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「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」4巻 奇巌城・中

面白かったー。

ルパン対ボートルレ君の直接対決は最高でしたね!
いいよいいよー。
ルパンその調子!
その勢いでどんどん自己肥大させて、「813」のブラックルパンへと突き進むんだ。
このルパンなら十分「813」がイケる。
期待が俄然高まった。
もしかしたら「奇厳城」で「アバンチュリエ」は終わっちゃうんじゃないかと心配してたけど、こんなルパンが出てくるなら大丈夫なような気がしてきた。
ここまでいいルパンが出てきて「813」やらないなんてありえないでしょー。
来る来る、絶対来る。
勝手にそう思って心底楽しみにして待つことにする。

「アバンチュリエ」においての前巻からの懸案事項、ソニアのその後を書かずにレイモンドが登場してどうするんだろう?ということは、今回無事解決しました。
解決という言い方もなんだけど、きちんと顛末を書いて、ルパンがサイテーな二股野郎になるのを防ぎました。
しかしここでこういったソニアの最期を書かれると、ルパンが可哀想でしょうがなくなってしまいます。
レイモンドもあれですからね、ルパンには幸せになってはいけない呪いでもかかってんじゃないのかと思いたくなってしまう。
「813」なんか、それこそあれですからねえ。
あ、なんかものすっごくルパンが憐れになってしまった。
いかんいかん。
憐れまれるなんてルパンは一番イヤだろう。

で、肝心の「奇厳城」の中身ですが、まあまだ終わってないのでなんとも書きようがないのですが、やっぱり細かいところは結構忘れてたなあって感じですね。
上巻を読んだ時、二巻で終わるのかと思ってたくらいだし、いろいろと記憶から抜け落ちていました。
そうそう、ルイ・ヴァルメラいたね。
そういえばそうだった。
うーん、これは下巻が超楽しみ。

やっぱり面白いよねえ。
お話として「奇厳城」は超エンターテイメント。
ワクワクドキドキです。
ボートルレ君、頑張ってるけどルパンは人間が違うんだ。
今までも違ってたけど、やっぱり「歴代フランス王の後継者」としてのお宝を手に入れてるからか、もう尊大で高慢なのが天井知らずでパワーアップ、実際それを手に入れるだけの力とそれを活用できる力を持ってるし、なんかいい感じで化けモンじみた人になってますよねえ。
あーいいなー。

いやね、何度読み直してもボートルレ君と直接対決してるルパンがカッコよくってですね、イイヨイイヨー!なんですね。
青筋立ててキリキリに怒ってるところなんて最高です。
眉毛と髭が変な人だけどカッコいい。
でもあれをそばで見てたら恐すぎて固まるしかない。
同席してた「私」さんはすごいですねえ。
超貴重な体験だけど、同席はノーサンキューですわ。

あ、この巻のガニマールとショームズは面白くてよかったです。
「ツバメ号」は快適だったようで何より。
でも彼らの役割がこれで終わるわけではないのが………。

下巻は楽しみでもあり辛くもあり。
既に敵は人間ではなく運命。
とんでもないものを相手にして戦うことの連続です。
ルパン頑張れ、超頑張れ。
「アバンチュリエ」も頑張れ。
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by teri-kan | 2015-06-08 00:01 | 漫画 | Comments(0)

「VSルパン」1巻

さいとうちほのアルセーヌルパン漫画。
少女漫画風イケメンルパンが大活躍します。
発売されたのは今年の4月で、読もうかどうか保留にしていたのですが、第2巻分として現在「カリオストロ伯爵夫人」を描いているらしく、それなら是非読んでみたいとなり買ってみました。

いやあ、ルパンマジイケメン。
女の子が好きそうな優男風イケメン。
背がスラッと高い今風イケメン。
私が二十代の頃思い描いていたルパンが、そのまま紙面にいました。

原作をよくよく読み込んでみると、実はルパンはこんなに飛びぬけて背が高いわけじゃないんですよね。
中肉中背で、当たり前だけど背の低い人にも変装できるように、どうとでもなりそうな背格好をしている。
筋肉はモリモリ。
男が自分で見惚れる自分の体だから、日本女子が好むような細身では決してない。
しかしそれでも少女漫画のルパンはこれでいい。
少女の頃は私もこういうルパンを想像していましたもんねえ。
だからこの容姿でOKなのです。

