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「帯をギュッとね!」

河合克敏の柔道マンガ。
というか、柔道部マンガといった方が正しいかもしれない。

柔道部のない高校に入学してしまった五人の男の子が部を立ち上げ、幼馴染の女の子二人もマネージャーとして彼らをサポート。地区大会、全国大会と歩みを続け、ついにはタイトルを勝ち取っていく……という物語。

柔道マンガでありながら汗臭さは全くなく、あくまで爽やかに、楽しく、明るく描かれているのが特徴。そのため女の子の読者もかなり多いはず。
私の従姉妹なんかこのマンガのせいで高校生になった時柔道部に入りましたからね。結局柔道は上達しなくて、部の実態も仲良しクラブというかおしゃべりクラブのような感じだったらしいけど、でもそれで彼女も良かったのです。彼女がこのマンガに憧れたのは、柔道の技術云々じゃなくて、「楽しそうな柔道部」「柔道って楽しそう」ということだったみたいだし。


本作は確かに柔道について詳しくなれるし、私もオリンピックで日本柔道が盛り上がる度、この作品を本棚から取り出して読み返していたものです。柔道そのものについてきちんと真面目に描かれてあって、読んでて柔道の世界感に浸れるのは絶対間違いない。

でもそれでいながら本作を読む度思うのは、高校生っていいなあ、青春っていいなあ、部活動って楽しいなあ、友達っていいなあ、ライバルがいるって幸せだなあ、やっぱり青春っていいなあ、ということなのです。
そういう高校時代のキラキラ感がここにはいっぱいつまってて、読むたび自分の高校生活だったり、部活動だったりを思い出すのです。
で、すごく楽しくて幸せな気分になれる。
それほど登場人物が皆等身大の高校生なんですよ。


とにかく楽しい柔道部マンガ。
長いけど断然オススメです。
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by teri-kan | 2009-08-31 13:37 | 漫画 | Comments(0)

「N.Yバード」その1

槇村さとるの少女マンガで、「ダンシング・ゼネレーション」の続編。

「ダンシング・ゼネレーション」でなくこちらを取り上げるのは、単に私が神崎先生が好きだからなのだけど、慎ちゃん派の友人は神崎先生を毛虫のように嫌っていましたね(笑)。
ヒーローからヒロインを横取りする嫌な男にしか見えなかったそうです。

実際はそんな嫌な男じゃないんだけどな。
実はツメが甘すぎの結構優しい人なんですが(苦笑)。


二人の男の間で揺れるヒロイン・愛子は、登場時は普通の女子高生なんですが、とあるきっかけでダンスチームに加わり、仲間達と日々特訓に明け暮れ、とうとうNYでダンサーとして身を立てるところまで成長します。
そこまで描かれているのが「ダンシング・ゼネレーション」。
こちらのテーマは、いってみれば「仲間」。ダンスという共通点で集まった様々な背景を持つ人間達が織り成すドラマが話のメイン。

一方「N.Yバード」はプロダンサーとしてそれなりに名をあげた主人公の挫折と恋がテーマ。
学生時代からのダンス仲間で恋人の慎との関係がどう変わっていくのか、師である神崎の影響力に恐れをなした愛子が、自分を見つめ直すためにどういう行動に出るのか、そこら辺が見所です。

で、人の恋愛にケチつける気はないんですが、でもやっぱり私は神崎先生が好きなんだ。
愛子、なぜ神崎を選ばない?(苦笑)

ていうか、一番納得できないのは神崎の身の引き方ですよ。
なんであんなに物分かりのいい大人なんだ。アンタならどうにでも出来ただろうに、なんでもうちょっと粘らないんだ。
作者、最後もう少しだけでもドロドロ出来んかったものですかねえ。
うーん惜しい。惜しすぎる。


本作と「ダンシング・ゼネレーション」のテーマは実は共通していて、一貫して描かれているのは慎と愛子の神崎からの自立。
世界のダンスへの扉を開け、彼らをNYの舞台へ引き上げた神崎は、二人にとって絶対的存在なのですが、慎はさすがに神崎と同じ男なんで、早くに彼からの自立を考えます。
問題は愛子で、彼女は神崎と強固な師弟の関係を結んでしまい、ほとんど女神崎のようなダンサーになってしまって、とうとうそれに耐え切れなくなって逃げ出してしまう。

愛子が神崎のようになってしまったのは、神崎が愛子を見込んだ故であり、愛子の資質故でもあるのだけど、二人のダンサーとしての相性は、だから抜群に良いはずで、心というか魂というか、つながっているところも確実にある。
抜け殻同然になった神崎の復活のきっかけが「愛子」なのは、だから当然といえるのだけど、愛子をダンサーとして必要なのか愛の対象として必要なのかは、彼も長いこと気付かずにいたようで、一方愛子も日々の生活に精一杯でしばらくそのことは棚上げしていたけど、いざ再会してしまったら「師と弟子」でない限り「男と女」として向き合わざるをえない。

