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猫の着地

うちの猫は横になっている人間の上にジャンプして乗っかることがよくある。
しかも思いっきりふんばって着地するので腹に前足がめりこんでかなり痛い。
ふいうちでやられた時は「ぐえっ」と呻いて悶絶必至なのだけど、本人別に悪いと思ってないから、そのまま腹の上で暖を取って気持ち良さそうにしている。
それを見て「かわいいねえ」となるのだからこっちも十分バカだけど、先日とうとう猫の着地のせいで肋骨をやられて、あれ以来変な体勢をとったら胸が痛くて苦しい。

胸の上の肉の薄いところにドン!って降り立ったからね……。
肉球は猫への衝撃を和らげても、ピンポイントで突き刺さったら人間には利かないんだな。

にしてもなんであんなに頑張ってジャンプするんだろう。
たかだか10㎝の高さなのに。
子供の頃飼ってた猫はもうちょっと人間に優しかったような気が。
いや、そうでもなかったか。

まあそういうわけで、胸を開いて大きく深呼吸ー、とかが出来ない今日この頃なのでした。



今話題の生活保護について書こうかと思ったけど、文章がエキサイトしそうなので猫の話にしました。




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by teri-kan | 2012-05-30 15:55 | その他 | Comments(0)

弓と太刀と白いオウム

大河ドラマ「平清盛」、遂に保元の乱が起こりました。

現実の清盛は乱の最中ほとんど何もやってないそうですが、さすがに主人公が何もしないわけにはいかなくて、ドラマでは叔父との一騎打ちが清盛の見せ場になっていました。
が、史実で何もやっていないだけあって、ドラマの印象が平氏ではなく源氏が大きくなることは必然だったのでありました。

それぞれの陣営で夜討ちを進言する為朝と義朝、為朝の強さ、為義・義朝親子の切り合い、忠臣鎌田親子の別れ等、乱のメインはほとんど源氏。平家で使えたのは都に恩も義理もない兎丸くらいで、秩序を壊さずに戦いたい清盛の、どこか判然としない戦の目標さながら、平家のインパクトは薄い。

漠然とした希望ではなく現実的に公卿を目指している清盛だからこそそうなってしまう面はあって、それゆえに帝やその側近からはかえって話が通じる相手としての信頼を得ていたりします。
乱自体は一日で終わるあっけないものですが、そういった思惑が様々に交差するところ、その複雑さと救われなさ、そういった乱の内実が保元の乱は面白いですね。

様々な価値観が入り乱れてるのがすごいです。
崇徳院と後白河帝の対立はよくある王座争いと言っていいと思いますが、それにつく人々の思惑はモロに時代を反映していて、そのゴチャゴチャ具合が見ていてたまりません。
一番時代の波に乗っているのは信西ですね。イキイキしていて、見るからに楽しそうです。
餌をぶらさげて義朝を煽る、源氏を煽る。言うだけならタダだし、なんぼでも言えばいいといわんばかり。
でも清盛にとってはそれで張り切る義朝が微妙すぎる。
痛いとまで言ったら可哀想すぎるか。しかし「言うだけタダ」にさんざん振り回された父を間近で見てきた清盛は、現状における武士の限界を義朝以上に理解しているわけで、後白河帝のいかにも口だけな演説にも「うまく煽りやがって、二枚舌め」だったのではないかと推測します。

とはいえ二枚舌が力を持ってる限り二枚舌に従わなければいけないのは確かなわけで。
うっかり源氏がとてつもない戦功をあげて自分を越える大出世をしてもマズイわけで。
その辺は悩ましかったと思いますね、清盛としては。

まあそんな風に、武力を振るう者、利用する者、時代の風を感じ取る者、風を起こそうとする者、様々な思惑を抱えた人間がそれぞれその流れに乗ろうとしている中、一人流れから取り残されて違う所にいるのが悪左府頼長様。