私の思う「性格の悪いルパン」からすると、さいとうちほのルパンは優しさが勝ってる印象です。
アンジェリックに対してのあれは、以前原作の感想でも書きましたけど、女に対して最低の所業でクソ男全開なのですが、漫画で読むと結構そうでもないんですよね。
アンジェリックの優しさメインで描かれているので、アンジェリック視点のルパンになってるんだな。女に夢を与えるすごくいい男に(苦笑)。
ドルー・スーピーズ夫人にももっと厳しく言ってもよかったと思いますしね。
でもクラリスがあの場にいるから、さすがにあれ以上ヒドイ人にはなれないか。

クラリスとの出会いが描かれてるのは良かったです。
この辺は恋愛漫画の手練れならでは。
でもルパンはこの後この清純なお嬢さんに対しても人でなしなんだよ……。
「カリオストロ伯爵夫人」のルパンもやっぱり女の敵なんですよねえ。

このイケメンルパンがカリオストロに骨抜きにされるのが見れるのかどうか、非常に楽しみです。
熟女に溺れるイケメンルパン。
楽しみすぎる。
クラリスは本当に可哀想だけど、どうか頑張っておくれ。
原作を読む限り(以前も書いたけど)クラリスは聖女の役割を押し付けられているんで、「VSルパン」では生身のクラリスが表現されることを期待します。
クラリスはルパンに盛大な恨み言を言っていいと思うんだ。
張り手の一つや二つかましても全然いいよ。

一つ気がかりなのは、漫画のルパンが結構年上に見えるところかな。
二十代半ばくらいの、そこそこやり手の青年に見えてしまってる。
「カリオストロ伯爵夫人」のルパンは二十歳で、いかにルパンと言えど勢いだけが取り柄の、まだまだ青二才なんですが、その辺の若々しさが出るのかどうか、ちょっと気になる。
二十歳の若者が二つ年下の18歳の女の子を好きになって熟女にも陥落するのと、二十代半ばの男が熟女と十代の少女の間でフラフラするのとじゃ、ちょっと話は違ってきますからね。
その辺がどうなってるのか。

それも含めて楽しみにしてます。
1巻を読む限り結構期待できそうなので、単行本が出るのが待ち遠しい。




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by teri-kan | 2014-10-01 10:36 | 漫画 | Comments(0)

読書感想文の思い出

ここのブログのタイトルがまんま「感想文」のせいもあるんですが、毎年7月半ばから「感想」「感想文」「読書感想文」で検索して当ブログを訪問して下さる方が急増します。
「あ~、今年も夏休みかあ」と毎年しみじみするのですが、8月も後半を過ぎて検索件数がぐんぐん伸びて、夏休みの宿題が追い込みに入っていることを感じます。
学生さんは大変ですよねえ。

ブログでは本の感想もせっせと書いている私ですが、夏休みの読書感想文は嫌いでしたね。
夏休みにじっくり本を読むとか、無理じゃんそんなの、って感じでした。
ドリルやらプリントやらはなんとかちょっとずつ済ませられるとしても、読書はそういうわけにはいかないし、本のためにまとまった時間をとること自体が苦痛だったように記憶しています。
小学生の時は午前も午後もプールだし、中学生、高校生の時は部活、その他の時間は遊び呆けるという、当時は夏休みの勉強をしない子供を地でいっていたので、だからしょうがなく読むのに時間をとらない短編を選んでたりしてました。オー・ヘンリーとか。

でも当時も読書感想文自体が嫌いなわけじゃなかったんだろうなあと思うのは、普通の一学期とか二学期とか、毎日担任に提出するノートに、一時期アルセーヌ・ルパン本の感想ばかり書いていたことがあったんですよね。
好きな本なら頑張ったんです。感想というよりあらすじダラダラみたいな文章でしたが、読んで楽しかったこととか面白かったことを発散したくて、かなりの長文で提出していました。
先生にしてみればつまらなかったと思うんですけどね。でも文章を書くという訓練にだけはなったかもしれないと、振り返ってみて思います。

