「三つの恋の物語」

ダルタニャン物語の第9巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

盛り沢山の巻でした。
なんだかいろいろありました。
ホントにいろいろありました。
結構オールスターキャスト。
あ、肝心の人物がいないか。
アトスはなにやってるんだアトスは。
大事な息子の危機だというのに。
……うっっ(涙)……ラウルかわいそう……(涙)。
なんかすごいことになっちゃったなー。

……といった感じの「三つの恋の物語」の感想です。
宮廷で恋愛するというのは大変なんだのう……。






いやもう何から書けばいいのか。
そもそも「三つの恋」とはどれを指すのか。
王とルイズはいいとして、ギーシュと王弟妃? モンタレーとマリコルヌ?
何気に「すげー」と言いたくなったのは、アラミスとシュヴルーズ夫人の熟年元カップル。
似た者同士なんだなあ、あの二人。
ロクでもない方向で。
今更ながらだけど、ラウル、この人が母親なんだよねえ。
ホントに今更だけど、なぜアトス、この人とああなった?

アラミスは物語で語られてない間にいろいろやっていたようで、ダルタニアンが万年副隊長を律儀にコツコツ務めてた間、着々と工作を進めていた模様。
恐い人だなあ。
アラミスとポルトスとダルタニアンが会話してるところなんて、毎度のことながらピリピリヒリヒリ、なんでここまで緊張感あふれるものになってしまうのか、って感じです。
何も考えてないポルトスがいるせいでかえって緊張感が増すというこの不思議(笑)。
気心知れたお友達同士の腹の探り合いはなんとも言えんですね。

この巻のダルタニアンはとてもカッコよくて、もはやただの威勢のいいおもしろ兄ちゃんではありません。
さすが隊長、仕事のできるいい大人。
場の空気が読める察しのいい大人。
ご婦人に優しいいい大人。
銃士隊長は皆に信頼を寄せられる素敵なナイスミドル!

カッコいいんですよねえ。
で、アラミスもまだカッコよかったみたい。
前々から痛風だの結石だの言ってて、今回は歯が2本抜けてるだの4本ないだの、アラミスの体調や容貌の描写ってかなり悲惨だったんだけど、ラストページを見る限り、まだまだイケてるカッコいいおじさまのようです。
あ、ポルトスは変わりなし。昔と比べて更に巨大化しただけで。
ホントにね、アトスは一体どうしているのやら。
可哀相すぎるラウルを助けてあげてよー。

まあ、映画「仮面の男」に比べたら王の処置もまだマシかなあ。
戦の最前線に送られるんじゃなく、イギリスで結婚でもしてそっちに居ついてくれ、ってんだから。
でもねえ、うーん、読んでてこのジレンマ。
おめおめとイギリスに居ついてなるものかという心と、辛い現実は見ない方がいいよ?という心と、ラウルに対してはこっちも心が引き裂かれる。
心から愛していた幼馴染の女の子にただのお兄さん認定されてしまう悲しさは、いやー、ごめん、かける言葉がない。
しかもあの部屋だもんねえ。うー、マリコルヌが有能すぎて眩暈がしそうだ。

マリコルヌとマニカンの才能がものすごくて、私には宮廷生活は無理だと痛感しましたよ。
ああいうのが宮廷で生き抜き、地位を上げていく才能なんだなあ。
マニカンなんて他人の財産に寄生してるクズのはずなんだけど、うーん、複雑。
宮廷は魔窟です。
軍人の方がよほど筋が通っててマシに見えるけど(筆頭ダルタニアン)、でも簡単に決闘にいっちゃうってのはどうなんだろう。
ギーシュとワルドは今となっては何が原因だったのやら、皆があれこれ憶測するからこっちもわけわからなくなってきた。
宮廷は魔窟です。

そうそう、王弟殿下のご自慢のお肌ネタはまだ続いてて、暑いから馬車から降りて馬に乗れと言う王弟妃に、日に焼けて肌がパリパリになるじゃないか!と言い返してるのがとても良かった。
なら日傘をさせ、と言う王弟妃も良かった。
オルレアン公が馬に乗って日傘……(笑)。
シュールすぎる絵だ。是非見たい。



ところでこの本、単行本と文庫本の二つがあって、それぞれ表紙絵が違うんだけど、単行本の方は某カップルが大木の下で雨宿りをしてる場面なんですね。
アラミスとフーケが出歯亀してた、いかにも「三つの恋の物語」のタイトルにふさわしい場面。

一方文庫本の方は、なぜかわびしい葬式を建物の窓から盗み見てるダルタニアンの絵。
あまりにもタイトルにふさわしからぬ、棺桶を土に埋めてるシーン。

……なんでこの場面を表紙絵にしようと思ったのかなあ。
この場面は重要だけど、にしてもなんで葬式場面をチョイスしたのか。
イラストを描かれた方にできれば聞きたいです。

といった感じの第9巻でした。
次は第10巻、タイトル「鉄仮面」。
いよいよですよ。
楽しみー!



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by teri-kan | 2017-06-28 10:39 | | Comments(0)
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