カテゴリ:本( 136 )

「ノートル・ダムの居酒屋」

ダルタニャン物語の第7巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

若きルイ14世のご親政が始まるということは、国自体も若々しくなるということ。
ブラジュロンヌ子爵ラウルと彼のお友達のエピソードも俄然増えて、雰囲気が華やかに、そして少々軽薄になりつつあります。
軽薄というのは作品がというのではなく、若者だから。
若者は若者というだけで危ういです。
今まで読みながら映画「仮面の男」を思い浮かべても、「おとーさんがアレ」というトンデモ設定だったため、「映画は完全な作り話で原作とは違うんだ」と考えてたのですが、ここにきて不安が大きくなってきました。

映画みたいになったらイヤだなー。
原作のルイ14世は映画よりマトモだけど、別のところでややこしそうな人がいるし。

ふと思い出したんだけど、そういえば「仮面の男」を公開時に見た時、「年とった三銃士のお話を思い付くなんてすごいなあ」と、確か感心したんですよね。
壮年・老年の彼らの話が原作にあるということを知らなくて、「うまいこと考えたなあ」って感動すらしてた(笑)。
デュマの鉄仮面の話もよく知らなくて、ていうか、鉄仮面は鉄仮面で、三銃士のお話とは別個のものだと思ってたから、「おおー、鉄仮面と三銃士の話が合わさるのかー、面白い映画だー」って、それこそ大感動してた(笑)。
思い返すと笑えます。



……といった、映画の成り行きを思うと先がかなり心配なラウルと、相変わらず精力的なダルタニアンがメインの第7巻「ノートル・ダムの居酒屋」。
この居酒屋をめぐる騒動が大笑い。
ダルタニアンはやはり大活躍なのでした。




初めて銃士隊が剣を振るって仕事してるところを見たかも
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by teri-kan | 2017-06-12 10:56 | | Comments(0)

信仰心とかいうもの

「ダルタニャン物語」を読み始めてはや二か月。
現在第7巻に手をつけたところですが、ここまでのアトスがとんでもなく興味深いので、今の時点で感じることを書いておきたい気分に。




神を信じる&地図が欲しい
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by teri-kan | 2017-06-05 15:03 | | Comments(2)

「将軍と二つの影」

ダルタニャン物語の第6巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

いよいよ第三部「ブラジュロンヌ子爵」スタートです。
「二十年後」から十年後、「三銃士」から三十年後、いよいよ五十代の彼ら登場。
「三銃士」の時には影も形もなかったルイ14世が、「二十年後」ではただのお子様だったルイ14世が、ここではとうとう立派な若者になって登場。

そう、「仮面の男」のディカプリオ君が出てくるのです。
頭の中で若き王は完全にディカプリオ君です。
ブイブイ言わせてたイヤなルイじゃなくて、おとなしそーなかたわれの方。

アトスはジョン・マルコビッチとトム・バークが微妙にブレンドされた風貌になっています。
ジョン・マルコビッチよりは小奇麗なのです。
ダルタニアンはガブリエル・バーンのように全然重々しくも立派でもありません。
ルーク・パスカリーノ君をそのまま老けさせた方がしっくりきます。
それはなぜか。

……といった感じで始まる、「将軍と二つの影」の感想です。




あれから十年もたってるのにビックリですよ~
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by teri-kan | 2017-06-02 10:23 | | Comments(0)

「復讐鬼」

ダルタニャン物語の第5巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

第二部「二十年後」の完結編です。
清教徒革命とフロンドの乱を背景に、三銃士+1+従者たちが大活躍。
ホントに大活躍。
イギリス脱出行なんて最高すぎる。
命かかってるのに、もはやギャグ。
あー、面白い。
デュマは素晴らしいね!

それはまあいいとして、講談社の「ダルタニャン物語」は巻頭に登場人物紹介が載ってるのですが、4巻と5巻のとある人物の紹介がモロにネタバレで、「なんでこれをここに書くんだ!?」と、シンジラレナーイ気持ちでいっぱいになっています。
これから読む方は本編を読む前に人物紹介ページを見ることは避けた方がいいですね。
そうすればラストページのポルトスの驚きとスッキリ感が共有できる。

はい、決して見てはいけません。
実はネット上でこのページを見ることができますが、絶対に見てはいけないのです……。



では第5巻「復讐鬼」&第二部「二十年後」全体の感想。




革命と王権
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by teri-kan | 2017-05-29 08:44 | | Comments(0)

「謎の修道僧」

ダルタニャン物語の第4巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

第二部「二十年後」の中巻です。
マザランが支配する宮廷と、市民の代表のようになってる高等法院の対立が激化し、とうとうフロンドの乱が勃発します。

高等法院とは法服貴族によって構成されてる機関で、ドラマ「マスケティアーズ」ではシーズン3の第2話に出てきた判事が、おそらくその法服貴族。
捕らえた難民の死刑について王族のパリ総督と対立してた人ですね。
「総督も法に従うべき」と強硬に主張してました。

