カテゴリ:本( 130 )

「異端の人間学」

五木寛之、佐藤優著、幻冬舎新書。

ロシアを知りたければロシアに詳しい二人の対談本!

……というわけで読んでみました。
読みやすいしオススメです。
でもロシアへの親近感はあまり持てません(笑)。
「へー、そういう国かあ」ということはわかっても、仲良くしたいかどうかはまた別物です。

そういう風に思っているのは、多分私だけではないんでしょう。
日本におけるロシアの不人気が深刻で、本書でも外務省がロシア専門家を育ててないことに苦言を呈していたけど、まあそういう賢い人達の事情はともかく、一般人レベルで言えば、ロシアってとことんインテリゲンチャのものなんだなあ、という感じです。
既にこの本からして「ロシアについてもっと知れ」と仰ってる方々がその代表のようなお二人。
知的活動をしなければわからないシロモノ、無理矢理脳みそ働かせてやっとお近づきになれるシロモノ、ソ連もロシアもそんな感じで、なんといいますか、むしろなんでこんな気楽でない国なのでしょうか。
司馬遼太郎の「ロシアについて」で、こんな歴史だからそういう性格になってもしょうがないんだーと思ったことはありますが、それにしてもねえ、いつまでも灰色のイメージなんですよねえ、ロシアって。ソ連でなくなっても。

それがヨーロッパではロシア恐怖症に繋がってしまうということなのでしょう。
日本はわからないままに放っておいてる感じのようですが。
どちらにしてもこんな国だからこそ専門家が必要ってことで、インテリの人には頑張ってもらいたいものです。



ところで、実は私がこの本で最も印象に残ったのは、実はロシアについてではなく、この二人のもう一つの得意分野、「宗教」についてのことでした。
なので、ちょっとそれについて妄想膨らませます。
「アホか」と突っ込まれてしまいそうなくらいアホな妄想なので、生暖かく見てもらいたいです。
五木寛之が、宗教の性格は開祖の没年齢で決まる、というようなことを言ってたのが面白かったので、それについて思ったことをつらつらと。





イエスの享年は33歳か36歳
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by teri-kan | 2016-04-27 11:15 | | Comments(2)

「性のタブーのない日本」

橋本治著、集英社新書。

帯のコピーが全てかなあ。
「タブーはないが、モラルはある。」

タブーがないということは、人間の生理的にあまり無理してないということだから、ゲイが弾圧され続けた欧州の悲壮感なんかと比較したら、当然性的に明るく開放的で、そしてモラルがあるということは、開放的とはいえ人間関係を損なうような外れたことはしていなかったということで、「ん?これはとってもいいじゃないか」と、思ってしまいそうになる。

まあ、そんな簡単なものでもないんですけどね。
でも人間の本能や生理に無理ない生き方ができた日本人は、とりあえず幸せだったかなあと。
そんな性的に幸せノーテンキな人達だからこそ、自由な文化活動が行えてきたんだなあと。
そしてそれが現在の、とことんくだらないけどおかしくて幸せにもなれるサブカルチャーを生み出す原動力につながっているのかなあと。

早々にまとめっぽく書いてしまったけど、いやね、この本すごく面白いんですよ。
なので面白かったところを細かく書きたいんだけど、書くとどうしても下ネタばかりになってしまうというか、そのものズバリの単語をここに書くのはさすがに躊躇われるというか、当ブログの品位が落ちかねないというか(笑)、いやーそれこそが日本である、ありの~ままの~と歌うにふさわしい日本である、と言えば確かにその通りなんだけど、さすがにブログでそのままは書けないわ~、ということで、そういうのとは別に気付いたことをここでは触れておこうと思います。





野暮な長い感想
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by teri-kan | 2016-03-04 23:58 | | Comments(0)

「シャルリとは誰か?」と日本の場合

前回の続き。
カトリックの衰退による宗教的空白、格差拡大によるイスラム恐怖症(外国人恐怖症)の発症、といったフランスの現実を明らかにした上での、著者の日本への指摘についての感想です。





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by teri-kan | 2016-02-17 16:45 | | Comments(2)

「シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧」

エマニュエル・トッド著、文春新書。

昨年一月に起きたシャルリ・エブド襲撃事件に反対する大規模デモを取り上げた本です。
あのデモでは人々が「私はシャルリ」と声をあげていましたが、それをしていた人達は一体どういう人達だったか、彼らにそういう行動をとらせた背景に何があるのか、といったことを、各種統計から分析、解明している本です。

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by teri-kan | 2016-02-15 09:56 | | Comments(0)

「骨が語る日本人の歴史」

片山一道著、ちくま新書。

縄文人、弥生人を中心に、石器時代から現代までの日本人の骨格の変遷を語る本。
実際に出土されてる骨についての研究なので、とにかく科学的。
スッキリとした読後感です。

とにかく、ほとんど知らなかったことばかりで、目を開かされるような心地でした。
日本の土壌は骨の保持に適してないこと、その中で縄文時代の人骨がそれなりに残っている理由、弥生時代の人骨が限られた場所からしかまとまって出土していない事実、そのせいで一般的に弥生顔と言われている顔が大きく誤解されていること、等々、初めて知ることばかりでした。

縄文人の風貌は、いやー、これぞ日本人のベースと言われても、特徴的過ぎてなんとも言えません。
抜歯の風習には驚きましたが、確かに縄文人の顔面をこの本に書かれている通りに想像したら、とんでもなく異形に思えます。
他に驚いたのは弥生時代の人骨の発掘量の少なさ。
限られた特殊な地域から出土した骨だけを見て「弥生顔」と呼ぶのは間違いだと、日本全国で見たらむしろ縄文人っぽい方が多く出てるとか、面白かったですね。
日本人の極端な身長の低さ、階層による顔つきや骨格の違い等、「へえええ~」な事実がてんこ盛りで、これは日本人皆が持つべき知識なのではなかろうかと、読みながら思いましたです。

で、著者もどちらかというと、その知識をどう日本人へ教えるのかということを訴えたかったようで、実はこの本は大きく二つに分けて書かれてあるのですが、純粋な骨の変遷については前半のⅠ、後半のⅡではその骨の事実を基に日本の歴史教育や歴史観に意見するという内容になっています。

これが興味深かったですね。
古代と中世の区切り方とか、関東史観、司馬史観への批判とか。
それと、教科書の縄文時代の記述量が少なすぎるということ。
縄文時代に日本人の日本人たる所以が出来上がったというのに、肝心の縄文時代についてまともに教えられてないから、日本人は自分達のことがわからないのだって話。
だからいつまでも日本人の自分達探しが行われるのだと。
自然を愛でる性質、海大好きの性質、現在日本人らしいと言われているもののベースは縄文時代にあるのだから、もっと授業でそれを学ぶべきだという主張。

いやもうそれは大賛成。
いつまでたっても「日本人とは何なのか」的なテーマでウロウロしてるのもなんだし、硬直化した歴史観から一歩踏み出せたらいいなと私も思います。

その歴史の見方を変えてくれるのに人骨という事実はとても有益そう。
この本の話を学校の授業で聞いたら、きっと面白いだろうなあ。
テレビでいいので骨の特集やってくれたらいいんじゃないかと、ちょっと思いました。
本書の文章を読む限り雄弁そうな先生とお見受けするので、こんな感じで解説してくれたら、きっと皆楽しく聞けるんじゃないかなあ。




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by teri-kan | 2015-11-27 09:17 | | Comments(0)

「日本人にとって聖なるものとは何か」

副題は「神と自然の古代学」
上野誠著、中公新書。

多神教についての解説が面白かったです。
多神教とは次々に神が生み出される宗教で、神の優劣をめぐる争いによって神は上位に立ったり消え去ったりするっていうの。
次々生み出されるっていうのは、確かにそうですよね。

たま大明神の話とか
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by teri-kan | 2015-10-23 11:25 | | Comments(0)

「山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰」

吉野裕子著、講談社学術文庫。

山の神としての神格には二つあるのだそうです。
まずは蛇。
三輪山の神が蛇だったという伝説は有名ですね。
そして猪。
映画「もののけ姫」にもたくさん出てきますが、猪も山の神の象徴です。