やっぱり題材は好きなものに限りますよね。
好きなものなら自分の言葉で好きなだけ書ける。
夏休みも残りわずかですが、学生さん、頑張って下さい。



広島の安佐南区は9月になっても二学期を始められない学校が出ているそうです。
東日本大震災もそうでしたが、学校は避難所になりますからね……。
広島はまだそれでも被害が局地的なんで、なんとか被災者の住まいの確保をして、学校が再開できるように頑張ってもらいたいです。
自衛隊、消防隊、警察、行政の方々、暑い中本当に毎日御苦労様ですが、よろしくお願いします。
被災された方々が一日も早く日常に戻れるように祈っています。




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by teri-kan | 2014-08-26 11:57 | 身近な話題 | Comments(0)

「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」3巻 奇巌城・上

やっぱり面白い話なんだよねえ。
原作の感想を以前書いたけど(ネタバレあり) 、今回改めて漫画で事件を追っていくと、やっぱり面白いよなあとしみじみ思う。

まだ半分しか進んでないので、事件についてはノータッチで感想書くしかないのがツライところです。
実はあれは、と言いたいところが結構あって、そういうの考えても上手く作られてる話だなあと思います。

これまでのルパンの犯罪パターンを踏襲しつつ、しかしルパンらしからぬ印象も大きいのが「奇巌城」の面白いところなんですが、その原因はルパンが重傷を負って動けないからですね。部下が先頭に立ってるから、ところどころびっくりするほど仕事が荒っぽい。
荒っぽいけど、でもスケールは大きい。
ホントわくわくするお話です。

ボートルレ君が頑張っとります。
かわいいですねえ。
今回のルパンの敵はこれまでのようなおっさんではなく、自分より年下の学生さん。
ルパンシリーズ自体、この辺りから敵は社会的権力や富豪といったものではなくなってきて、なんていうか、もっと真っ当ではないものへと移っていきます。
真っ当ではないというか、まあ犯罪者もそうだけど、もっと言ってしまえば運命とか、そういった類のものが敵になる。
だからさすがのルパンも百戦百勝とはいかなくなる。
そしてこの話はその象徴ともなるべき話でもある。

一発の銃弾なんだよね。
これが彼の人生を決定的に変える。
「奇巌城」はこの事件のみでも凄いけど、シリーズ全体でみても大転機の作品で、だからこそ下巻の出来は重要なんだ。
どういう風にルパンを描くのか、ものすごく興味がありますねえ。

というわけで、今から「奇巌城・下」が楽しみでしょうがないんですが、なんか急に不安になってきたんだけど、まさかこれで連載が終わるってことないよね?
「アバンチュリエ」は青年期のルパンを描いてるとかなんとかどこかに書いてあったけど、考えてみたら「奇巌城」はルパンの青年期の終わりのような作品なんだ。この次は「813」だし。
まあ「813」だって若者っぽく描いて全然いけると思うけど、若者がああいう酷いことするのと壮年の男性が酷いことするのとではちょっと違うからなー。
まあ実年齢は40歳で見た目30歳でもルパンの場合は成り立っちゃうから、これからも年齢重ねようがずっと若くてカッチョいい外見でいてくれたらいいんだけどさ。

あ、そうだ。
「813」を描く前に「緑の目の令嬢」を描けばいいんだ。
あれは若者っぽくても大丈夫。
ちょっとストーカーチックなのがなんだけど。
あ、「水晶の栓」もいいな。
あれは敵があんなんだから、若者っぽくても大丈夫。

とにかく、これからも連載を続けてもらえるように祈っておこう。
「奇巌城」を区切りにしないでもらえるように頑張ってもらおう。
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by teri-kan | 2014-08-18 12:48 | 漫画 | Comments(0)