あと、第9話で摂政人事について貴族の反発を懸念してた人も。
法服貴族は官位を金で買えたので裕福な市民出身者が多く、従来の宮廷貴族とは対立傾向にありました。
王妃が評議会に怒りまくってたけど、ああいった対立の図式が悪化したなれの果てがフロンドの乱と考えれば、案外わかりやすいのではないかと思います。

といった背景を押さえたところで、「謎の修道僧」の感想。




因果は巡る
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by teri-kan | 2017-05-22 08:58 | | Comments(0)

「我は王軍、友は叛軍」

ダルタニャン物語の第3巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

ここから三巻にわたって第二部の「二十年後」です。
「二十年も後の話かい!」って突っ込みたくなるけど、読むとそこまでブランクを感じないというか、普通に第一部「三銃士」の後日談ぽかったりします。
二十年を現代の時間で捉えたらダメですね。
17世紀のお話ですから、今でいえば数年という感覚でよいかと思います。

とはいえ二十年は二十年なので世代は替わってる。
政治の実権を握ってるのはリシュリューではなくマザラン。
三銃士+1もそれぞれの場所でそれぞれの人生を送ってる。
イケイケ時代とは違い、酸いも甘いもかみしめた、もういい大人。

そんな二十年後の、新たな彼らの冒険スタートって感じです。




気前の良さは美徳
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by teri-kan | 2017-05-17 11:12 | | Comments(0)

「妖婦ミレディーの秘密」

ダルタニャン物語の第2巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

第一部「三銃士」はこれで完結です。
最後は大団円。
いろいろあるけれど、とりあえず大団円。




ミレディすげーっ
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by teri-kan | 2017-05-15 09:27 | | Comments(2)

「たとえ世界が終わっても」

副題は、その先の日本を生きる君たちへ。
橋本治著、集英社新書。

時事問題を扱った橋本治の本を久々に読みました。
90年代から2000年代は読みまくってましたが、あの頃は執筆ペースも鬼のように早かったですよね。
ペースが落ちた時は心配したものでした。
まえがきで著者本人が体力の減少に触れてたんだけど、なんと、もうすぐ70歳なんですか。
自分も年くったんだから当然なんだけど、時は流れてますねえ。

まあそういったわけで、本作は橋本治がつらつらと書くのではなく、体力温存のために会話形式になっていて、質問をする登場人物が二人も出てきます。
これがなかなか効いていて、かなり内容を理解しやすい。
初めて橋本節に接する人にはおススメではないかと。
あっちへ飛びこっちへ飛びのウネウネ解説も、会話だととっつきやすいのではないかと思います。

肝心の内容ですが、扱っているのはEUと、EUを生み出したヨーロッパというもの、というか、ヨーロッパの経済事情かな。
それと絡めて日本のバブル時代。
バブル以前と以後の日本の違いと、その前を知ってる人間と知らない人間の違いについての解説。

知らない世代の代表のような質問者その1の青年くんは、私からしてみれば面白かったですね。
知らない世代の人間がどういう人間かということを、言葉遣いは柔らかくも冷徹に述べる橋本治に対して、自分が批判されてるように思ってしまうところが、んー、若いってことなのかな?
世の中の悪口を言ったら自分への悪口のように思ってしまう人って、まあ、いますよね。
社会と自分との距離の持ち方の問題なのでしょうが。
距離と言っても、脳内の話だけど。

天動説と地動説のたとえは面白かったですね。
社会と自分のどちらを中心に置くかというの。
この考え方で結構いろいろと社会で起こってることの疑問が解決しそうな気がします。
「心のない論理」と「心の論理」と「心のある論理」の話も、世の中の人達を理解するのに助かる解説。
こういうのを読むと、やっぱり橋本治はこの世に必要だよねと思います。
なんで世の中が上手くいってないのか根本から理解できますもん。

本書の内容は多岐にわたっていて、いちいち感想を書けないんだけど、全体的な感想となると、西洋的近代をきちんと振り返って反省するってことになるのかなあ。
これは私がここ数年ずっと考えてることでもあるので、私が自分のテーマに合わせてこの本をそのように受け止めたってことかもしれませんが。

でもどうすればよいかというのはわからない。
必要なのはよく言われる「身を切る改革」で、切るべきは既得権層の身なんですが、自分で自分を切りつけられる人ってのはいないから、必要な改革はきっと永遠にやってこない。
なのでタイトル通りずるずると世界が終わることになるのかなあと思うけど、たとえばフランスはバリバリのエリートを大統領に選んだけど、彼が自分とお仲間の身を切ることができたら、ちょっとは変わるかなあ? 
ガラリと変えることができなければEUはホントにもたないと思うけど、ドイツは自分の身を切れるかなあ、どうだろ。
過去を反省してるなら切ってみてよと思うけど、まあ無理ですよね。

