「華麗なる饗宴」

ダルタニャン物語の第8巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

いや~、饗宴は華麗なんですけどねえ。
ダルタニアンが活躍したのは最初だけ。
アトスはほんのちょっと出ただけ。
ポルトスにいたっては影も形もない。
アラミスは相変わらずコソコソしてたけど。

うーん、激しく四銃士不足!

一体彼らを出さずに物語は何をしていたのかというと、あれですよあれ。
ビバ・若者。
第8巻はタイトル通り、華麗なる、ザ・宮廷恋愛物語。
王は「仮面の男」のルイに近づきつつあるのです。
宮廷内の恋愛はこみこみに込み入ってるのです。
はっきりいって悲劇が起きない方が不思議な展開……(涙)。






そういえばルイ14世って愛妾たくさんの王でした。
愛妾のドロドロって好きじゃないし、そもそもルイ14世って敵なしで好き勝手してたイメージであまり興味を持てなくて、有名人の割には彼の私生活について私は知らないことの方が多い。
数多くいる愛妾で知ってた名前ってマリー・マンチーニとモンテスパン夫人とマントノン夫人くらい。
その他については今回初めて知って「ええ~!?」でした。
アンリエット・ダングルテールは弟の奥さんですぜ?って感じだし、ルイズのことも知ってたらもっと最初から覚悟して読んでた(涙)。
ラウルとルイズのことを微笑ましく見守っていた自分……。
今の展開が悲しすぎます。

王がバレエを踊りまくってるのが笑えます。
バレエといえばルイ14世。
そういえばお父さんのルイ13世は音楽が大好きでした。
遊んでばかりいないで仕事しろと言いたくなりますが、リシュリューにおまかせだったルイ13世はいいとして、この巻の遊びまくってる間の政治はどうなってるんだろう。

いやね、ホントに遊びまくってるのです。
この巻は最初から最後まで皆で遊んで皆で恋にうつつを抜かしまくりなのです。

妻と仲良くなる男性が現れるたび、「ママンどうにかして!」と太后に泣きつく王弟オルレアン公なんて「なんやこいつ」です。
白魚のような肌が御自慢で、お仲間と泳ぎにいった時にはそれが得意満々な王子です。
彼に張り付いてるシュヴァリエ・ド・ロレーヌともども、ちょっと調べてみたらロクでもない彼らなのだけど、このお話の中では一体どうなるのだろうか。

マリコルヌといいマニカンといい、王弟の権威のおこぼれに預かろうとする男どもはどうも皆うさんくさくて、でもまあ当時だからこんなもんかあみたいな、なんともいえない感じです。
ラウルの真っ当さが泣けるくらいまとも。
親友ギーシュも報われない恋に狂ってるだけで、人柄はまとも。
彼ら二人に悪いようにならないように、それだけを願ってますよ。
ギーシュはともかく、ラウルだけはなんとか幸せになりますように!
「仮面の男」を見る限りお先真っ暗だけど!



ところで、今回も地味に水面下で活動しているアラミス。
いよいよアレの御登場です。
なんと、こんな風にこの話は始まるのか!と言いたくなるくらい、いかにも大きな謎な雰囲気です。
ワクワクしますねえ。

にしてもアラミスの野望はすごいな。
死にかけた猊下の俗まみれの遺言といい、彼らはある意味イメージ通りの聖職者です。
清らかなアトスとの対比が極端すぎる。
アラミスとダルタニアンが似てないようでいて似てる理由ってこれですよねえ。

階級社会での野望の持ち方が似てるんですよね。
世俗で出世を目指すダルタニアンと、神に繋がる世界で出世を目指すアラミス。
そのために時にコソコソ動き、大ホラふいてハッタリかます。
二人とも知恵が回るからすごいけど、無茶な人達だ。
知恵が回る者同志、妙なつながりを感じさせられる二人です。
お互いの性格と実力は理解し合ってるし、何かミッションを課したら大雑把な計画だけで綿密に練られたと同じくらいの連携を見せるんじゃないかなあ。



といった感じの、「華麗なる饗宴」でした。

次は第9巻「三つの恋の物語」。
タイトルだけ見たらとっても素敵で可憐なイメージです。
私は古い人間ですので原ちえこの漫画「三つのブランコの物語」なんてものを思い出します。
が、8巻を読む限りそんな綺麗な恋のお話なんて全く期待できません。

恋愛の表現は華麗で装飾的なんですけどね。
さすがアムールの国ですよ。
でもデュマの筆は皮肉とおふざけが入ってて、ホントに素敵なのかお笑いなのか、よくわからないところがある。
翻訳が愉快だからそのままの雰囲気で読んでるけど、笑ってばかりでいいのだろーかと思うこともなきにしもあらず。

できればこれからも笑うことの多いお話だったらいいなあ。
シリアス一直線な雰囲気だけど。



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by teri-kan | 2017-06-19 10:38 | | Comments(0)
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