カテゴリ:漫画(河惣益巳)( 13 )

「ツーリングEXP Euro1」

ワールドカップ期間中に読んだんだけど、

嗚呼、ツーリングよ、何処へ行く……。

確かに絵は昔から下手だった。でも下手は下手なりに何を描きたいのか、その情熱はかつては紙面から十分伝わっていた。
でも今はその熱さもない。これが売り物になっていいのだろうかという居心地の悪ささえ感じるほどに酷い。

もうどうにもならないのでしょうか。
絵柄は確かにどの漫画家も変化していくもので、この作者より酷い人もたくさんいるけれど、あのディーンがこんなになってしまう悲しさというのはやっぱりとてつもなく大きいのです。

嗚呼、頭……。
頭ですよねえ……やっぱり。



色ぼけストーリーを徹底して描くなら、それはそれでもういいんです。
愛に溺れるディーンもそれはそれでよかろうよ。
シャルルはディーンの子供が産みたいのではなかろーか?みたいな話の展開も、ここまできたら最後まで付き合うよ。家族ネタ・子供ネタのオンパレードには辟易するけど、それくらい年月がたったんだと理解してとりあえず受け入れるよ。

ていうか、この話は一体何の話だ?
「ツーリングEXP」はS級スナイパーとインターポールの刑事がヨーロッパを舞台に繰り広げるシビアでハードな関係を描いた物語ではなかったか?
それが二人の恋愛話に終始するような話になって……うううっ。

いや、恋愛はいいんだ。恋愛するのはいいんだけど、彼らに横恋慕する人間が、彼らの嫉妬をかきたてる人間が、なんでよりによって子供なんだーっ!
子供なんですよ?皆さん。シャルルもディーンも十かそこらの小娘に嫉妬して、深刻になって、そんでもって愛を確かめ合ってんですよ?
あんたら一体いくつだよって言いたくなっても仕方ないと思いませんか? 
彼ら四十歳?五十歳?
あんまり深く考えたくないけど、嫉妬するならもっと大人っぽく嫉妬してくれ。



まあねえ、普通なら破綻する関係だとは思うんですよねえ。
結局お日様の下の子のシャルルにどうしようもない暗い感情を抱えてディーンは破滅。陽と陰に引き裂かれるようにしてシャルルも破滅。これがあるべき未来だとは思うんだけど、おそらくそうはしたくない作者が必死で踏みとどまっているのではないか、なんとか彼らを幸せにしようと足掻いているのではないか……とかなんとか好意的に考えてみたりする私。

実は描かないのが一番いい手なんだけど、作者はディーンとシャルルが好きなんだろうなあ。
二人にとってはいい迷惑かもしれないけど、しょうがない、これからも「ありえねー」とか「色ぼけすぎ」とか突っ込まれながらヨーロッパを舞台に頑張って下さい。
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by teri-kan | 2010-07-09 09:47 | 漫画(河惣益巳) | Comments(15)

「風の城砦(カスパ)」

河惣益巳の少女マンガ。
この人の作品の中では地味な存在かもしれませんが、内容は華やかで勢いがあって、作者の本領発揮といえる作品です。

舞台は19世紀末のフランス領アルジェリアとパリ。
古くから続くフランスの伯爵家、アルジェリアの部族長の一族、中世のオカルトと近代の科学技術……興味深いネタ満載の作品です。
主人公が例に漏れず強烈で、主人公の家族も皆揃って強烈。バイタリティがあるというか、作品そのものもイキイキしていて、厚めの文庫本2冊の長さですが、一気に読み進められる内容になっています。

本作のテーマは、伯爵家に続く「呪い」と、それに打ち勝とうとする「人の意志」の闘いにあるのですが、何百年にもわたる呪いがテーマな分、とてもオカルト色の強いお話になっています。
個人的にはちょっと強すぎて、特に後半部分の近代とオカルトの比重は、もう少しオカルトを少なめにした方がいいような気もしました。
あまりネタバレになってもいけないので詳しくは書かないけど、人の寿命にはやっぱり限りがないか?

とはいえ話自体は大変面白い。冒頭から一気に読者を引き込む力の強さはさすが河惣益巳。
ラストはちょっと駆け足だけど外伝がちゃんと補ってるし、ページ数に見合った、いや、それ以上に充実の内容だと思います。

費用対効果というか、ページ数対充実という意味では結構いいところいっていて、実は河惣作品では「ツーリング・エキスプレス」とかよりこちらの方が人には薦めやすい。
ただオカルトのバランスがちょっと悪いのと、恋愛モノではないところが評価が分かれるかなあ。
多分その辺がいまいちこの作品が地味な理由なんでしょう。

上手くまとまってるし、とても面白いんですけどね。
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by teri-kan | 2009-11-27 10:30 | 漫画(河惣益巳) | Comments(2)

「火輪」の登場人物 開(カイ)

現天帝。表向きは前天帝の息子。

実は白玲と祐が極秘に儲けた子で性別不明の豎眼の持ち主。誕生後すぐ殺されかねなかった命を玉皇太子として生きることで救われたが、結局のところそれが自身の最大の不幸となり天界全体の災いの元となった。

