カテゴリ:アルセーヌ・ルパン( 72 )

「みんなの怪盗ルパン」

小林泰三、近藤史恵、藤野恵美、真山仁、湊かなえ著。
ポプラ社。

アルセーヌ・ルパンのオマージュ小説集。
五人の作家が一作ずつルパンの活躍を描いています。

では、それぞれの感想をば。




これはポプラ社です!
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by teri-kan | 2016-05-06 15:50 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「大空のドロテ」

瀬名秀明著、双葉文庫。
上下2巻。

モーリス・ルブランの「綱渡りのドロテ」のドロテを冠した物語。
「日本SF作家クラブ50周年記念作品」として発表されたもので、文庫化されるのを待って昨秋購入しました。

思いの他読むのに時間がかかって、忙しい時期だったとはいえ二か月以上も費やしました。
なかなかページが進まなかったですねえ。
「これはどういう読者を想定して書いたものなのか?」という疑問も大きかったかなあ。
要素が詰め込まれすぎた話だったですね。


では、以下はネタバレありの感想。

大人の少年の物語
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by teri-kan | 2016-01-29 15:05 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「真夜中から七時まで」

モーリス・ルブラン作、偕成社。
ルパンは登場しませんが、別巻という形でアルセーヌ・ルパン全集に連なっている作品です。
ルパンを思い起こさせるような冒険好きの色男と、若くて美しい娘さんが主人公。
誰でも気軽に読める冒険恋愛小説です。

うん、これは推理小説ではありませんね。
事件はあるし泥棒もあるけど、ヒーローは犯罪者でなければ探偵でもない。
全然悪いことしてないわけじゃないけど、いたってフツー。
仕事仲間が悪人なだけで、彼は健全です。

ただ少し、いや、かなりヒドい女たらし。
そこの部分ではヤなヤツです。
自分本位なんですよねー、最後には真実の愛に目覚めるけど。
そこら辺がちょっとルパンとは違うかな。
ルパンの方が悪人だけど、ルパンはもっと誠意があって、愛嬌は倍ほどもある。
でも所詮は悪人だからね。
本作のヒーローは真っ当な人なので、未来の幸福も描けます。

とにかく読んでて思ったのは、ヒロインがやたらと律儀なこと。
いやもう立派なもんです。
ここまで筋を通すお嬢さんも珍しいのではないかと。
ヒーローはそこに絆されたりするので、やっぱり人間何事にも誠実にあたらないといけないなあと思いますねえ。

印象的だったのは亡命ロシア人の描写。
第一次世界大戦後のパリというか、ロシア革命後のパリが主な舞台で、ストーリーにロシアが深く関わることもあって、亡命した人々の登場がとても多いです。
ルパンもロシア貴族に変装したりしてますが、パリにロシア人が貴人庶民関わらずたくさんいたということ、とてもよくわかります。

結構面白い作品だと思いますね。
いろいろと不思議なところもある話だけど、当時のパリとかフランス人を楽しめることは間違いないです。
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by teri-kan | 2015-07-08 15:02 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「ルパン危機一髪」

ボワロ=ナルスジャック作のパスティーシュ第5弾「アルセーヌ・ルパンの誓い」のポプラ社版。

この作品の日本語による全訳はされてないらしく、読もうとなると子供向けのポプラ社しかないそうですが、このポプラ社版も現在ではシリーズから外されており、読む事がますます難しくなっているというアルセーヌ・ルパン本です。

有力政治家の殺害から始まる連続殺人事件をめぐる話で、ルパン扮するルノルマンが活躍しています。
ルノルマン時代というと、ルパンが三十代半ばから後半にかけてといった年齢。
心身ともに最も充実してる時期ですが、事件の性格からして他のルパンものらしいスケールの大きさは感じられません。愚直に警察の仕事を務めているといった感じで、泥棒まがいのことも一応するにはするけど、目も眩むようなお宝や大いなる歴史の謎とは無縁です。
というか、明るさとか陽気さとか大ホラとか、そういったルパンらしい前向きなものも皆無。

