ハリウッドとアカデミー賞へのもやもや

今年のアカデミー賞授賞式には幻滅しました。
言い訳無用。
あれでは反トランプにかまけて本業を疎かにしたと言われてもしょうがない。
ネットで速報を追ってたんだけど、テレビはすっかり見る気が失せた。
ハリウッド映画は好きだけど、ハリウッド自体には結構前々から「うーん?」なところがあったので、ここ最近の展開にはホントにもうもやもやもやもや。

ここから先は完全な愚痴です……。






そもそも去年の「白すぎる問題」ですよ。
2年連続主演賞・助演賞に黒人ナシっていうのが「なにやってんのアカデミー」だった。
「白人俳優ばかりが優れていた年がたまたま続いた」というなら別に構わないけど、そういうわけでもなかったようだし、たとえそうであっても「そこで無理矢理バランスをとるのがアカデミーだろう」と思っていたので、本当に「なにやってんの?」って感じだった。

で、うってかわって今年は黒人のノミネーション多数。
あざとすぎて萎える。
みんな良い俳優ばかりだと思うけど、あまりに外部要因があり過ぎて、演技で選ばれてるのか政治で選ばれてるのかわけわからん。
ていうか、白人だって演技がよければ選ばれるってわけでもないですよね、この賞。

ともかくそんなわけで、去年の反動で今年のアカデミー賞がブラックなアカデミー賞になるのは簡単に予想できて、しかもこの一年大統領選でマイノリティに非寛容なトランプの嵐が全米で吹き荒れて、どう考えても黒人有利な受賞式になるのは目に見えてたんだけど、それなのに下馬評で圧倒的に支持されていたのは「ラ・ラ・ランド」。
白人主演の、社会派でもない愛と夢のミュージカル映画。
ハリウッド映画人のミュージカル好きを考慮に入れても、これは驚きでした。

黒人有利な風潮の中で作品賞候補として断トツ支持されるということは、映画としてよほど力のある作品なのだろうなと思ったんですね。
もしかして映画そのものの力が政治力に勝っちゃったりするのか?とまで思いました。
社会のありように左右されない純粋な映画そのものの力。
ネットの速報で「ラ・ラ・ランド」が受賞したと出た時、だから「映画人がきちんと映画を選んだのだ」と思ったものでした。
政治に左右されずに良いと思ったものを選んだのだと。
実際はそうではなく、「政治に左右されました」だったわけですが。
しかも左右された上に本業は授賞式史上最悪の不祥事。
この人達なにやってんだ?と心底思いました。



作品賞を受賞した「ムーンライト」もいい映画だとの評判です。
でも受賞した後に「実はこれもいい映画です」と言われても、特に日本においては後付けに聞こえてしまってイマイチ苦しい。
ていうか、向こうでも「ムーンライト」は政治的判断で選ばれたという認識でしょう。
授賞式前、「ムーンライト」がにわかに最有力候補に挙がってきた時、トランプの政治がひどいから「ムーンライト」がとるだろうという言われ方がはっきりなされていました。

まあ、それはそれでいいんですけどね。
私もこういう流れなら「ムーンライト」が受賞するんだろうなと思ってたし。
アカデミー賞って結構いつもそんな感じだし。
でもだからこそ最初に「ラ・ラ・ランド」がオスカーだと出た時には新鮮な感動を覚えたんですよねえ。
肌の色に関係なく良いものは良いと言ってるような気がして。
政治的な発言が映画人から頻発してるけど、だからこそ政治から超越した芸術としての原点に立ち返ったのだと言ってるような気がして。
本当に、あの間違いがあったからこそ、いろいろなことに気付かされたり、考えさせられたりしましたよ。



ハリウッド対トランプを見てると、アメリカの映画産業はそれ自体が政治なのだと思えて、映画について文化・芸術としてアレコレ言うのも憚られるというか、文句言ったら内政干渉になりそうだなという気さえしてきます。
映画ってどこの国で作られようと、こっちが鑑賞するのは我が町の映画館だし、DVDで自分の所有物にもしてしまえるし、映画作品自体はとてもパーソナルなモノになるのだけど、当の製作場所というか発信地は、自分がいる所とは全く違う世界なのだと、今回はつくづく思わされました。

