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採点競技

フィギュアスケート以外で上限のない採点競技がどのくらいあるのか知りませんが、現在観戦中のエアリアルの解説にもあるように、「この技でここまでの点数が出るというのはほとんど満点に近いですね」というような採点の仕方が、一般的な採点競技のような気がします。
美を競う競技として新体操やシンクロナイズドスイミングなんかがあるけれど、これらも満点にどれだけ近いかで争われるんじゃなかったっけ。
で、それは多分採点競技として正しいやり方なんだと思います。でないと点数のインフレがいくらでも起こってしまう。

バンクーバー五輪・フィギュアスケートの女子シングルは、まさにそのインフレ状態で、1位と2位との間にフィギュアとしてはありえないような得点差がついてしまいました。
1位と2位だけ比較すると問題が矮小化されてしまうので、この場合は3位以下も含めた上位選手との比較をした方がいいでしょう。
あちこちで分析されている各選手の採点内容を比べるとわかるんだけど、これはもう既に競技としての体裁を成してないんですよね。競い合いというところから遥か遠いとこにきていて、その原因は明らかに基準のわからない加点方法にあって、もう競技として完全に破綻してしまっている。

この問題は根が深いのでこれ以上はここに書く事もごめんこうむるって感じなんですが、今のフィギュアが採点競技として最悪な状況にあるというのは言えると思います。



競技として楽しめるものになってほしいです。
フィギュアがスポーツ競技としてあり続けるならば。
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by teri-kan | 2010-02-27 03:26 | スポーツ | Comments(0)

「TALK 橋本治対談集」

橋本治が自身の6作品について、それぞれ6人と対談したものを収めた本。ランダムハウス講談社。
6作品と6人の内訳は以下の通りです。

「短編小説」高橋源一郎
「ひらがな美術史」浅田彰
「小林秀雄の恵み」茂木健一郎
「窯変源氏物語」三田村雅子
「双調平家物語」田中貴子
「最後のあーでもなくてこうでもなく」天野祐吉

どれも面白いのですが、特に面白かったのは茂木健一郎との対談。
これは「小林秀雄の恵み」自体が刺激的で面白かったせいもあるのだけど、この先の橋本治に期待を持たずにはいられなくなる内容で、非常に興味深かったです。



「小林秀雄の恵み」は2007年発売で、主に小林秀雄と本居宣長について書かれているんですが、完全に理解しきれていない自分が言うのもナンだけど、すごいんですよ。
小林秀雄は本居宣長をどう見たか、を論じるため本居宣長本人を橋本治は論じるんだけど、そこで解き明かされるのは古代から続く日本の、日本たらしめている精神性で、これがやたら面白くて、そして橋本治が本居宣長をとても好きっぽいのが読んでて楽しかった。私も本居宣長のファンになりそうなくらいでした。

ですが肝心の小林秀雄についてあんまり理解できたとは言えなくて、で、そんな自分にこの「対談集」の橋本×茂木対談はうってつけだったのでした。小林秀雄という人についてちょっとはわかるようになったのです。
まあ、ほんのちょっとではありますが。
しかもここからもっと詳しく知りたいとも思わなかったけど。

でもこれから本居宣長について書きたいと橋本治が言っていたことには大いに期待します。
これは本当に楽しそう。



他の対談も面白かったですよ。高橋源一郎と天野祐吉のは橋本治の小説家・評論家としての考え方がわかるし、他のは日本と日本の文化についてたくさん語られている。
白河法皇が自分を光源氏になぞらえてたという話は面白かったですね。和歌の詠めない待賢門院のために源氏物語絵巻を作らせた説とか、和歌を詠まなくて他人とのコミュニケーションのなかった待賢門院はさぞ暇だったろうとか、とても楽しかったです。



とかなんとか書いていたら、タイムリーな記事発見。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100225-00000550-san-soci

この「対談本」の中にも、小林秀雄は書いたものより話したものの方が面白い、なんて話が出てくるけど、このテープもきっと面白いんでしょうね。




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by teri-kan | 2010-02-26 00:51 | | Comments(0)