「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」2巻

「ユダヤのランプ」です。
ハーロック・ショームズ再び。
いや、正確には三度目か。

ショームズが出てくる原作にイマイチ思い入れがない私ですが、「アバンチュリエ」のは面白いと思います。ショームズとウィルソン君がいいキャラクターになってるから、彼らメインで見ても楽しめる。

マンガの表現はいいですね。
原作を結構忘れてるんで忠実な再現なのかどうなのかわからないけど、川からあがったショームズがサイズの合わない服を着ているところ、その格好で夫婦の決定的な場面にいたたまれない表情で固まっているところなんて、面白い絵だなあと思いました。

そう、これってご婦人の名誉を守るお話だったですよね。
結局守れなかったけど。
波風たたせず事態を収めようとしたから却ってややこしいことになったって感じで、でもルパンは人殺しはしないからなー。
あの下種な男をさっさと殺しちゃえば話は簡単だったけど、それだと夫人や彼女が苦しすぎますからね。
絶対殺さないというルパンだからこそ女性も依頼しやすかったはずだし、その辺ルパンのイメージは既にしっかり確立していたんだなと思います。

次はとうとう「奇厳城」。
またもやルパンは登場しません。彼が大々的に姿を現すのは後半の後半になってから。
だからショームズ同様ボートルレ君のキャラが重要になってきます。

ここら辺がルパン作品の難しいところですね。
「813」以後だとルパンが最初から登場して、悪人の敵と痛快に戦うのだけど、「奇厳城」までは敵が警察や善良な(?)宝の持ち主だったりするから、ルパンは思いっきり日陰の人なんだ。

個人的には日陰のルパンより出ずっぱりのルパンが見たいから「奇厳城」はさっさと進めて「はよ813を!」ってな気分だけど、でもこの雰囲気だと「奇厳城」の後は短編とかをやるのかなあ。
実は「アバンチュリエ」は思いっきりソニアを絡ませてるんですよね。なんと今回の「ユダヤのランプ」にも出ている。ちょっとだけだけど。
ていうか、最初誰だかわからなかった(笑)。巻末の解説を読んで「なるほどー」って感じで、ここまでしっかり作りこまれていたとは正直思いもしてなかった(笑)。

しかしソニアが健在のまま「奇厳城」に入るとなると大きな問題が。
それはもちろんレイモンドが登場するからですが、となるとソニアの悲劇は「奇厳城」冒頭で起こるということなのかどうなのか、そこら辺がヒジョーに気になる。
そうなるとソニアが出てくる短編の事件は「アバンチュリエ」では描かれないということなのかな。それとも後から、「昔こんなことがありました」的に描かれるのかどうなのか。

なんだかいろいろと気になる今後の「アバンチュリエ」ですが、単行本が次に出るのは夏とのこと。
なんだか先の話だなあー。
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by teri-kan | 2014-01-20 10:52 | 漫画 | Comments(0)

「ルパン危機一髪」

ボワロ=ナルスジャック作のパスティーシュ第5弾「アルセーヌ・ルパンの誓い」のポプラ社版。

この作品の日本語による全訳はされてないらしく、読もうとなると子供向けのポプラ社しかないそうですが、このポプラ社版も現在ではシリーズから外されており、読む事がますます難しくなっているというアルセーヌ・ルパン本です。

有力政治家の殺害から始まる連続殺人事件をめぐる話で、ルパン扮するルノルマンが活躍しています。
ルノルマン時代というと、ルパンが三十代半ばから後半にかけてといった年齢。
心身ともに最も充実してる時期ですが、事件の性格からして他のルパンものらしいスケールの大きさは感じられません。愚直に警察の仕事を務めているといった感じで、泥棒まがいのことも一応するにはするけど、目も眩むようなお宝や大いなる歴史の謎とは無縁です。
というか、明るさとか陽気さとか大ホラとか、そういったルパンらしい前向きなものも皆無。

