王妃と政治

「マスケティアーズ」はずーっとフランス対スペインの対立が背景にあったのですが、王妃はそのスペイン・ハプスブルグ家出身。
蝶よ花よと育てられた王女から、母国と対立する国の王妃へ。
女の子の人生は大変です。






これは前にも書いたことがあるのだけど、私はマスケをテレビでは吹き替え版で観ていたのですが、登場人物の意図や感情で判断がつきかねたところが、DVDの英語+字幕版を観るとするすると解決することが結構あるんですね。
王妃に関しては特にそうで、例えばロシュフォールと十字架について語った場面。
かなりはっきりとロシュフォールからもらってたこと自体を忘れてたんだなと、DVDを見て納得しました。

ただ、ここは結構絶妙で、完全に忘れてたかというとそうでもなくて、パッとすぐ思い出すくらいには記憶に残ってた模様。
ホントに王妃は十字架をたくさん持ってたし、もらってたんだと思います。
だから初めの頃はともかく、年月がたつうちに変態の十字架も他と同等になっちゃったんだろうな。

でも、それでもかなり頻繁に身に着けていたはず。
でないとアラミスにあげない。
引き出しに眠ってたものより始終身に着けてたものをあげたいよ、そりゃ。
たまたまあの時着けてたってのもあるかもしれないけど、そうであるなら尚更身に着けてたことが大事。
お気に入りにはなってたはずなんだ、ロシュフォールの十字架は。
ただ、彼にもらったこと自体はどうでもいいことになってただけで。

変態が心のよすがにしていた「いつも身に着けてるね!」の王妃の少女時代の言葉ですが、だからですね、ホントに王妃は十字架のみならず宝飾品をたくさん持ってて、たくさんもらってたんだと思います。
で、もらうたびに父王や商人や各国の使者に、「ありがとう、大事にするわ」「いつも身に付けるわ」と、ねぎらいと感謝の言葉を無邪気に述べてたんじゃないかと想像。
ロシュフォールへの言葉は他よりは心がこもってただろうけど、でも物をもらい慣れてる女の子の言葉はあまり真に受けない方が良かったんじゃないかなあ。
変態にこんなこと言っても意味ないんだけどさ。



まあ、そんな可愛らしい王女様だった王妃様。
十代半ばで輿入れしてきたフランスで相当苦労します。
婚家と実家の対立は重々承知で、間を取り持つことが自分の使命と思った結婚だったでしょうが、枢機卿がスペインをフランス台頭のための障壁扱いしていたことから、ことごとく王妃の希望は頓挫することとなりました。

シーズン1の初回からそんな話なんですよね。
王妃はスペインとの和平を積極的に王に主張してたみたいで、この頃はどうやら王は王妃に押し切られることも多かったよう。
枢機卿に支配されることを内心嫌がってた王と、王妃の目的は、ここまでは一致していたのです。

でもいざとなって王がへたれた。
それまでも王妃は辛いことが多かったけど、夫婦関係の潮目が変わったのはここだったような気がします。
王が枢機卿の支配下に完全に下ってしまったこと。
何気にさらりと第1話でやってるけど、その裏で王妃が味わったショックとか孤立感とか、大きかったんじゃないかと思いますね。
で、第2話で運命の男性との出会い、ということになってしまう。

もともと王と王妃ってあまり合わないというか、例えば王は狩りが大好きだけど、王妃は全然好きじゃなくて、むしろ銃声と殺生は嫌いって感じで、第9話で狩りが大好きなシャルロットと比較して王は王妃のことボロクソに言ったりするけど、かなり合わない二人だったのではと思います。
女性としても従順なタイプが王は好みっぽくて、これまた王妃とは違うタイプで、シーズン2まではしっかりものの王妃を頼ってたところがあったけど、追従することのない性格の王妃を好んでた感じは、基本的にあまりありませんでした。
それでも王が思慮深ければまともな態度で王妃に接することもできたんだろうけど、なに分その時の気分次第な王様なので、王妃への思いやりなんて期待できるはずがなかったです。

