カテゴリ:本( 136 )

「日本辺境論」

著者は内田樹。新潮新書。

初めてこのタイトルを見た時「わ、売れそうな本」と思って、著者名を見て「これ絶対売れるだろ」と思って、で、実際売れてるらしいのですね。
買おうかどうか迷ったけど、自虐にも礼賛にも偏ってなさそうな感じがしたので一応購読したのですが、とりあえずその勘は当たっていました。



辺境人は辺境人でいいじゃないか、欠点も多いけどこうでしか生きられないんだから、という趣旨の内容は、多分多くの日本人の肩から力を落とさせてくれると思うのだけど、一方でちょっと暗い気持ちにもなりました。

辺境に対する真ん中とはもちろん中国のことなのですが、以前中国を特集したTV番組を見ていて、中国人の大国意識をまざまざと見せ付けられたことがあるんですよね。
で、その時思ったのです。中国人が日本人の戦争をいつまでも許さないのは、日本が酷いことをしたせいもあるけど、そもそも小さな辺境国が自分達を攻めたという、そのこと自体が気に入らないのだなと。だからどれだけ謝っても許されることは決してないんだろうなあと。

「日本辺境論」を読んでいて暗澹とした気分になったのは、中国に対して思ったそれが韓国にも当てはまるとわかったことで、かつての日本がアホだったとはいえ、辺境国とはかくも立場の弱い国なのかと、実はかなりガッカリきたのでした。
本作は日本人が辺境人特有の思考から逃れられないことを繰り返し説明するのですが、日本がそうであるなら中国や韓国の「自分達は日本より優位の国である」という意識も未来永劫変わることはないということで、真に対等になれるなんて、この先絶対にないってことなんですよねえ。



まあそれはともかく、そんな日本の過去の戦争についても、なぜ当時の軍部は暴走したのかという説明を本作はしてくれるのですが、その内容を正しく理解できるのはおそらく日本人だけでしょう。

空気。その曖昧にして確固たるもの。

いやあ、読んでてこれまたガックリくるくらい日本人ってホントに日本人だなあとしみじみしてしまうのですが、「お国のために」と戦争に駆り出された方々、空襲に合われた方々に一体どう顔向けすればいいのか、「空気のせいで死んだんだよ」なんてとても言えません。

そんな「辺境人」であるがための負の部分はもちろん、逆に良いところも本作には書かれているのですが、特に日本人の「知りたがり屋」「勉強したがり屋」な面についての説明は興味深かったですね。日本人にとってどれだけ「学ぶ」ことが大事か、ちょっと難解な説明ではありますが丁寧に書かれてあって、「日本語」の特殊性のくだりと合わせてとても面白く読ませてもらいました。



辺境人の作り上げた、辺境人を辺境人足らしめる最大のもの「日本語」を大事にして、これからも辺境人らしく向上心を持って頑張ろう!
……というような結論でいいのかな。

辺境という「世界の果てのどん詰まり国家」のアレコレは、当の本人達にとっても摩訶不思議だったりするのですが、それがわかりやすく解説されてて面白かったです。


内田氏の著作、他にも読んでみようかな。
実は「橋本治と内田樹」しか読んだことないんですが、ちょっとそんな気になった「日本辺境論」でありました。




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by teri-kan | 2009-12-15 10:48 | | Comments(0)

「源氏供養」

橋本治の「源氏物語」評論、というかエッセイ。

私は社会人になってもいろんな先生の評論集を買って読んでたくらい「源氏物語」が好きだったのですが、なんで安くはない本を買ってまであんなに「源氏物語」について知りたかったのかなあと振り返って思うに、物語の底に流れる「何か」が知りたくて、紫式部が結局何を書きたかったのかが知りたくて、それでいろんな評論を読み続けてたのですね。
そしてその「何か」を教えてくれたのが「源氏供養」で、これ以降私の源氏評論あさりはパタリと止んだのでした。


