2014年 11月 06日 ( 1 )

「ヴァロワ朝 フランス王朝史2」

佐藤賢一著、講談社現代新書。

「カペー朝」に続く、フランス王朝史第二弾。
幸運にめぐまれたフィリップ6世から始まるヴァロワ王家の、戦争に次ぐ戦争の歴史&中央集権国家へと突き進む歴史が、各王ごとに詳しく書かれています。

はっきり言ってとても面白いです。
さすが直木賞作家。
この調子でできることならフランス以外の王朝史も書いてもらいたい。

と思ったのだけど、どの国もフランスほど楽しくなさそうである。
偏見入ってるけど、ドイツは真面目くさそうだし、イギリスは陰険そうだし、スペインは陰湿そう。
なんだかんだでフランス史はドロドロしてるけど明るいんだよね。
ホントーに勝手なイメージなんだけど、なんていうんだろう、多分国土が豊かだからだろうな。
広いし温暖。なんといっても西欧の真ん中。
良い土地にあるんですよね。
その点イングランドは教皇庁から離れた僻地の島国、天気もじめじめ、ドイツは辺境&寒い、スペインは明るいけど、陽がきつい分影が濃過ぎる上に対異教徒最前線。
なんだかんだでフランスは恵まれてるんですよねえ。

そんな恵まれてるっぽいフランス。
そのせいもあってかどうか、とにかく戦争ばかりしています。
全方位で戦争です。それが仕事といわんばかりに。実際仕事なんだけど。
イヤな時代ですね。

そんな中でもジャン2世はのほほんとなごめる。昔話で聞くだけならこういう王様の話がいい。
逆に結構腹立つのがフランソワ1世。
ダ・ヴィンチのパトロンとして有名な王ですが、あんまり好きじゃないなあ。
息子のアンリ2世の可哀想な子供時代とか初めて知ったし、こういういきさつならディアーヌ・ド・ポワティエがあれだけ愛されたのは、美貌だけが理由じゃなかったんだなあと納得できる。
歴史を作るのは個性を持った人間だということ、よくわかりますね。
王の性格がそれぞれとてもイキイキと書かれていて、勉強としても読み物としても楽しい本です。

どのようにしてフランスの中央集権化が進んだのか、その過程が面白いです。
封建領主がいる中でどうやって各地の税金を王に集中させていくのか、その流れはわかりやすかった。
なるほど、こうやって社会は熟成していくんだなと。
バラバラだった各地域がまとまっていき、ナショナリズムも生まれていく雰囲気とか、こうして読んでいると、フランス社会の変遷は必然だったのだなあと思います。
この先絶対王政がやってくるのも、ここまで読めば必然としか思えない。
でも、じゃあフランス革命も歴史の必然だったのかとなると、どうなんだろう。
革命から恐怖政治と、大量の人間が死んでしまった時代が必然だったと考えるのは、ちょっと辛いものがある。
王政の廃止は……必然だったのかなあ。
革命以降政治体制がコロコロ変わることも。
パリコミューンなんてものも出てきますし、フランスの政治の革新さというか右往左往さというか、王政が続いてる国との違いとかを、ちょっと考えてしまいますね。

国民としてはこれはしんどいんじゃないかと思うし。
第三者としてはドラマチックで面白いけど、かなり疲れる歴史をフランスは歩んでいるような気がします。
ヴァロワ朝だけでもげっそり疲れてしまいそうな、そんなゴタゴタドロドロです。
面白いんだけどね。




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by teri-kan | 2014-11-06 11:13 | | Comments(0)