広に愛情を抱くが、非常に偏執的でほとんどの言動がそれに左右される。天界の騒動の多くがその開の行動に原因があり、特に黒韶追放事件・瑤池破壊事件はその最たるものであった。

地上が混乱の態を深めていくと共に行動はより破壊的・自滅的になり、感情を鎮めるべく広によって竜王妃に迎えられたところでようやく精神的に落ち着くことができた。

批評と感想
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by teri-kan | 2008-12-05 10:02 | 漫画(河惣益巳) | Comments(2)

「火輪」の登場人物 昱花(ユイホワ)

真珠精の一人。長姉にあたる。
西王母の腹心、リーアンの母。

九天玄女として長く瑤池に仕え、竜吉以下西王母の娘達全員の養育を務める。竜吉が天界追放されるにあたっては自らも人界に下り、洞府を開いてそこから彼女を見守った。

碧の海岸で公子・戴望と知り合い彼の子を儲けるも、その子が人界に禍をもたらす宿世にあることを予見し、望には明かさず一人で出産。子の額に豎眼を確認し、力の封印と養育とを広と白玲に頼んだ。

出産のため妖力を失い長く金真珠のまま蓬莱山で英気を養うが、望とリーアンの力で再び人型を取り戻し、その後は望と行動を共にして彼と息子リーアンの戦いを見守った。

謹厳で清冽、三真珠の中で最も何物にも揺らがされない。しかし運命に無駄に抗う真似はせず思考は柔軟である。
そのため騒動が一段楽ついた段階で人型のままでいることを選択している真珠精は、結局昱花ただ一人であった。

批評と感想
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by teri-kan | 2008-12-04 13:11 | 漫画(河惣益巳) | Comments(0)

「火輪」の登場人物 黒韶(ヘイシャオ)

三千年前に天界を追放された真珠精の一人。
妖艶な美女で様々な男の運命を狂わせた。

三真珠が引き離された際は天宮に引き取られるが、それ以前も以後も当時の竜王・祥のお気に入りの愛人であった。自身も非常に祥を愛しており、玉皇太子・開の素性を知った時には亡き祥の意志をも察し、彼女なりに開を守ろうと寂しがる彼を心でも体でも慰めた。
生来情深く、開もその優しさに救われるのだが、外見が扇情的であるため若い皇太子をたぶらかす妖婦としての悪評を轟かせてしまい、広にも昱花にも誤解されたまま天界追放の憂き目に合う。

後の人生は復讐のみにとらわれ、色香を使って辰朝最後の皇帝・頼に政務放棄させたのも人界の災いは天界にも降りかかる故であった。千年前のそれが失敗に終わると、現在の華朝で成功させんと皇家中枢に入ることを計画。後宮にあがり皇帝の子を懐妊したように見せかけると、自身の記憶と知識をそのまま受け継ぐクローンを仙術で作り出し、その子供・律が国政に関与できるよう画策した。しかし自身はその術によって人型を保てなくなり、真珠玉に戻ってしまった。

晴れて人型となって水晶宮に帰るも心は満たされず、決して死なない真珠精であることに疲れ果てた末、最後には魂を冥府へ送ってもらうことを選択した。

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by teri-kan | 2008-12-03 10:55 | 漫画(河惣益巳) | Comments(0)

「火輪」の登場人物 白玲(パイリン)

真珠精の末妹。リーアンの養い親。

昱花・黒韶と離され水晶宮に一人残された後、広の叔父・祐と恋仲になり極秘に一子を儲ける。しかし生まれた子が豎眼を持っていたため子の処遇を天帝と竜王によって決められ、抱く間もなく取り上げられてしまった。

子は天帝の実子として玉皇太子に宣せられたため会いに行くことも母子の名乗りをあげることも許されず、その後恋人・祐が広と戦い竜王剣で殺されるに至って遂に人型をとることを放棄、千年もの間心を閉ざして真珠玉のままでいた。

目覚めた後も広と竜族に対する恨みが消えることはなく、リーアンを養育する過程で笑顔は戻ったものの、人界の帝位簒奪に竜王剣を使用されたショックで再び真珠玉に。更に広が竜王剣によって傷つけられた時、剣と共にあったため竜王の血を直に浴びてしまい完全に精神が破壊した。

心が壊れた後は奪われた子のことしか頭になく、最後には開の胸元で真珠玉としてあり続けることを選び、永遠の安息の中に閉じこもった。

臆病で非常に耐性が弱い。
五千年に渡って広に愛されたが彼を許すことは生涯なかった。

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by teri-kan | 2008-12-02 13:57 | 漫画(河惣益巳) | Comments(0)

「火輪」の登場人物 敖広(アオ・コアン)

東海竜王。竜族の長で天界随一の武将。
全ての事情を知る天界の重鎮で、リーアンの強力な庇護者。

三真珠が人型をとった時、少年ではあったが既に立派な竜族の嗣子であった。繊細な白玲に心ひかれ自身の婚約者と定められるも、彼女の恋人である叔父・祐を竜王位をめぐる争いの末殺したため、彼女の愛を得ることは生涯かなわなかった。

