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練習曲 作品25第1番 変イ長調 「エオリアン・ハープ」 / ショパン

美しい曲です。
本当に美しい。
優美で、詩情にあふれて、美しい風が体の周りを、体の中までも軽やかに流れていくかのようです。
本当に、ただただ綺麗。

「エオリアン・ハープ」という名称がピッタリで、私は長いことエオリアン・ハープがどんなものかを知らないまま、「なんて美しい曲にピッタリな美しい名前」と、名前ごとお気に入りにしていました。

エオリアン・ハープとは、ギリシャ神話の風神アイオロスに由来する、自然に吹く風で音が鳴る弦楽器のこと。
風の神様のための楽器。
聞いたことはないけど、音色は繊細で神秘的なのだとか。
この曲の呼び名になったのは、シューマンが「まるでエオリアン・ハープを聞いているようだ」と言ったからだそうですが、風を感じられるから、というのが理由としてはあるかなあ。
「エチュードというよりは詩」という彼の言葉は、まさしくその通りですね。

この曲にはもう一つ呼び名があって、それは「牧童」というもの。
エオリアン・ハープが何なのかを知らなかった頃は、それこそ「エオリアン・ハープを翻訳したら牧童になるのか?でもハープと牧童じゃ全然違うんだけど?」と、変な悩み方をしておりました。
調べてみると、こちらはショパン本人の言葉が由来になってるそうです。

「牧童が、近づいてくる暴風雨を避けて洞窟に避難している。遠くで風や雨が吹きずさんでいるが、牧童は静かに笛を取って美しい旋律を吹いている。そういうところを思い浮かべてみなさい。」
門弟にそう語ったとのことだけど、うーん……難しい。

私は「牧童」の愛称からは、「爽やかな晴れた牧草地」をイメージして聴いてましたので、「暴風雨」とか「風や雨が吹きすさんでいる」とか、ええええー?でした。
洞窟に避難してる牧童が吹く笛の音と言われても……ショパンは難しい。

勝手に想像するなら、ショパンはそういった状況にあった時にこの曲を作ったってことかな?
周囲が騒がしく、うまくいっていない時に、薄暗い洞窟に雨宿りするように、美しい音色を奏でてた。
イヤな喧騒から逃れた場所で、心を穏やかにさせる綺麗な音を紡いだ……。
お、なんだかますます深みのある、奥深い曲に聴こえてくるような気が。

とことん綺麗なのは、そうでないものが周りにあったから、ということなのかな。
そういう風に捉えたらいい曲なのかもしれませんね。
でも個人的な印象は、やっぱりシューマンの感想に近いです。
これは神様が奏でた音楽ですよ。

そう考えるなら、風が鳴らすエオリアン・ハープはもちろん、風にのる笛の音も、風あってのもの。
これはもうアイオロス万歳ってことでいいのではないか。
はからずも風の神様に捧げた曲とか詩とか、そんな感じで。

大げさだけど、そのくらい綺麗な曲なんですよね。
とても好きなんです。
聴き終わった後、幸福感で満たされているのを感じます。




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by teri-kan | 2017-11-08 12:55 | 音楽 | Comments(0)

序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調 作品3 / ショパン

最近この曲をよく聴いてます。
チェロとピアノのための室内楽曲。
軽やかで明るくて美しくて、大変良い気分にしてくれる作品です。

8分ほどありますが、序奏3分、ポロネーズ5分かな。
タイプの違う2曲が楽しめるって感じ。
どちらも良いです。
序奏は序奏らしく穏やかにしっとりと、ポロネーズはポロネーズなので軽やかに。

人肌を感じさせるような温もりのあるチェロの音と、軽やかでキラキラしたピアノの音が絡み合う美しさよ! ……と書くと、さすがに大げさすぎるかなあ。
とっても気軽に気楽に聞ける曲なんですよね。
押しつけがましくなくサラリとしてる。
印象に残るけど後を引かない。
悪く言えば内容がない。
だけど美しさに嫌味がない。
ひたすら気分のいい、なんとも言えずちょうどいい曲。

ショパン自身は「貴婦人向きの華やかなサロン音楽」と友人宛の手紙に書いてたそうです。
私が貴婦人かどうかはともかく、私にはピッタリ。
まだ十代の、とても若い頃の作品なので、やはり素直だなといった印象を受けます。
難しく考えないで聴けばいい曲ではないかと思います。



この曲、今の形で発表されたのが1831年で、ちょうどショパンがパリに来る前に作られたということになりますが、先日書いたデュマの「ネールの塔」は1832年発表で、二人ともそのちょっと前から名をあげていることを考えると、活躍した時期って結構重なってるんですよね。