山本頼長、すごかったなあ。

オウムカゴを抱えて「ヒィー」、無様に転げておみ足ベロン。
戦のなんたるかを知らない坊ちゃんが現実を目の前にしてアタフタする場面は、迫真の演技すぎて相当面白かったけど、真面目に考えたらとてもじゃないけど笑えない。
平和ボケとか、情けないとか、バカにすることなかれ。
頼長がアタフタするあの瞬間まで、確かに日本は(地方はともかく京の都は)長い間戦争知らずだったんだ。
最高権力者自身が武力をふるうとかないし、夜討ちは卑怯だという認識だって共有されてるし、とりあえず平和な国だったんだ。
それって悪いどころかすごく良いことじゃないか?

戦国時代の武将のお姫様に「いくさはいやじゃ」とか言わせるより、今回の頼長の方がよほど戦争はイヤなものだということを表現してたと思えるくらい、頼長の「ヒィー」は哀れだし恐ろしかったですよ。
矢を体に突き立てたまま死ぬ人間を見て、ペットを抱えて恐怖に震える頼長の心中は、まさしく「戦ってありえない!」なんだよね。
いや、ほんと、ありえないんですよ。
頼長のあの反応はある意味人間として当たり前の反応なんだ。

もちろん頼長自身に非はあります。戦を知らずに戦を始めた愚かさは大いに責められるべきです。自分には火の粉一つ振りかからないと決めてかかっていた傲慢さも責められるべきです。
でもあんな末路を迎えるほど血に飢えた人ではなかったわけで、武士ではないのにあの死に方はやっぱり気の毒すぎると思ってしまうんだよなあ。
来週ちょっと恐いなあ……。



白いオウムは彼自身なんですね。
頼長は博識で理を重んじる人でしたが、口からつらつら出てくる孫子の言葉も、現実に即した解釈なしに口にするだけならオウムと一緒。
字面をそのまま受け取るしかできなかったって感じか。しなやかに応用することが出来ない人なら、この時代を生き抜くことは難しかったでしょうね。

正反対だけど、愚直に生きるしかできないという点では頼長と義朝は結構似てる。この二者が組んでいれば、少なくともこのドラマでは保元の乱ももうちょっと違った方向に行ったかもしれない。
ま、有り得ない話だけどさ。



白いオウムは、弓と太刀の時代の到来と共に消え行くのみ。
これから価値を重くするのは書物の紙面ではなく実践的な力。臨機応変にその場その場を生き切るしたたかさとしなやかさ。

様々な価値観がぶつかり合う時代の到来です。
清盛、史実ならこれからが本領発揮なんだよね。
主人公として是非頑張ってもらいたいものです。
というより、なんとかして頑張れ。
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by teri-kan | 2012-05-28 15:15 | 大河ドラマ | Comments(0)

「ルパン、最後の恋」 フランスで出版

5月22日、とうとうフランスで出版されました。

早く日本語訳が出ないものですかねえ……。

とはいえ、どんな内容なのか、ちょっと不安。
この一つ前の作品「ルパン最後の事件」がいろいろと微妙な内容だったので、あまりムリヤリな話じゃなけりゃいいなあというのが正直な気持ちです。

でもルパンが貧しい子供達のために教師をしているというのはなかなか良い設定。
ルパンと子供の大群の組み合わせ、どんな雰囲気なのか興味ありますね。



なんだかんだでNHKがニュースにしてくれるわけだし、アルセーヌルパンはそれなりに話題になる本だということで、これを機会にルパンブームがささやかながらでも起こってくれないものかと、ファンとしてはそちらに期待してしまいます。
新訳の発表とかさ、ないものですかねえ……。
「813」だけでも21世紀風な翻訳で読んでみたいぞ。
もう前々から言ってるけど、今風な言葉遣いの「813」カモン!