「源氏物語」の何を知りたかったのかというと、結局ヒロイン紫の上はどういう人物で、この作品でどういう役割を与えられているのかということだったのですが、これがなかなか難しかった。

源氏に最も愛された女性として羨まれると同時に、最も不幸な女性として気の毒にも思われている紫の上。
彼女の不幸はいろいろあるのですが、最大の不幸はなんといっても生涯出家を許されなかったことで、当時の出家はイコール俗世を捨てる、即ち女を捨てるということだから、それが許されなくて不幸と言うなら、やはり彼女の不幸は女である事そのものということになる。

それはわかるのです。わかって、なおかつ「では女である事はどういう風に不幸なのか?」という事になると、掴めそうで掴めない。具体例は物語中にたくさん出てきて、その一つ一つにこちらもうなずくけれど、じゃあその背景にあるのは何かとなると、感覚ではわかるんだけど言語化できない。
紫の上は不幸で、しかし源氏とはある意味理想的な夫婦関係を築けてもいた。では不幸でもあり幸福でもあった紫の上とはどういう人かとなると、これもなかなかまとまらない。

橋本治はそれらを大変わかりやすく説明してくれて、しかも一言で言い表してもくれました。

「紫の上は走る少女だった」

もう目からウロコです。





続き
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by teri-kan | 2009-12-11 10:27 | | Comments(2)

「院政の日本人 双調平家物語ノートⅡ」

橋本治の「権力の日本人」の第二弾(講談社)。
前作が武士の登場した時代から遡って奈良時代までを扱ったのに対して、本作は古代から大化の改新、そして院政期以降について書かれています。

相変わらず大変な分量です。そして大変にわかりにくい。
院政期から鎌倉幕府開幕まで、わかりにくい時代をわかりにくさそのままに、わかりにくく説明してくれている。言ってみればこんな感じでしょうか。

わかりにくい時代をわかりやすく説明しようなんて気、この人にはさらさらないんだろうな。院政期の朝廷がグダグダなら、そのグダグダ加減そのままにグダグダと語ってくれるものだから、とにかくこっちも何やら複雑だがとにかくグダグダしてたのだけはわかった、という気分になれる。
頼朝はちんたら動いていて、平家もちんたらしている。細かな成り行きがいろいろあるとしても、とりあえずあの時代は実はちんたらしていたんだということを、読んでいてもう骨身に沁みて感じられる。
なんといいますか、橋本治のあっちへ行きこっちへ行きの書きっぷりが、あの時代の空気感をそのままに伝えてくれているかの如くなのです。

それでいながら反面非常にわかりやすい。これまで不勉強なせいもあるけれど、本作のおかげであの時代の流れを私はやっと理解することができました。
源平の時代の出来事はそれなりに知ってはいたのですが、一つ一つのエピソードが独立してしまって、関連性や時代の流れの中での位置づけとなると、実はよくわからないといったものが多かったのですね。
その点がかなりクリアになって個人的にはとても充実。いいもの読ませてもらったなーという気持ちです。

院政の内実もやっと理解できました。
元々平安時代自体は好きなのだけど、院政期はどうも好きになれなくて、男色にまみれていたことをどう理解していいのかわからなかったし、待賢門院を初めて知った時なんて(高校生の時だったかな)かなりショックを受けたものですよ。あれは乱れているのにも程がありすぎる。
そんなこんなで、これまで私にとってあの時代は、立ち入る気にもなれないほど欲にまみれたグチャグチャの、わけわからん時代だったのですが、橋本治はその辺さすがで、男同士のつながり方があれしかなかった時代というものを、私なんかにもわかるように懇切丁寧に説明してくれました。文書的におおっぴらに出来ない愛を行動原理にして皆がてんでばらばらに動いていたのだから、そりゃわかりにくいはずですよ。全体像を掴もうなんて至難の業。