まあ、もともとアカデミー受賞式は内輪のお祭りみたいな感じでしたけどね。
でもそれでも昔はアメリカ人でなくても楽しめる楽しいお祭りだったんだよなー。



難しいことになってますね。
正直言って悪口の応酬は正しい正しくない以前に見るに堪えなくて辛い。
映画人がリベラルであるのは当然だし、マイノリティの味方であるのは正しいんだけど、ホントにいろいろともやもやする。
アメリカの状況が厳しい故だと思うけど、にしてももやもやする。

やっぱり授賞式の大失敗はきたなあ。
あれは犯したタイミングから何から最悪すぎでした。



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by teri-kan | 2017-03-03 17:10 | アメリカ映画 | Comments(4)
Commented by あんどれあ at 2017-03-04 21:27 x
私は個人的にはアメリカ人は肌の色にこだわりすぎてる、と思うのですが、去年は単に黒人キャストの映画で良作が無くて、今年は多かっただけなのでは、と思います。オスカーは映画業界の色々な職種の組合員が投票する賞で、批評家が決める訳では無いので、どっちか迷った時に外野の影響を受けてしまうのもある意味自然な気がしますし。
あと、アメリカの映画業界は外国人が本当に多く働いてるので、いつ同僚やその家族が難癖つけられて強制送還させられるか、というのは他人事では無いのでしょう。

あと、私もそうだったんですが、ミュージカル好きや映画オタクの間ではLa La Land期待外れだった、という意見が少なくないんですね。映像も音楽も素晴らしいし、話も好きだし、良くできた映画だとは思うんだけど。
評判が良すぎて、反動でオスカー前に英語圏のマスコミの間で「過大評価しすぎでは」という意見が出てたのもマイナスだったんでは無いかと思います。

しかし、あの失態はひどいですね。両作品の関係者もそうだし、私は何よりもウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイがお気の毒でした。
Commented by teri-kan at 2017-03-05 14:57
あんどれあ様、こんにちは。

>La La Land期待外れだった

私は全く期待せずに観たので、かえって良かったのかもしれません。
新作映画から離れていたし、映画を見慣れた人とは違って新鮮さも感じられたのかも。
作品賞はああいう成り行きにならなければ素直に受け入れられるものだったので、「ラ・ラ・ランド」が取れなかったこと自体は別にいいのですが、でもあのゴタゴタの裏に見えたハリウッドのあり方には、やはりもやもやしたものを感じています。
映画人はマイクではなく映画で主義主張をすればいいってわけにはいかないんですねえ。

自分は女性で日本人だから映画人のマイノリティ保護の主張には共感しますが、地方在住者としてトランプを支持した人達の苦境もすごく理解できるんですね。
なのでトランプの批判をするのはいいけど、批判の方法を間違えれば地方格差に苦しむ人達を攻撃することにもなりかねないので、トランプに対する中傷や悪口には慎重になってほしいと思うんです。
ようするに、ハリウッドは分断を加速させていないか?ってことで、でもそんなこと言えるのは自分が外国に無縁な日本人だからだろうなとも思うので、もう考えるのやめよ、って気分になりました。

そんな気分になった原因がよりによって大好きな映画をたくさん作ってくれてたハリウッドだったというのが、きっともやもやの原因なんですよね。
違いをものすごく感じさせられてしまったというか。
ようするにローカルな人間の愚痴ってことです(苦笑)。
おそらくこういう風に思う人間の方が少数派なんだと思います。
Commented by stefanlily at 2017-03-10 17:29
ボニーとクライドのお2人を単にプレゼンターと言ってたバカアナウンサー達のほうこそ、あかんでしょ、と思いました。
坂上忍はウオーレン・ベイティーと言ってたのはさすが。

前回、「ダウントンアビー」の間違いでした、変換が。
こちらは姉のシャーリー・マクレーンが出ていますが。
Commented by teri-kan at 2017-03-10 23:13
stefanlily様、こんばんは。

ボニー&クライドに全く触れずにあの二人を紹介するのは変ですね。
うーん、どういうことだったんでしょう。

「ダウントンアビー」ってシャーリー・マクレーンまで出てるのですか。
フツーに大物がたくさん出てるんですねえ。
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