なのに人間関係がよくわかるのにも感心
そこからどう事態が動いていくのか、といったお話です。







その人間関係ですが、今風に簡単に言ってしまえば、「友達とあの娘をくっつけたいんだけど協力してくれない?と彼氏に頼まれて協力してるうちに、なぜかその友達と自分がデキちゃった」というもの。
少女漫画でもありがちな設定ですが、もちろん宮廷恋愛小説なので、主人公は既婚者。
好きになった男性の結婚を取り持つ苦悩がつらつらと描かれています。

苦悩といいつつ自らの欲に抗えない女性なので、なんだかんだでずるずると行ってしまって、とうとう大変なことになってしまうのですが、読んでる側としては「そりゃこういうことにもなるだろう」って感じで、んー、人のことだから勝手なこと言っちゃうけど、それならそれで夫を突き放したりしなきゃよかったんですよねえ。
「マスケティアーズ」の王妃のように、王の子でも話が通じるようにしなきゃ。
ホントに話の中のことだと思って言ってしまいますが。
絶対あってはいけないことだけど。



「クレーヴの奥方」はまあまあな結末、「モンパンシエ公爵夫人」は可哀想だけど自業自得だよねーな結末、「タンド伯爵夫人」は自業自得にしても悲惨すぎる結末、ということで、こうして並べて読んでみるとわかるのだけど、ラファイエット夫人は貴族の奥方は貞操を大事にしましょう、身持ちをきちんとしていましょうってことが言いたかったのだと思います。
一貫してそういうことが書かれている。
そしてそれを小説で言いたかったというなら、ラファイエット夫人の生きた時代のご婦人方の身持ちはグダグダだったんでしょう。
まあルイ14世の時代だから乱れまくってたのはそうなんですが、でも多分フランスの宮廷ってそのずっと以前から乱れてたよね。
偏見入ってるかもしれないけど、はるか昔からそんな感じだった気がする。
ホント偏見なんだけど。

でもラファイエット夫人の小説の主人公って、別に乱れてはいないんです。
しがらみの中で愛に苦しんでるだけで。
だからある意味真面目で、そのまま現代の日本の少女漫画に置き換えられそうな普遍性がある。
今回の「タンド伯爵夫人」がそうだし、「クレーヴの奥方」もそう。
まんま高校生の教室内の恋愛模様でいけますよ。

……と思ってたら、「クレーヴの奥方」を現代の高校生に置き換えた映画があった!
フランスものだけど。
2008年公開の「美しいひと」。
フランスの高校生の恋愛関係に、なぜか教師も参戦(笑)。
いかんだろー、教師!

この映画、主人公の女の子がレア・セドゥでした。
「007スペクター」のボンドガール。
画像を見る限り若きレア・セドゥはいかにもフランス女優でいい感じ。
教師役のルイ・ガレルは美形だけど恐ろしい顔をした人ですね。

これは日本でもDVDで見れるようです。
現代でもルイ14世の時代でもアンリ2世の時代でも、恋愛は不変だ!のフランスがきっと楽しめるのだと思います。

フランスって愛ですね。
ラファイエット夫人の三作は三作とも恋愛しかしてないご婦人だったので、ホントそんな印象です。
評判になるほど美しい女性は恋愛が仕事、みたいな感じ。
やっぱりフランス宮廷は宝塚のベルばら「愛あればこそ」です。

愛あればこそ、生きる喜び~♪です。




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by teri-kan | 2016-11-14 09:26 | | Comments(0)
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