日本人、変な社会を作ってしまったものですねえ。



本作を読んでいて、なぜ私が日本史の中でも古代から摂関政治全盛期までが好きなのかつくづくわかったんですが、結局本のオビに書いてある通りなんですね。それ以降は歴史の表舞台に女は立てないんです。まさしく男の時代になってしまうんですよ。
娘を后にして天皇を傀儡とする制度が良いとはいわないけど、その政治システムに女は不可欠で、だからこそ平安時代は女性が賑やかでした。「枕草子」も「源氏物語」も出来たし。
女の天皇を輩出した時代は言わずもがな。やっぱり私としては女が自分で行動している時代の方が好きだなあ。

でも男は男で大変だったんだということが本作でよーくわかったんで、これを機会に中断している「双調平家物語」をまた読み始めようかと思います。
実は三分の一ほど残ってるんですよね。そこからが正真正銘「平家」の物語だというのに。

一方で最初から読み直したい気分にもなっていて困る。
実は本作での中大兄皇子の評価にカンドーしちゃって、今無性に彼に会いたいんですわ(笑)。

いやあ、天智天皇、というか中大兄皇子、すごいですよ。
「院政の日本人」というタイトルで、院政期から源平時代の人物をあんなにあれこれ書いてくれたのに、一番印象に残ったのは中大兄皇子という、なんともいえないこの状況。



うーん、まあでも先にやっぱり残り三分の一かな。
後白河法皇の変さ加減を味わわなきゃね、うん。
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by teri-kan | 2009-09-03 15:02 | | Comments(0)

系図マニア

私はかなりの系図好きで、各国王家や名家の系図を自前でいくつか作っています。
縦に長いのより横に広がる系図が好きで、特に婚姻関係の繋がりを見るのが楽しい。昔は外国も日本も結婚は政治ですから、家同士の関係は即政治状況の説明なんですね。そういう系図を自分なりに作ると当時の社会や(ヨーロッパの場合だと)国際情勢が理解しやすくなってとても楽しいのです。

系図好きになったきっかけは源氏物語で、大量に出てくる登場人物を整理するために始めたのが最初なのですが、源氏の登場人物は「なんで皆こうやってきちんと線で繋がっていくんだ?」って感心するくらい何らかの血縁関係で結ばれていて、狭い社会の中で皆誰かと夫婦だったり兄妹だったり親子だったりするのです。これでもかってくらい徹底されて皆親戚なのですよ。
「まあ道長だって娘を四人も入内させたしなあ」とか思いつつ、そのうち源氏物語の世界だけでは物足りなくなって、とうとう実際の平安王朝の家系に手を出すことになるのですが、これがまあ物語なんか比較にならないほど複雑怪奇で、はまりこんだら抜けられない(苦笑)紙が足らない(笑)きりがない(笑)。
檀林皇后ってカッコいい名称だなあとか、桓武天皇のお母さんは渡来系の人なのかあとか、井上廃后って何よ、皇后が廃されるなんてことがあったの?とか、楽しく調べつつ、書いた本人しかわからないような入り組んだ系図が何枚も出来上がって、でも「うん、上手くまとめた」と悦に入っていたウン年前……。


地味に楽しんでたあの頃を、橋本治の「権力の日本人」は思い出させてくれます。
あれに載ってる複雑な系図はまさに私が作っていたのと同じもので、そして二作目の「院政の日本人」でとうとうその説明がきたのでした。著者がどのようにしてあの系図を作るに至ったのかという成り行きというかいきさつの説明が。

橋本治が天皇家の系図を書いていくにあたって、どんどん遡って継体天皇や応神天皇まで行き着いてしまったという話には、僭越ながらその気持ちがわかるような気になったものでした。誰が何をしたかは置いておいて「この人の父はこの人で母はこの人」ってことばかり調べてたというのもすごくよくわかる。