孫の3世はいまだに大人気だし、少なくとも日本では(まあ海外でも)アルセーヌルパンへの間口は結構広いと思うんですよね。とっつきやすいとは思うんです。
だから何かのきっかけがあれば多少なりともまた盛り上がるんじゃないかと思うんだけどな。

マンガの「アバンチュリエ」はいいセンいってるし、これはこれで地道に続けていってもらうとして、やっぱり映画かな。映画界に頑張ってもらうしかないかも。
前の「ルパン」はもうあまり考えずに、楽しくてスピード感があってウキウキな新しいルパンの映画を作ってくれれば、きっとルパンの人気は上がるはず。

馬車がカポカポいってる雰囲気のシャーロック・ホームズでさえ、ガイ・リッチーにかかればあれだけスピーディーな笑える映画になるのです。
バイクと飛行機の時代の女たらしの映画が楽しいものにならないはずないってことで、もー頑張ってよ、映画の人、って感じです。

是非頑張って、そして日本に新しい訳のルパン出版を!

なんとかお願いします……。
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by teri-kan | 2012-05-25 11:05 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「銃・病原菌・鉄(上)」

著者はジャレド・ダイアモンド。訳者は倉骨彰。
草思社文庫。

文庫本が発売されて早々に買ったはいいものの、なかなか読めずにここまできました。
下巻読了まで待ってたら上巻を忘れてしまいそうなので、とりあえず(上)のみの感想を。



本書のテーマは、なんで現在の世界はこのような世界になっているのか、です。
なぜヨーロッパが他の地域を支配することができたのか、その逆はありえなかったのか。南北アメリカ大陸の先住民が旧世界に征服されたのは、人種的にヨーロッパ人より何かが劣っていたからなのか。
……いや、そうではない、それは地形的条件、気象的条件などの自然環境がもたらしたものなのだ、というのが著者の言いたいことで、様々な分野の研究からそれを解析していくといった内容になっています。

たくさんの人間を食わせる社会を作れる環境にあったかなかったか、の違いなんですね、戦争に勝って支配者になるか隷属する側になるか、を決める条件は。
だから何千年も前から畑を作れる環境にあった方が強くなる。農業に向いてる野生植物が多く自生していた地域の方が、家畜化できる野生動物が多くいた地域の方が、そうでない地域より技術が進む。

乾期がある場所でないと農業が生まれにくいというのには「へえー」でした。
一年草でないとダメだというのも、理由を知れば「へえー」。
植物の説明のところは知らないことだらけで面白かったです。いやもうなんか、こういうことって人間として最低限勉強してないといけないことじゃないかって感じです。
現代人って漫然とスーパーで食材買って適当に料理して食事してるけど、食物は人間を社会で生きる一員として成り立たせる根本だということ、もっと肝に銘じておかないといけないんじゃないかと感じさせられましたね。

病原菌の話はすさまじかったです。
ていうか、アメリカ大陸の先住民がヨーロッパ人にやられてしまったのって病気を持ち込まれたからだったんですね。今まで武力のことしか考えてなかったです。
でも病気の方がたくさん人を殺したというはかえって悲惨な気がします。
これじゃヨーロッパ人は完全に悪魔の使いじゃないか。

実は常々疑問には思っていたんですよね。いくら武力で制圧されたといっても、あまりにあっけなく支配されすぎじゃないかって。
でも持ち込まれた病気に対する抗体が全然なかったからと言われればなるほどなあって感じで、例えば村の人間が謎の病気でバタバタと死んで生き残りが自分を含めてほんのちょっとだったりしたら、そして周囲はいつのまにかヨーロッパ人だらけになっていたとしたら、想像するだけで恐ろしすぎなのですが、もう何もかも言いなりになってしまっても仕方ないような気がします。
わけわからないうちに根底から破壊されたって感じでしょうし、気の毒極まりないですね。