今更なことを言いますが、19世紀のパリって現代の人間も虜にする文化文芸が花盛りだったんだなあ。
サロンでショパンを聴き、劇場でデュマを観るという生活も当時のパリは出来てたんですよね。
あの頃の文化人は各ジャンル華やかだし、確かに花の都だなあと思わされます。




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by teri-kan | 2017-10-06 15:26 | 音楽 | Comments(0)

「セビリア」/アルベニス

イサーク・アルベニスが作曲した、「スペイン組曲」の中の1曲です。
「スペイン組曲」は全8曲なのですが、その第3曲目。
他もグラナダ、カタルーニャ、カディス、アストゥリアス……と、スペイン三昧なスペイン組曲。
スペイン音楽って他のヨーロッパの国と比べても、民族色がとても強いですよね。
イスラムの影響が色濃いのと、あとはロマの人達の音楽性?
この曲もいかにもスペインです。

実はあまりにコテコテしたスペイン風味な曲って、私は結構聴いてて食傷気味になってしまうのですが、これは「いかにもスペイン」でも全然そんなことなくて、とても好きな曲です。
多分曲調が明るいからでしょうね。
うたわれているのはお祭りの主題だそうですが、祭と言われればなるほど、であります。

アルベニスが作ったのはピアノ曲で、後にギター版が編曲され、現在この二種類を聞くことができます。
同じ曲でも楽器が違うとこうも印象が違うのかー、と感心させられます。
ピアノ版は、そうですね、思い浮かぶのはスペインの青い空。
中世風の昔ながらの土壁の建物の、最上階の窓を開け放して、空を見上げたくなるような感じ。
とにかく透明感のあるピアノです。
青空に抜けるような爽快感。
空の下で音が踊ってる。

ギター版は逆に通りに降りたい気分。
土壁に響かせたらいい感じ。
ギターの音色ってなんであんなにスペインの街角にイメージピッタリなんでしょうね。
ちょっと人恋しくなっちゃうんです。
ギターは音自体が切ないので、明るい調子でもどこかしんみりしますね。
ピアノ版とは全く印象が違います。

どちらもいいけれど、好みとしてはピアノの方。
スペインでも、ただ明るくてただ楽しめばいい曲があるんだって感じがして好き。
まあ、この曲も中間部は哀愁漂ってるんだけど、でもやっぱり全体的に軽快で爽やか。
スペインについてイメージする時、なんとなくついて回る「光と影」の影の部分を、あまり感じずにいられます。

「それってスペインなのか?」って言われそうだけど、スペインってなんとなく重いなあと思ってる人間からしたら、これくらいがちょうどいいかもしれません。
この曲は本当に軽やかで良いです。
かなり好み。
とても好きです。




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by teri-kan | 2017-09-13 11:12 | 音楽 | Comments(0)

夏休みの感想文

ブログタイトルが「感想文」なもので、この時期は毎年「感想文」で検索かけられる方に多くお越しいただくのですが、今年は読書感想文よりクラシック音楽の感想文の方が多いように感じました。
というか、クラシック感想文で訪問していただくのはこの夏が初めてで、今年突如そういった宿題が増えたのか、悩める学生が増えたのか、少々気になっております。

クラシックの感想文って難しいですよね。
読書感想文より難しいです。
文字で表現されてないものを文字で表さないといけないのだからホントに難しい。
曲を聴いて抱いた思いや感情を言葉にすればいいといっても、感情を言葉にするのは簡単ではありません。
そもそも自分が抱いている感情が何かを自分で把握することが難しい。
何も感じてないわけじゃないけど、この思いがどういうものか、自分自身で理解することからつまずいてしまう。
一見簡単そうに見えて難しい課題だよなあと、ブログでクラシックの素人感想文を書いてる人間としては、しみじみ思います。

どういう課題の出され方をするかにもよりますけど、選びやすい曲はやっぱりタイトルのある曲ですよね。
あとバレエ音楽のようにストーリーがあるもの。
「白鳥の湖」なんて場面ごとにイメージしやすいし、何より曲がキャッチ―なので、クラシックを聴き慣れてない人にはよいと思います。
ストーリーや登場人物の行動を頭に入れておけば、かなりわかりやすいのではないでしょうか。

私自身はなるべく事前情報ゼロで鑑賞して、後から自分の感想と曲が作られた背景の答え合わせをする、みたいな感じでやってるので、時々とんちんかんな感想になることがあります。
「明るい曲だなあ」と思ったら、実際は「傷心の時期に作曲されました」みたいな(笑)。
でもその違いがその曲の肝になるかもしれなかったり、そう感じたのはなぜかという、自分自身を知ることにもつながると、結構楽しく思ったことを思ったまま書くようにしています。
かなり好き勝手ですね。