アイスダンス

最近すっかり四年に一度しか見なくなったアイスダンス。
近年、優雅というより力技勝負みたいになっているのが「なんだかなー」って感じでしたが、今回はなんて言うんでしょうか、やたらくるくるくるくる回っていたという印象でした。
スピード感あってよかったですけどね、特に金と銀の人達は。
ていうか、彼ら若いんですねー。女子のシングルは子供が多くて、アイスダンスは大人の女性、なんて感じで捉えていたのが、今はもう境がないんですね。

フィギュアはどの種目も演技性と芸術性をアイスダンス並みに近づけて、アイスダンスはよりアクロバティックなリフトを入れて、フィギュアスケートの4種目は、それぞれの特徴をなくしてより平均的に楽しめるものへと向かっているのかなと思います。
その方がお客さんウケがいいのかな?
まあそういうのって流行もあるんだろうし、時代によって変わっていくものなんだろうけど、それがいい事なのか悪いことなのかは、ちょっとよくわかりません。

にしてもロシア、かなりヤバイ?
アイスダンスの彼らは怪我もあったらしいし、プルシェンコの騒動とか、逆風の中のフリーだったんだけど、精彩を欠いていましたね。こんなロシアは見たくなかったな。
ロシア(というかソ連)のフィギュアスケート、好きだったんですけどねえ……。
男子はその年代毎にすごい選手を輩出してきたし、ペアは文字通り完璧だった。彼らがリンクに立った時の、ロシアの空気感そのままにピリッとした雰囲気が漂ってくる感じ、とても好きでした。ああいうのが見られなくなっているのはとても残念。
もしかしたらそれがないのが最近のフィギュアが個人的にイマイチな理由かもしれないな。

といってもアイスダンス金のカナダは素敵でした。納得の1位です。
でも見た目はまんまロミオとジュリエットなんですよね。とにかく若い。
なのになんで曲を「アダージェット」にしたんだろう。ありゃ大人が演る曲ですよ。
いや、彼らのプログラムも良かったし、曲に引っ張られていい雰囲気も出てたけど、もう少し成熟してからだったらもっといいものになってたと思う。それこそトーヴィル・ディーン組の「ボレロ」みたいに歴史に残るものになる可能性もあったと思うんですよね。
「ボレロ」はあまりにも彼らがすごすぎて、今でもチャレンジしにくい曲だけど、今回の「アダージェット」はそこまではなりきれてないと思います。今後もっといいものが出てくるような気がする。もっと情感的で、もっと官能的な、曲本来の魅力を表現できたものが。
カナダの彼ら、もっと先にこの曲をとっておくとか出来なかったかなあ。

でもこれをアイスダンスに使うというのはちょっと驚きでした。
やっぱりアイスダンスって楽しいですね。
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by teri-kan | 2010-02-24 10:53 | スポーツ | Comments(0)

「ワーキングガール」(1988)

いかにも80年代な映画。
ファッション、経済状況、女性の地位、そしてまだ夢を見ていられた頃のアメリカ。
ニューヨークの風景も素敵で、女性の上昇志向を否が応でも盛り上げる作品です。

主演のメラニー・グリフィスは美人だけど、母親のティッピ・ヘドレンの美貌と比べたらさすがにちょっと落ちます。でもあのほっぺたの愛らしさがこの人のチャームポイントなんだろうな。
ヨーロッパ的なティッピ・ヘドレンと比べたらもろアメリカンガールなメラニーですが、髪を上げたらさすがにお母様によく似てて、ちょっと厳しい顔つきをしたらやっぱり綺麗なんですよね。
普通のOLとバリバリキャリアウーマンと、二つの顔をチャーミングに演じていたと思います。

この映画はアカデミー主題歌賞を受賞したので、この時期結構TVで放映されます。
その受賞曲「Let the River Run」は、おそらく誰もが聞いたことがあると思うのですが(日本でもドラマに使われた)とてもいい曲で、ストレートに「頑張ろう!」と思える、心が大きくなる名曲です。

が、私がここで推したいのは劇中で使われているクリス・デ・バーの「The Lady in Red」。
当時の大ヒット曲で、もうすっごいいい曲なんですよー。ウットリすること間違いなしのラブ・バラードなんです。
イントロからもうふわーんってなっちゃうんですが、あのリズムとテンポの、人の鼓動とのシンクロ具合がなんともたまらなく、また声が甘くて超素敵で、とんでもなく優しい曲なのです。