小学生の時これを読んで、自分、何を思ったんでしょうねえ……。
今回改めて読んでみて、「こんな悲しいお話だったのか」と、心底寂しい気分になってしまいました。
いや、昔もしんみりしたなあという記憶はあるんだけど、ただしんみりと物悲しいだけではなくて、なんて言うかなあ、この二人はただ巻き込まれただけで、別にこんな不幸な目に合わなくてもよかったんだよなあと思えてしょうがないんですね。
なんでこんなことになっちゃったんだろうとか、どこで間違えたのだろうとか、後ろ向きな方向へ思考がいってしまうのですよ。

爽快感皆無。
とても虚しいですねえ。

ルノルマンの推理はなかなか面白いのです。
最初の殺人を発想の転換で解き明かすところとか「おおっ」って感じだし。
でもなー、最後がなー。
あんなクズのどーしよーもない犯罪がきっかけであそこまで不幸になってしまうのがなー。
そこのところがつくづく残念ですねえ。

我が子を救おうとする母を愛するという点で、どこか「水晶の栓」に似たところもある今回のルパンですが、ボアロ=ナルスジャックのルパンはことごとく恋愛から遠ざけられています。
妙に慎ましいんだよね。それって違うだろってくらいに。
そこら辺に一番ルブランとの差を感じます。
去年発売された「最後の恋」の方がよほどルブランっぽい。ていうか、推敲に荒さがあるとはいえさすがルブランの名で出てるだけはある。
いくつになっても、どの名を騙っても、「あなたほど好きになった人はいません」と言ってのける情熱がルパンには必須なんですよ。
彼の情熱は宝へも女性へも等しく注がれているものだから、片方の恋愛が欠けてしまうとかなり薄味になってしまう。だから今回のお話もとてもあっさり風味。
小学生以降も何回か読み直したはずなんだけど、事件のあらましをまるで覚えてなかったのはそのあっさり感にあると思いますね。

情熱プリーズ。
なんだか昔のルパンが読みたくなってしまいました。
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by teri-kan | 2013-11-05 12:13 | アルセーヌ・ルパン | Comments(2)

「ルパンと殺人魔」

ボワロ=ナルスジャックのパスティーシュ第4弾「アルセーヌ・ルパンの裁き」を子供用に翻訳改編したポプラ社作品。
全訳は現在入手できるような状態ではなく、ポプラ社の方も今はシリーズから外されているらしい……。
ようするに読みたいと思っても簡単に読める状況にはないということで、なんとももったいないことよという残念な作品です。

日本には「怪盗ルパンの館」という大変素晴らしいサイトさんがありまして、絶版の情報とかポプラ社のタイトルが原作のどの作品に対応しているかとか、ルパンファンにとって知りたいことがすぐわかるという、大変ありがたいルパンファンサイトが存在しています。
私は大々的に勝手にお世話になっているのですが、そのサイトさん情報によると、この「ルパンと殺人魔」は原作と比較してかなり大胆に圧縮されているのだとか。
子供向けポプラ社なのでそんなもんだとわかってはいるのですが、正直かなり残念。
でも私はこれしか読めないので、残念ながら今回はその圧縮版の感想となります。

で、その肝心のお話ですが、うん、ポプラ社って久々に読むけど、余計な文章が全くないので状況の把握が簡単でいいですね。スタスタ話が進んで、いやあ、コレは読みやすい。大幅圧縮のおかげでページ数も超少ないし、前作の「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」にかなり時間を費やしたことを考えれば、これくらいでいいのかもしれないな、なんて思うくらいです。
どうせルブランのルパンじゃないし。

とはいえ、さすがに子供っぽいのは読んでてちょっと辛いものがあります。
私が親に買ってもらったのは10~12才の頃なので、大人の今読むとさすがに物足りないです。なんといっても「アリバイ」の意味の説明文が入っているくらいだし。
そのくせ「くしゃみ」は「くさめ」なんですよねえ。久々に見ましたよ「くさめ」なんて言葉。
当時の自分、何の違和感もなく読んでたんですかねえ、これ。

そんなわけで、圧縮のせいでほとんどダイジェスト的、しかも子供向け文体ということで、内容に関する感想の書きようがほとんどない作品ですが、前作「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」に出てくる名前が今回も見られたことがちょっと嬉しい驚きでした。
部下が部下を紹介するという流れがあるんですよね。今回のルパンの部下はこれまたいろいろな背景を背負った青年という設定です。