でも自分のような凡人と違って、彼は自分が作った系図から様々なことが読み取れるんですね。読んでる資料の量が違いますし、目的をもって系図を作ってるから当然なのでしょうが、にしてもこの辺の作業、本人すごく楽しかったんじゃなかろうかと想像します。

読んでてこれだけ楽しいのだから、書いてて(というより考えていて)さぞかし楽しかったでしょうねえ。




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by teri-kan | 2009-08-12 11:59 | | Comments(2)

「権力の日本人 双調平家物語ノートⅠ」

橋本治著(講談社)。

先月発売された橋本治の「院政の日本人 双調平家物語ノートⅡ」の第一弾がこれ。
数年前に一度読んだのだけど、「院政の日本人」をより楽しむためこの度急遽再読。

かなり分量があって、再読となると「院政の日本人」をかなり待たせてしまうことにもなるので気が焦りましたが、もう一度頭に入れ直しておかないともったいないと思ったのですね。
で、やっぱり読んで正解。結構忘れてたし、それに二度目でもやっぱり面白い~。


壇ノ浦で源氏に打ち滅ぼされる平家、「平家物語」で悪人と断罪される平清盛。
一体彼らは何をしたのか、清盛の罪とは何か。

その疑問を解くため、橋本治の筆は清盛を罪人としたがる当時の社会構造、当時の人々の考え方を考察し、そうなるに至ったそれまで政治状況を解明していきます。そしてその政治はどうやって作られてきたのか、源平の時代を呼び起こした院政の時代はどういうものだったのか、では院政が始まる原因となったその前代はと、考察を重ねて更にその前代へ、またその前へと、清盛の時代から摂関政治全盛の時代、平安時代初期、奈良時代……といった風にどんどんさかのぼって論が展開されるのです。
もーこれが面白いのなんの。

この人は他の作品でもそうなんですが、歴史上の人物に血を通わせる技がすごいですよね。
こういう家族構成でこういう事をしたのなら内心ではこういう葛藤があっただろうという、その筋道の立て方が人の感情として無理がなく、すんなりこちらにも理解できるのです。イキイキとして人間的で、事典や系図上の人物にすぎなかった人達の呼吸や脈打つ感じが、ありありとこちらに伝わってくるのです。

歴史は人が作る。というより、人の営みの積み重ねなんだなあと、つくづく感じられて本当に楽しい。



かくも膨大で面白いこの「権力の日本人」、副題に「双調平家物語ノート」とあるように、これは橋本治の代表作の一つ「双調平家物語」の背景をより詳しく解説している本です。だから「双調平家物語」を読んでから読んだ方がわかりやすいことは確か。
でも読んでいなくても「平家」が好きな人なら全然OKだし、「平家」に興味がなくても歴史好きで「なんで日本社会ってこんなに誰も責任をとらないんだろう」とか疑問に思ってる人もOK。

視点が一風変わっているので、もしかしたら合わない人もいるかもしれないけど、日本の歴史、日本の政治、日本の権力者に不思議を感じている人なら誰でも「おお!」と思える名著だと思います。

そして私はこれから「院政の日本人」。
楽しみだー。
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by teri-kan | 2009-08-10 11:44 | | Comments(0)

「日本故事物語」

池田弥三郎著 橋本治解説 岡田嘉夫絵(河出書房新社)。

昔から日本人が口にしてきた諺、故事、名文句……。
それらの来歴を著者の圧倒的な知識で様々に解説してくれる楽しい本。勉強になるというよりも、とにかく読んでて楽しい。

例えば今も私達が普通に使う「あこぎな人」の「あこぎ」。
落語の「西行」から元ネタの三重県阿漕が浦へ、そして和歌や御伽草子へと、著者の知識と教養に導かれ、言葉の意味の変遷を存分に堪能できる。あっちこっちへと時空を越え、日本人と言葉との関係性の深さがとことん味わえるのです。