んで、そのようにして向かい合ったのなら、この二人はとことんやり合わないといけないんじゃないか。この二人の恋愛は、お互いのダンサーとしての根幹に関わるものでもあるので、中途半端に終わらせることって出来るのか?という気がどうしても起こる。

ダンサーとして早くに神崎から自立したはずの慎がいつまでも神崎に囚われるのも、神崎と愛子の心の結びつきをわかっているからで、慎が神崎から本当に自由になろうと思ったら、愛子への想いを切り捨てるしかないんじゃないか?と思うくらいなんだけど、まあ最後は「肩の痛み」によるハイテンションでめでたく一段高みに昇ることができました。
愛子も戻ってきたし、一挙に全てが解決してメデタシメデタシ……。



……なんであそこで肩を痛めるかなーバカ慎(苦笑)。
あれで愛子と神崎の微妙で繊細な関係が一気に「なかったこと」になってしまいました。
ああーもったいない。
かえすがえすももったいない。

まあこれは青春少女マンガなんで、繊細な愛子と熱い慎中心になるのは仕方なく、神崎の大人の男心を描いてもどうしようもないっていやどうしようもないんだ。
わかってはいるけど、もったいない感がどうしても起こってしまって、「もうちょっと粘ってよー」と思ってしまう作品なのでした。

惜しいなあ。
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by teri-kan | 2009-08-28 17:00 | 漫画 | Comments(0)

「イタズラなKiss」

作者・多田かおるの急逝により未完となってしまった少女マンガ。
ドラマにもアニメにもなった大人気作品で、今でも本作のヒーロー・入江くんは女子に人気が高い。


多田かおる作品のいくつかには結構共通点があって、元気でかわいい主人公に、ちょっとイジワルな細目のヒーロー。金ちゃんタイプの男の子に、娘を愛するお父さん。そして大阪弁。あとバンド。
ワンパターンかなと思うこともあるんだけど、それでも読むたび感動する魅力があって、とにかく乙女のツボにハマる何かがこの人の作品にはあるのです。そしてその期待が外れたことはほとんどないと言っていいくらいなのです。

「イタズラなKiss」の連載当初はいかにもな多田作品で、最初はどこまで連載を続けるつもりだったのかなあと考えたことがあります。琴子を大学に行かせるつもりなんて絶対なかったろうし。
あんなにも主人公のカップル二人が相性良かったなんて、作者にも予想外だったのではないかと思うのだけど、やっぱり鍵はお母さんですね。入江ママの存在はとても大きい。
入江ママ、あれはもう理想のお姑さんですよ。


入江くん自体は、まあなんていいますかねえ、カッコいいの一言なんですけど、改めて最初から彼を中心にして読み返していくと、これがまた酷い男で(笑)、自分の気持ちに気付くところなんて、「アンタよりによってそんな最悪なタイミングでその行動に出るのかよ!」と突っ込みたくなる程のヒドさ。他人の都合をまるで考えていない振る舞いには「それはないだろう」とさすがに言いたくなりました。

でもカッコよければ何でも許せてしまうわけで(笑)。


琴子同様、彼に振り回された読者は多いんだろうなあと思いますね。
彼らのお話、もっと読みたかったなあ。
連載打ち切り、残念でしたね。




追記:「イタズラ」が「いたずら」になってた……。
    訂正しました。スミマセン。
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by teri-kan | 2009-08-27 15:35 | 漫画 | Comments(0)

「SWAN」

有吉京子のバレエマンガ。

今でこそ日本人バレエダンサーの世界での活躍はそれなりに耳にしますが、このマンガが連載されていた70年代当時は、森下洋子の存在があったとはいえ、もっぱら「日本のバレエは遅れている」というのが一般的でした。
そんな遅れている日本の、さらに北海道の田舎の、世界から見れば底辺と言われても仕方ないようなバレエ学校に通う女子高生が、幸運をつかんで一歩一歩真のバレリーナに近づいていく、というのが本作のストーリー。
生涯の恩師となる世界的舞踊家と出会い、中途半端な技術を死に物狂いで改善し、各国へ留学して性格的欠点も克服し、いくつかの別れや賞賛、大批判も経験し、かけがえのないパートナーとめぐり合って、そしてバレエ人生を彼と共に歩んでいくことを決意する。
本作に描かれているのは、バレエをとことん愛しているという点においては一般人とちょっと違っているものの、極めてフツーの女の子の人間的成長物語で、バレエマンガだけど青春マンガ、愛と根性の物語です。

