タグ:さよならドビュッシー ( 3 ) タグの人気記事

「いつまでもショパン」

中山七里著。
「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」に続くシリーズ第3弾。
このたび文庫化されたので購読しました。

物語の舞台はショパン・コンクールのド真ん中。
世界中から出場者が集まり、アフガニスタン情勢まで絡まり、ワールドワイドな世界が繰り広げられます。
主人公もポーランド人の青年で、置かれている状況がこれまでの二作とは全く違う若手ピアニストです。
「ドビュッシー」が心身を傷つけられ音楽をすること自体が危うくなった女の子を語り、「ラフマニノフ」が金銭の問題等で音楽を続けることの困難さを語っている物語なら、今回の「ショパン」はそれらに関しては十分恵まれている環境にあるものの、旧い価値観と自身の音楽との狭間で苦悩するお話と言えます。
ショパンの生国で、代々続く音楽家の家系に生まれた者ならではの苦悩ですね。
読みながら自然と「ヤン頑張れ」と言ってしまいたくなるような、そんな男の子の話です。

前の二作と比較すると更に音楽小説になっています。
ミステリーの冠は外してもいいんじゃないかというくらいに。
しかしそれがいい。
ショパン以外でやられると個人的にはついていけないですが、ショパンならこれくらい深く描写してくれた方が満足度は高いです。

とはいえ私は中途半端なショパン好きなので、曲と作品番号が一致してないものが多く、バラードやスケルツォはなんとかついていけるものの、マズルカやワルツは番号だけ言われてもさっぱりわからん。そもそもマズルカはCDかけてても完璧BGM状態だったし(苦笑)。
バラードもわかると言っても特徴的なところが思い出せるといった程度で、エチュードは、まあ1番目の曲は間違えようがないですが、CDを最初からダーッと通して聴いてるだけじゃ番号なんてあやふやなんですよね。
副題がついていれば覚えられるけど、有名どころ以外は基本的に「CDのあの辺りにかかっていた曲」といった程度の記憶なので、本作できっちり描写されていた作品については、今度しっかり全曲CDで確認したい気持ちです。

「英雄ポロネーズ」のように最初から最後まで覚えていれば、読みながら頭できちんと再生されるんですけどねえ。
そうして再生された音楽は、本の描写とあいまって、ものすごい感動を呼び起こしてくれるんですけどねえ。

ミステリーとしては少し説明不足でした。
犯人が復讐心を抱くのは理解できるとしても、爆弾や薬剤の知識やそれを行使する時に見せる残虐さがどこから来るのか、復讐心を抱く以前は真っ当な人だったと思われるのに、なぜよりによって手段が無差別テロなのか、なぜそれを手段に選んだのか、今のままじゃちょっと理解できないです。

本作は殺人ミステリーなんてかわいらしいもんじゃなく、犯人によって命を落とした人間の数は膨大です。ショパンの音楽は美しいですが、話はとても血なまぐさい。
そりゃショパンの根底には祖国を襲った悲劇、ポーランド人の流された血があるのはわかるんだけど、その悲劇を追体験しなければならないってのは辛かった。
読後に表紙を見たら泣けてしょうがないですよ。

人間社会に暴力はつきもので、ショパンから180年の時を経ても血と肉の臭いがしてる世の中だけど、180年前と比べて一つ良いことがあるとするなら、私達は既にショパンの音楽を持っているということか。
主人公の父親のセリフはクズ中のクズだが、残念ながら一理あるんですよね。
でも岬のピアノのように奇跡が起こることだって時にはある。
それを信じられなければ音楽家は音楽家としていられないんじゃないかな。
作中での主人公の苦しみの根源もそこら辺にあったと思います。
これからいいピアニストになっていってもらいたいですね。
やはり「ヤン頑張れ」です。




[PR]
by teri-kan | 2014-01-16 11:13 | | Comments(0)

「おやすみラフマニノフ」

中山七里著。
「さよならドビュッシー」の続編で、前作で活躍した先生が今作も登場。
時間的つながりもわかりやすく、だからまずは「ドビュッシー」を読んでからこちらを読むべきですね。
ラフマニノフが好きだからこっちを先に~とか、そういうのはダメです。

では、ここからはほんのりネタバレありで。





読書感想文
[PR]
by teri-kan | 2012-11-12 11:31 | | Comments(0)

「さよならドビュッシー」

中山七里著。
第8回(2009年)『このミステリーがすごい!』大賞受賞作品。

機内のお供にと思って偶然買って読んだのだけど、調べてみれば来春映画が公開されるとか。
なかなか良いタイミングで読んだのかもしれません。
映画を観る観ないは別として。



ここから先は読んでない人は避けた方がいいかも。
完全なネタバレじゃないけど、察しのいい人にはわかっちゃうと思います。





読書感想文
[PR]
by teri-kan | 2012-10-31 11:56 | | Comments(0)