この映画ってホントにいい曲がそろってるんですよねー。
ストーリーは典型的なアメリカンドリームなラブコメだけど、娯楽作品としてとてもいい出来。
特に女の子はいろいろと感情移入して観ることができるんじゃないでしょうか。

やっぱり曲の力は偉大だ。
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by teri-kan | 2010-02-22 10:53 | アメリカ映画 | Comments(0)

高橋大輔 銅メダルおめでとう

欲を言えばキリがない。
四回転は残念だったけど素晴らしい滑りだったことには変わりない。
あの大怪我からよくここまで持ってきました。
立派な銅メダルです。本当に素晴らしい。

小塚の演技にも感動しました。四回転よく決めた!
彼はこれからの選手だし、今後がますます楽しみですね。

織田の殿は残念でした。なんかヘンなエピソードばかり増えていくね。
これを乗り越えて、また次頑張ってもらいたいな。

日本人以外ではランビエールが彼らしく美しかったので満足。
いいムードを作るんですよねえ。
メダルは取れなかったけどエキシビションには出てくれるかな。
出てくれたら嬉しいなあ。



金メダルはライサチェック。
ダイナミックな演技はノーミスで完璧。確かに素晴らしかった。
プルシェンコは銀。どこか無理して出場した感のある演技は、惜しくも金に届かず。
しかし彼の復帰はただの復帰じゃないだけに考えさせられます。

激しい順位争いが繰り広げられた男子シングルでしたが、いろいろ問題を残した種目とも言えました。
ライサチェックは素晴らしかった。それはもう本当に。
でも「四回転を跳ばなかった金メダリスト」なんですね。
彼もそれを言われるのは承知してるだろうし、それが自分のせいだとも思ってないでしょう。
だから同情はしません。どれだけ批判されても。
金メダル取れたんだからいいじゃん。それは本当に大きなことなんだから。

でも昨日も書いたけど、これでいいのか?フィギュアスケート、とは思います。
なのでここから先はちょっと愚痴が入ります。

北米で行われるオリンピック
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by teri-kan | 2010-02-20 02:17 | スポーツ | Comments(0)

四回転ジャンプ騒動

バンクーバーオリンピック・フィギュアスケート男子シングルのショートプログラムで上位につけた三人が、記者会見で四回転ジャンプについての見解を語っていました。
それぞれの発言には心理戦の見方もあるそうですが、金が欲しけりゃやっぱり飛ぶべきでしょうねえ。一応オリンピックはスポーツの祭典なんだから。

「より速く、より高く」ですよ。
各要素の技術や表現力も大切だけど、観衆が抱いている根本的なスポーツへの期待を忘れてもらっちゃ困る。
オリンピックに出場するようなアスリートが肉体の限界に挑まないでどうする!
男子は四回転の時代に入ってもう久しいのだから、もしここで飛ばない金メダリストが出たりしたら、本田の言うように「レベルの後退」が叫ばれる状況が生まれる可能性も否定できません。

ただ、そうなったら大技にチャレンジしにくい現在の採点方式の見直しが行われるかもしれないし、かえっていいかもしれない。私は浅田のトリプルアクセルに挑戦し続ける姿勢をとても高く買ってるんだけど、浅田がどうとかプルシェンコがどうとか言うよりも、トップに立っている選手は競技のレベルを上げる役割も担ってほしいんですよね。やっぱり先に先にと進んでもらいたいのです。

といいつつ、実はトップ3にジュベールが入っていたら、こんな論争は起きなかったんじゃないかという気がしています。
四回転オバケだったプルシェンコが引退した後の四回転の第一人者といえばジュベールでしたが、彼、SPで有り得ない大コケをしちゃったんですよねえ。あれは驚いた。
彼が上位に踏みとどまっていたら四回転は必須だったと思うので、その点では残念なような、でもライバルが減って正直に安心したような、なんとも複雑な気持ちになってしまいました。