ボアロ=ナルスジャックのルパンシリーズはルパンと部下の関係が一つの鍵になっています。女性との恋愛話はどれも全くダメダメですが、親分子分の絆はなぜかしっかりと描いている。
どのお話も部下が事件解決の鍵を握るというか、事件を彩る重要な役割を果たしているんですよね。

もしかしてポプラ社の圧縮ストーリーでなければ、親分子分のイロイロがじっくりと楽しめたのかもしれません。
その点はかなり残念であります。
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by teri-kan | 2013-10-23 11:37 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」

ボワロ=ナルスジャックによるアルセーヌ・ルパンのパスティーシュ第3弾。
ルパンがフランス国家に寄贈した奇厳城の美術品を、とある犯罪組織が奪ったことから起こる「犯罪組織VSルパン」の戦いを描いた作品です。

前の2作以上に「これはルパンものではないだろー」という感想が先にきてしまうお話です。
これを思えば「ウネルヴィル城館の秘密」はきちんとルパン作品と言えました。
本作も一応ルパンは大活躍するのですが、なんていうか、やはり描かれている犯罪の質がですね、ちょっと言葉にするのが難しいのですが、ルパンシリーズを読む時に感じる「古きよき時代感」に欠けているんですね。それがイマイチ私の好みではないのです。

なので、こういうのが好きな人には向いてるお話なんだろうなあと思います。
犯人は驚きの人物だし、途中もアッと驚く展開を見せるし。

でもこの犯人、私は大嫌いだ。
はっきりいって下種ですね。
ドーブレック(水晶の栓)やエサレス・ベイ(金三角)もクズだったけど、あの人達はまだクズな感情とはいえ感情を持ってる人間だった。
この犯人はねえ、いやー、なんていうか、もうイヤ過ぎる。
ホント最低なんですよ。人非人なんですよ。

あともう一つ、本作に違和感を抱く理由は、多分ルパンに覇気がないからでしょうね。
奇厳城の事件を引きずってる時期という設定なので、ある意味やる気がなくなっててもしょうがないんですが、アホみたいにバイタリティあふれるルパンっていうのがルパンの基本姿勢だと思うので、その辺でも「なんか違う」と感じる原因になっています。

まあ覇気は終盤には盛り返しますが。
それでやっぱりルパンは明るいのが似合ってるよなあと改めて思ったりもするわけですが。

そんなわけでちょっと問題アリの本作ですが、途中で登場してくる青年との親分子分の関係を作り上げていく過程は面白かったです。
そういった意味でラストシーンは結構好き。
女とはダメだけど若い青年とはいい関係築いて最後仲良しになっちゃうってのは良かった。
どうしようもない人間ばかりが出てくる本作にあって、その青年だけはとても良い風をもたらしてくれました。
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by teri-kan | 2013-10-10 10:30 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「バルカンの火薬庫」

「ウネルヴィル城館の秘密」に続く、ボワロ=ナルスジャックによるアルセーヌ・ルパンのパスティーシュ。
タイトルから想像できる通り、第一次世界大戦の発端となったバルカン半島の政情を背景にしたお話です。

「火薬庫」なんて、なんともきな臭くて硝煙臭いタイトルですが、本作の事件の発端となった出来事は、実はロマンチックだったりします。
清らかで純粋な愛がもたらした悲劇って感じでしょうか。
そんな愛が「火薬庫」呼ばわりされてしまうということが、当時のバルカン半島の不穏さなのでしょうね。このお話はかなり政治的です。

どうしても前作の「ウネルヴィル城館の秘密」との比較になってしまうのだけど、事件のタイプとしては個人的には「バルカンの火薬庫」の方が好きかな。
こっちの方が上品というか、まあ犯罪に上品も下品もないんだけど、「バルカンの火薬庫」の方が洗練されてる印象がありますね。
「ウネルヴィル城館の秘密」はいろいろと粗野だったですからねえ。犯行のやり方も、事件の進み方も、敵とのやりあい方も、犯人の動機も。

まあ犯人の動機という点では「バルカンの火薬庫」もルブランものとは毛色が違っています。登場する姉妹が大きな役割を果たすのですが、ラスト、ああいう結末にするのなら、もうちょっと話の途中でルパンと彼女達の交流を丁寧に描写する必要があったのではと思います。