白玲の子である開を幼少時から可愛がるが、開の広に対する愛情は年月がたつにつれ偏狭的になり、後には彼をコントロールするのに大変な苦労を払うようになる。特に開と竜吉の決裂が決定的になってからは騒動が拡大せぬよう苦心を重ねた。

開を退位させ竜王妃として迎えて天界を鎮めることが出来たと同時に、ようやく白玲への想いから解放される。
最後、自身の正体を明らかにすることで真珠精が起こした騒動の全てに決着をつけた。

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by teri-kan | 2008-12-01 00:45 | 漫画(河惣益巳) | Comments(3)

「火輪」の登場人物 敖祐(アオ・ユウ)

前竜王・祥の弟、広の叔父、白玲の恋人。

性格的に穏やかな上、気配りの出来る大人だったことから気弱い白玲の心を得る。しかし三ヶ所に分けられた真珠精のうち唯一人水晶宮に残された彼女は、既に次代の竜王・広の妻となることを定められている身であった。

白玲との間に出来た子の処遇は兄・祥の計らいで外部に漏れずにすんだが、祐自身はその後しばらく山に蟄居しており、水晶宮に戻ってこられたのは祥が病床についてからであった。
それも竜王の代行として政務につくため、広が成人するまでのことであり、兄の死亡後悩んだ挙句軍をあげることを決意、白玲を得るため竜王にならんと甥・広と戦った。

竜族の中には祐の側についた者も多くいたが、天界中が広を支持する中での戦いに勝ち目はなく、最後は竜王剣で広によって殺された。

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by teri-kan | 2008-11-30 02:15 | 漫画(河惣益巳) | Comments(0)

「火輪」の登場人物 敖祥(アオ・シアン)

前の竜王。広の父。

剣の舞を披露しようと三真珠のはまった竜王剣を鞘から抜いた際、真珠精が人型をとる。
三真珠は竜族のイメージ通りの姿で現れ、なかでも最も強く祥の理想を象っていた黒韶は自身の愛人とするほど妖艶な美女であった。

祐と白玲の間に出来た子が豎眼の持ち主と知った際、殺害か幽閉かを考えるが天帝の実子にすることで解決。しかし白玲・黒韶への自身の行為が結果的に後の世の騒乱の元になるとはこの時は知る由もなかった。

艶福家で知られ多くの女性を愛し又愛されてきたが、汎梨誕生の頃病に倒れた。

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by teri-kan | 2008-11-29 01:47 | 漫画(河惣益巳) | Comments(2)

「火輪」の登場人物 楊戩(ヤン・ジン)

清源妙道真君の号を持つ仙人であり朱雀。
竜吉の恋人、後に夫。リーアンの師匠。

師・玉鼎真人に入門志願したリーアンの才を見込んで彼と師弟の縁を結ぶ。当時のリーアンを弟子にとることは天帝皇帝双方に敵対する行為であり、それがもとで長年仕えた師からは破門されリーアンと共に旅に出ることとなった。
仙術のみならず人生相談から恋の悩みまであらゆる方面でリーアンに指導・助言し、特に竜王剣を華朝側より奪還するまでは常に傍らにいて彼を助けた。しかし騒乱が深まるにつれ互いの利害がぶつかる事態も度々起こるようになっていった。

もとは千年前に滅んだ王朝・辰の武人、皇帝の甥。
代々元帥位を授かる名家の子として生まれ、十三歳で初陣を飾って以来驚異的な軍才を示す。折しも帝国は各地に反乱が続発する末期的な状況で、公子時代は反乱鎮圧のため地方遠征につぐ遠征の毎日であった。
多難な時期の皇帝には大人しい皇太子より向いていると帝が帝位の移譲を遺言するもそれを拒否。仲の良かった同い年の従兄弟を押しのけて帝位に就く気などなく、即位を請う廷臣達に屋敷を囲まれてしまうに至って遂に出奔を決意、玉鼎真人に誘われるままに入山し、以後数百年人界との関わりを断ち厳しい修行を積み続けた。

辰国滅亡の原因を後に史書より知り華朝への恨みを抱くと共に、開によって一族を全滅させられた鳳凰族の恨みをも朱雀の力と共に身内に取り込む。一つの身に二つの宿世を負うという生き方を図らずも選んでしまったことで、その後に起こる天界人界双方の騒乱に根本から関わっていくことになる。
目的の為には手段を選ばない性質で、華朝の内部事情を探るため律と同衾することも厭わず、開を討つため天宮・水晶宮に押し入ることさえやってのけた。
最終的には竜王妃となった開・即ち竜族と和解し、律の魂魄を冥府より戻すため豎眼を持つまでに至った朱雀の力を失う。しかし妻竜吉に優しく迎えられ、その後はただの仙人として、西王母の夫として生きていった。

公子時代は稀代の戦上手として「如鳳将軍」の異名をとるほど。快活で見目麗しく、美女と誉れ高い竜吉・黒韶と並んでも見劣りしない華を持つ美丈夫である。

批評と感想
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by teri-kan | 2008-11-28 13:53 | 漫画(河惣益巳) | Comments(0)