とはいえ、それでは到底ついていけない曲もあるし、当然のことながら後からでも作曲の背景を深く知れば、曲自体もより深く感じることができるので、「結局勉強しないとダメだよね」というところに行き着きます。
今はネットでいくらでも調べられますから、音楽鑑賞の助けには事欠かないし、素人にはありがたい環境ですね。

想像力を働かせ、何を感じたか把握し、それを言語化するって、自分を振り返っても中学生の頃は全然ダメだったし、高校生の頃も「うーん?」って感じでしたが、繰り返せばそのうちとりあえず書けるようになるし、自分の感情を言語化する訓練は、多分やらないよりやってた方が後々自分が楽になると思います。

夏休みにクラシック感想文なんて、クラシックに無縁な子にとっては迷惑極まりない宿題だけど、人生に有益な宿題であることには間違いないので、頑張ってもらえたらなあと思います。

もう夏休みは終わっちゃうけど。




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by teri-kan | 2017-08-28 12:20 | 音楽 | Comments(0)

ナチス支配下のワルシャワと未完成交響曲

土曜の夜にNHK・BSプレミアムで、「玉木宏 音楽サスペンス紀行~亡命オーケストラの謎~」が放送されました。
後半部分しか観れなかったのですが、シューベルトの交響曲第七番「未完成」を第二次世界大戦の映像と共に演奏するところは観れたので、それについて。





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by teri-kan | 2017-07-31 16:04 | 音楽 | Comments(0)

「おんな城主 直虎」のテーマ曲

子供時代が終わって、いよいよ本番といった感じの直虎さんの、テーマ音楽についてつらつらと。



良い曲ですね。
映像がモロそのまんまですが、パッと思い浮かぶのは春のイメージです。
生命の誕生、枯れていたものの再生、希望、前向きさ、明るさ、温かさ、あらゆるポジティブなものの萌芽が感じられます。
一言で言えば、ワクワク感でしょうか。

春ならではの暴力もきちんとある。
エネルギーの解放が行われる春は、実は結構暴力的。
でもそれもポジティブなもの。
芽が種を突き破る時のパワーだと思えばいいでしょう。

雪解け水が川に流れ出す。泉に水が湧き出る。
生命力にあふれてますね。
清らかなピアノの音がピッタリです。
勇ましさとしなやかさが上手くマッチしてる。
溌剌とした女性を十分に表現してると思います。



初めて聞いた時、フランスっぽい曲だなあと思いました。
印象派っぽいというか。
ラヴェルが思い浮かんだんですが、ネットを見てたらドビュッシーの交響詩のようだという意見があって、なるほどーでした。
バーンスタインだという意見も結構見かけて、それもなるほどーでした。
そうそう、キャンディードね。
そう言われたらそうですね。

要するに、オシャレな曲ってことなんだと思います。
〇〇っぽいという言い方をされるのがいいのかどうかはともかく、洗練された曲ではあるかなと。
私は好きですね。
なんといっても女主人公のドラマに合ってる。
「誰それの妻」という女性ではない女主人公に。
自分が主体となって物事を動かした女性にピッタリだと思います。



女性が主人公の大河ドラマで特に気に入ったテーマ曲ってこれまでなかったんだけど、この曲は今のところお気に入りに入りそう。
肝心のドラマの中で直虎がどう描かれるかにもよるけど、音楽を聞く限りは期待が持てる。
この曲が表現してるような女性像になるなら多分面白いはず。
あふれんばかりの生命力をストーリーの中でも発揮してもらいたいです。
井伊家自体は大変だけどね。

世界の大混乱を見ながら最近思うことなんですが、こんな大混乱な世の中だからこそ、今年は女主人公の大河ドラマで良かったような気がするんですよね。
女で大河の主人公を張れる歴史上の人物なんて数えるほどしかいないのに、隔年で女主人公を持ってくるなんて無謀だろとこれまで思ってましたが、こんな世の中だからこそ女性を持ってくるというのはアリかもしれません。

幼年期のおとわの行動は結構素晴らしくて、あの柔軟さと根性は気に入りました。
外圧があってこその柔軟さでしたが、柔らかい発想で困難を乗り越えていく姿はなかなかのもの。
イデオロギーだの主義だの思想だのといった原理主義とは対極にあるしなやかさが心地良い。
今世界に求められてるのってこれじゃね?と思うくらいです。

是非おとわが魅力的な女性に成長しますように。
そういう点で、次回は結構ドキドキものです。




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by teri-kan | 2017-02-01 12:47 | 大河ドラマ | Comments(0)

音楽と「戦争と平和」

ドラマ「戦争と平和」について書くつもりはもうなかったのだけど、昨夜のクラシック音楽館のプロコフィエフのピアノ協奏曲第二番が素晴らしかったので、気分が一気にロシアモードに!