にしても男子でこんな問題が起きようとは。
昔カタリーナ・ビットがこの手の話題で論争の種になったことがありますが(彼女の場合は芸術性偏重は如何なものかって感じだったけど)、フィギュアってスポーツとしてはやっぱり特殊なんですよね。
なんだかんだでこういった問題はこの先も起こるだろうし、その都度ルールを変更したりなんだりして、競技として生き続けていくんだろうなあ。

……としみじみしたところで、そろそろ男子のフリーですかね。
私はTVは観られないのでPCの前から応援。
こうまで四回転について「必要だ!」と書いておきながら、高橋が飛ぼうが飛ぶまいが実はどちらでも構わないというスタンスなんですが(笑)、どっちにしても悔いのないよう滑ってもらいたい。彼のフリーは個人的にとても不安なんだけど、観客を沸かせる演技をしてもらいたいなと思います。

もちろん織田も小塚もガンバレ。
日本人三人ともいい演技が出来るよう祈ってます。
(ランビエールもガンバレ!)
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by teri-kan | 2010-02-19 10:04 | スポーツ | Comments(0)

「硫黄島からの手紙」(2006)

監督はクリント・イーストウッド。

太平洋戦争末期の、日米による硫黄島の戦いを描いた映画。
アメリカ視点の「父親たちの星条旗」と対になっている作品で、日本側から見た壮絶な硫黄島防衛戦が描かれています。

こういう映画を観ていると、クリント・イーストウッドは信頼できる人なんだなあと思います。
他国の文化にも敵国の指揮官にも、敬意を払うべき人にはきちんと払う。この人のそういったフラットさはとても好ましく思います。
大変難しい題材を扱っているけれど、当の日本人でも感心するくらい日本人の精神性をほとんど偽りなく描いてくれて、感謝の気持ちさえ起こりましたね。外国映画が描く日本って、それまでろくでもないのが多かった分、それは強く思いました。



硫黄島は硫黄島というくらい硫黄の臭いがすごいらしいのですが、映画という表現方法ではどうしてもそれが描けません。
というわけで、これから先は臭いの話になります。

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by teri-kan | 2010-02-17 10:10 | アメリカ映画 | Comments(0)

岡田JAPAN

今年に入ってからのサッカー日本代表のヤバさはハンパじゃない。
決定力不足というより攻撃の形そのものがない。
どうやって得点するつもりなのか意図が見えない。
何をやりたいのかさっぱりわからない。

マズすぎるでしょ……。

インプットされたデータ通りにしか動けない出来の悪い機械を見ているかのような攻撃。
ボールを持っても1対1で勝負せず即戻す。
前向けよー、前に進まないでどうするんだよーと、声を出したら文句しか出てこないから黙ってTVを観てるけど、なんかもうイライラする試合ばかりで、ストレスばっかりたまる。



今んとこ監督交代する気は協会にはないみたいだけど、ここに至ってまだチームの形が見えないかのような状況はどうかと思う。
特にFW、どうするつもりなのかねえ。
岡崎をメインに使うなら、彼の特徴を全面に押し出した攻撃の形を作るべきでしょう。それに合わせて2トップの片割れにしろトップ下の構成にしろ考えるべきなんだろうけど、それが玉田や大久保でいいのかどうなのか、そこは再考の余地があるんじゃないでしょうか。

まあそういったことは百も承知で岡田監督もいろいろ試してるんだろうけど、今のこの前への推進力が全くゼロな攻撃は、もう観ていてつまらなすぎてつまらなすぎて、誰か何とかしてくれー!な気分なのです。

ホントにね、6月までになんとかなるんですかね。
負けるのはいいとしても、もっと楽しく負けられるチームになってもらいたいなあ。



世の中はバンクーバーオリンピック花盛りで、そんな中でひっそりと行われた伝統の日韓戦。
あまりに悲惨すぎるこの敗戦が、せめて日本サッカーにとって良い方向へ向かうきっかけになることだけを、今は願うばかりです。
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by teri-kan | 2010-02-15 02:08 | スポーツ(サッカー) | Comments(0)

「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)

アカデミー作品賞受賞作品。

他に監督賞(クリント・イーストウッド)、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)という主要部門で軒並み受賞しているという、非常に評価の高い作品。
一方で、一部から批判も起こった作品でもあります。