小学生の時これを読んで、自分、何を思ったんでしょうねえ……。
今回改めて読んでみて、「こんな悲しいお話だったのか」と、心底寂しい気分になってしまいました。
いや、昔もしんみりしたなあという記憶はあるんだけど、ただしんみりと物悲しいだけではなくて、なんて言うかなあ、この二人はただ巻き込まれただけで、別にこんな不幸な目に合わなくてもよかったんだよなあと思えてしょうがないんですね。
なんでこんなことになっちゃったんだろうとか、どこで間違えたのだろうとか、後ろ向きな方向へ思考がいってしまうのですよ。

爽快感皆無。
とても虚しいですねえ。

ルノルマンの推理はなかなか面白いのです。
最初の殺人を発想の転換で解き明かすところとか「おおっ」って感じだし。
でもなー、最後がなー。
あんなクズのどーしよーもない犯罪がきっかけであそこまで不幸になってしまうのがなー。
そこのところがつくづく残念ですねえ。

我が子を救おうとする母を愛するという点で、どこか「水晶の栓」に似たところもある今回のルパンですが、ボアロ=ナルスジャックのルパンはことごとく恋愛から遠ざけられています。
妙に慎ましいんだよね。それって違うだろってくらいに。
そこら辺に一番ルブランとの差を感じます。
去年発売された「最後の恋」の方がよほどルブランっぽい。ていうか、推敲に荒さがあるとはいえさすがルブランの名で出てるだけはある。
いくつになっても、どの名を騙っても、「あなたほど好きになった人はいません」と言ってのける情熱がルパンには必須なんですよ。
彼の情熱は宝へも女性へも等しく注がれているものだから、片方の恋愛が欠けてしまうとかなり薄味になってしまう。だから今回のお話もとてもあっさり風味。
小学生以降も何回か読み直したはずなんだけど、事件のあらましをまるで覚えてなかったのはそのあっさり感にあると思いますね。

情熱プリーズ。
なんだか昔のルパンが読みたくなってしまいました。
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by teri-kan | 2013-11-05 12:13 | アルセーヌ・ルパン | Comments(2)

「ルパンと殺人魔」

ボワロ=ナルスジャックのパスティーシュ第4弾「アルセーヌ・ルパンの裁き」を子供用に翻訳改編したポプラ社作品。
全訳は現在入手できるような状態ではなく、ポプラ社の方も今はシリーズから外されているらしい……。
ようするに読みたいと思っても簡単に読める状況にはないということで、なんとももったいないことよという残念な作品です。

日本には「怪盗ルパンの館」という大変素晴らしいサイトさんがありまして、絶版の情報とかポプラ社のタイトルが原作のどの作品に対応しているかとか、ルパンファンにとって知りたいことがすぐわかるという、大変ありがたいルパンファンサイトが存在しています。
私は大々的に勝手にお世話になっているのですが、そのサイトさん情報によると、この「ルパンと殺人魔」は原作と比較してかなり大胆に圧縮されているのだとか。
子供向けポプラ社なのでそんなもんだとわかってはいるのですが、正直かなり残念。
でも私はこれしか読めないので、残念ながら今回はその圧縮版の感想となります。

で、その肝心のお話ですが、うん、ポプラ社って久々に読むけど、余計な文章が全くないので状況の把握が簡単でいいですね。スタスタ話が進んで、いやあ、コレは読みやすい。大幅圧縮のおかげでページ数も超少ないし、前作の「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」にかなり時間を費やしたことを考えれば、これくらいでいいのかもしれないな、なんて思うくらいです。
どうせルブランのルパンじゃないし。

とはいえ、さすがに子供っぽいのは読んでてちょっと辛いものがあります。
私が親に買ってもらったのは10~12才の頃なので、大人の今読むとさすがに物足りないです。なんといっても「アリバイ」の意味の説明文が入っているくらいだし。
そのくせ「くしゃみ」は「くさめ」なんですよねえ。久々に見ましたよ「くさめ」なんて言葉。
当時の自分、何の違和感もなく読んでたんですかねえ、これ。