やっぱり好きだわ、この曲。超カッコいい。
デニス・マツーエフの力強いピアノも良かった。
ロシアサイコー!!





音楽は社会と精神を映すものなのです
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by teri-kan | 2016-10-17 15:49 | 海外ドラマ | Comments(0)

「138億年の音楽史」

浦久俊彦著、講談社現代新書。

新書としてはかなりブ厚いのですが、文章は読みやすく、ページはサクサク進みます。
音楽の本ですが、内容は楽曲紹介や作曲家紹介といったものではなく、哲学から見た音楽、神学から見た音楽、感情から、あるいは権力から、そして当然物理学から見た音楽、等々、この世にとって音楽とは何かといったことを様々な分野から解説してる本です。

こういうのを読むたび、数に強い人を羨ましく思うのですが、音そのものは物理の世界に属しているものなので、比率の美しさ等がわかれば音楽の見方どころか世界の見方も違うんだろうなあと、理数系がボロボロな自分が悔しくなります。

そういった数字音痴の人間の感想が以下に。
数には弱いが音楽は好きなのです。





音楽とは何か
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by teri-kan | 2016-08-31 11:57 | | Comments(0)

「西洋音楽史」

岡田暁生著、中公新書。


非常に好感度の高い本。
何がかと言うと、誤解を恐れずに書くなら、クラシック専門家にありがちな偉そうな感じがしないということです。
音楽に対して謙虚なんだろうなあと思うと同時に、読者へも謙虚。
特にここが大事だけど、クラシック素人に対して謙虚。
目線の高さが同じに思える。
クラシック専門家から時に感じる圧迫感、某巨大掲示板でさえ時折感じさせられる素人を物の数に入れないかのような雰囲気、言うなればエリート臭、そういったものがこの本からは感じられなくて、私のような素人でも心地よく読むことができました。





神と音楽と感動が合わさる幸福
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by teri-kan | 2016-07-13 14:54 | | Comments(2)

ピアノ協奏曲 嬰ヘ短調 作品20 / アレクサンドル・スクリャービン

なんとも素敵な曲です。
とにかく素敵。
ドキドキして心臓が膨れてしまいそうなくらい素敵。
とにかくいろいろと素敵。

初期のスクリャービンはショパンっぽいと言われていますが、第一楽章は確かにショパンと、あとラフマニノフ。
それらを思い起こさせるようなロマンあふれるドラマチックな曲で、でもラフマニノフより浮遊感があって、ショパンよりももっと、精神的に抑制されてる感じ?
ショパンとの比較で言うなら、音楽的に幅はあっても、心はショパンの方が自由だったように聞こえるかな。
ショパンはさすが「ピアノの詩人」で、スクリャービンの真骨頂は後期の音楽にあるということでしょうか。

でもこのピアノ協奏曲はそうであっても素敵。
第三楽章なんてそれこそショパンだけど素敵。
第二楽章は本当に美しい。
馴染みやすいし、ホントいい曲ですよね。
ロマンチックでドラマチックでメランコリックで、そしてとにかく綺麗です。



実はスクリャービン、この人も名前は気になるけど長らくなかなか聴けずにいた作曲家でした。
その最大の理由は、もう名前そのものにあって、なんていうかなあ、スクリャーだかスクリューだかがビンビンいってると言いますか、名前の発音的に超前衛的な作曲家に決まってると言いますか、スクリャービンという名前でロマンチックなんて思いもつかないと言いますか、とにかく名前だけで「自分には理解できない音楽を作った人だろう」という思い込みに囚われていたのです。

今から思えば「アホだ」としか言いようがないですね(笑)。
確かに後期の音楽は今でも「理解できないかも」と近づけずにいるけど、各所に「若い頃はショパンに近い」と書かれてあったんだから、二の足踏まずにさっさとその頃の音楽を聴いておけばよかったんです。
ちょっと損した気分にもなるけど、でも音楽との出会いってタイミングだからなあ。
素人だから仕方ないけど、ホントそういうのってタイミングですね。
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by teri-kan | 2016-02-08 13:51 | 音楽 | Comments(0)