もちろんこちらは著者のように和歌にも謡曲にも歌舞伎の台詞にも詳しくなく、ついていくだけで精一杯なのですが、結構わかりやすく説明してくれているし、同じ言葉を使っていた昔の人々に対する親近感みたいなものも湧いてきて、とても楽しい気分になれるのです。



この「日本故事物語」は過去の著作を今年になって復刊させたもので、そのため冒頭に橋本治の解説がついているのですが、この解説がまた面白くて、特に「棚から牡丹餅」(いわゆる「棚ボタ」)の詳細な分析には読んでて顔がニヤけてくるのを止めることができませんでした。

なぜこんな教訓でもない諺がずっと人々に使われ現代まで生き残っているのか。
なぜ「ぼたもち」であって「おはぎ」でないのか。「あんころもち」ではダメなのか。

そういったことが橋本治らしく懇切丁寧に説明されているのですが、この本の趣旨はその辺りに書かれている通りだと思うので、彼の解説ともども楽しめると思います。



上・下巻あって結構な量なのだけど、興味を持った諺から先に読んでも構わないし、見た目の割には取っ付きやすい本ではないかと。
実は私もまだ読みきってないのですが、しばらく手近なところに置いて、気長に少しずつ読んでいきたいなと思ってます。




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by teri-kan | 2009-08-05 13:48 | | Comments(0)

「カペー朝 フランス王朝史1」

佐藤賢一著(講談社現代新書)。

タイトル通りフランス・カペー朝歴代の王について書かれた本。
王様一人一人について性格、成し遂げた事柄等が当時の状況と共にわかりやすく書かれていて、大変面白い歴史本です。

読んでてつくづく思ったのは、君主にとって何より肝心なのは長生きすること、しっかりと男系の子孫を残すこと、それに尽きるんだなあということです。
ハプスブルグ家の繁栄も結局はそれ故なのですが、そういった生命力の強さが人の上に立ち続ける家門の条件の最たるものだというのは非常に納得できますね。

とはいえカペー朝のように、こうまで見事に父から息子へと王位継承がなされているというのは、筆者によれば奇跡的なことなのだそうです。言われてみればその通りで、以前ヨーロッパの歴史の勉強をする時、人を中心に見ていった方が流れが理解しやすいからと自前で各王朝の系図を作ったことがあるのですが、確かにフランス王家はとても書きやすかったのですよ。
これがスペイン、イギリスだとそうはいきません。ドイツなんか最悪です。おかげでドイツの歴史は覚えにくい(苦笑)。対立王とか、どこの家のフリードリッヒさんかハインリヒさんか、頭の中で整理するのが大変なのです。
その点フランスはわかりやすく、勉強しやすい。ヨーロッパの歴史を知りたいと思う人は、とりあえずフランス史から入るのがやっぱりいいような気がします。


本作で一番面白いと思ったのは、後書きでフランス王国を個人商店にたとえたところ。
あれは妙にわかりやすくて笑ってしまいました。
テンプル騎士団撲滅の呪いのせいで直系男子が絶えたという噂も、いかにもな話でウケました。
ていうか、タンプル塔ってテンプル騎士団の本拠地だったんですね。「あ、そうかー、そういやタンプルかあ」って、今更ながら納得しました。



次はヴァロア朝です。戦争、陰謀、発狂、グチャグチャのドロドロ王朝。
カペー朝の王よりも既にたくさん本などに書かれている王達が出てくるので、より面白い作品を期待したいところです。




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by teri-kan | 2009-07-29 10:36 | | Comments(0)

「中世世界とは何か」

佐藤彰一著(岩波書店)。
ヨーロッパ中世初期について書かれている歴史書。発行は08年11月ですが、先月本屋で初めて見つけて購入。思ったよりも早く読み終わることができました。



面白かったー!