そんなわけで、圧縮のせいでほとんどダイジェスト的、しかも子供向け文体ということで、内容に関する感想の書きようがほとんどない作品ですが、前作「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」に出てくる名前が今回も見られたことがちょっと嬉しい驚きでした。
部下が部下を紹介するという流れがあるんですよね。今回のルパンの部下はこれまたいろいろな背景を背負った青年という設定です。

ボアロ=ナルスジャックのルパンシリーズはルパンと部下の関係が一つの鍵になっています。女性との恋愛話はどれも全くダメダメですが、親分子分の絆はなぜかしっかりと描いている。
どのお話も部下が事件解決の鍵を握るというか、事件を彩る重要な役割を果たしているんですよね。

もしかしてポプラ社の圧縮ストーリーでなければ、親分子分のイロイロがじっくりと楽しめたのかもしれません。
その点はかなり残念であります。
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by teri-kan | 2013-10-23 11:37 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「アルセーヌ・ルパン 第二の顔」

ボワロ=ナルスジャックによるアルセーヌ・ルパンのパスティーシュ第3弾。
ルパンがフランス国家に寄贈した奇厳城の美術品を、とある犯罪組織が奪ったことから起こる「犯罪組織VSルパン」の戦いを描いた作品です。

前の2作以上に「これはルパンものではないだろー」という感想が先にきてしまうお話です。
これを思えば「ウネルヴィル城館の秘密」はきちんとルパン作品と言えました。
本作も一応ルパンは大活躍するのですが、なんていうか、やはり描かれている犯罪の質がですね、ちょっと言葉にするのが難しいのですが、ルパンシリーズを読む時に感じる「古きよき時代感」に欠けているんですね。それがイマイチ私の好みではないのです。

なので、こういうのが好きな人には向いてるお話なんだろうなあと思います。
犯人は驚きの人物だし、途中もアッと驚く展開を見せるし。

でもこの犯人、私は大嫌いだ。
はっきりいって下種ですね。
ドーブレック(水晶の栓)やエサレス・ベイ(金三角)もクズだったけど、あの人達はまだクズな感情とはいえ感情を持ってる人間だった。
この犯人はねえ、いやー、なんていうか、もうイヤ過ぎる。
ホント最低なんですよ。人非人なんですよ。

あともう一つ、本作に違和感を抱く理由は、多分ルパンに覇気がないからでしょうね。
奇厳城の事件を引きずってる時期という設定なので、ある意味やる気がなくなっててもしょうがないんですが、アホみたいにバイタリティあふれるルパンっていうのがルパンの基本姿勢だと思うので、その辺でも「なんか違う」と感じる原因になっています。

まあ覇気は終盤には盛り返しますが。
それでやっぱりルパンは明るいのが似合ってるよなあと改めて思ったりもするわけですが。

そんなわけでちょっと問題アリの本作ですが、途中で登場してくる青年との親分子分の関係を作り上げていく過程は面白かったです。
そういった意味でラストシーンは結構好き。
女とはダメだけど若い青年とはいい関係築いて最後仲良しになっちゃうってのは良かった。
どうしようもない人間ばかりが出てくる本作にあって、その青年だけはとても良い風をもたらしてくれました。
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by teri-kan | 2013-10-10 10:30 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「バルカンの火薬庫」

「ウネルヴィル城館の秘密」に続く、ボワロ=ナルスジャックによるアルセーヌ・ルパンのパスティーシュ。
タイトルから想像できる通り、第一次世界大戦の発端となったバルカン半島の政情を背景にしたお話です。

「火薬庫」なんて、なんともきな臭くて硝煙臭いタイトルですが、本作の事件の発端となった出来事は、実はロマンチックだったりします。
清らかで純粋な愛がもたらした悲劇って感じでしょうか。
そんな愛が「火薬庫」呼ばわりされてしまうということが、当時のバルカン半島の不穏さなのでしょうね。このお話はかなり政治的です。

どうしても前作の「ウネルヴィル城館の秘密」との比較になってしまうのだけど、事件のタイプとしては個人的には「バルカンの火薬庫」の方が好きかな。
こっちの方が上品というか、まあ犯罪に上品も下品もないんだけど、「バルカンの火薬庫」の方が洗練されてる印象がありますね。
「ウネルヴィル城館の秘密」はいろいろと粗野だったですからねえ。犯行のやり方も、事件の進み方も、敵とのやりあい方も、犯人の動機も。

