「縄文の神」

戸矢学著、河出書房新社。

著者のこれまでの著作の、ある意味まとめみたいな本。
それぞれの事例をもっと詳しく知りたければそちらを読んで下さい、みたいな感じで、そういった点でちょっと省略すぎというか、解説が簡単すぎる部分もあるけど、「縄文の人々の信仰とはどういうものだったのか」を総合的に著してくれてるので、縄文の信仰の全体的イメージはつかみやすいと思います。

当時の人々は何を畏れ、何を神聖視していたのか、といったことですね。
それが現代の人間にもしっくりくるよう、解説してくれています。







久々に戸矢氏の本を読んだのですが、やっぱり好きですね、この人の古代に対するアプローチの仕方は。
正直「ほんとかね?」「決めつけすぎ?」なところもあるのですが、現代人の感覚で無理のない解説のされ方をするので、結構「そうかも」と思えたりします。
昔から続いてる神事のやり方や、使われるお道具の素材やら様式やら、一つ一つの意味を教えてもらうと、それらが起こった過去と今の時代が結ばれていく感じがするんですね。
それは読んでてとても楽しい感覚なのです。

いろいろ面白いことが書かれてありましたが、麻(大麻)の話は良かったです。
麻は日本に昔から大量に生えていたもので、衣類・生活用具に使われていた他、神社の道具にも使われていたというのは、まあわかるとして、燃やして良い気分になっていたであろうというのには、目からウロコでした。

シャーマンがその煙で神憑り状態になっていたのでは?というのは、腑に落ちましたねえ。
結構その辺長らく疑問というか、「自力でハイになるのも大変だよね、ハイのフリするにしても大変だよね」と思ってたので、マリファナの助けがあったと言われたら、なしでやってたとはもはや思えないくらい納得です。

麻の縄目で模様付けした縄文式土器を焼くのは一年のうちでも特別な日で、おそらくそれは春分・秋分・冬至・夏至のどれかで、大きな火で焼かれる土器はそれこそ勇壮な火炎式土器とかで、炎の中にあるそれらはおそらく神々しくも火そのものの姿で、ずっと燃やし続けるその日はおそらくお祭りのようなものであり、祭の起原かもしれないものであって、きっと麻も火にくべて皆でハイにもなって、焼き上がった灰の中から生まれ出るのは、土から生まれ変わった私たちも知ってるおなじみの土器。それを見て「上手く焼けた~ありがたや~」と喜ぶ人々。

いやあ(笑)、一部勝手な想像だけど、想像するだけで楽しい。
ハイテンションな縄文人っていいわー。
祭好きの日本人ここに誕生!

神に近づくための方法としての入れ墨の話も面白かったな。
以前読んだ誰かの本では、入れ墨は漁で海に潜った時に襲われないため、って書かれてて、多分入れ墨の理由は様々あるんだと思うけど、入れ墨と土偶と呪術の関連は興味深かったです。
こうして体系化されると覚えやすい。



と、いろいろ書かれていましたが、縄文と今がつながってる感が味わえて、楽しく読めました。
日本各地の御神体とされてる岩や山を見て、なんとなく厳かな気持ちを感じられる方には向いている本かと。

お天道様を大事だと思われてる方にもいいと思います。
「お天道様が見てる」とか「お天道様はお見通しだ」などと普通に使われている「お天道様」についても、多分こういうことなんだろうなあと思われる説明が出てきます。
お天道様って、仏教とも今の神道とも違う、なんとも言えない「超越した存在」って感じのものですが、ようするにおひさまのこと。
えらく日本人に馴染んでて、やたら身近な、あらゆるものを超越したモノ。

ちなみに日は「ヒ」。
ヒは日、火、霊(ヒ)。

今現在の自分を振り返っても、昨日まで毎日毎日雨で、今日のおひさまのありがたいこと!ですもんね。
自然への畏怖をよく感じていらっしゃる方にはきっと面白いと思います。




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by teri-kan | 2017-10-23 17:05 | | Comments(0)
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