ドラマ「東京裁判」

1時間を連続4日なんて、ただでさえ重そうなドラマなのにしんどすぎるなあ、と思っていたら、全然そんなことありませんでした。
1時間が早かったし、4日間があっという間。
こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、とても面白いドラマでした。







侵略か自衛か、正当か不当か、といった問題以前に、とにかくドラマとして面白かったです。
映像は美しく、当時のフィルムも違和感なく着色されて、まるであの時代に自分がいるかのような気分になれました。
それでいてもちろん年月の長さも感じられる。
いまだ世界のあちこちで起こる戦争や、100年遅れでやってきた中国の覇権主義を考える上でも、東京裁判の検証は今後も大事になると考えます。

ドラマで一番気になったのは、ナチスを裁いたニュルンベルク裁判が東京裁判に与えた影響の大きさかなあ。
ヨーロッパで起こった戦争とアジアで起こった戦争は、同じ第二次世界大戦でも意味は全然違っていたのだなと。
世界大戦を欧州大戦と言い換えれば、あの人達は古くから何度も大戦を繰り返してきた懲りない大戦のスペシャリストで、「もうこりごりだ」という切実さは相当なものだったというか、アジアが感じた「もう嫌だ」という感情とは別個のもののような気がしました。
アジアにおいての大戦は、言ってしまえば日本がただ一度ワーッと突っ走っただけ。
やり方がひどすぎたんで大問題だったけど、当時のアジア諸国が主権を持っていなかったことを考えても、アジア・太平洋地域においては、大戦の意味が欧州とは違う。
その違いを今回のドラマでは判事達のセリフから思わされたかなあ。
判事のセリフは一つ一つが重くて、刺激的でしたね。

判事の面子が興味深いというか、11人の中でも多数派を形成した人達がまんまイギリス連邦だったのには「それってどうよ」な気持ちになりました。
裁判長のオーストラリアは違ってたけど、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドのアングロ・サクソン連合は、やっぱり価値観が合うんですかねえ。
で、それにくっつくソ連と中華民国。
西欧の中ではフランスとオランダが別個に意見書を出したのが印象的でした。
インドのパル判事は有名ですね。彼の意見はドラマの中でも一貫してました。
フィリピンは……苦痛の大きさが見て取れて辛かったな。
恨みに思ったって仕方ないよね……。
まだ帝国主義が否定されてない時代というのも、なんとも言えず辛かった。



裁くって難しいですね。
このドラマを見てると、裁くことって、そもそもが人間の手に余るものなんじゃないかと思えてきます。
法自体が人の手によるものだし、人が作ってる以上欠陥は絶対にあるし、こういう法に関する仕事をしてる人って、人間の限界をしょっちゅう感じさせられてしんどくなったりしないのかな。
判事の人達、精神が強靭じゃないとやっていけませんよねえ。
なんだか法律に関わる人達に対する敬意がわいてきたですよ。
いやもう、ドラマを見るだけで大変な仕事だったの丸わかりですから。
終わって一言、お疲れ様でしたって気持ちです。

どうあがいたって完璧な判決など出来やしないですもんね。
判事の中でも意見は割れたし、歴史の検証に今後も何十年、何百年と晒されなければならない。
勇気が必要とされた仕事だったと思います。
戦争って本当に、やっぱりやってはダメだ。
人の手に負えないこと、人間はやってはダメ。




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by teri-kan | 2016-12-16 15:33 | ドラマ | Comments(2)
Commented by at 2016-12-16 20:42 x
こんばんわ。確かにドラマやってましたね、今時分のNHK方針からしてまたぞろ偏った作風なんじゃろなとスルーしてたんですが見応えありましたか。

裁判自体は戦勝国が任命した人物中心での判決で、今現在もなんやかや紛糾の種ではありますね。個人的にはよく話題になるような自国民によって戦時責任者の裁判を行えたのか?については「ぜってー大岡裁きでナーナーに事を済ませる」可能性大なので、この件についてはあんまり口調を強められないんですよね。
>帝国主義が否定されてない
裁判の判決から戦時下の日本に対する「なんとか史観」的様相も定着したりしたのは理解できるんですけど、ではそれ以前に敗戦直後の虚脱混乱期の人たちは戦時下をどう判断付けたのかが気になってるんですよね。
最近になって「一億総懺悔」の内実、内閣が国民に責任に繋がる戦争行為=開戦・戦時・敗戦行為→責任のうち敗戦責任「だけ」を国体護持とかで昭和天皇「だけ」に詫びた・詫びさせた。世界各国に「ボクたちなんにも悪くないもん」発言をしたようなもんだった度し難いものだと知って唖然としました。
Commented by teri-kan at 2016-12-18 22:28
創様、こんばんは。

このドラマは完全に法廷ドラマで、ほとんど11人の判事のみでストーリーが進んだというのが良かったです。
法をどう解釈するかといった点に絞ってたのが、恣意的なドラマにならずにすんだ要因かなと。
判事達は復讐心に囚われないよう意識していたようですが、有罪ありき、極刑ありきで臨んでるんだなと思われる節は見えたりして、欧米の傲慢さもそれなりに描けてたと思います。

>自国民によって戦時責任者の裁判を行えたのか?

これは絶対無理ですよねー。
いろいろな意味で無理だと思います。
戦争の総括ができてないこととも関わりますが、日本が自分達に甘いからという以前に、いろいろと無理なように思います。

真にフェアに見れるようになるには、アメリカの国力がどーんと落ちて、ロシアと中国という軍事力の突出した超大国の国際的地位も下がった時だろうと思うので、んー、数百年後くらいですかね(苦笑)?
それまでなんとか日本が生き延びることができていたら、東京裁判の意味も今とは変わるだろうなと思います。
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