欧米の白人さんって、いまだにヨーロッパ以外の地域がヨーロッパのように進化しなかったのは、その地域の住人が白人よりも劣っていたからだ、とか思ってるわけ? もしくはそういう人がまだ多くいるとか。
実はそういう人がいることを前提とした言い回しをしてる箇所が結構あって、読んでてそれが目についたんですよね。もっと事実を淡々と記述してくれるだけでいいのにって感じでした。
まあ本書の意義がまさしく「人種の優劣ではなく自然環境の違いがその差を生み出したのだ」ですから、そこのところをしつこく言うのは正しいのでしょうが、しかししつこく言わなければいけない現状が歴然としてあるということも感じさせられて、なんだかなーって気分になりました。

でも全体的には大変楽しく読めた本でした。
普通の馬は投げ縄で捕まえられるけど、シマウマは絶対に輪が首にひっかからないとか、日常レベル(?)の小ネタが、実は世界の勢力図の行方まで関わっているという、そういう一つ一つの話は面白かったですね。
確かになんで馬は家畜化されてるのにシマウマはされてないのかとか、疑問に思ってもよさそうなもんですよね。シマウマがアフリカの人達に飼い慣らされて乗りこなせるようになってたら、白人のアフリカ侵略だってそうは簡単にいかなかっただろうに……。
まあ、アフリカ先住民がシマウマ乗ってる姿を想像するのも変な感じですが。
シマウマに乗ってね、サバンナの遠くまで駈けてって、狩りも馬上から行うんですよ、手作り弓矢とか吹き矢とかで。
……んー、やっぱりピンとこないかな。



とまあ、そんな上巻でした。
下巻は文字の誕生から始まっていますが、これまた長くかかりそうです。




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by teri-kan | 2012-05-23 14:54 | | Comments(0)

乱の前夜の源と平

大河ドラマ「平清盛」、とうとう保元の乱の直前まで来ました。
上皇と帝の対立、摂関家内の対立、そういった朝廷の権力争いは先週でほぼ説明終了、今週はそれに振り回される武家のお家事情が描かれました。

まずは俄然ヤル気の源氏一族。
為義も義朝も、貴族の下どころか平家の下にも甘んじている今の地位をなんとかせんと、はりきって鎧装束を身にまといます。
個人の能力の違い、棟梁と息子という立場の違い、それぞれの違いが道を分けてしまった為義親子ですが、父も子も掲げる理想や目標は同じところにあるわけで、敵味方に分かれた悲劇がそこはかとなく両者の表情から漂ってきます。

源氏の人達って、一族の目標に向かってそれぞれがそれぞれの思うままに振る舞い、己の力のみで結果を出していくって感じの人達ですね。一族内の競争で勝ち切った者が棟梁となり、より強い遺伝子が次に残ればそれでよいといった感じで、なんつーか、原始的というか動物的というか、京のお公家さん達はこういうの嫌いだろうなあと思わずにはいられない野蛮さです。

でもこういうのが最後に頂点取るんだな……。
最終的にふさわしい一族の終焉を迎えるにしても。

鎌田親子がよいですね。特に父は父の愛が深いです。
由良御前もさすが本妻。愛とやすらぎがあればOKの常磐とは心構えが違います。
義朝の周辺、決して悪くないんだよね。父親や兄弟とは残念だったけど。



平家は源氏ほど単純じゃないのが難しくもあり面白くもある。
清盛のあほぼん時代をあっち行ったりこっち行ったり描いてきたのも意味があったかなあと思えるくらい、平家内部はそれぞれの本音と建前と思惑が微妙すぎる。

よくまあこの微妙感をドラマでそれらしく表現できているものだと思います。
それぞれに個人の思いがあり、皆それを平家一門の表情の下におさめているけれど、そのおさめ方もやはりそれぞれで、一門勢揃いのあの場に漂う微妙なモヤモヤ感は見ていてなんとも言えん。
なんていうかなあ……源氏の方が一族内で殺し合い奪い合いしてるのに、あっちの方がなぜか団結しているように見えるんだよね。
それは一人一人のやり方はどうであれ、一族の目標が遺伝子レベルで共有できているからなんだろうけど、翻って平氏はね、なんか、どうにも、微妙なんですよ。