というわけで、とにかくストーリーが素晴らしいのですが、それ以上に感心するのが絵の美しさで、女の子がバレエに持っているイメージ、華やかさとか美しさとか麗しさとか繊細さとか、そういったものがあふれんばかりに描かれていて、本作は絵を見ただけで「ウットリ~」となれるのですね。
背景がいいんですよ。どんだけバレエを綺麗に見せるかということになったら、多分「SWAN」の右に出るものはないんじゃないかというくらい凝っていて繊細。
踊ってる当人は汗まみれだけど、観客はただ美しさに酔いしれればいい。
そんな気分にさせてくれる世界がこの作品の中にはあります。

じっくり読んで、浸って、全巻読み終わったら、次は絶賛連載中の「Maia まいあ —SWAN
actⅡ」へGO。
「SWAN」のその後が描かれているし、年代は完全に現代なので、また違った楽しみ方が出来ると思います。
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by teri-kan | 2009-08-26 13:46 | 漫画(SWAN) | Comments(4)

「ヨコハマ物語」

大和和紀の代表作といっていいほどの傑作少女マンガ。
「あさきゆめみし」や「はいからさんが通る」と比べると知名度的には劣るものの、内容ではむしろこちらが上と言えるほど完成度の高い作品。
個人的にも大好きなマンガの上位にくる作品です。

舞台は明治の初めの港町横浜。貿易商の娘と、そこに引き取られた田舎出身の少女二人の、それぞれの成長と恋愛がストーリーの核になります。

文明開化、外国へ飛び出していく若者達、欧米での差別との闘い。
新しく生まれ変わり、進歩しようと奮闘する当時の日本と、登場人物の生き方が溶け合い、激動の時代ならではの深みと広がりのある物語になっています。

子供の頃は竜助さんがとにかく好きで、彼と万里子のストーリーに胸を高鳴らせたものでした。
大人になると森さんの良さにも気付き、彼とお卯野ちゃんの話に感動しまくるようになったという、描かれている四人の恋愛がそれぞれに味わい深くて、いつ読んでも楽しめる作品。


本当にいいお話なのですよ。
過去には舞台化されたようですが、アニメやドラマになってないのが不思議なくらい。
もっと脚光を浴びていいと思うし、絶対に残しておくべきマンガの一つだと思います。
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by teri-kan | 2009-08-25 15:24 | 漫画 | Comments(0)

「修道士ファルコ」

青池保子の現在も執筆中(もう終わった?)の少女マンガ。

舞台は中世ドイツの修道院(注:ちょっとだけスペイン)。
日々お勤めに励む主人公と彼をとりまく修道士達という、なんだか固そうなキャストですが、ストーリーは全然堅苦しくなく、個性豊かな彼らが織り成す物語に、つい笑顔になってしまう作品です。

小心者の修道院長に功利的な副院長、精神が半分あっちの世界に行ってる老修道士、美意識丸出しのうるさいヤツに俗世の習性が抜けない元警察(?)の同僚……皆愛すべき人達なのです。

愛すべき最大の人物・主人公ファルコは、元は素晴らしい剣客で、その腕を買われて修道院をめぐって起こる難事件に幾度も最前線で対峙する羽目になります。もちろんその都度反省し懺悔するのですが、次々事件が起こってまたもや剣を取ることに。
そんなこんなで彼はいつまでたっても彼が目指す「心安らかにお勤めする」という日々からは遠いところにいて、なんだかいつも悩んでいます。でもあるがままに全てを受け入れ、きちんとそれらに向かい合う彼はとても好人物。読者だけでなく物語中でも、修道院内でも俗世でも、彼は妙に人に慕われるのです。

好いてくれる人の中で最も重要な大物は某王国の王様なんですが、実はこれがあるためこの作品はより楽しむために「アルカサル-王城-」を先に読んでいた方がいいという難点があります。
もちろん読んでなくても最高に楽しめるけど、読んでいたら倍楽しめるのは間違いない。

今もこの二つの作品は微妙にリンクしてますのでね。
「アルカサル-王城-」は長いけど大傑作なんで、「ファルコ」とセットで楽しんだら良いと思います。
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by teri-kan | 2009-08-24 14:51 | 漫画 | Comments(0)

「キャンディ・キャンディ」

原画・いがらしゆみこ、原作・水木杏子。
名作であると同時に、出版状況としては最悪の作品。
詳しいいきさつはここでは省くとして、連載中からマンガ・アニメ両方を楽しんできた人間にとっては、なんとも残念な現状にある不朽の名作です。

