「ダルタニャン物語」の出版事情

これから読んでみたいと思われた方へのアドバイスになればと思います。
第一部「三銃士」だけを読むなら簡単なのですけど、第二部・第三部となると、現状途端に困難になるので。







第一部から第三部までの完全訳は鈴木力衛訳の講談社のものしかないのですが、文庫版はだいぶ前に絶版になり、現在新刊として出ているのは復刊ドットコム版のみになります。
表紙絵が大変美しい単行本ですが、かなり良いお値段です。
1巻2,700円。
全11巻で計29,700円。

図書館で借りられる方はいいですけど、時間的に余裕がなくて購入を選ぶ人間には大変悩ましい価格問題です。
それに単行本は部屋で場所をとるので、できればコンパクトな方が望ましい……。

といったわけで、私は文庫版の中古を買うことにしました。
いわゆる古本ですね。
全巻それで揃えました。

全てネットで購入したのですけど、1巻2巻は数があるのですが、巻も終わり頃になると在庫のあるお店自体が少なくなり、値段も結構高くなりました。
とはいえ単行本新刊と比べたら全然。
最終的には随分安くあがりました。

wikiによると文庫本が絶版になった理由が、差別用語が多かったためとのことなので、そういうのを気にされる方は単行本を選ばれた方がよいかもしれません。
子供が読むのなら注意は必要だと思いますし。
実際文庫本を読んだ印象としては、確かにそういった記述や表現はありました。
なんといっても19世紀に書かれたお話ですからね。
訳されたのも何十年も前のことですし、その手の表現があるのは仕方ないと思います。

ただ個人的には気にならないというか、私が昔に読んだ本はこの程度の表現は普通にありましたし、絶版になった1990年代前半までに読書できる年代になっていた方には、そこまで違和感は感じられないのではと思います。

個人的には作者が生きた19世紀のフランス、舞台となった17世紀のフランスをそのまま味わうのが古い物語を読む醍醐味だと思うので、できることなら原作そのままの表現でいってもらいたいと思います。
そういった言葉一つ一つに当時の価値観が沁み込んでいると思うので、そういう空気を感じたい読者もいるというのは、一応考慮に入れてもらいたいかなあ。
今の価値観で当時を美しく捏造することもないんじゃないかと、これについてはちょっと思います。
難しい問題ですけどね。

まあ、結局言いたいのは、安価な文庫本を手軽に手に入れられる状態にしてくれや! ってことです。
この作品は多くの人が気軽に手にとれるようにしておく価値が絶対にあります。



実際に講談社の完全訳を読もうとされてる方へのアドバイスとしては、巻頭の人物紹介ページは決して見ないこと、ですね。
思いっきりネタバレなので、ストーリーの新鮮さを大切にする方は人物紹介は避けた方がベストです。
最終巻なんて読み終わってから人物紹介を見たけれど、その巻で起こることがそのまま紹介文に書かれていて「なんだこりゃ」でした。

ちなみに単行本はわかりませんが、文庫本は裏表紙も見てはいけません。
ざっくりとしたあらすじが書いてあるのですが完全なネタバレです。
古典だから内容は既に有名とはいえ、あまりにもあんまりなネタバレです。

そういうのを避ければ講談社版は最高です。
翻訳も素晴らしいです。
愉快で読みやすい。
特に文庫本は手軽ですので、古本であることさえ気にならなければ、現時点ではこれをオススメします。



最終巻のあとがきにあるのですが、「これほど長くて面白いことで有名な小説は、他にあまり例がない」というのは、その通りなのだろうと思います。
本当に面白かったです。
長編外国古典文学といえば、真面目で重くて人生の教訓に満ち満ちてるもの、というイメージがなんとなくありますけど、「ダルタニャン物語」は陽気で軽快で生きる喜びに満ち満ちているお話でした。

とにかく愉快に尽きる。
長編だからといって肩に力を入れることなく、ひたすら楽しめばいい物語。
手軽に手に取って手軽に楽しむ。
できればもっと読みやすい環境になってくれればと、とことん楽しませてもらった読者として、切に願います。




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by teri-kan | 2017-07-21 12:55 | | Comments(0)
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