自分を助けてくれた男性にぐーんと心が傾いてしまったの、しょうがなかったと思いますね。
頼りの王は枢機卿の言いなりに成り下がり、宮中で自分は完全に孤立。
そんな時に危険も顧みず助けてくれたらさ、しかもフランスに来てからは経験したことないほど優しくされて、しかもその相手が超男前だったらさ、恋の花咲くこともあろうってものです。



シーズン3で王妃が真剣に「この戦争は終わらせなければいけない」と思った理由に、コンスタンスが「今のままでは母親になれる勇気が出ない」と言ったことがあると思うのですが、やはり慈悲深い人なんですよね。
高潔さや優しさはずっと変わらず持ってた人だと思う。
でも、あまりに孤独で、周りが敵だらけで、王太子を守ること一つとっても、全然思う通りにならない。
シーズン2もそんな傾向があったけど、シーズン3は本当に全くもって余裕がなくて、ピリピリしてる王妃は、アラミスにしてみれば見るに見かねる程だったと思います。

だから王太子が無事即位して、自身も無事摂政の座について、そうなって初めて本来の自分になれたんじゃないかなあ。
本来の自分に戻れたというか。

ドラマを通して敵はスペインを絡めて王妃を攻撃するヤツらが多くて、王妃にとっては立場そのものを危うくさせられる相手ばかりでした。
気が休まること、ホントなかったと思います。
王との関係も、ここまでこじれたらどうしようもないとしか言えません。
フランス王妃の最大の役目は後継者を産むことだけど、これに関しては王は自身の役目を果たせませんでしたし。
実際王妃が子を産まないままだったら、枢機卿の言った通り国内は乱れたでしょう。
王太子を不義の子、王妃を不貞を働いた女と片づけるには、問題は難しすぎました。



うん、まあ、これからアラミスは王妃にやさしくしてやってくれ(笑)。
これまでずっと孤独だったんだ。
王妃がこれから歩む道はやっぱり困難な道なんだ。
頑張る王妃様をあらゆる面から支えてほしいな。

政治のセンスは王妃の方がありそうな感じがするけど、アトス曰くアラミスは多才とのことなので、陸軍卿の職務は案外そつなくこなすのではないかと思う。
宮廷政治も得意の人たらしでいけいけごーごー。
王が成人するまで二人三脚で頑張れ、お父さんとお母さん!です。
目的が同じならば、もともと深いところでつながっている二人です。
力を合わせて良い結果を出すことができるのではと思います。

ちなみに史実では1659年にスペインとの戦争が終わります。
まだまだ先のことですが、ドラマではイタリア出身であることを嫌われたマザランがいないから、原作とは既にかけ離れてるけど、史実ともかなり異なるパターンで進むはず。
結構早くスペインとの戦争終結が来るでしょう。
王妃が真に心安らかになれる日もそう遠くないと思います。

史実の王妃は息子の妃にスペインから自分の姪を迎え入れるのですが、こういった王家の血のつながりが功を奏して、ブルボン家は後年スペイン王位を継承することとなります。
ルイ14世の孫、つまりドラマの王妃からすればひ孫ですが、その子がスペイン王に即位するんですね。
で、スペイン・ブルボン家は現在も続いています。
先日来日されたフェリペ6世は、だから遡ればルイ14世に辿りつくお人。
アラミスの血筋(笑)です!

まあそれはそれとして、この「マスケティアーズ」、スペイン人から見たらどうなんだろうと、ちょっと思わないでもないです。
終始一貫して敵扱いでしたからね。
現実に敵だったんだけど、にしてもドラマはホントに弁解の余地のない敵でした。
そんなの気にしてたらヨーロッパの歴史モノなんて楽しめませんが、イギリスが原作から離れて好き勝手作った「三銃士」で、フランス人的にはどうなのかなあとか、完全な敵扱いのスペインはどうだったのかなあとか、ちょっと思ってしまいました。
私は気ままに楽しめて面白かったですけどね。



またいつかこういった楽しい冒険活劇を希望です。
こういうドラマは楽しいね。
愛と友情は正義です。
皆は一人のために、一人は皆のために!!

NHKは早くシーズン3を放送するのだ~。



[PR]
by teri-kan | 2017-05-01 10:22 | 海外ドラマ | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 「友を選ばば三銃士」 「プロテスタンティズム」 >>