まあ清盛の血筋が違うからといえばそうなんだけど、そうであるからかどうなのか、他の平家の人達と清盛の見ているところって、もう全然違うんだよね。元々の人間の造りが違うとしかいいようがないほど、同じものを見ていても目に映ってるものが違うんだ。

今回とうとう頼盛がそんな違いに「我慢ならん!」とばかりにキレてしまったのだけど、このドラマの上手くて且つ問題なところは、「その頼盛の気持ち、わかるわー」と見ている人間が思ってしまうところで、大河ドラマの主人公の立場がこれでいいんだろーかという、いつもの視聴率問題に行き着いてしまうところなんですよね。

個人的にはこの微妙な平家のモヤモヤ感はいいと思うんですけどねえ。
源氏との対比のさせ方も上手いと思うんだけど。

平家がそんな雰囲気なのは、清盛を筆頭に平家の人達が一面的な人間に造形されてないからですが、そういった人間の描き方という点では叔父・忠正が大変興味深いですね。
清盛を嫌いだけど嫌いじゃない、許せないけど許せる、合わないけど必要だと感じる、認めるけど許しがたいところもある……等等、人間って裏表の感情と理性と打算と良心と諦めと志と、様々なものが組み合わさって出来てる生き物で、それは重ねた年齢によって深みや重さも違ってくるし、忠正の思慮と頼盛の浅慮の対比は、今後のことを考えてもなかなか良かったと思います。

この忠正像は、下手すりゃ清盛中心のドラマを作るための都合のいい人物像になりかねなかったところですが、なんとか上手くここまできたように思います。
清盛と対立する人が一面的な人でなくて良かった。
池禅尼のキャラクターと合わせて、平家に漂う微妙なモヤモヤ感を上手く作ってくれたと思います。
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by teri-kan | 2012-05-21 16:26 | 大河ドラマ | Comments(0)

世代交代、時代交代

三上鳥羽がお隠れになってしまわれました。
いよいよ保元の乱が始まります。

大河ドラマ「平清盛」、これまで保元の乱に向けてコツコツと話を積み重ねてきました。
わかりにくいとか見えづらいとかいろいろ批判は聞かれましたが、うちの高齢の親でも「誰と誰が敵対しているかはわかる」と言っていたので、最低限押さえるべきポイントは外さずにここまできていると思います。

敵対する人達の中で一番わかりやすいのは源氏ですね。
玉木義朝と父為義の対立と葛藤は、シンプルかつ的確に表現されていて、一番視聴者に受け入れられているのではと思います。

玉木はいい義朝になりましたね。理想と現実のギャップに歯噛みしつつも前に突き進む姿が良いです。とても女にモテそうです。
バカではないけど一直線にしか頭が回らなさそうなところもまた良い。
出てくる時間は毎週わずかですが存在感は抜群です。

源氏は荒々しい一族だけあってエピソードに事欠かないし、いっそのこと源氏一族でドラマ一本作ればいいのにって感じです。義家の活躍から一族の暴れぶり・ゴタゴタを経て幕府設立、鎌倉将軍家断絶までドラマ化したらきっと面白いのではないでしょうか。

摂関家内の対立については、歴史を知らない人にはイマイチわかりにくかったのではと思います。
が、ここには山本耕史がいますからね。あれだけキャラの立った頼長なのだから、彼一人でもどういう人生だったかを理解できれば保元の乱にはついていけるでしょう。

これから頼長は悲惨すぎる末路を迎えますが、ここは一つ藤原道長のドラマを作って、頼長の復古主義の元となっている摂関政治がどのようなものだったかを視聴者に伝えるのもアリかと思います。
どんだけイヤな政治か、宮廷文化は花開いたけど摂関家の男どもはとても陰険だとか、そういうのやってもらいたいですね。そうすれば院政に移行するのも皆納得できると思います。
今のままではなぜ院政はこんなにメチャクチャなんだ?理を重んじる頼長の方がマシでは?という疑問が出かねないし、平安時代は平安なんだから良い時代だろ、なんて幻想木っ端微塵にするような平安ドラマを作ってもらいたいものです。