ヤマトタケルの物語では、古事記と日本書紀で山の神が違ってて、古事記では蛇、日本書紀では白猪となっています。
この二つにはどういう違いがあるのか、何を根拠としてそれらが山の神とされているのか、それをこの本は詳しく解説してくれるのですが、正直言って猪の方は難しかったなー。
陰陽五行説が基盤になってるとのことで、その論理を一般人が理解するのは並大抵のことでは無理です。
学問上の理をベースとして、理屈で猪を山の神の象徴としてるわけなんですが、これは読んでても「覚えられんーっ!」て感じでした。
私の頭ではついていけなかったです。

一方、蛇の解説はわかりやすい。
ホントーにわかりやすい。
それでもっていちいち「なるほどー」「そうだったのかー」と感心させられる。

例えばヤマタノオロチ。
確かに記紀の描写では背中に木が生えていて、それってどういう蛇よって感じだったんだけど、この本の通り、そのままその通りの山をイメージすれば描写は全く正しく、むしろそれしかないということになります。
山の稜線のうねうね……確かに蛇っちゃあ蛇だよね。

その辺の「古代人のイメージの源泉は全て蛇」というのは、やたらめったら面白かったですね。
人間が蛇の脱皮に大いなる力を感じ、そのイメージの再現に腐心したであろうことも想像できます。
蛇を意味するヤマカガシと田んぼを守るカカシ(案山子)はカカで通じているとか(カカは蛇の呼び方)、どちらも足がないとか、楽しかったですよ。
ヤマタノオロチに娘を奪われてきたアシナヅチとテナヅチ夫婦も、それぞれ足がない、手がないの意味で、二人とも蛇からきているとか、へええええって感じ。
彼らの娘のクシナダヒメは稲田の神様ですが、蛇だったとも言われてますし、蛇の親子なら辻褄はバッチリ合う。
とにかくいろいろと面白かったですね。

この説が正しいのかどうかはわからないけど、蛇が古代の人々に敬意も恐れも抱かれていたのは確かなので、こういう考え方は十分アリなんだろうなあと思えます。
とても楽しく読むことができました。
今なお蛇の痕跡の残る日本の文化ということで、蛇からのアプローチはいいですね。
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by teri-kan | 2015-10-16 11:40 | | Comments(0)

「昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか」

大塚ひかり著、草思社。

面白そうだと思って購読したのですが、思っていた以上に高齢者福祉のお話というか、昔話を深く知るというよりも、とにかく高齢者福祉、高齢者福祉の本です。
昔話や古典文学の解説は確かにたくさんあるのですが、現在の日本の高齢化社会を考えずにはいられない内容で、そういったものを求める方には大変オススメの良い本だと思いますが、昔話についてちょっと知ってみたいかもという程度の人には重いかもしれません。

高齢者福祉のみならず児童福祉にも関わる内容で、昔話の主役とは、ようするに社会的弱者ということなんですね。
社会的弱者とは何かというと、生産活動に携われない人達ということで、要するに「働かざる者食うべからず」、働けない者に生きる資格はないという、社会でギリギリのところにいる人達のこと。
姥捨て山、捨て子、酷い行動をとる老人、そういった昔話がゴロゴロあることの理由が、働けない者の生きる居場所がない過酷な現実の反映だったということです。

体の弱った老人は社会で完全にいらないモノ扱いされる。
現代の価値観だと「なんて酷いんだ(怒)!」ということになりますが、貧しい社会は古今東西大なり小なりそんなものではあるでしょう。
現代の日本でさえ年金支給年齢はどんどん上げられて、老人は死ぬまで働かなければいけなくなるかもしれない。
働ければまだましで、働けなかったらどうすればいいのか。
面倒みてくれる子供がいればいいけど、子供も共倒れという話は普通にある。
生産活動ができない人を養うというのは、個人・国問わず財政に余裕があってこその話なんですよね。

