「我は王軍、友は叛軍」

ダルタニャン物語の第3巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

ここから三巻にわたって第二部の「二十年後」です。
「二十年も後の話かい!」って突っ込みたくなるけど、読むとそこまでブランクを感じないというか、普通に第一部「三銃士」の後日談ぽかったりします。
二十年を現代の時間で捉えたらダメですね。
17世紀のお話ですから、今でいえば数年という感覚でよいかと思います。

とはいえ二十年は二十年なので世代は替わってる。
政治の実権を握ってるのはリシュリューではなくマザラン。
三銃士+1もそれぞれの場所でそれぞれの人生を送ってる。
イケイケ時代とは違い、酸いも甘いもかみしめた、もういい大人。

そんな二十年後の、新たな彼らの冒険スタートって感じです。






まずは新しい登場人物。
現在第一の権力者であり、アンヌ・ドートリッシュと秘密結婚をしているマザラン。
いやー、こんな人なのかーというか、実在したとはいえ創作の物語にこんなこと言うのもなんだけど、「王妃様、なんでこれとご結婚あそばされたのですか?」って聞いてみたい気分に(笑)。
とにかくマザランは「うん?」な人です。この巻を読む限りでは。

とにかくケチなんですよ、ケチ。
金払いが悪い。気前が悪い。
そのおかげで全然大人物に見えなくて、リシュリューはまだしもマシだったんだなあと思えるくらい、とにかくいろいろとちっさい。
その小ささが面白かったりするのですが、いかにも人に好かれそうにない人なのが、やっぱり「王妃様なんで?」ってなってしまうところです。

で、そんなちっさい人物が牛耳ってる現在のフランス、ちょっと不穏な雰囲気です。
あちこちでいろいろうごめいています。
そんな中、とある使命を帯びてダルタニアンがかつての仲間を訪ね回るのですが、これがねえ、いいんですよ。
ダルタニアン、なんと万年副隊長のまま放っておかれたこの長の年月。
三銃士がいてこそ輝くダルタニアンだったというデュマの筆に、なんだかしんみりしみじみ。
で、再会した彼ら、やっぱり面白い。
四人とも最高。
てか、彼らの従者も含めた八人。
この巻の従者は皆が皆チョー愛すべき人物。
彼らが出てくるところはどこもかしこもニヤニヤできる。

従者は皆それぞれ御主人にピッタリの人達なんですね。
ダルタニアンの従者は熱血漢で、アラミスの従者はひねくれてて、ポルトスの従者はまっすぐな良いヤツで、アトスの従者は「男は黙ってサッポロビール」なヤツ。
ホントいいわ~この人達。
彼らの表情やセリフの一つ一つ、一挙手一投足を楽しむだけでこの巻はいける。

新たな登場人物といえば、第三部のタイトルにもなってるブラジュロンヌ子爵が今回初めて出てくるのですが、彼がどういうなりゆきでこの世に生まれ出たのかがわかって、「さすがお話」と感動させてもらいました。
なんでこの子の両親が彼らなのか、さっぱり想像がつかなかったんですよ。
両親が両親だし、さぞかし見栄えの良い、美しくも気品あふれる風貌をしてるんだろうなあ。
彼のこれからは楽しみだ。

アトスが彼のおかげで真っ当な暮らしをしているのがとても良かったです。
ダルタニアンの悲観的すぎる想像はヒドすぎだったけど、そうなる可能性は大だったようで、こうなるに至った神の御業に感謝感謝、子爵のおかげでアトスの美点は更に輝くものになりました。

アトスがいたからこそ四人の友情も強固なものになりましたしね。
最後の誓いは素晴らしかったです。
あ~良かった~。
アラミスは一筋縄ではいかないし、ダルタニアンと言い合いしてたところなんて、ちょっと怖かったですよー。
いやあ、あぶないあぶない。
アトスありがとう!
とはいえ最後のセリフでやっぱり苦笑してしまうんですけどね!
年くった四人は更に個性が際立ってましたね。



とにかく楽しい巻。
さらにお話はダイナミックに、スピード感あふれるものになっています。
面白さにも拍車がかかってる。
ボーフォール公の牢獄生活なんてニヤニヤしっぱなし。

かわいそうなのはお馬さん。
そう、昔は移動は全部馬。
走行時間や走行距離に限りがあるのです。
任務の為とはいえ使い潰していくのには読んでてツラいものが……。
戦いの場面で馬を盾にするのはキツイものが……。
きちんと供養してあげておくれ~。

では、このままの勢いでいざ第4巻。
ちょっとドキドキのタイトル、「謎の修道僧」にまいります。



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by teri-kan | 2017-05-17 11:12 | | Comments(0)
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