ルパンは女好きのはずなのに、どうも女を観察する目の描き方が弱いんですよねえ。
本当ならもっとルパン目線の姉妹の比較があってしかるべきなのに、ほとんどないに等しいのです。
その点ルブランは登場人物の心理を描くのが上手かったですよね。
人物の佇まいを描写したその一行で人となりや内面を表現するということ、ルブランは出来てましたから。

ボワロ=ナルスジャックは事件や謎のどんでん返しを作るのは得意だけど、心理描写は得意じゃなかったのかな。
それともルパンが所詮他人の作ったキャラクターだったからか。
ボワロ=ナルスジャックの他作品を読んだことないので真相は不明ですが、本家とパスティーシュの違いの最たるものは、そこら辺にあるのかなあって印象です。

ちなみにポプラ社版は「ルパンと時限爆弾」というタイトル。
なんと探してみたらありました。
これは親に買ってもらってたんですねえ。
すっかり忘れていましたー。
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by teri-kan | 2013-10-07 16:45 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「ウネルヴィル城館の秘密」

新潮文庫の表紙の著者名は「アルセーヌ・ルパン」。
「えっ?」と驚いてしまいますが、これは実はボワロ=ナルスジャックによるパスティーシュ(模倣作品)。
ルブランの死後何十年もたった1973年発表の、アルセーヌ・ルパンが活躍するミステリーです。

子供の頃ポプラ社版で読みましたが(「悪魔のダイヤ」)、当然内容は忘却の彼方。
なので全くの新作感覚で読む事ができました。
なかなか面白かったけど、残念ながらルブランのルパンとは微妙に違うので、ルパンものとして感想を書くのはちょっと難しいかな。

殺人と謎のキーワードをめぐる歴史的事件を背景にした宝探しのお話で、その謎とか事件とか、ミステリー部分はいろいろ凝ってて面白いのですが、肝心のルパンのキャラの面で限界があるなあというのが正直なところです。
なんていうか、愛嬌が足りないんですよね。
ルブランのルパンに感じる愛すべきバカっぽさがないというか、お茶目さんじゃないというか、ムチャクチャやっても「しょーがないなーぼっちゃんは」とヴィクトワール目線で撫でてあげたくなるような、「あんたはアホか」とケリを入れて突っ込みたくなるような、そんな愛嬌が不足しているのですよ。

もともと私のルパンの読み方がそんな感じで、謎解きや事件は案外どうでもよくて、ルパンがどう冒険をするのか、お相手の女性とどういう関係を作っていくのか、それをメインに楽しんで読んでたところがあるんですね。
実際ブログに書いてきた私のルパンの感想ってほとんどそんなで、特に「奇岩城」なんてそうなんだけど、ルパンがその時その時にどういう心理状態でいるのかが、私にとってのルパンシリーズの重要ポイントなのです。
なのでそこの部分で「ちょっと違うな」というのが見えてしまうと、やっぱり本家とは違うよなーという感想が第一にきてしまいます。

ま、昔ポプラ社版を読んだ時はそんなこと全然わからなかったですけどね。



実はまだルパンのパスティーシュはあるので、次を読んでみたら印象は変わるかもしれません。
変わらなかったらボワロ=ナルスジャックのイメージするルパンと私の思うルパンはちょっと違っているってことなんでしょう。
それはそれでその違いを楽しむという読み方をすればいいだけです。

ちなみに本作はフランスで1973年度の「批評のミステリー賞」なるものを受賞したそうです。
良作であるとは確かに言えると思います。




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by teri-kan | 2013-09-25 10:45 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「綱渡りのドロテ」

モーリス・ルブラン作。

アルセーヌ・ルパンは登場しないけどルパンシリーズにくっついて出版されていた作品。
本作で出てくるお宝がルパンの作品中でも触れられていることからそういう扱いになっていたのですが、内容は完全にルパンものとは別です。