読みながらしみじみ経済が順調であることが何より大事だなあと思わされたのですが、介護にお金がかかるのは当然として、高齢者はもちろん障碍者といった社会的弱者が世の中で活動しようと思うなら、例えば電気使用量は必然的に高くならざるをえないわけです。
エスカレーター、エレベーター、クーラー、夜道の明るさ、なんだか細かいこと言ってるけど、弱者と言われる人達がなるべく不自由なく安全に生きていこうと思ったら、大量の安定的な電力はどうしても必要。
しかも安い電力です。
電気料金が高くなったから国内工場を閉めて海外移転させるなんて話を聞くと、失業者とその老親の介護はどうするんだ、税収も減るじゃないかということになるし、高齢者を大切にと思うなら、経済力を低下させるわけにはいかんのですよね。
電力も安定的に安くとなると、原発の再稼働の問題も考えざるをえなくなって、なんかもう読んでてホントしんどいんですよ。
難しいですねえ。

というように、昔話を知りたかったのに現代の問題を突きつけられるところがしんどくて、可愛らしい装丁に反して結構ハードな中身が「ちょっと想像していたのと違っていたかも」といった感じの本でした
川崎の老人施設の事故や虐待とか、これに書かれてることと大して変わらない事件も頻発してるし、昔話で全然すまないんですよね。
だから本当にしんどい。

我ながら甘かったなあと思います。
主役をはるパワーあふれた元気な老人を求めてこの本を読んだら愕然とすることウケアイ。
老人問題は昔も今も綺麗ごとじゃ全然ないですね。
社会のあり方と直結してるから考えなきゃいけないことが多すぎる。

あ、そういえば、認知症は現代に特有の問題かと思っていたら、昔から認知症の老人がいたという話は印象的でした。
これはちょっと書いておきたいかも。
突然豹変する鬼婆の話とか、奇行の老人の話とか、そういった昔話の老人は認知症の人がモデルになってるんだそうです。
言われてみればなるほどーです。
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by teri-kan | 2015-09-30 14:51 | | Comments(0)

「新訳 フランス革命の省察」

副題は、「保守主義の父」かく語りき。

エドマンド・バーク著、佐藤健志編訳。
PHP研究所。
1790年出版の原書の要約版です。





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by teri-kan | 2015-08-17 16:06 | | Comments(0)

「猫医者に訊け!」

猫好き&猫飼いに人気の猫ブログ「くるねこ」に登場する猫医者先生による猫の本。
質問に先生がズバズバ答えていくという形式です。

鈴木真著、イラストは当然「くるねこ」のくるねこ大和さん。
KADOKAWA/エンターブレイン。



思ってたよりも真面目な内容でした。
猫の健康や命に係わる本だから当然真面目であるはずだけど、猫を飼うことの意味とか基本とか、人間とは違う種と共に暮らすことの根本的な心構えというものに重点が置かれてたように思います。

結構説教調なんですよね。
で、辛口。
猫医者として日々とんでもない飼われ方してたり悲惨な目にあってる猫に接しているからだと思うのですが、猫への無理解や理解しようとしない人達に対しての怒りが日頃からあるのかなあと、ちょっと考えさせられてしまう内容でした。
不幸な猫を一匹でも減らしたいという思いが辛口文章から伝わってきます。
飼い猫との関係を見つめ直そうという気持ちにさせられますね。
うちのネコ、ダラダラと幸せそうだけど、ホントはどうなんだろうという気にさせられます。

草を食べたがるのは普通じゃないというのには驚きました。
うちのネコ、年取ってから食べたがるようになったんですよねえ。
思えば歯を抜いてからのような気もするから、そういうのも関係あったりするかな。
牙しかないから葉っぱを口に入れても咀嚼できないんだけど、なぜだか噛みたがるのです。
松の葉を丸呑みしてたのには仰天したけど。
松葉って消化されないんですよー。なんとそのまま出てくるのです。
もうねえ、ビックリですよ。
子供の頃から猫は飼ってきたけど、いろんな子がいますねえ。

本の中で記録より記憶に残してほしいと言われていたのですが、死んでしまった後に写真の少なさに泣いた過去があるので、それなりに撮っておくのはいいんじゃないかという気もします。
大事なのは当然記憶の方ですけどね。

猫飼いとして考えさせられることの多い内容でしたが、猫と今以上に良い付き合い方をしたいなと思わせるものでした。
元気で長生きしてもらいたいですもんね。
なるべく猫に合った生活をさせてあげたいし、そのためには辛口説教も時には大事かな。
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by teri-kan | 2015-08-03 16:13 | | Comments(0)