保元の乱の顔である崇徳院と後白河帝の対立は、崇徳院にとってはお気の毒としかいいようがなく、乱の原因を鳥羽院に求めたとしても、それだけで終われないのはドラマを観ていれば明らか。考えれば考えるほど白河院の所業にその遠因は行き着いてしまうし、もうホント、白河院恐るべしです。
しかし白河院がなぜああなったのか、彼の生涯を辿ればまた違ったものも見えてくるわけです。彼の父帝からの摂関家との対立とか、これまたドラマを作ればいいんじゃないかと思うくらい、白河院もいろいろとあるのです。
それを知れば保元の乱がその時の権力構造や人間関係だけで起こった乱ではなく、歴史の流れの必然だったことがわかる。
仮に保元の乱という形で起こらなくても、絶対に何らかの事件で激動の時代を迎えたはずだし、一般的にあまり知られていないというこの時代の歴史を、もっとクローズアップしてもらいたいものですね。



「平清盛」の鳥羽院は私が想像していたよりももっと弱くて、もっと人間的で、最後まで悩める人でした。
なんていうかな……優しい人でしたね。情に左右されやすいというか、情に支配されやすい自分を自覚しているがゆえに周囲に振り回される人、といった御方。
そういう鳥羽院の造形が崇徳院の悲劇に合わせて作られたものなのかはわかりませんが、鳥羽院がそうであるなら、少しは崇徳院の可哀想さ加減も薄まるかなあという気はします。
政治状況は個人では如何ともしがたいですが、鳥羽院と崇徳院の間に情が全くなかったわけではないというのは、崇徳院にとってはわずかでも慰めになるのではないかと。

まあ、キレイに描こうとしすぎといえばそうだけど、でもこういう作り方も悪くないと思いました。
璋子との関係もそうだったけど、鳥羽院は要所要所で意識しないままに大事な人とすれ違うんですよね。そしてその時はただのすれ違いだったものが、結局糸が絡まるように後の不幸の原因になっていくのです。
もちろん糸の元をたどれば白河院に行き着くのですが、そうであったとしても糸がより複雑に絡まってしまったのは情に左右される鳥羽院のせいだったのは確か。そして、鳥羽院のせいだけでなかったのも確か。

人間の情と何百年と続いてきた社会体制の糸のもつれを、なんとかクリアにしようとハサミを入れたところに位置していたのが崇徳院だったということで、その時代にそこにいた崇徳院にとってはお気の毒な成り行きでした。
社会の破綻が訪れる時、その破綻を一身に受けなければいけない人というのはどうしても出てくるものですが、崇徳院はその最大の被害者の一人ですよねえ……。



鳥羽院と崇徳院のテレビドラマって他にあまりないと思うし、これを機会にいろいろなパターンの話が作られればいいなあと思います。
冷酷な鳥羽院だって面白いと思うし。

というわけで、三上鳥羽、ご苦労様でした。
大いに楽しませてもらった鳥羽院でした。
来週からちょっと寂しくなるかな。
でも保元の乱自体はすごく楽しみです。
どんな風になるのか超期待。
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by teri-kan | 2012-05-16 13:50 | 大河ドラマ | Comments(0)

ネスタとミラン

ネスタがミランを退団します。
ミラン在籍10年ですか。
数字にすると長く感じますね。

サッキ、カペッロと並んでアンチェロッティ監督もミラン史に残る栄光を築きましたが、アンチェロッティミランの躍進は、まさにネスタの加入と共に始まったのでした。
CL優勝にセリエA優勝、いろいろ残念なこともありましたが二度目のCL優勝、そしてクラブワールドカップ優勝と、2000年代のミランの栄光はネスタがいなければありえなかったといっても過言ではありません。
シェフチェンコはいた、ルイ・コスタも獲った、アンチェロッティも無理矢理呼んだ、そして最後のピース、スペシャルなセンターバックとしてやってきたのがネスタ。
当時熱烈ミラニスタをやってた私は嬉しくて嬉しくて、ネスタ移籍が決まった日はPCの前で「ヤッター」とガッツポーズでした。