主人公は女性(というか女の子って感じ)で、彼女は誰の助けも借りずに独力で敵と戦います。男に守られたり庇護されたりとか、そんなことは全くなく、自分の知恵と勇気と行動力だけで危機を乗り越えます。
だからルパン的ヒーローはお呼びじゃない。
むしろルパンは彼女で、先を読む力と決断力はアッパレなほど。
作中に出てくる頼りにならない男達が皆彼女の信奉者になるけれど、それも納得というほどこの主人公は圧倒的オーラを放っているのです。
だからまったくもってルパンはお呼びじゃない。
あんなのが作中に二人もいたらかえって暑苦しいかも。



子供時代に読んだポプラ社版のタイトルは「妖魔と女探偵」、偕成社版は「女探偵ドロテ」なのですが、原題は今回読んだ創元推理文庫の「綱渡りのドロテ」に近くて、「綱渡りの踊り子ドロテ」です。
こっちの方が断然本書の中身を言い表してて良いタイトルですね。
ドロテはタイトルになるのも当然なくらい綱渡りが得意なのですが、そんなことより何より彼女の生き方が綱渡り、取る行動選ぶ行動がことごとく綱渡り的で、一瞬でもバランスを間違えたら、あるいは集中が切れたら、そこで全てが終わってしまうくらい危うい綱を渡り続けるのです。
それは彼女のこれまでの人生に裏打ちされた自信と実力があってこそで、別に無謀な博打に挑んでるのではないんだけど、読んでるこっちはドキドキハラハラ、実際ドロテは危機に何度も陥ってるし、まさに「綱渡りのドロテ」なんですよねえ。

サーカス団をやってるってのがこれまた素晴らしくて、馬車一つで町から町へと渡る生活してるもんだから、基本的に腰が軽いんですね。当時の女性にしてはフットワークが軽すぎで、思いついたら即行動、自由気ままにあちこち駆け回るのです。
これで良いとこの出身っていうのが面白くて、だからメチャクチャやっても品性はきちんと保たれてる。美人だし、包容力あるし、こりゃ男共がメロメロになるのもしょうがないって感じの女性です。

そんな彼女だから本来ならお宝に縛られるなんて真っ平ごめんだと思うのですが、今回の事件に関しては自身の父と先祖が絡むとあって、当事者の中心として積極的に行動を起こします。が、後に微妙に当事者でないことがわかり、あっさりと全てを捨て本来の自分に戻る。
この辺の筋の通し方はいいですね。
非常に都合がいいストーリーになっていますが、何者にも縛られないドロテを描くなら、最後はあれでよかったと思います。



瀬名秀明の「大空のドロテ」は本作が元になっています。
昔読んだ「妖魔と女探偵」はすっかり忘れてて、これを読み直さなきゃ「大空のドロテ」には手が出せなかったんですよね。
というわけで、そのうち「大空~」の方も読む予定。
手軽な文庫本が出ないかなーと、のんびりと待ってます。
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by teri-kan | 2013-09-13 10:10 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「ルパン、最後の恋」を読みました

これは是非学校図書館に収めるべきではないでしょうか。
フランスも是非是非!
それくらいここに出てくるルパンは素晴らしい。
今の世にも通じる、いや、今だからこそ大事だと思われる理念を、このルパンはテレもせず語り、大いに実践しているのです。

そりゃ若い頃のルパンは泥棒上等、詐欺上等、性格に問題大アリの大悪党です。フランスがお子様に読ませたくないというのもよくわかります。
が、だからといってそれまでの彼を否定して「ルパン、最後の恋」だけを薦めてもダメです。
初仕事からの彼の冒険を一つずつ噛み締めてこそ、この心境に到達したルパンに「ふおおおお」と感動するのであって、いやー、ホント、ルパンいいこと言うなあ。国家に対して個人が持つ根本的な不信感、嫌悪感、それとは対極に位置する個人の自由な魂、そこんとこに言及するクライマックス部分のセリフはね、ホントにとってもいいですね。

ていうか、ルパンファンはそういうのが好きな人達なのかもしれないな。だからルパンのファンなのかもしれない。
自分で言うのもなんだけど、ファンもきっとロマンチストなんだよ。
で、世の中ロマンチストは結構な数いるんだ、うん。



というわけで、ここからはそんなお話の内容の感想を。
以下はネタバレ大有りです。

感想はここから
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by teri-kan | 2012-09-20 10:51 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)