もー、こういう本を待っていたんですよ。ヨーロッパがヨーロッパであることの基本というか、どういう風に今のようになったのかその原点というか、それが知りたくてこの時期について書かれた本をいくつか読み続けてきたのだけど、ピンとくるものにはこれまで出会えなくて、なんとなーくモヤモヤしたものをもう何年もずっと抱えていたのですね。

でもこの本でいろいろなことを初めて知ることができました。
ゲルマン人の王の定義、貴族の成り立ち、それから修道院の成り立ち、帝政ローマ衰退からゲルマン国家形成までの混沌とした時代のあらましetc.。
ゲルマン人(というかフランク人)の歴史や思想がわかりやすく書かれていて、いやー、読んでて楽しかったですねー。


私は歴史についてはただの趣味で、専門に勉強したわけじゃないのだけど、これはそんな人間にも読みやすい本だと思います。
もちろんある程度の流れや人物名、地名はそこそこ知ってないとダメだけど、あの辺の時代に興味がある人なら絶対楽しめると思います。


あと数回は読み込んで、全部が全部は無理でもきちんと自分なりに理解できるようにしたいな。
今はまだ上っ面なぞってるだけだし、もうちょっと頑張りたいと思います。




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by teri-kan | 2009-07-08 10:31 | | Comments(0)

「グインサーガ」

作者の栗本薫氏が先日亡くなられ、未完となってしまった作品。
しかし既に覚悟は出来ていたので、そのこと自体については冷静に受け止めています。

体がお悪いことを知っていたからの覚悟でしたが、おそらくお元気でいたとしても、この作品は彼女が生きている限り未完のままだったような気がします。大往生を遂げられたとしても、彼女の手からこの物語が離れることは決してなかったと想像するので、どちらにしても永遠に完結は来なかったんじゃないかな。

それほどこの話はズルズルズルズル長引かされた作品でした。タイスでのグダグダが何巻も続いた時には、さすがの私も本を床に叩きつけたい衝動にかられたくらいで、気の長い私でさえこの有様なのですから、そうでない方々が「50巻あたりでやめた」「100巻でやめた」と口を揃えるのは当然だろうと思います。

あの方はそう簡単に人生諦める方ではなかったとお見受けするので、もしものために、なんてことは考えなかったかもしれませんが、しかし百数十冊もの本を買い続けてきたファンのために、続きのプロットを残しておくとか、そういったことをしているのかいないのか、その辺は少し気になりますね。
何も残していないのだとしたら、それはまた残念なことだと、ずっとこの作品を読み続けてきた者の一人として悲しく思います。もし何かメモなり何なりの形で残っているのだとしたら、いつかそれをどのような形態でもいいので、発表してもらえたらと思います。


「グインサーガ」の前半は本当に素晴らしい話で、あれを思うと途中からの停滞が口惜しいほどに残念なのですが、こうまで作者と一体になってしまった物語であるなら、それも仕方ないのかなと。
しかしきちんと完結させていたなら、おそらく後々まで読み継がれる作品になっていたのではないかな。

かえすがえすも残念です。




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by teri-kan | 2009-05-30 15:40 | | Comments(0)

「天使と悪魔」

只今映画が公開中のダン・ブラウンの原作本。
映画を観にいくにあたって急遽原作を読みました。

本屋に置いてあったアンケート結果があざとくて、あれのせいでどうしても「ダ・ヴィンチ・コード」と比較して読まざるをえなかったのですが、一体あのアンケートは何だったんですかねえ。ああまでして「ダ・ヴィンチ・コード」を貶めないと「天使と悪魔」の映画を見に来てくれそうな人がいなかったんでしょうか。
「ダ・ヴィンチ・コード」の映画は確かにつまらなかったけど、あのアンケートはないわ。商売根性が見え透いていて不愉快の方が勝る。

で、結局本作の感想も比較した感想になってしまうのです。





ほんのりネタバレあり
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by teri-kan | 2009-05-23 23:24 | | Comments(0)