あの日は確か休日で、ずっとネットで状況を追えたんですよね。
ミラン側の情報とラツィオ側の情報を両方追っかけて、ネスタ自身はラツィオのキャプテンやってた自分がミラニスタに受け入れられるのかどうか不安だったらしいけど、ネスタくらいスペシャルだったらそんなの全然関係ないし、あの日はどこもかしこもネスタ大歓迎一色でした。

生粋のラツィアーレだった彼がこの移籍を望んでいたわけはなく、専らクラブ事情による移籍だったのは当時から有名でした。
財政難に喘いでいたラツィオがネスタを身売りするしかなくなったというのが実情だったわけですが、にしても移籍先がなぜミランで、しかもなぜそこそこのお手頃価格だったのか、というのはいろいろと憶測を呼びました。
一応私が理解しているのは、クラブ破産危機にあったラツィオを救ったのがミラン会長のベルルスコーニだったから、というもので、確か数年前に法か何かを改正して借金返済の猶予を延ばしてあげたんですよ。ベルルスコーニの権力でラツィオは生き続けられたんですね。
その時の恩をネスタで返した、というのがあの移籍劇の裏側というわけですが、雑誌で読んだその真偽はともかく、確かにこれでつじつまは合うのです。インテルなんてもっと高い金額でオファーしてたはずだし、当時のネスタの雰囲気としてはミランよりもインテルの方が似合っていた印象がありましたからね。

移籍の裏側はどうであれ、その後ネスタはミランで期待通りの活躍を見せてくれました。
怪我しやすい体質には苦労しましたが、スペシャルなディフェンダーであることをずっと証明し続けました。
読みと技術が抜群でしたよね。スピードも高さもあった。ホントに欠点なんて何もなかった。
容姿もずば抜けてました。顔だけでなく姿が美しく、ジャンピングヘディングクリアした時の空中姿勢は美そのものでした。
ネスタの動きは言うなれば「蝶のように舞い、蜂のように刺す」って感じ。鋭くて、とにかく優美なんです。
美しいディフェンダーといえばマラドーナお墨付きのマルディーニでしたが、マルディーニが「美が力強く動いている」というものなら、ネスタは「動きそのものが美」。
あの2人が並んで守る絵は眼福でしたねえ。
あれをミランで見れたのは幸福でした。

ラツィオに戻るという手もあると思うのですが、アメリカを視野に入れているようで、案外ネスタにはそれも似合ってると思います。イタリアサッカー界の政治やしがらみに無縁なところでやるのもかえっていいような気が。
どちらにしろネスタがいなくなるというのは、ミランにとっても一つの時代の終わりになります。
昨年のピルロに続き、今年はネスタの他にもガットゥーゾ、インザーギもミランを去るということで、2000年代のミランはますます遠くなりつつあります。
個人的にはアンブロジーニがミランを去れば完全に自分の中で終わるって感じなんですが、ミランというクラブの色はこれからどうなりますかねえ。
このクラブの歴史はなかなかドラマチックなので、これからも期待したいですが。



ところで、昨夜のマンチェスターシティとクイーンズパークの試合、超面白かったですね。
特に後半の展開には笑いが止まりませんでした。
どっちも凄かったなあ。
お金をかければ優勝できるというのは好みじゃないけど、政治力を使ったりブランド力にものを言わせたりする相手に対抗するには金しかないし、ここは44年ぶりの優勝を祝いたいと思います。
いやー、面白いもの見せてもらいました。
シティ、というより最終節を盛り上げてくれたクイーンズパークに拍手!
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by teri-kan | 2012-05-14 12:00 | スポーツ(サッカー) | Comments(0)

「古事記誕生」

工藤隆著、中公新書。





感想はこちらから
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by teri-kan | 2012-05-11 11:55 | | Comments(2)