物語中盤以降の展開には、確かに人によって評価が分かれると思うし、私もここはとても辛くて、特にあの事故のシーンは軽くトラウマになりそうでした。
ああなってしまった後の、もうどうにもならなさには、こちらも心は痛いしやるせないし、辛いというだけではおさまらないのだけど、それをそのまんま主演のクリント・イーストウッドは演じていて、彼の感情と行動に(自分が同じ決断をするかどうかは別として)共感は確かに覚えます。
それは普通の人間が抱く感情とか葛藤とか、そういったものを美化せずそのままに描いてるからなのですが、それでいながら「こうあるべきだ」と言ってるわけでもなく、説教くさくもない。

この映画の中で一番大切にされるべきものは主人公二人の間に通う愛や信頼で、それを確かにこの映画は最も大切にしてくれたから、その部分での温かさというのは確かに感じる。
しかしそれを表現するのに必要な出来事があの事故か……という気持ちも起こって、なんとも言いがたいものを胸に抱いてしまうのも確か。



いい映画だけど辛い。
二度目を観る事がなかなかできない映画の一つです。
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by teri-kan | 2010-02-12 10:44 | アメリカ映画 | Comments(0)

「天平の三姉妹 聖武皇女の矜持と悲劇」

遠山美都男著。中公新書。

歴史的にあまりにもマイナーすぎるからでしょうか。
感想を探しても、ネット上にほとんどありません。
専門に勉強している人しか興味がない題材といえばそうなのかもしれないけど、でも面白いんですよー。三姉妹の一人・孝謙天皇はマンガにもなってるし(確か里中満智子が描いていたような……)この紹介文↓を読んだだけでそそられる人、絶対いると思います。

「天皇として権力を振るった阿倍内親王。大逆罪に処された井上内親王。息子たちの謀反に連坐し、流罪にされた不破内親王。凄惨な宮廷闘争の背景にあったのは何か?」

ね、面白そうでしょ?



ここに描かれているのは君主の権力闘争です。将軍職を争うとか関白職を争うとか、そんな国家の№2を競うんじゃなくて、権威と権力両方を持っている本当の支配者の地位をめぐる争い。
昔の天皇の力は強大なんですね。その分おびただしい血が陰謀と共に流れていく。
例えば桓武天皇は多くの業績を残した天皇ですが、それこそ彼の周囲は陰謀だらけ。怨霊に気をつかってばかりで、さぞかし大変だったろうと想像します。

読んでて面白いと思ったのは、天皇になるための資格というか、確固たる理由みたいなものを、皆それぞれの天皇が必死になって求めているところ。代々がそうやって理由づけをしていって、それに乗っかって実績を作って、その実績がまた確かな権威になるという、天皇の正統性を確立していこうとする様は興味深かったです。
そこのところの試行錯誤の中で当然無理や軋みも生まれて、この本にとりあげられた三姉妹は、まさにその軋みに翻弄された人生を送った人達なのでしょう。

やっぱり発端は草壁皇子の早世なんでしょうかねえ。
ただ一人の幼い孫を皇位につけたかった持統天皇の祖母愛が、天皇の資格云々のゴタゴタの始まりといっていいのかも。



聖武天皇はねえ、偉大か変人かどちらかというか、あんな後にも先にもない大仏を造ってるあたり、絶対フツーの人じゃなかったと思うんだけど、この作品を読んでると結構立派な人っぽい感じがしますね。
孝謙天皇(阿倍内親王)も、どうしても道鏡との恋愛のイメージが強い人なんだけど、本作ではすごく真面目な理想主義の人って感じ。

取り上げられることの少ない井上内親王と不破内親王について詳しく知ることができたのはよかったです。特に不破内親王。本作の解釈通りの人だったかどうかはともかく、大変な人生で、読んでて溜息しか出てきません。



結構面白かったです。
この時代の話は今度ドラマも放映されるけど(石原さとみが阿倍内親王)、どういった解釈のもとに物語が作られているのか、とても楽しみ。
絶対ドラマに向いてると思うんですよねーこの時代。
これからもいろいろと作ってもらいたいな。




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by teri-kan | 2010-02-10 10:57 | | Comments(0)