こんなことになるなら全巻揃えとくんだったなー。かえすがえすも無念。

今の子供達がこれを気軽に読めない(観れない)のは気の毒だと思うほど、それくらいこの作品は良く出来たお話です。
そうですね、外国版おしんみたいなものでしょうか。
でももっと明るいし、夢があるし、前向きになれるお話です。

とはいえ内容はかなり厳しいもので、最終的にキャンディは幸福なんだけど、その幸福の種類はちょっと子供には理解しづらいんじゃないかと思います。乙女が大好きな“恋愛が成就する”少女マンガではないし、キャンディが経験した別れはかなりキツイものばかりで、それを乗り越えた本人の強さには感動するものの、なかなか受け入れがたい人生ではあるのですよね。
私も最初の頃はちゃんと理解できていなかったし、年齢を重ねて読んでからわかった部分もあったりして、少女のための少女マンガではあるのですが、かなり内容は深い。もしかしたら歳をとる毎に何度でも読み返していったらいい作品なのかもしれません。


長い長い物語の末、最後はきれいに輪が閉じられます。
ラストシーンは素晴らしい。数ある少女マンガの中でも最高のラスト。


本当に名作なのですよ。
本当に残念です。
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by teri-kan | 2009-08-21 10:50 | 漫画 | Comments(0)

スポーツ中継とキャッチフレーズ

現在開催中の世界陸上、陸連からのお達しでTBSは選手にキャッチフレーズをつけることをやめたそうです。

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by teri-kan | 2009-08-20 13:59 | スポーツ | Comments(0)

テオドール・ベシュー

アルセーヌ・ルパンシリーズ「バーネット探偵社」「謎の家」「バール・イ・ヴァ荘」「ルパン最後の事件」の登場人物。
複数の作品に名を連ねる珍しい登場人物なので、一応とりあげておきます。

正義感あふれる素直な男
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by teri-kan | 2009-08-19 10:34 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

系図マニア

私はかなりの系図好きで、各国王家や名家の系図を自前でいくつか作っています。
縦に長いのより横に広がる系図が好きで、特に婚姻関係の繋がりを見るのが楽しい。昔は外国も日本も結婚は政治ですから、家同士の関係は即政治状況の説明なんですね。そういう系図を自分なりに作ると当時の社会や(ヨーロッパの場合だと)国際情勢が理解しやすくなってとても楽しいのです。

系図好きになったきっかけは源氏物語で、大量に出てくる登場人物を整理するために始めたのが最初なのですが、源氏の登場人物は「なんで皆こうやってきちんと線で繋がっていくんだ?」って感心するくらい何らかの血縁関係で結ばれていて、狭い社会の中で皆誰かと夫婦だったり兄妹だったり親子だったりするのです。これでもかってくらい徹底されて皆親戚なのですよ。
「まあ道長だって娘を四人も入内させたしなあ」とか思いつつ、そのうち源氏物語の世界だけでは物足りなくなって、とうとう実際の平安王朝の家系に手を出すことになるのですが、これがまあ物語なんか比較にならないほど複雑怪奇で、はまりこんだら抜けられない(苦笑)紙が足らない(笑)きりがない(笑)。
檀林皇后ってカッコいい名称だなあとか、桓武天皇のお母さんは渡来系の人なのかあとか、井上廃后って何よ、皇后が廃されるなんてことがあったの?とか、楽しく調べつつ、書いた本人しかわからないような入り組んだ系図が何枚も出来上がって、でも「うん、上手くまとめた」と悦に入っていたウン年前……。


地味に楽しんでたあの頃を、橋本治の「権力の日本人」は思い出させてくれます。
あれに載ってる複雑な系図はまさに私が作っていたのと同じもので、そして二作目の「院政の日本人」でとうとうその説明がきたのでした。著者がどのようにしてあの系図を作るに至ったのかという成り行きというかいきさつの説明が。

橋本治が天皇家の系図を書いていくにあたって、どんどん遡って継体天皇や応神天皇まで行き着いてしまったという話には、僭越ながらその気持ちがわかるような気になったものでした。誰が何をしたかは置いておいて「この人の父はこの人で母はこの人」ってことばかり調べてたというのもすごくよくわかる。

でも自分のような凡人と違って、彼は自分が作った系図から様々なことが読み取れるんですね。読んでる資料の量が違いますし、目的をもって系図を作ってるから当然なのでしょうが、にしてもこの辺の作業、本人すごく楽しかったんじゃなかろうかと想像します。

読んでてこれだけ楽しいのだから、書いてて(というより考えていて)さぞかし楽しかったでしょうねえ。




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by teri-kan | 2009-08-12 11:59 | | Comments(2)