のんびりとJの感想

サッカーJ1は10節まで終了。
ACL組は1試合少ないですが、今シーズンの大体の趨勢は見えてきたのではないかと思うので、この辺でゆるく雑感を。



まずは昨シーズンの優勝チーム、柏。
J2から昇格したばかりの去年ならこの辺(残留ライン)をウロウロしてても納得なんだけど、去年の戦いぶりが記憶に新しいためとにかく不思議。
まあ不思議といえば去年あれだけやることなすこと良い方向に転がったのが不思議なんだけど、今年はダメですね。少なくとも今年は柏の年でないのは確定的なようです。
去年のレアンドロ・ドミンゲスはチャンスに滅法強いイメージだったけど、今シーズンは決まらないなあ。
守備もどうしちゃったんでしょうね。
強いはずなのに締まりがない試合をしてるといった印象です。

去年2位の名古屋は夏場になってみないとわからないけど、ケネディのコンディション次第かな。
走らなくても勝てるチームのはずですが、なんか以前に比べて失点が増えてるような気が。
まあ勝ちきれない試合をしてる印象が強いけど名古屋はそのうち上がってくると思います。
なんだかんだでここは選手が揃ってますもんね。

ガンバはあまりに悲惨なのでそっとしておいた方がいいでしょう。ネタにして笑う時期はとうに過ぎました。
失点数だけ見れば降格まっしぐらですが、W杯予選まではなんとか勝ち点1ずつでも積み上げて、中断期間中に修正できればいいですね。
まあ中断期間といっても遠藤と今野はチームにいませんが、なんとか頑張ってもらいたいものです。

現在上位にいるチームは守備の強さと運動量の豊富さが他より上回ってるからこその上位だと思います。
清水、鳥栖は特にそうで、体にガンガン当たりに来る守備は相手チームにとってはかなりしんどい。
仙台もそうかな。今年は見てないけど去年はそうでしたよね。
広島は現在3位につけていますが、上記のようなサッカーを大の苦手としているので、直接対決で勝てるかどうかが今後の行方を左右するような気がします。
広島は既に清水と鳥栖にアウェイとはいえ負けているので、未だ勝ったことのない仙台との試合は重要ですね。

攻撃サッカーを標榜している浦和、川崎、FC東京は、それぞれ今後が気になるチーム。
川崎は今は勝ちを拾えているけど失点が減らなければいずれ厳しくなるのは必至な予感。
観てる分には面白いんですけどね。対策立てられた時にどう乗り越えていくのか、すごく興味あります。

マリノス、大宮、神戸はよくわかりません。
とらえどころがないというか、その日その日って感じがします。
でも神戸は西野監督がきたら強くなりそうで恐いな。
イルハンとか変なところにお金かけてたのと比べたら西野監督に大金をかけるなんてあまりにまともすぎて変な感じです。
普通に強い神戸ってなんかピンとこないんですよねえ。
東西のバランスを考えても、西の神戸が頑張ること自体は大歓迎なのですが。

磐田は決定力がものすごく高いけど、パッと見る限り攻撃的って感じでもないし失点も多いし、今後どうなるのかちょっとわかりません。
前田が非常にノッてないのが気になりますね。代表では頑張ってほしいのに。

セレッソは清武がいなくなったらどうなるんだろう……。
新潟は試合内容自体はそう悪くはないと思うんだけどなあ。点が入らないだけで。
札幌は厳しいですね。開幕前予想で皆が外してないのってもしかしたらここだけかもしれません。



予想通りにいかないのが面白いとはいえ、今年のJ1はちょっとすごすぎ。
リーグ戦がハラハラドキドキなのはいいけど、代表のことを考えたらここまで落ち着きのないリーグはちょっと問題のような気もします。

今野とか大丈夫なんだろうか……。
悪いタイミングでガンバに移籍しちゃって、なんかお気の毒です。
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by teri-kan | 2012-05-07 16:35 | スポーツ(サッカー) | Comments(0)