「戦争の反省からEUを作ったのだ、平和のためにEUの促進は大事なのだ」という論調があるけど、今の状態は「平和のために中間層は貧困層化することを受け入れろ」って言ってるだけのことになってるから、さすがに額面通り「EUは人類の幸福のために必要」とは信じられない。
爆弾を使う戦争はやらないけど経済戦争にはこのまま突き進みますってことだし、普通の人々が不幸になるという意味では実はどちらもあまり変わらなかったりする。
「爆弾で死ぬのと仕事がなくなってのたれ死ぬのとどっちがいい?」って問われたら、そりゃ爆弾の方が嫌だけど、でも仕事ができないのは人間の尊厳に関わることだから、それで人として生きているといえるのか?という論争に進んだりしたら、ヤバイ方向に向きかねません。
EUはホントに岐路に立ってると思います。

本書もその辺ははなから期待してないっぽいのですよねえ。
未来は暗そう。
これってEUの話だけじゃないし、ホントに未来は暗い。

誰か何とかして下さい。



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by teri-kan | 2017-05-10 11:03 | | Comments(0)

「友を選ばば三銃士」

ダルタニャン物語の第1巻。
アレクサンドル・デュマ著、鈴木力衛翻訳。
講談社文庫。

デュマの「ダルタニャン物語」は三部構成で、第一部が有名な「三銃士」、第二部が「二十年後」、第三部が鉄仮面エピソードの入った「ブラジュロンヌ子爵」となっているのですが、講談社文庫では全11巻のうちの最初の2巻が「三銃士」。
今回読んだのは、なので「三銃士」の前半部分ということになります。

半分とはいえ結構な分量で、なかなかの読みごたえ。
「ブラジュロンヌ子爵」はもっと大分量で、完結までの道のりを思うと気が遠くなりそうなのですが(笑)、第1巻から超面白かったので、もしかしたらサクサク進むかも。
このノリのよさは原文もさることながら、翻訳のおかげもあるのかな?
フットワークの軽い文章が笑えます。
このノリとセンスはとても好きです。



いやあ、ドラマの「マスケティアーズ」から、とうとうここまで来ましたよ。
またここから長い旅が始まる~。

というわけで、「友を選ばば三銃士」の感想です。
ダルタニャンの表記は、馴染みのダルタニアンでいかせていただきます。




みんな若い
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by teri-kan | 2017-05-08 09:09 | | Comments(2)

「プロテスタンティズム」

副題は「宗教改革から現代政治まで」。
深井智朗著、中公新書。

キリスト教の宗派争いが行き着いた先の、二つの国家の違いが面白かったです。
世界をリードする西側の二ヵ国であるドイツとアメリカは、どちらもプロテスタント国家ですが、どういう歴史を経てあのような建国の理念と精神を持つようになったのか、わかりやすく書かれています。

一代で成り上がるアメリカン・ドリームがキリスト教精神に支えられた行為だということには、正直「ええええ~!?」でした。
私なりにまとめると、こういうこと ↓ らしい。

死後に天国に行ける人は神に愛されてる → 神に愛されてるならば生前も良い目を見てるはずである → ゆえに現世で成功してる人は神に愛されてる人である → 成功者こそ正義!
どーよこの論理。

欧州と違って国家と結びつかない民間経営の教会というのがアメリカのキリスト教で、それについての歴史と精神の説明はいちいち面白かったのですが、うん、まあ、これはポジティブになれますよね。
聖書を好きに解釈して好きに伝道して、信者を増やし資金を集め、自分が思う世界をこの世に作る。
それが狭いコミュニティであれ大きなものであれ、こうしたやり方で生きていくというのは、とりあえず自由で幸せなことなんだろうなあ。

ただ、そんなメンタルの国家が外交でうまいことやれるかというと期待できない。
アメリカ式の民主主義を他国に押し付けるのって、伝道の延長みたいなものかなと思うけど、そう簡単にいくはずないっての、どうやら彼らはわかってなさそう。
金儲けはできるから経済力をバックに世界の警察はやれるけど、真のリーダーになれるかというと、かなり怪しい気がする。

まあ、アメリカのリベラルなプロテスタンティズムの解説は、自由と信仰の奇妙なバランスが「なるほどアメリカ!」って感じで、彼らの不思議を理解するのに役立ったのですが、本書のメインはやはりプロテスタント発祥の地、保守思想のプロテスタンティズムの国であるドイツです。
ドイツの歴史は笑えないですね。
ルターにしてみれば、「まさかこんなことになろうとは!」だと思います。




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by teri-kan | 2017-04-28 08:50 | | Comments(0)