まあ犯人の動機という点では「バルカンの火薬庫」もルブランものとは毛色が違っています。登場する姉妹が大きな役割を果たすのですが、ラスト、ああいう結末にするのなら、もうちょっと話の途中でルパンと彼女達の交流を丁寧に描写する必要があったのではと思います。

ルパンは女好きのはずなのに、どうも女を観察する目の描き方が弱いんですよねえ。
本当ならもっとルパン目線の姉妹の比較があってしかるべきなのに、ほとんどないに等しいのです。
その点ルブランは登場人物の心理を描くのが上手かったですよね。
人物の佇まいを描写したその一行で人となりや内面を表現するということ、ルブランは出来てましたから。

ボワロ=ナルスジャックは事件や謎のどんでん返しを作るのは得意だけど、心理描写は得意じゃなかったのかな。
それともルパンが所詮他人の作ったキャラクターだったからか。
ボワロ=ナルスジャックの他作品を読んだことないので真相は不明ですが、本家とパスティーシュの違いの最たるものは、そこら辺にあるのかなあって印象です。

ちなみにポプラ社版は「ルパンと時限爆弾」というタイトル。
なんと探してみたらありました。
これは親に買ってもらってたんですねえ。
すっかり忘れていましたー。
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by teri-kan | 2013-10-07 16:45 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「ウネルヴィル城館の秘密」

新潮文庫の表紙の著者名は「アルセーヌ・ルパン」。
「えっ?」と驚いてしまいますが、これは実はボワロ=ナルスジャックによるパスティーシュ(模倣作品)。
ルブランの死後何十年もたった1973年発表の、アルセーヌ・ルパンが活躍するミステリーです。

子供の頃ポプラ社版で読みましたが(「悪魔のダイヤ」)、当然内容は忘却の彼方。
なので全くの新作感覚で読む事ができました。
なかなか面白かったけど、残念ながらルブランのルパンとは微妙に違うので、ルパンものとして感想を書くのはちょっと難しいかな。

殺人と謎のキーワードをめぐる歴史的事件を背景にした宝探しのお話で、その謎とか事件とか、ミステリー部分はいろいろ凝ってて面白いのですが、肝心のルパンのキャラの面で限界があるなあというのが正直なところです。
なんていうか、愛嬌が足りないんですよね。
ルブランのルパンに感じる愛すべきバカっぽさがないというか、お茶目さんじゃないというか、ムチャクチャやっても「しょーがないなーぼっちゃんは」とヴィクトワール目線で撫でてあげたくなるような、「あんたはアホか」とケリを入れて突っ込みたくなるような、そんな愛嬌が不足しているのですよ。

もともと私のルパンの読み方がそんな感じで、謎解きや事件は案外どうでもよくて、ルパンがどう冒険をするのか、お相手の女性とどういう関係を作っていくのか、それをメインに楽しんで読んでたところがあるんですね。
実際ブログに書いてきた私のルパンの感想ってほとんどそんなで、特に「奇岩城」なんてそうなんだけど、ルパンがその時その時にどういう心理状態でいるのかが、私にとってのルパンシリーズの重要ポイントなのです。
なのでそこの部分で「ちょっと違うな」というのが見えてしまうと、やっぱり本家とは違うよなーという感想が第一にきてしまいます。

ま、昔ポプラ社版を読んだ時はそんなこと全然わからなかったですけどね。



実はまだルパンのパスティーシュはあるので、次を読んでみたら印象は変わるかもしれません。
変わらなかったらボワロ=ナルスジャックのイメージするルパンと私の思うルパンはちょっと違っているってことなんでしょう。
それはそれでその違いを楽しむという読み方をすればいいだけです。

ちなみに本作はフランスで1973年度の「批評のミステリー賞」なるものを受賞したそうです。
良作であるとは確かに言えると思います。




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by teri-kan | 2013-09-25 10:45 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)